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2006年5月

2006年5月31日 (水)

2 利息制限法で引直計算をすると

2 利息制限法で引直計算をすると
 貸金業者のほとんどは、利息制限法に規定された利率を超える利息の約定で融資を行っています。したがって、これまで支払ってきた金額のうち、グレーゾーンの利息に充当されていた部分は元金に充当することができます。
 次の表(省略)をみてみましょう。
 これは、平成12年5月1日に50万円を借り入れ、毎月月末に2万3000円ずつ返済をした例です。ただし、毎月2万3000円を返済すると融資の限度額に余裕ができるため、その都度1万円を借り入れています。実は、このように、毎月、限度額の範囲内で借り入れと返済を繰り返している債務者が多いのです。
 このような取引を続けた場合、例えば3年取引を続けると、年利29.2%で計算すると元金がまだ45万円ほど残っていることになりますが、年利18%で計算すると24万円足らずとなり、元金が半分近くまで減少することがわかります。
 また、5年取引を続けると、年利29.2%で計算すると元金がまだ39万円ほど残っていることになりますが、年利18%で計算すると、元金を全て返済したうえに、約3万円の払いすぎとなっていることがわかります。これが、いわゆる過払金の発生です。
 このようにして、本来、法律上支払わなければならない金額を求める必要があります。

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2006年5月30日 (火)

第2.現在の債務を把握する

第2.現在の債務を把握する
1 債務の種類
 「債務」には様々な種類のものがあります。最も多いと思われるのが「借入債務」でしょう。「借入債務」には、貸金業者から借り入れたもの、銀行から借り入れたもの、会社から借り入れたもの、友人・知人から借り入れたものなどがあります。
 また、商品の売買代金や英会話・エステなどのサービスの提供を受けるためにクレジット会社を利用して分割払いをする「クレジット債務」もあります。
 さらに、保証人になっている場合には、その保証債務もあります。税金や社会保険料の滞納なども債務であることに違いはありません。
 このほか、個人事業を営んでいる方は、仕入代金が外注・下請代金の支払債務やリース料債務もあるでしょう。
 ここのところ、最高裁判所は、貸金業者の高金利を否定する判決を相次いで出しています。これは、金銭の貸借についての利息の上限を定めた利息制限法に規定された利率(15~20パーセント)を超える利息は、たとえ出資法の範囲内(上限29.2パーセント)であっても、その超えた部分については無効であるというものです。この判例の適用が考えられるのは、貸金業者からの借入債務であって、利息制限法に定められた利率を超えた利息を支払ってきたものです。
 これまでは、この、いわゆるグレーゾーンに関する裁判例は、無効とするもの、有効とするものなどが存在し、争点も多岐に及んでいました。しかし、昨今の最高裁の判例で、グレーゾーンについては認められる余地がなくなったと言ってもいいでしょう。

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会社法施行にあたって

静岡県司法書士会の内部広報誌に提出した原稿です。

 5月1日から会社法が施行されました。会員のみなさまの実務は順調に推移しているでしょうか。
 私が副会長に立候補した際、その所信として、会社法施行に対する的確な対応を掲げさせていただきました。これは、昨年施行されました改正不動産登記法に対して、日司連のリードが必ずしも満足いくものでなかったため、会社法については日司連を頼ることなく地元で研究をして静岡から会社法の実務をリードしていく必要があると強く感じたからです。
 幸い、昨年度、会社法対策委員長に任命されましたので、昨年度は会社法に対する内部研修・実務体勢の充実に力点を置き、毎回200名前後の会員をお招きして特別研修を開催するなど極めて充実した研修を実施することができました。私の知る限り、質、ボリュームともに全国トップレベルの研修を行うことができたと自負しております。
 特別研修の実施にあたり、定款作成の基礎部分は浜松の若手勉強会である司法研究会の資料を参考にさせていだきました。従来の商法の感覚にとらわれず、会社法の精神を盛り込んだすばらしいモデル定款を提供していただきました。また、このモテル定款を基礎にして、熟練の会社法対策委員の方々に創意ある資料と書式を提供していただきました。司法研究会、会社法対策委員会ともに大変な作業を強いてしまいました。この紙面をもって感謝申し上げます。
 両者とも限られた資料の中での作業でしたので、通達等が明らかになった時点で若干の軌道修正をしなければならないところもありましたが、いずれも貴重な資料を提供していただき、時間が許せば書籍化してもおかしくない内容でした。ちなみに、過日、関東ブロック司法書士協議会から若干のマニュアルが配布されましたが、実は、この土台となっているのはこれら静岡から提供した資料であることを付言しておきます。
 さて、本年度の会社法対策委員会は、会社法に対する対外的な広報と知識の普及に努めてまいります。また、会社法特別研修では深く触れることができなかった組織再編等についても知識を深めていく必要があると考えております。
 資格者間の業際問題が賑やかな今日、「会社法は司法書士」と言われ続けるよう、会員のみなさまに更なる情報提供をしていきたいと考えております。

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2006年5月29日 (月)

法定清算人の変更登記

商法時代に休眠会社整理の規定によって強制解散させられた株式会社がある。清算人登記はされていない。

この会社の所有する不動産を売却することになったため法定清算人(清算人3名、代表清算人1名)を登記する必要があるが、法定清算人のうち清算人2名(内、代表清算人1名)が辞任したいと言っている。

この場合、登記の手順として次のいずれが正しいか?

① 法定清算人就任登記、清算人2名の辞任登記、代表清算人の退任登記

② 法定清算人就任登記、清算人2名の辞任登記、代表清算人の退任登記、代表清算人就任の登記

③ 法定清算人就任登記、清算人会設置会社の廃止登記、清算人2名の辞任登記、代表清算人の退任登記、代表清算人就任の登記

④ 法定清算人就任登記・清算人会設置会社の設定登記、清算人会設置会社の廃止登記、清算人2名の辞任登記、代表清算人の退任登記、代表清算人就任の登記

⑤ 面倒だから受任しない

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はじめに

 一口に「債務整理」と言っても、債務整理の方法としては、裁判所の手続きを利用せずに債権者と個別に交渉する任意整理、裁判所の調停制度を利用する特定調停、過払金の返還を求める訴訟、支払義務を一部に変更する民事再生、支払義務の免除を求める破産などがあります。
 また、相続により債務を承継してしまった場合には家庭裁判所に対する相続放棄の申述などが利用されています。
 このように様々な手続きがある中で最も適切な手続を選択する必要がありますが、そこにはふたつのハードルがあります。まず、最初のハードルは、現在抱えている債務は、法的に本当はいくらなのかを調査する必要がある、ということです。そして、次のハードルは、手続きを選択するうえでは、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、法律的な判断が求められるということです。
 では、まず、第一のハードルである債務の額について説明しましょう。

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2006年5月28日 (日)

会社の役員は貸付対象者じゃないでしょ?

出資法では、日賦貸金業者は他の貸金業者に比して債権の回収にコストがかかることなどを考慮して出資法の上限金利の特例が認められている。しかし、日賦貸金業者の貸付けの相手方が主として営む業種は、物品販売業、物品製造業、サービス業に限られている。(なお、業種の判断については、原則として、日本標準産業分類表を参考とすることとされ、例えば、日賦貸金業者が、建設業者、不動産業者、サラリーマン、主婦等に貸し付けることは、出資法違反となる)。

また、日賦貸金業者の貸付けの相手方が常時使用する従業員の数は5人以下とされているが、常時使用する従業員数の算定に当たっては、正社員に限らず、臨時雇用であっても、数ヶ月程度の期間にわたり雇用されている場合などにおいては、実態に即して常時使用する従業員に含むものであることとされている。

上記の趣旨から言えば、常識的に考えれば、貸付対象者は事業者そのものである。個人事業者であればその個人であり、会社組織であれば会社そのものである。会社組織の場合の役員に対する貸付は、上記の趣旨から言えば貸付対象者とはならないと考えるのが常識的である。なぜなら、会社の役員は常時従業員を雇用するものではなく、そもそも、役員自身が事業を営んでいるものではないからだ。だから、会社の役員は日賦貸金業者の貸付対象にはならないと考えられる。

さらに言えば、日賦貸金業者の特例を定めた出資法は刑罰規定であり、特例として定められる範囲を限定して規定している。したがって、解釈により貸付対象者を拡大しようという考え方がされてはならない。

ところが・・・・である。

今回の裁判の借り入れ名義人は、会社の役員であるところ、被告弁護士は、「「会社の役員」と言っても小規模な会社であるし、実態としては個人事業と同じである」、「合資会社の無限責任社員の責任は無限であり・・・・」、「合資会社というのは民法上の組合のようにもので・・・・」等々の主張をしている。

そもそも、日賦貸金業者の貸付対象者は小規模な者である。実態としてはみんな個人事業みたいなものである。しかし、だからといって会社の役員個人に対して貸し付けたものが「事業者」に対する貸付になることはないだろう。論理のすり替えも甚だしい。

たしかに弁護活動であるからには、いろいろな智恵を使って争うということは理解できる。しかし、あまりにも突飛な主張はいかがなものか。

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