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2006年6月

2006年6月30日 (金)

会計監査人の重任登記をお忘れなく

総会シーズン真っ只中であるが、会社法の元で会計監査人の重任登記を忘れてはならない。
会計監査人の任期は1年であるが、定時総会で別段の決議がなされなかった場合には再任決議があったものとみなされる。その場合、重任登記をしなければならない。
このみなし再任の場合には、総会議事録には「みなし再任した」という記載がなされないのが通常であるから、総会議事録に記載された事項だけを見て登記の申請書を作成すると大失敗となる。会計監査人が選任されている会社の場合は、その重任登記を落とさないように注意が必要だ。
今年、その登記を忘れていると、今後ずっと忘れることになりかねない。会計監査人を選任している会社は原則として大会社であるから、数年後に「忘れてました」では洒落にならないわけだ。
なお、みなし再任があった場合には、それを証するために定時株主総会の議事録の添付を要する。会計監査人の就任承諾書は不要である。

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2006年6月29日 (木)

ちょっと失礼な話

今日、東京の知らない司法書士から電話があり、事務員さんが用件を聞いた。個人民事再生で、共済からの借り入れについて、退職金等が実質的な担保となっている件につき、別除権扱いが認められたとのこと。

このこと自体は、僕が「個人民事再生の実務」(民事法研究会)に書いておいたので、きっとそれを見て書類を書き、認められたということだろう。

そして、電話をしてきた趣旨は、その別除権について「再生計画案」の書き方を教えて欲しい」というものだった。

僕は打ち合わせから帰ってこの話を聞いたが、その司法書士は「電話を欲しい」と言っていたらしい。

ちょっと待ってよ、僕はこの司法書士を知らないし、何で僕が電話しなければならないの? それ、ちょっと違うんじゃない?

再生計画案をどう書くか、それは、訴状なら「請求の趣旨」をどう書くか、というようなもの。そういう大事な事を聞きたいのなら、そっちから電話してくるのが筋じゃあないの? しかも、そういう時は、「こう書いてみたんですが、どんなものでしょう?」というのが筋というものでしょ?

僕は、この司法書士と話したくないので、その部分の再生計画案の雛形を事務員さんに渡し、「これをファックスしておいて」と託した。僕は出し惜しみはしない。また、こういう人に対してグズグズ言うつもりもない。要は話したくないのだ。

事務員さんがファックスしていたようであるが、案の定、お礼の電話もない。

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2006年6月28日 (水)

一時会計監査人の選任

7月1日から、C監査法人は2カ月の業務停止になる。C監査法人を会計監査人に選任している企業は注意したい。

まず、業務停止により、会計監査人の抹消登記を申請する必要がある。その原因を証する書面は、5月頃出たと言われる、業務停止公告が掲載された官報でいいらしい。

一時会計監査人が選任される前にこの退任登記ができるか、という疑問もあるが、業務停止であるから後任者選任までの権利義務承継もないものと思われ、退任登記は受理されるべきだと思われる。

また、一時会計監査人の選任は監査役会の決議によるが、この監査役会は、7月1日以降に行う必要がある。これについては、日本監査役協会http://www.kansa.or.jp/osirase_060627.html、葉玉氏ブログhttp://blog.livedoor.jp/masami_hadama/に記載がある。

その先は、ふたつの方向に分かれそうである。

ひとつは、業務停止の2カ月は一時会計監査人を選任しないで、9月になったらC監査法人を一時会計監査人として選任する方向。

もうひとつは、この際、別の監査法人を会計監査人として選任する方向。

いずれにしても、影響の大きな事件である。

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2006年6月27日 (火)

移行後の株式会社が取締役会設置会社である場合

特例有限会社から株式会社への移行は、登記が効力要件とされていますが、移行後の株式会社が取締役会設置会社である場合、登記申請前に取締役会を開催し、代表取締役を選定することができるでしょうか。また、この場合に移行を決議した株主総会で代表取締役を選定することができるでしょうか。

登記申請前に取締役会を開催して代表取締役を選定することはできない。移行を決議した株主総会で選定することもできない。定款の附則で代表取締役を定めるしかない。

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2006年6月26日 (月)

移行登記以前の登記事項

 移行の登記以前に発生した登記事項を株式会社設立の登記申請書に記載してよいか。また、記載できる場合には、現在の事項を記載すべきか、移行の登記事項+変更事項を記載すべきか

以前の登記は前件で申請していただきたい

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2006年6月25日 (日)

移行登記の登録免許税

 有限会社から株式会社への移行の登記の登録免許税3万円はどこまで含まれるか(本店移転、目的変更、募集株式の発行)

効力発生日が同一ではあれば、本店移転を除き、他の登記に関しては不要である(増資については税率が異なるので注意)。

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2006年6月24日 (土)

特例有限会社の譲渡制限規定

特例有限会社の譲渡制限規定(みなし規定)の承認機関を変更することができるか

可能(商事法務1755号)

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2006年6月23日 (金)

募集株式発行時の登記申請時期

募集株式の発行において払込期間を定めた場合、機関の初日に全ての払込があった場合には期間の終了を待たずに登記を申請することが可能か

可能
 

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2006年6月22日 (木)

募集株式発行時の資本増加額

募集株式の発行にかかる資本金の増加について、計算規則第37条第1項は、募集株式の発行にかかる資本金等増加限度額について規定し、法第445条第2項は、払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができると規定しています。ここで、ある会社が、仮に1000万円の払込みを受け、資本金等増加限度額が900万円であった場合に、500万円を超えない額は、資本金として計上しないことができると考えてよいと考えられますが、いかがでしょうか。

ご意見のとおり

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2006年6月21日 (水)

任期の証明

公開会社でない会社は、役員の任期を定款に定めることにより伸長することができることとされましたが、任期満了による役員改選登記に際し、株主総会議事録に定款の規定により任期満了する旨の記載があれば、定款を添付する必要はないものと考えられますがいかがでしょうか。

後任の役員の選任に係る株主総会の議事録中の記載から退任する役員についての任期の定めがわかる場合にはその記載を援用することができる。

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2006年6月20日 (火)

8 平成15年司法書士法改正と登記代理権論の再考

 平成15年司法書士法改正は、能力担保措置を講じた上で、司法書士の業務として簡裁訴訟代理関係業務を認めるに至った。立法関係当局の法解釈から言えば、司法書士制度が始まって以来初めて、司法書士が他人の法律実体関係に対し、権利の発生、消滅、変更等についての代理人として関与することを認めたこととなろう。

 翻ってみれば、おまとめローンの担保設定時において債務者に対して実質的な助言をすべしということは、登記代理という業務の傍らで、債務者の債務整理に関して実体関係に立ち入ることに他ならず、そのいずれの業務も同一の司法書士が行おうとするならば、改めて双方代理の問題を考察する必要性があると言えよう。

 そして、おまとめローンにおいて指摘したような種々の問題が内在する登記業務に関しては双方代理を回避すべきことも検討しなければならないであろう。ここに、古くて新しい問題として登記代理権論を再度考察すべき必要性を見いだすことができるのである。

「司法書士の登記事務が質的に変化・高度化しつつある現状では、訴訟事務における執務の在り方とも関連して、司法書士は一方当事者の受託者として不動産登記事務を執り行うことを原則的形態とすべきではあるまいか。<中略>結局のところ、法律専門家としての弁護士と司法書士との違いは、その執務態様にあるのではなく、業務の範囲にある、と考える」

 これは、双方代理における「同意」の実質化を説かれた田中克志教授が「不実登記責任論・入門」20)の末尾に書かれた一文である。まことに示唆に富む一節である。

20)前掲(16)参照

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2006年6月19日 (月)

7 登記代理権論概念の進化と法との乖離(双方代理に関して)

 登記申請行為自体が民法108条で禁止されている双方代理形式でなされた場合、当該申請を受理するという結論は、判例、学説、実務先例間で一致している。これは、かつては、登記申請行為の代理の実質は代理というよりもむしろ「代行」であり、「代行」という限りは双方代理禁止の法理が働かないという考え方が根底にあったものと考えられる。

 しかしながら、司法書士が社会的に信認された立会人として市民相互の経済取引に参加し、職業人固有の技能を発揮して不動産の物権の得喪や変更の事実を聴取して心証を得て確認し、確認した事実を登記申請という形で公簿に登載するという公証登記主義理論10)が司法書士の基礎事実の確認義務を呈示したことをきっかけとして、昭和53年には登記代理を「前段の事務」、「後段の事務」に分類することにより事務の前段の重要性(実体関係に対する助言等)を重視する考え方が示され11)、司法書士間の議論は、司法書士が登記代理を契機として何らかのかたちで実体関係に関与するという方向性に向かった。

 また、研究者の間においても、登記代理に関して「純私法説」、「公法寄り折衷説」、「純公法説」の三説に分類し12)、そのうち「純私法説」の立場に立っても「登記申請は当事者間に対立を欠くから、一〇八条但書に該当する」と端的に説く学説13)もあった。さらに、登記の出頭申請行為の代理のみならずいわゆる「前段の事務」についても両者の代理人となるというのであれば、実質的内容の部分では登記権利者の代理人と解するのが合理的であるという「登記権利者代理人説」が示されるに至った14)

 さらに、民法108条の趣旨に立ち返って、広く利害の衝突のない場合には双方代理は許容されるし、予め本人が双方代理をなすことにつき同意している場合には公序良俗に反するというのでもなき限り双方代理も有効な代理行為として扱われるという考え方も示されている15)。ただし、司法書士が実体関係にかかわってしまい、双方代理をするについてのとりわけ登記義務者の事前の同意のワクを越えてしまってはいないか注意が必要である旨を、同時に指摘している。また、双方代理についての「同意」についても、登記代理委任契約により司法書士が負うべき義務の内容が委任者に周知され、他方当事者との特別な関係などが開示されるなどの「同意」の実質化が欠けているのではないかという指摘も行われている16)

 以上のように、登記代理をめぐる法概念が徐々に進化していく一方で、立法関係当局は、登記代理の内容は、昭和42年の司法書士法改正17)においても、昭和53年の司法書士法改正18)においても司法書士の業務の範囲が拡張されたわけではないと説明するにとどまり19)、司法書士が登記に関連して実体関係に関わることについて肯定的な態度を見せていなかった。また、司法書士は、従前から裁判所に提出する書類の作成業務をも業務範囲としているが、当該業務に関する司法書士の業務に対する立法関係当局の考え方は、高松高判(昭和54年6月11日判決 判時946号129頁)に示されるように、法律常識的な知識に基づく整序的な事項に限って行われるべきものであり、代理その他の方法で他人間の法律関係に立ち入るが如きは司法書士の業務範囲を超えると考えているようである。

 したがって、こうした立法関係当局における考え方から言えば、登記代理といえども実体関係に関与するという行為は司法書士の業務範囲として捉えていないものと思われる。

10)「不動産登記の原理」木茂鉄・木茂隆雄 昭和48年 法律文化社

11)「司法書士制度の現状」前沢六雄 昭和54年 「土地問題双書」(日本土地法学会)所収

12)「代理人による登記申請と民法一〇八条」椿寿夫 不動産登記先例百選(別冊ジュリスト30号)12頁 昭和45年 有斐閣

13)「注釈民法(4)」86頁 於保不二雄編

14)「不動産登記と司法書士職能」住吉博 昭和61年 テイハン

15)「登記代理委任契約論」37頁 山崎敏彦 昭和63年 一粒社

16)「不実登記責任論・入門」192頁 田中克志 平成4年 信山社

17)昭和42年の司法書士法改正によって職務規定として「登記に関する手続を代わってすること」が定められた。それまでは「書類を代わって作成すること」が職務として定められていたにすぎない。

18)昭和53年の司法書士法改正により初めて「代理」の用語が使用され、「登記に関する手続について代理すること」とされた。

19)昭和42年改正に関しては「これによって司法書士の業務の範囲が従前以上に拡張されることになったわけではない」(「日司連だより」昭和421020日 内野芳富法務省民事局第三課係長発言)と説明されているし、昭和53年改正に関しては「表現を整理」したものであることが説明されている(ジュリスト669号)。

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2006年6月18日 (日)

6 おまとめローンと司法書士業務

  ところで、「おまとめローン」に関する別の側面の問題関心として、司法書士が登記代理人として関与している実態がある。すなわち、おまとめローンの融資に際し、司法書士が、債務者の自宅等に対する根抵当権設定等の登記申請手続きの代理業務を受任しているのである。

  そこで、まず、登記代理人としてどのような責務(義務と倫理)が要請させているのか、おまとめローンに関連して検討してみることとする。

(1)受任の可否

   まず、司法書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならないとされており(司法書士法2条)、その制度趣旨は、登記、供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し、もって国民の権利の保護に寄与することを目的としている(同法1条)。さらに、司法書士は、その使命が、国民の権利の擁護と公正な社会の実現にあることを自覚し、その達成に努めるものとされ(司法書士倫理1条)、信義に基づき、公正かつ誠実に職務を行わなければならない(同2条)。

   したがって、おまとめローンに関する登記手続きの依頼があった場合には、司法書士は、公正な立場で、究極的には国民の権利を保護することを目的として行動することが要請されている。

   さらに、司法書士は、依頼の趣旨を実現するために、的確な法律判断に基づき、説明及び助言をしなければならず(同9条)、違法若しくは不正な行為を助長してはならない(同15条)。加えて、司法書士は、依頼の趣旨が、その目的又は手段若しくは方法において不正の疑いがある場合には、事件を受任してはならないものとされ(同25条)、受任した事件に関し、相手方に代理人がないときは、その無知又は誤解に乗じて不当に不利益に陥れてはならないものとされている(同40条1項)。

   そのため、おまとめローンに関する担保設定の被担保債権が、利息制限法所定の利率を超過する高利のものである場合には、司法書士は、当該被担保債権が違法であり、法の保護に値しないものであること、当該債務を担保するための登記手続は不正なものであり、債務者を不利益に陥らせるおそれのあるものであることから、当該登記手続を受任してはならないのである。

   なお、特別法により定められている利息が利息制限法所定の率を超える場合においては、当該利率を利息の定めとして、抵当権設定の登記をすることができる旨の登記先例(8)があるが、これは、登記実行の可否について回答されたものであり、司法書士の受任の可否について回答されたものではないことに留意すべきである。むしろ、利息制限法を超過する利率を利息制限法の上限利率に置き換えて登記を申請する行為は、事実と異なる登記原因証明情報を提供することに他ならず、当該所為は、不動産登記法61条(登記原因証明情報の提供)の趣旨に反し、また、司法書士法2条、司法書士倫理54条にも反することとなる。

   また、根抵当権の登記に関しては、個々の被担保債権の内容そのものは登記に反映されることはないが、「おまとめローン」に関する根抵当権設定の登記は特定の司法書士が反復継続して受任しているという実態があり、そうであるならば、当該債権者の融資条件が利息制限法を超過したものであるか否かは、当該司法書士が経験則として周知している筈である。したがって、当事者の意思の確認の一環として、被担保債権に、法の保護に値しない利息制限法の上限利率を超過した債権が含まれることがあるのかを確認すべき義務があるものと考えられる。そして、上記のような債権が被担保債権に含まれるということであれば、やはり、当該登記手続を受任してはならないと考えられる。

(2)債務者に対する助言の義務

   司法書士は、登記手続を受任した場合には、依頼者の意思を尊重し、権利の保護を図るとともに、紛争の発生の防止に努めなければならず(司法書士倫理52条)、登記手続を受任し又は相談に応じる場合には、当事者間の公平を確保するように努めなければならない(同53条1項)。また、司法書士は、前述の場合においては、必要な情報を開示し、助言する等、後見的な役割を果たすように努めなければならないとされている(同53条2項)。

   おまとめローンの融資自体は、利息制限法の上限利率を超過するものとそうではないものがあるが、おまとめの対象となる個別の既存債務の圧倒的多数は消費者金融の違法な高金利が付されたものである。おまとめローンは、銀行、貸金業者ともに様々なネーミングで商品化しているが、こうしたおまとめローンの担保設定を反復継続して受任している司法書士は、当該商品がどのような目的の融資であるのか容易に判別できる筈である。つまり、債務者が「おまとめローン」の融資を受ける目的が既存の債務を一本化して利息についても低減化を図るものであることについて司法書士は了知していると言える。さらに、債務者は、常に債務の減少を望んでいるものであるが、既存の消費者金融等の債務が違法な利息が付されたものであり、本来、支払う必要のない金額も含まれていることを知らない。一方、法律専門職である司法書士は、既存の消費者金融の債務が、利息制限法で引直計算をすれば大幅に減少し、場合によっては何ら支払う必要性もないことを知っている。

   そうすると、おまとめローンの登記手続を受任した司法書士は、債務者が知らないであろう上記の情報を債務者に開示し、助言するなど、後見的な役割を負っていると言えるのではないか。そして、これは、登記手続に関する当事者の「意思の確認」に当然に含まれるものとも考えられ、司法書士の職責であるとも考えられる。

   上記の理が登記手続に関する司法書士の直接の義務ではないとしても、本来支払う必要のない債務を債務者に支払わせることにより過払金が発生することが明らかであり、そこで新たな法律紛争を惹起させることになる。司法書士制度が紛争の発生を未然に防止し、国民の利益を保護するものであることに鑑みれば、上記のように、債務者が漫然と約定利息を支払う行為を黙認することは、司法書士制度に著しく反するものとならないか、という疑問に突き当たる。

   仮に、おまとめローンを被担保債権とする根抵当権設定の登記を登記権利者と登記義務者双方から受任する際に、前述のような実質的な意思確認をすることを想定すると、登記を委任しようとする債務者に対し、「今まさに返済しようとしている債務は法的保護に値するものではないから利息制限法で引直計算をする必要がある」ということを説明することになる。しかも、その説明は債務者がその本質を理解できるようにしなければならず、一応の説明だけでは登記代理の委任契約上の債務不履行となる可能性も考えられる9)。しかし、債務者がこれに応諾し、取引履歴の調査及び利息制限法引直計算を行うこととなった場合には、即日の融資の実行は不可能となり、司法書士の債務者に対する説明・助言が、一方でおまとめローン債権者に対する背任行為になるとも考えられる。

   そもそも、一人の司法書士が、おまとめローンの担保設定のような法律問題を内在する取引に関し、登記権利者と登記義務者の双方から登記を受任すること自体、再考されなければならないと考えられる。

9)大阪地判昭和63525日判決(判時1316107頁)では、法律上、取引上の常識を説明し、そのままの成行きで権利関係を確定することについての危険性を説明、助言しなかったことについて債務不履行があったと認定している。なお、この事案において、被告司法書士は一応の説明はしているが、裁判所は、その意味が理解できるように説明すべきであるとしている。

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2006年6月17日 (土)

5 求められる法改正の内容

5 求められる法改正の内容

(1)過剰融資の規制

 おまとめローンが蔓延した背景には、貸金業規制法13条が定める過剰貸付禁止規定の実効性が極めて乏しいという現実が存在する。このことは、同条違反行為が取締法規違反にすぎず、直ちに民事効を生じるものではないとの理由で、債務者側の主張を排斥する裁判例が圧倒的多数である現実が物語っている。

過剰貸付を行った貸金業者の責任を肯定した判例は、過剰貸付をした業者が債権全額の回収を図るのは信義則から容認できず権利濫用であると指摘した数例にすぎない7)

一方、前述のように、アメリカでは、有担保融資による債務の一本化により借主が最終的に返済を滞って住宅を失うことが多い実態に鑑み、明確な基準により過剰融資を規制している。

本来、分割弁済による債務の完済を想定した融資であれば、自宅等の担保は「返済能力」を補完することにはならない。そうすると、貸金業規制法13条の趣旨は、おまとめローンの場合であっても貫徹されるべきである。

しかしながら、これまで、訓示規定的な位置づけがなされてきた同条の規制だけでは実効性が極めて乏しいことは否めない。

そこで、次のような措置を早急に立法化する必要がなる。

  ① 融資限度額の規制

    収入、職業、家族構成、他の債務、その他の状況などから、利用者に応じて一定の融資限度額(不動産を換価することなく、収入による返済可能額を基準に算出された限度額)を定めるとともに、実効性を確保するために、これを効力規定として位置づける必要がある。なお、この具体的な限度額に関しては、早急に研究を進める必要がある。

  ② 日本版バルーンペイントメントの禁止

    我が国の貸金業界では、高額な融資や商工ローンなどにおいて、月々の支払額は利息のみ(若干の元本が含まれる場合もある)を弁済し、最終支払いで元本総額を返済するという方式が多く行われている。しかしながら、本来、法的救済が必要な状態に至った者が、その段階でおまとめローンを利用することにより、救済がされることなく自宅を担保に取られてますます窮地に追い込まれる一因には、実態はこうした融資形態にもかかわらず、「とりあえず支払いが楽になる」と錯誤に陥っている実情がある。

    住宅ローンにおいてさえ、「ステップ償還」、「ゆとり償還」などにより返済額が変動し、支払いが困難となった債務者が急増したという我が国の歴史的事実をも踏まえ、返済期間中に返済額が一定程度(率については早急に検討する必要がある)増加する場合や、最終支払いで多額の残元本を支払わなければならないという融資形態を禁止する必要がある。

  ③ 開示義務

    不動産を担保に取って融資をする場合、貸金業者は「返済を怠った場合には不動産を換価して債権を回収する」という意思が明確であるにもかかわらず、利用者は「とりあえず返済が楽になれば、不動産を担保に取られても支払いを続けることができるであろう」という意識を持ちがちであり、既にその時点で認識に大きなズレが生じている。

    そこで、融資に際し不動産を担保を取る場合には、貸金業者に対し、当該貸金業者の融資を完済した者の比率、延滞等により不動産を処分した者の比率を示すことを義務付けるとともに、誰しも、失業、疾病、経済情勢の変動等により延滞が生じることがあること、その場合には不動産の換価が必要となることがあること、換価後の生活について自ら予測しておくことについて具体的な説明義務を課し、利用者がこれらを具体的に認識したことを弁護士、司法書士又は公証人の面前で宣誓したことを供述した記録を残し、担保設定登記の添付書類とすることなどの措置を講ずる必要がある。

  ④ 民事効並びに刑事罰の立法化

    前各号に指摘した過剰与信規制の実効性を担保するためには、過剰与信をした業者が司法の場で契約責任を負担させられる法整備が不可欠であり、そのためにも、違反行為に対する民事効の立法化が必要となる。

    加えて、確信犯的に過剰与信を繰り返す貸金業者は市場からの撤退を強いられるべきであり、そのための刑事罰の立法化も必要である。

(2)利息制限法に関する説明義務

   また、貸金業者に対する様々な規制は、貸金業者の適正な活動を促進して、最終的には資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資することを目的とされているところ(貸金業規制法1条)、貸金業者が、他の利息制限法を超過する利息等が付された債務を清算する目的で融資を行う場合には、上記の目的に鑑み、貸金業者に対し、当該債務を利息制限法に基づいて元本充当計算ができることの説明を義務付ける必要がある。なぜなら、この場合、利用者は、よもや自らの債務が約定残高よりも減少することなど想定していないのが通常であるから、貸金業者に教示義務を課すことにより当事者の公平を図ることができるからである。また、当該教示により、債務のおまとめに最低限必要な資金のみが融資されることになり、貸金業制度の目的にも適うこととなるのである。

   上記の義務づけを実効性あるものにするための方策として、既存債務の借入先、並びに返済日及び返済額を、貸金業規制法17条書面の記載事項とすべきである。

 以上に加え、先進諸国の過剰融資規制を研究して必要な措置を講じ、これらを実効性あるものとして効力規定として位置づけるための法改正が必要である。

7)釧路簡判平成6年3月16日 判例タイムズ842号、札幌簡判平成7年3月17日 判例時報1555号

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2006年6月16日 (金)

定款の原本証明

登記申請に定款を添付する場合、本来であれば、定款の全部に原本証明したものを添付すべきところ、定款の一部に原本証明したもの、または議事録に定款の規定内容を判別できる記載があれば足りると考えられますが、いかがでしょうか。

定款の一部原本証明は認められない。また、後段についても不可である。

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4 アメリカにおける法規制

 アメリカでは、低所得者・多重債務者に対して債務を一本化する際に住宅を担保にとる貸付において、消費者の理解不足に乗じて借換・一本化を勧誘し、その結果借主が最終的に住宅を失うことが多いことに着目し、一定金利以上の住宅担保貸付に対して、連邦法(住宅所得者とその融資枠を保護する法律(Home Ownership and Equity Protection Act 略称HOEPA))により各種の規制がなされている。また、各州法においても、同様又はさらに強化した規制が設けられている6)。以下、その主なものを引用する。

(1)バルーンペイントメントの禁止

   5年未満の期間において、月々の支払額を金利相当額のみ払うことにより低額にして、最後の支払いで元本をまとめて支払うなど極めて高額な支払いをする方法(バルーンペイントメント)の禁止

(2)ネガティブ・アモータイゼーションの禁止

   月々の返済額が、元本はもちろんのこと、月々の金利相当額にも満たなく残債務(残元本と金利相当額の支払残額)が増加していく支払い方式を禁止する。

(3)貸付に際して、消費者の返済能力を考慮することの義務化

   借主の支払い能力に関係なく担保物件に基づき消費者にローンを提供することの禁止

  (例として、ノースカロライナ州では、貸付契約に際して消費者の返済能力を考慮し、また収入の50%を超えない範囲での返済計画を示さなければならないとされている)

(4)(3)に関する違反行為推定規定

   貸主が借主の支払い能力を文書で証明しない限り貸主の違反行為が推定される。

(5)期限前の弁済に対するペナルティの規制

(6)合理的でないローンの借換の禁止

   借換が債務者にとって最善の利益でなければ短期間のうちにたびたび借換をすることは禁止し、借換の度に高額な手数料を取る実態に着目した規定を置いている。

(7)開示義務

   債務を履行しないと住宅を失うことになる旨を開示すること、金利その他の支払い義務について開示することを義務づけている。

(8)その他

   債務者がローンについてのカウンセリングを受けたことを貸主が立証しないとローンを提供することができない(ノースカロライナ州)。誤解させるような広告の禁止(マサチューセッツ州)。非良心的な金利、不相当な手数料などの禁止(マサチューセッツ州)。

 以上のように、アメリカにおいては、住宅担保貸付等に関し、過剰融資を規制するための実効性のある措置が講じられている。なお、こうした規制がありながらもアメリカにおける破産件数は我が国の10倍に及んでいるが、このような規制の存在しない我が国にとっては極めて示唆に富むものである。

6)「アメリカ・イギリスの消費者金融事情についての調査報告 上・下」森雅子 月刊消費者信用20062月号35頁、同4月号42頁等、「貸金業の実態についての英米調査報告及び日本への示唆」森雅子 「国民生活研究」第45巻第4号所収

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2006年6月15日 (木)

株主総会議事録の印鑑

 会社法においては、株主総会議事録に署名すべき規定は存在しないことから(商業登記規則61条で定める場合を除く)、署名・押印のない株主総会議事録を添付したとしても却下されることはないものと考えられますが、いかがでしょうか。
 なお、却下事由に該当する場合には、署名・押印のない株主総会議事録であっても、代表取締役が届出印を押印して原本であることを証明すれば足りると考えられますが、いかがでしょうか。

印鑑がなくても却下はできない。しかし、できるだけ代表印を押していただきたい。

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3 判例の動向

 おまとめローン関する裁判所の姿勢は必ずしも明らかではないが、名古屋地判平成17年5月24日(消費者法ニュース64号92頁)は、興味深い判断を示しているので以下紹介する5)この事件の概要は次のとおりである。

(1)月収約16万円で長期間にわたって多数のサラ金業者等からの借入、返済を繰り返してきた原告Xは、被告会社Yの「融資一本化」「無保証人」等と記載のある看板を見て、その融資を受けようと架電した。

(2)の担当者は、保証人を付することが融資の条件であると応答したので、Xは、そのあてもなく諦めた。

   ところが、後日、からXあてに電話があり、保証人をつけて融資を受けるように勧誘された。そこで、Xは、知人に保証人になってくれるよう依頼し、から融資を受けることにし、配偶者に内緒で金350万円を利息年28パーセントで借り入れた。なお、Xは、350万円全額を手にすることができると思っていた。

(3)Xは、当時、配偶者には内緒で以外の13業者に対して約定残高で約288万円の債務があったが、によって13業者への支払がなされることを知って、契約を取り止める旨をに伝えたが、従業員が取り合わなかった為、結局、契約を受け入れることにした。

(4)は、Xに代わってXの名において、貸付金350万円からこれらの業者に約定残高どおりの債務額を振込によって弁済した。

(5)その後、Xの弁済が十分になされなかったことから、は、Xに対し、連日、夜間にまで支払請求するとともに、配偶者を保証人に付するよう執拗に要求した。

(6)Xは自殺を図ったが未遂に終わり、入院した。

(7)Xの、13業者に対する債務は、利息制限法所定利率で引直し計算をすると過払いが発生しており、うち9社から366万円余の返還を受けるに至った。

 以上の事実に対し、裁判所は、①本件金銭消費貸借契約は公序良俗に違反するものとして無効である、②の不当利得返還請求は不法原因給付として認められない、③の違法な貸付行為及び執拗な支払請求・保証人要求は不法行為を構成する、と認定した。

 このうち、①の公序良俗違反について、一般に公序良俗違反として無効と言いうるためには単に客観的要件である強行法規違反の存在だけではなく、暴利行為であったり相手方の無知・窮迫につけ込むなどの主観的な事情が必要であるところ、本件については、まず、客観的要件として貸金業規制法13条で禁止されている過剰融資であったことを認定した。

 そのうえで、主観的要件として次のように認定した。すなわち、①が高利の消費者金融業を営み、従前から多重債務者を対象に貸付を行ってきているのであるから、多重債務者が借入を申し込んできた際には、既に他の業者に対して過払い状況になっている可能性が高いことは容易に認識しえたものと推認される、②しかるに、はXに貸付けるに際して、Xが過払い状況にある可能性が高いことを認識しながらもそれをXに一切説明することなく、他の業者の残債務額を確認してこれをXに対する貸付金から返済し、他の業者との取引は終了させ自社のみとの貸借関係とするという債務一本化の手続きを進めた、③Xはが直接各業者に振り込むことを知って借入を取りやめようとしたこと、それにもかかわらず、はその意向を押し切って被告の方針を貫徹したことなどから本件の債務一本化は違法性が強度である、また、①少なくとも多重債務者に対する貸付に関する限り「無保証人」との広告は虚偽であったこと、②は無保証人という虚偽の広告を掲げ、多重債務者からの申込を受けると、保証人を付して借入れることを執拗に勧誘するという方法を取って営業していたと推認されることから、Xの無知を利用して虚偽の広告で誘い出し、保証人を確保した上で自らだけが債権者となり確実に高利の利益を得ようとして貸付を行ったものであり、違法性の程度が強度であり、以上の事実を総合的に勘案して暴利行為であると認定している。

 以上見てきたように、おまとめローンは様々な問題を内包しているにも関わらず、訴訟において公序良俗違反による無効にまで持ち込むためには詳細な事実認定が不可欠な状況にあり、しかも、おまとめローン被害の終結点は破産手続となることが多いため、本判例のような事実認定まで行われるのは希有な例であるとも言える。したがって、おまとめローンはついては早急に規制を設けるなどの立法的解決が望まれる。

5)このほか、類似の判例として東京高判平成14年10月3日判決(判タ1127号152項)がある。

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2006年6月13日 (火)

発起設立の場合の出資の払込方法

発起設立の場合の出資の払込に関し、通帳を添付する場合、次の方法の可否はいかがか。

① 発起人が5名の場合、払込の通帳は、そのうち2名の名義(2通の通帳)のもの ○
② 発起人名義の通帳でない ×
③ 通帳の名義は発起人の名義である(「○○設立準備口座」等は不要である) ○
④ 入金者の氏名が明らかとなっていないもの ○
⑤ 複数名の払込をまとめて入金したもの 好ましくない
⑥ いわゆる「新約」で入金されたもの ○
なお、添付書類として、発起人の氏名が確認できるものとして通帳の表紙をつけること

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2 おまとめローンの問題点

(1)利息制限法に基づく元本充当計算の機会の喪失

  ① おまとめローンによって清算される既存債務の多くは利息制限法を超過する貸金業者からの借入れであるが、おまとめローン債権者は、融資を希望する者から提出された伝票等により既存債務の約定残高を把握したうえで、これをそのまま清算する目的で融資額を決定するようである。つまり、おまとめローン債権者は、融資金が約定利率のまま既存債務の返済に充てられることを知り得る立場にありながら、利息制限法による再計算の機会を奪っていることになる。

    この結果、約定利率のままで既存債務の返済を受けた貸金業者のもとには不当な利益が残されることとなるが、理論上はともかく、現実には、後日に至って当該不当利得の返還を受けることには多くの支障が生ずる3)

(2)過剰貸付の横行

  貸金業規制法13条は「返済能力を超えると認められる貸付」を禁止している。一般に「返済能力」とは、単に現在の可処分所得だけではなく将来の収入や信用等も考慮されると思料するが、借主が消費者である場合には収入から生活費を控除した可処分所得を指すものと考えられる。

  ところが、おまとめローンの貸付は可処分所得のみならず担保不動産の換価予想額や保証人の支払能力に依拠した融資であり、貸金業規制法13条の趣旨に反する融資形態ということができる。

  また、金融庁事務ガイドライン3-2-1(2)は「顧客に対し、必要とする以上の金額の借入れを勧誘したり、借入意欲をそそるような勧誘をしてはならないこと」と規定しているが、おまとめローンは、既存債務を減縮することができること、既存債務の返済に窮していることを知りながら行われる貸付であって、上記規定に抵触する貸付形態であると言うことができる4)

(3)保証人被害・不動産処分の原因

 おまとめローンでは、保証人を求められたり、債務者・保証人の所有不動産に対する担保設定を求められたりするケースが多い。ところが、おまとめローンの勧誘をされる債務者は、既に破綻あるいは破綻寸前の状態にあることが多く、おまとめローンで借り換えをしたとしても、近い将来、再び返済に行き詰まる蓋然性が極めて高いため、保証人被害や不動産処分に追い込まれること必至である。

 かつて商工ローンが社会問題化した際、「利息は債務者から、元本は保証人から返済を受ける」商法であると非難を受けたことは記憶に新しいが、おまとめローンでは、商工ローンの問題とまったく同様の融資が横行しているのである。

     (3)たとえば、取引終了後3年を経過したので台帳を廃棄した理由で貸金業者に取引明細の開示を拒絶されると、不当利得額を算出することができない。

4)年金生活者に対し不動産を担保を設定してする融資やバルーンペイントメントによる融資はその典型である

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2006年6月12日 (月)

1 おまとめローンとは

 本稿において、おまとめローンとは、広義では、無担保融資の債務者が借入額、借入件数ともに増加して多重債務となった際に既存債務を一本化する融資をいうが、狭義では、既存債務を利息制限法に引直しをすれば債務額が軽減されて任意整理が可能な案件であっても、債務者やその親族等の不動産に担保を設定して、既存債務の利息制限法引直しをせずにその全額に対する返済原資を融資することをいうこととする。そして、以後、特に断りのない限り狭義のおまとめローンをいうこととする。

 おまとめローンは、一部の大手貸金業者が行っているほか、各地域の貸金業者も多く取り扱っているようである。また、近年は一部の銀行においても、まさに「おまとめローン」等の商品名で多重債務の一本化を謳い文句に積極的に営業展開している。

 こうしたおまとめローンにおける融資金の利率は、貸金業者においては無担保小口の消費者金融の利率(年利20パーセント代)よりも若干低めに設定されていることが多いようであり、銀行においては利息制限法の上限利率以下となっている。そのため、それまで消費者金融から複数の借り入れをしていた債務者にとっては利息の負担が軽減され、返済窓口も一カ所となり、一見メリットが大きいように見える。

 しかし、おまとめローンについては、次のような問題を指摘することができる。

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おまとめローンの問題点と登記代理概念の再考

 最高裁において貸金業者の「みなし弁済」が次々と否定されており1)、このことは多重債務者の救済実務において大きな意義を有している。こうした中、複数の債務を一括して返済するための融資、いわゆる「おまとめローン」の問題が俄に注目を集めている。

 また、おまとめローンについては債務者等の不動産に担保設定がなされることが多いことから、単におまとめローンの是非だけではなく、その場面における司法書士の役割や職責についても検討する必要があると思われる。

 本稿は、筆者も発表者として参加した「おまとめローンと調停の問題を考える集会in 静岡」2)の資料を参考にしながら、これらの問題について検討を加えるものである。

1)平成171215日最高裁判所第一小法廷判決、平成18113日最高裁判所第二小法廷判決、平成18124日最高裁判所第三小法廷判決参照

2平成18年4月22日、静岡市民文化会館で開催された。主催はアイフル被害対策全国会議、後援は静岡県弁護士会及び静岡県司法書士会。おまとめローンの問題については静岡県浜松市を中心とする弁護士、司法書士が発表した。

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募集設立時の代表取締役の選定方法

募集設立により株式会社を設立する場合には、設立時取締役は創立総会で選任することとされていますが(法88条)、設立時代表取締役の選定方法については規定されていません。この場合、取締役会設置会社でない限り、定款の定めによる設立時取締役の互選によるほか、創立総会における決議事項は限定されないものと考えられますので、法66条の制限もあります。しかしながら、設立時代表取締役の選定は法66条の「その他株式会社の設立に関する事項」に属するものとも考えられますので、創立総会において代表取締役を選定することもできるものと考えられますがいかがでしょうか。

ご意見のとおり。

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設立時代表取締役の選定方法

発起設立により取締役会設置会社でない株式会社を設立する場合の設立時代表取締役の選定方法は次のいずれでも差し支えないでしょうか。
 ① 定款で定める
 ② 定款の定めにより設立時取締役の互選で選任する
 ③ 発起人が定める

いずれでも差し支えない。

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2006年6月10日 (土)

5 利息引直計算の方法

(1)原則的な計算方法
 利息制限法に基づく引直計算は、細かな部分で様々な考え方があり、必ずしも確立しているという状況ではありません。ここでは、最も一般的と思われる計算方法を説明しますが、この説明を読むのが煩わしいという方は、利息計算を行うソフト(外山敦之司法書士のホームページ(http://www.office-toyama.com/) からエクセルのシートを無料でダウンロードできる)にどんどん入力していけばいいでしょう。パソコンが不得意な方は、次の説明を読みながら、巻末の計算シートをコピーして、電卓で計算してみましょう。

 まず、利息計算の一般的なルールは次の計算式で求められます。

利 息=残元金×利率(%)÷年間日数×日 数

 ① 利率
 利率は、約定の利率が利息制限法の定める利率を超える場合(ほとんどがこれに該当します)には、利息制限法が定める利率に置き換えます。利息制限法が定める利率は次のとおりです。

 ⅰ 元本が10万円未満の場合           年20パーセント
 ⅱ 元本が10万円以上100万円未満の場合    年18パーセント
 ⅲ 元本が100万円以上の場合          年15パーセント
 
 ② 年間日数
 年間日数は、契約に特別な定めがなければ、閏年は366日、閏年以外は365日で計算します。「1年は365日として計算する」という特約があれば、閏年も365日で計算します。年間日数についてどのような定めになっているのかわからない場合には、閏年は366日、閏年以外は365日で計算しておけばいいでしょう(あまり神経質になる必要はありません)。
 閏年を366日とする場合には、閏年と閏年ではない年にまたがった期間の計算について、どこでどこで区切って計算するかという問題もあります。これについてはいくつかの計算方法がありますが、計算が複雑になるため12月31日で区切って計算をすれはいいでしょう。

 ③ 日数
 日数は、借入した日を含めて計算します。

 ④ 小数点以下の処理
 計算した利息に小数点以下の数字が発生した場合には小数点以下は切り捨てます。小数点以下を切り上げたり四捨五入をすると、利息が利息制限法の利率を超えてしまうことになるからです。

 返済については、まず、当日までに発生した損害金、利息の順に充当され、その残りを元本に充当します。

 基本的には、こうした計算の繰返しです。ただし、次の返済日までの利息の計算においては、利息を計算する日数に期間の初日は算入しません。なぜなら、その期間の初日を算入すると、当日が二重に利息計算されてしまうことになるからです。
 また、このような計算を続けていった場合、残元本が100万円以上から100万円未満に、または、10万円以上から10万円未満になったとしても、利率を15パーセントから18パーセントに、18パーセントから20パーセントに切り換える必要はありません。

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資本金の計上を証する書面

設立の場合の資本金額について、定款に記載してあれば、「資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面」として定款を援用できるか

その場合や、設立費用等を0円と定めた場合においても、設立時代表取締役の作成に係る証明書の添付を要する。
なお、設立時であれば発起人の同意書、資本増加であれば株主総会議事録や取締役会議事録に資本金の具体的な計算方法が記載してあれば、当該書面を援用することができる。

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設立時代表取締役の就任承諾書

 取締役1名の株式会社の設立の登記の際、設立時取締役の就任承諾書は添付書類とされています。しかし、設立時代表取締役としては選任又は選定された者ではないため就任承諾書は添付する必要はないと考えられます(商業登記法47条2項10号参照)が、いかがでしょうか。

ご意見のとおり。

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譲渡制限を加重することになるか

 株式の譲渡制限の規定を次のように変更する場合、譲渡制限を加重することになるでしょうか。
「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」→「当会社の株式を譲渡により取得するには株主総会の承認を要する」
「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」→「当会社の株式を譲渡により取得するには会社の承認を要する」
「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」→「当会社の株式を譲渡により取得するには会社を代表する取締役の承認を要する」
「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」→「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役の過半数の同意を要する」
「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」→「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を要する」
「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」→「当会社の株式を譲渡により取得するには小泉純一郎の承認を要する」

承認機関を変更する場合には加重することにはならないものと考える。なお。承認機関を特定の個人とすることはできないと解する。

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譲渡制限規定の文言の変更

「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」との株式の譲渡制限に関する規定を「当会社の株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を要する」と変更した場合、当該変更は会社法の規定に合わせるものに他ならないため変更登記を申請する必要はないものと考えますがいかがでしょうか。

承認機関に変更がないので登記を申請する必要はないが、変更登記の申請があれば受理する。

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取締役会設置会社の廃止と譲渡制限規定の変更

 会社法施行前、株式の譲渡制限に関する規定が「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する」とされていた会社において、会社法の施行に伴い取締役会設置会社である旨を廃止したときは、取締役会設置会社である旨の廃止の登記の申請と上記の申請とは同時に申請する必要があるとも考えられますがいかがでしょうか。

ご意見のとおり。同一申請書で申請されない場合は却下事由に該当する。なお、この場合、譲渡制限規定の変更について定款変更決議を要する

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事業目的として受理できる例、できない例

受理できる例 
事業、営業、商業、営利的事業、商取引、商工業、製造業、卸売・小売業、サービス業

受理できない例
当会社の目的に関しては範囲を限定しない、製造業以外

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設立時の資本金払込時期

発起設立の際、出資の払込は定款作成後であれば定款認証前でも可能であると考えられますがいかがでしょうか

定款認証前であっても、それが認証日に近接した日であれば受理して差し支えない。

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2006年6月 9日 (金)

文化放送に出演します

13日お昼過ぎから文化放送に出演することになった。テーマは多重債務問題。
出演と言っても番組中で電話取材を受けるということで、僕は事務所で待機しているわけだ。

昨日、台本がファックスされてきた。寺島アナウンサーhttp://www.joqr.co.jp/hama/html/nikki2.htmlと、東洋大学の白石先生http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2004/siraisi.htmlと掛け合いということだ。

調べていていた気がついた。僕を含め、3人とも昭和33年生まれだ。

僕が回答するのは、多重債務者の相談の急増、具体的にどのような相談が来るのか、なぜこういう問題が起こるのか(債務者の問題、債権者の問題)、この問題に対する社会的な取り組み、債務者に伝えたいこと・・・・等

さて、どんな放送になるか。

浜松では文化放送が入らない。誰か録音していただけるとありがたいな・・・

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2006年6月 8日 (木)

おまとめローンのトラバ

「おまとめローン」のトラックバックがついた(こういう言い方で正しいのかな?)。まあ、このままにしておくつもりだけど、おまとめローンが大問題であることを僕が指摘していることを知ってトラバしているのだろうか?

 僕も、4月22日のアイフル被害対策弁護団の集会で「おまとめローン研究会」の一員として発表させていただいたが、その中で、おまとめローンの問題的を次のように指摘している。

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
 このおまとめローンは、一見利率が低下する場合が多いので、債務者は有利と勘違いしてしまいがちですが、次のような問題を指摘することができます。
 ① 従来の他社の既存債務を利息制限法に引直しをする機会が奪われてしまうこと。
 ② おまとめローンの利率の低下により、おまとめローンの引直しの残はほとんど減少しないこと。
 ③ 従来は無担保で債務整理がやりやすかったものが、有担保債務となり、貸金業者が極めて強気になって、債務者に有利な交渉(将来利息、経過利息の免除)にほとんど応じなくなること。
 ④ 抵当権実行を申立てられると、それを止めるためには、競売執行停止と請求異議の訴えを提起しなければならないが、競売執行停止のためには、多額の予納金が必要であり、予納金を納めきれないので、競売が不当であっても裁判で争うこと自体ができなくなること。
 ⑤ その結果、破産による処理になりがちであり、おまとめローンの問題が顕在化しにくいこと。
 ⑥ 生活の本拠たる住宅を抵当に入れていることが多いこと。 
 ⑦ おまとめローンの貸金業者は、老年や無職の人や低所得者等支払能力が少ないが、不動産を持っている人を狙って貸し付けるため、しばらくすると支払不能に陥り、住宅を奪われる場合が多いこと。
 ⑧ 担保設定や、極度額増加や借換えの際、調査費等の名目で、不当に融資額を誤魔化される場合が多いこと。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 おまとめローンについては、今後、論考を発表するなどして再度問題提起をしていきたいと考えている。しかし、せっかくトラバしてもらったから、しばらくこのままにしておこうと思う。

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2006年6月 6日 (火)

民法90条違反とは

 民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と規定している。普通の日本語としてこの条文を見た場合、抽象的には理解できても、じゃあ、具体的にどういうことなんだと言われるとなかなか説明がつかないだろう。

 また、法律を勉強した者に対しこの条文の意味を問うても、それを説明せよと言われたら、一瞬息を呑む条文である。「法律に反する事項を目的とする法律行為は無効とする」となっていれば、そりゃあ、意味は明白であるが、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項」というのが曲者である。また、ある出来事について、民法90条違反で裁判で闘おうということになると、話はますますやっかいになってくるし、「民法90条を持ち出さなければならないほど手詰まりになっている」なんて見方もされかねない。しかし、民法90条で闘わざるをえないことだってあるし、そうしなければ依頼者が救われないことだってある。

 少し具体的に考えてみたい。ある契約をしたとする。その契約は刑罰法規に触れる(反する)ような契約だったとする。これだけで民法90条違反になるか? 答えはYESでもあり、NOでもある。なぜ、どちらとも言えるのか、あるいはどちらとも言えないのか、それは、民法90条に違反しているか否かは、「刑罰法規に違反している」という客観的な状態だけで判断するのではなく、多くの場合、当事者の主観的な状態、たとえば、一方は著しく暴利を得ているにもかかわらず他方は極めて困窮しているとか、一方は経験・知識ともに豊富で、他方は無知で窮迫な状態にあり、そこにつけ込んだ契約であるとか、そうした主観的な要件を加味しなければ結論を出せないからだ。

 では、そうした民法90条の性質を少し理解した観点から、次の条文はどのように理解すればいいのか。

貸金業の規制に関する法律42条ノ2
 貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつて金銭を交付する契約を含む。)において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする。

 この条文は、一定の利率を超える金銭消費貸借契約は無効であると宣言している。つまり、その利率を超えた場合(客観的要件を具備)には、主観的要件を論ずるまでもなく無効であると言っているのである。

 貸金業者に対する金銭消費貸借については、年利29.2%を超えると刑罰規定が適用となる。

そうすると、次のようになる。

利息29.2%以下  原則として金銭消費貸借契約は無効にはならない(利息契約については利息制限法違反である)

利息29.2%超109.5%以下
           客観的要件は満たしているが主観的要件をも満たさなければ金銭消費貸借契約自体は民法90条違反とはならない

利息109.5%超  客観的要件を備えておりそれだけで金銭消費貸借契約自体は無効である

あらためて、法律は難しいな、と思う。

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4 資料の整理

 貸金業者から取り寄せた取引履歴を検討する際には、必ず、手持ちの資料と付き合わせるなどして、全ての取引履歴が提出させているかを慎重に検討する必要があります。特に、取引をしてきた期間が長ければ長いほど、利息制限法により引直計算をすれば債務は減少していきます。貸金業者の中には、取引途中からの取引履歴しか開示してこない場合がありますので、それ以前の取引があるのであれば引き続いて開示を求めるべきです。以下、様々な資料にもとづいてどのような検討をすべきか、次に説明していきます。
(1)借入契約書
 後に述べるように、借入契約書については、何度も契約書を書き換える貸金業者が少なくありません。まず、最も古い借入契約書に表示された借入時期と金額が自分の記憶と合っているのか確認しましょう。記憶と異なっている場合には、それ以前の日付のわかる他の資料を探してみる必要があります。
 なお、貸金業者は、従前の貸付けの契約に基づく債務の残高を貸付金額とする貸付けに係る契約(書換契約)であるときは、従前の貸付けの契約に基づく債務の残高の内訳(元本、利息及び当該貸付けの契約に基づく債務の不履行による賠償額の別をいう。)及び当該貸付けの契約を特定し得る事項を契約書に記載しなければならないことになっています。したがって、手元の契約書に従前の契約内容の表示が記載されている場合には、それ以前に取引があったことの有力な証拠になります。
 また、契約書には、貸付けに関し貸金業者が受け取る書面の内容も記載することになっています。例えば、運転免許証や健康保険証のコピーなどです。こうした書面は、通常、新規の貸付をする際に本人確認の資料として提出するものです。ですから、書換契約の場合には提出していないことも考えられます。手元の契約書に、貸金業者が受け取った書面の内容が記載されていない場合には、従前の取引があったかもしれないということにもなります。
(2)領収書、督促状等
 返済の際に貸金業者から交付された領収書や、貸金業者から送られてきた請求書などに記載された契約日やその他の日付を見て、最も古い日付の記載されたものと貸金業者から取り寄せた取引履歴とを見比べて、取り寄せた取引履歴よりも古い取引があるのかどうか確認します。
(3)貸金業者等から交付されたカード
 貸金業者から交付されたカードにも様々な情報があります。例えば、現在は、郵便番号の枝番は4桁ですが、これが2桁になっていたり(4桁に変更されたのは平成10年2月2日)、地域によっては、電話番号の局番の桁数が変更されていたりすることもあります。また、昨今では、市町村合併前の表示がされている場合には、その市町村合併以前から取引があったことを想像させます。
(4)振込カード
 返済を銀行振り込みで行ってきた場合、振込カードを作っている場合があります。振込カードには、そのカードを作成した日付が印字されている場合が多いので、取り寄せた取引履歴よりも古い日付であるのかどうか確認します。
(5)預金通帳
 テレホンキャッシングのように、貸付金が銀行口座に振り込まれたり、返済が銀行口座から引き落とされている場合には、預金通帳が有力な証拠となります。古い預金通帳を処分してしまった場合には、銀行に依頼して、過去の取引明細を取り寄せて調べてみる必要があります。過去の取引明細の作成には若干の時間がかかります。また、手数料についても銀行ごとにことなり、かなり高額な手数料を必要とする銀行もありますが、必要に応じて作成を依頼すればいいでしょう。
 なお、貸金業者が貸付金を銀行口座に振込場合には、個人名で振り込んでいることもありますので注意してください。
(6)取り寄せた取引履歴
 取り寄せた取引履歴からも、取引履歴に記載されていない過去の取引の存在をうかがわせるものがあります。たとえば、取引履歴の最も最初に記載された取引がいきなり返済から始まっていたり、2万円の借り入れから始まっているにもかかわらず残高が49万円になっていたりするような場合です。
 こうした金額で取引が始まることはあり得ないことですから、それ以前の取引についても取引履歴の提出を求めるべきです。

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2006年6月 4日 (日)

簡易保険の保険金も固有の財産

まずは、相続放棄についての少し真面目な話

(1)制度の趣旨
 相続人は、相続開始の時から被相続人に属した財産上の一切の権利義務を当然に承継する(民896)。しかし、その一方で、相続人につき、単純承認、限定承認、放棄のいずれをも自由に選択することを認めている。これは、債務を強制的に相続人に承継されることは個人主義的財産観念に反するからであると言われている。
(2)相続財産と相続人固有の財産
 相続財産とは、被相続人に属した財産上の一切の権利義務をいう。しかしながら、相続財産ではない相続人固有の財産については、相続を放棄しても取得する権利を失うものではない。
 ① 生命保険金
  生命保険金請求権は、受取人として特定の者を指定してある場合にはその者の固有の権利として取得する。これは、生命保険契約が第三者のためにする契約としてなされているからである。また、受取人を「相続人」とした場合にも、その表示は保険契約者の相続人たるべき個人を表示するものであり、固有の権利として取得することができると解する(最判昭和40.2.2民集19巻1号1頁)。
 ② 退職金
  労働者が労働契約の継続中に死亡して退職金が支給される場合、法律や条令、就業規則等で受給権者が定めるられている場合には固有の権利として認められる(最判昭和60.1.31家月37巻8号39頁)。
 ③ 遺族年金等
  遺族厚生年金、公務員の遺族扶助料、国家公務員等共済組合法による共済年金、国民年金の遺族共済年金なども各法律で受給権者が定められており、固有の権利として認められる。
(3)申述期間
 債務者が多額の負債を残したまま死亡した場合、相続放棄の申述をすることで債務の承継を免れるケースも少なくない。相続放棄の期間は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申述をする必要がある(民915①)。「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは、単に相続開始の原因たる事実を知った時ではなく、より具体的に、自己が相続人となったことを覚知した時と解されている(大判大正15.8.3民集五巻679頁、福岡高決昭和23.11.29家月二巻一号7頁等)。
 また、3か月経過後に相続人が被相続人の債務の存在を具体的に認識した場合、その時から熟慮期間である3か月が起算されるとした裁判例もあり(大阪高判昭和54.3.22判タ370号72頁)、現在では、熟慮期間は相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべき時から起算すべきであると解されている(最判昭和59.4.27民集38巻6号698頁)。
 実務上、3か月経過後に被相続人に対する債務の存在が明らかとなり、放棄の申述をすることも多数あるが、この場合、債務の存在を具体的に認識した時期を明らかにするため、督促状等の書面を添付するのが望ましい。
 3か月の熟慮期間は、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所がこれを伸長することができる(民915①但書)。これは、相続人は、承認又は放棄をする前に相続財産の調査をすることができ(民915②)、調査に時間を要する場合も考えられるからである。なお、期間伸長の申立は期間内にしなければならない。

さて、先日、ある相続放棄事件で初めて知ったのだが、簡易保険の受取人が指定されていない場合、簡易生命保険法で受け取るべき遺族が指定されている。つまり、保険金は遺族の固有の財産となり、相続財産に含まれないということだ。勉強になった。

条文は次のとおり

簡易生命保険法

(無指定の場合の保険金受取人)
第五十五条
 終身保険、定期保険、養老保険又は財形貯蓄保険の保険契約(特約に係る部分を除く。)においては、保険契約者が保険金受取人を指定しないとき(保険契約者の指定した保険金受取人が死亡し更に保険金受取人を指定しない場合を含む。)は、次の者を保険金受取人とする。
一 被保険者の死亡以外の事由により保険金を支払う場合にあつては、被保険者
二 被保険者の死亡により保険金を支払う場合にあつては、被保険者の遺族
2 前項第二号の遺族は、被保険者の配偶者(届出がなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに被保険者の死亡当時被保険者の扶助によつて生計を維持していた者及び被保険者の生計を維持していた者とする。
3 胎児たる子又は孫は、前項の規定の適用については、既に生まれたものとみなす。
4 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは適用しない。
5 第二項に規定する遺族が数人あるときは、同項に掲げる順序により先順位にある者を保険金受取人とする。
6 遺族であつて故意に被保険者、先順位者又は同順位者たるべき者を殺したものは、保険金受取人となることができない。

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3 取引経過をどのように把握するか

 多数の債務者のご相談を受けている中で、貸金業者からの借入れや返済について、正確に把握している方はほとんどいません。これは、貸金業者から借り入れしていることを家族に内緒にしていたり、毎月、複数の貸金業者に返済をしなければならないため、借入れや返済の伝票をすぐに処分してしまったり、整理して保管することがなされていないことが多いからです。
 一方、貸金業者は、貸金業規制法19条で、営業所または事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他の事項を記載して、保存しなければならないとされています。また、その帳簿は、貸付けの契約ごとに、最終の返済期日(その契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したときにあっては、その債権の消滅した日)から少なくとも3年間保存しなければならないこととされています。ちなみに、貸金業者の帳簿保存の義務は、消費者である借主と事業者である貸金業者とでは、取引内容を記録する能力に格差があること、また、過去に遡って紛争となることが多いという実情を踏まえ、貸金業者に記録しておくことを義務づけたものです。
 これに加え、金融庁事務ガイドライン3-2-8「取引関係の正常化」では、貸金業者は、債務者、保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から、帳簿の記載事項のうち、当該弁済に係る債務の内容について開示を求められたときに協力することとされています。
 以上のような規定に加え、債務者が債務内容を正確に把握できない場合には、弁済計画を立てることが困難となったり、過払金があるのにその返還を請求できないばかりか、本来なら過払いになっているにもかかわらず、弁済を求められてこれに応ずることを余儀なくされるなど、大きな不利益を被る可能性があります。一方で、貸金業者が保存している業務帳簿に基づいて債務内容を開示することは容易であり、貸金業者に特段の負担は生じません。
 そこで、最高裁判所は、平成17年7月19日の判決で、貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り、貸金業規制法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うものと認定し、貸金業者がこの義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときは、その行為は、違法性を有し、不法行為となることを明らかにしました。
 したがって、取引経過を明らかにするためには、貸金業者に対し、取引履歴を開示するように請求すればいいのです。
 では、現実に債務者が貸金業者に対して取引履歴の開示を請求した場合、貸金業者はどのような対応をしているのでしょうか。聞くところによりますと、すんなり開示する業者もある一方で、大手の業者であってもなかなか開示に応じないところもあるようです。また、開示する場合でも、現在の残高だけを開示する場合、直近の取引のみを開示しそれ以前を開示しない場合、過去に完済した取引を開示しない場合などもあるようです。本来であればいくらを支払えばいいのか、それを計算するために取引履歴の開示を請求するわけですから、中途半端な開示では返済額を確定することができません
 したがって、取引履歴の開示に不誠実な貸金業者については、貸金業者を監督する立場にある都道府県の貸金業係または財務局に対し、行政指導を要請することも検討する必要があります。

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2006年6月 2日 (金)

過払金返還請求の根拠

 ちなみに、払いすぎた利息について利息制限法に基づいて引直計算ができるのか、また、それによって元本を完済している場合、それ以上に支払った金額の返還を求めることができるのかについては、裁判のうえでも紆余曲折の歴史がありました。
 当初、最高裁判所の昭和37年6月13日判決は、利息制限法の制限を超えた利息や遅延損害金の支払いをした場合、借主が超過部分を任意に支払ったときはその返還を請求することができないとし、払いすぎの部分を元本に充当することはできないとしていました。
 しかし、その後、最高裁判所の昭和39年11月18日の判決では、借主が利息や損害金の弁済として支払った制限超過部分は、本来は支払義務のない部分に対する支払いであるから、元本が残っているときは元本に充当されると判断しました。
 さらに、このような計算をした結果、元本が完済となった後もなお支払いを継続したときに、借主が債権者に対し過払分を不当利得として返還を求めることができるかについては、最高裁判所の昭和43年11月13日判決は、計算のうえで元本が完済となったときは、その後に支払われた金額は、その返還を請求することができると判断しています。
 以上のような判例の変遷の結果、現在では、利息制限法に基づく引直計算や、それに基づく過払金の請求は債務整理の当然の前提となっています。

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2006年6月 1日 (木)

日掛け保証料事件勝訴的和解

 日掛け保証料に関して数件訴訟を提起しているが、本日、その1件について和解した。その事件はまだ第1回口頭弁論期日も開かれていないが、被告に訴状が到達した途端、こちらの請求金額を全面的に支払う旨、保証会社の社長自ら電話してきた。
 拍子抜けだ。被告としては、ただ単に訴訟手続きが面倒だったのかもしれない。ちなみに、訴状の内容は概ね次のとおりである。

損害賠償請求事件

第1 請求の趣旨
 1 被告らは、原告に対し、各自連帯して、金8万5950円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
  との判決及び1項につき仮執行の宣言を求める。
第2 請求の原因
1 金銭消費貸借取引
 (1)原告は、人材派遣を主な業務とする有限会社○○の代表権のない取締役である(甲第1号証)。
 (2)被告株式会社A(以下、「A」という)は、九州財務局長(N3)第○○○○○号登録の日賦貸金業者である(甲第2号証)。
 (3)原告は、平成16年11月15日、被告Aとの間で下記のとおり基本契約証書を締結し、同日、基本契約書にもとづき金50万円を借り入れた(甲第3号証)。
  ア 契約限度額 不明
  イ 利息    年54.75パーセント(年365日の日割計算)
  ウ 損害金   年54.75パーセント(年365日の日割計算)
  エ 返済方法 毎日(土、日、祝日並びに被告Aの指定休日を除く)、貸付の都度被告Aが交付する貸付明細書に記載された金額に同日までの利息を付して支払う。
 (4)その後、原告は、下記の日に、被告Aとの間で、基本契約証書を締結する方法で借り換えを行い、その都度、新しい限度額と同日における借入残高との差額である次の金額を借り入れ、被告Aとの金銭消費貸借取引を続けた(甲第4号証)。
  ア 平成16年12月25日  金8万3564円
  イ 平成17年2月18日   金9万1633円
  ウ 平成17年4月1日    金9万1048円
  エ 平成17年5月17日   金7万3186円
  オ 平成17年6月13日   金5万7998円
  カ 平成17年7月4日   金14万8080円
  キ 平成17年8月8日    金9万4116円
  ク 平成17年9月7日    金7万0461円
  ケ 平成17年10月11日  金6万0964円
2 保証料の支払い
 (1)被告Aの担当者は、原告に対し、前項の貸付の際、融資をするためには極度額に対して5パーセントの割合の金員を保証料として被告株式会社B(前商号有限会社B(甲第5号証)。以下、「B」という)に支払うのが条件である旨を述べたので、原告は、被告Bに対し、次のとおり合計27万円の保証料を支払った(なお、実際に支払った保証料は限度額に対する5パーセントの割合によるものであるが、各限度額が不明であるので、下記金額は貸付額に対する5パーセントの割合により計算した)。
  ア 平成16年11月15日  金2万5000円
  イ 平成16年12月25日  金2万5000円
  ウ 平成17年2月18日   金2万5000円
  エ 平成17年4月1日    金2万5000円
  オ 平成17年5月17日   金2万5000円
  カ 平成17年6月13日   金2万5000円
  キ 平成17年7月4日    金3万0000円
  ク 平成17年8月8日    金3万0000円
  ケ 平成17年9月7日    金3万0000円
  コ 平成17年10月11日  金3万0000円
3 金銭消費貸借契約の無効
 (1)日賦貸金業者の法律上の定義
    ところで、日賦貸金業者とは、貸金業の規制等に関する法律2条2項に規定する貸金業者であつて、次の各号に該当する業務の方法による貸金業のみを行うものをいい(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下、「出資法」という)附則9)、日賦貸金業者は、これらに規定する業務の方法以外の方法により貸金業を営んではならない(出資法附則10)。
   一 主として物品販売業、物品製造業、サービス業を営む者で内閣府令で定める小規模のものを貸付けの相手方とすること。
   二  返済期間が百日以上であること。
   三  返済金を返済期間の百分の五十以上の日数にわたり、かつ、貸付けの相手方の営業所又は住所において貸金業者が自ら集金する方法により取り立てること。
 (2)貸付対象者違反
    しかるに、本件金銭消費貸借取引の借主である原告は、有限会社の代表権のない取締役個人であり、「物品販売業、物品製造業、サービス業を営む者」にはあたらない。
 (3)返済期間違反
    また、本件金銭消費貸借取引の過程を見ると、基本契約証書を締結し直す方法で1~2か月毎に借り換えが行われ、契約当初から、こうした短期間で借換えすることを想定した取引であり(このことにより、後に述べる保証料を多額に払わせることにつながる)、「返済期間が百日以上であること」(出資法附則9二)を潜脱するものである。
 (4)したがって、被告Aを貸主とする本件金銭消費貸借取引は、出資法附則が定める日賦貸金業者の特例を逸脱するものである。そうすると、本件金銭消費貸借取引には出資法附則8に定める出資法5条2項の読み替えが適用されない結果、出資法5条2項が定める要件(金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年29.2パーセント(2月29日を含む1年については年29.28パーセントとし、1日当たりについては0.08パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたとき)に該当する。
 (5)さらに、被告Aの貸付は被告Bに保証料を支払うことを条件として行われているが、およそ保証会社であれば保証リスクを回避するために必ず行われる筈の保証委託者の審査は行われず、また、被告Aとの金銭消費貸借取引の借換え時には、原告が従前に支払った保証料は何ら精算されることなく、借換え時に形式的に締結される基本契約書の限度額に対して一律5パーセントの保証料を支払わされている。こうした実態は、被告Aの貸付が被告Bに保証料を支払うことを「条件」としたというよりも、被告Aが原告に対し、被告Bに保証料を支払うよう「要求」したことと同視される。
    出資法5条3項は、出資法5条2項に規定する割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者を、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し又はこれを併科する旨規定しているが、この場合、金銭の貸付けを行う者がその貸付けに関し受ける金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするを問わず、利息とみなして出資法2項の規定を適用するものとされており(この点において利息制限法におけるみなし利息の規定と異なる)、さらに、何らの名義をもってするを問わず、また、いかなる方法をもってするを問わず、出資法5条2項の規定に係る禁止を免れる行為をした者は5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し又はこれを併科することとされている(出資法8条)。
 (6)加えて言えば、貸付限度額の5パーセントの保証料が実質利息であるならば、被告Aが年利54.75パーセントで金銭を貸し付けた場合には、次の基本契約書書き換えまでの期間が33日以下である場合には、実質年利109.5パーセントを超過することになる(この日数をXとすると、X<0.05/0.5475×365の計算式で求めることができる)。
    本件金銭消費貸借取引で言えば、平成17年6月13日から平成17年9月7日までの期間において、実質年利109.5パーセントを超過していたことになる。
 (7)金銭消費貸借契約の無効(貸金業規制法42条の2)
    以上見たように、本件金銭消費貸借取引の違法性は顕著であり、効力規定たる出資法に違反またはこれを潜脱するものであり、強行法規違反として無効である。
    また、貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約において、年109.5パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは当該消費貸借の契約を無効とする貸金業の規制等に関する法律42条の2にも該当することになる。
 (8)金銭消費貸借契約の無効(公序良俗違反)
    仮に、前記(7)記載の貸金業規制法42条の2の適用が認められないとしても、本件金銭消費貸借取引は公序良俗に反し無効である。
    すなわち、次のとおりである。
    高金利の利息や遅延損害金の契約・徴収は、歴史的にも古くから、しばしば借主を経済的破綻状態に追い込み、借主の自殺や一家離散、元利金等の返済資金欲しさからの犯罪の誘発等種々様々な弊害を生じてきたのは顕著な事実である。
    法は、かかる高金利契約の弊害を防止するため、利息制限法によって民事上有効な利息・遅延損害金の利率の上限を定め、同法所定の制限利率超過部分の利息・遅延損害金の契約を無効とし、さらにそれだけに止まらず、出資法によって、同法に違反する高金利の利息契約等をする行為に対しては、およそ社会的妥当性を欠くそのような高金利の契約等を許さず、相当重い刑事罰を科すことにより、このような高金利の利息契約等を禁圧しようとしているのであって、かかる出資法の制限規定は、単なる取締規定ではなく、社会における公の秩序を規定し、これに違反する私法上の契約の効力を無効にする効力規定であると解する。
    よって、出資法の制限を超過する利息・遅延損害金の契約は、利息制限法の場合とは異なり、利息制限法の制限利率範囲内の部分も含め、その契約全体が効力規定としての出資法違反かつ公序良俗違反として無効と解すべきである。けだし、このように解釈しなければ、出資法に違反する高利契約による弊害を根絶させることは事実上不可能となり、出資法の趣旨を没却することになるからである。
4 不法行為による損害賠償請求
 (1)日賦貸金業者である被告Aが、日賦貸金業者の借主の要件を満たさない原告に対し、出資法に保証料についての上限規制の明文がないことを奇貨として被告Bと結託して出資法の制限金利を超過する利息及び保証料名目の上乗せ利息を取り、実質的に出資法の制限金利を大幅に上回る暴利を貪る脱法的手口を考案して原告を相手に行った行為は不法行為に該当する。
 (2)また、被告Bの行為は、形式上は保証委託契約にもとづく保証料の徴収のように見えるが、保証料名目での暴利を貪るための行為であり、出資法に違反する悪質な違法行為であり、法律上の保護を受けるに値しないものである。
    さらに、被告Bは、被告Aの貸付が日賦貸金業者の特例とした定められた規制金利の上限利率でおこなわれていたことを知っていながら、被告Aに対し、被告Bの保証を受けることを条件に貸付をさせることを許していたのみならず、保証委託契約の締結業務を被告Aに任せていた。
    そうすると、被告Aと被告Bは共同して前記(1)の不法行為を行ったものであり、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うものである。
5 原告の被った経済的損害
 (1)被告らの不法行為によって原告が被った損害は、別紙金利計算書「支払額」欄記載の、原告が被告Aに対して交付した金98万7000円、原告が被告Bに対して交付した保証料金27万円の合計金125万7000円である。
 (2)原告は、本件訴訟のために、やむなく司法書士に対し訴訟代理を委任したものであるが、その司法書士費用としては金10万円が相当である。
 (3)これに対し、原告は本件不法行為に際し、被告Aから、別紙金利計算書「貸付」欄記載の金額の合計金127万1050円を受領しており、同額だけ損害が填補されたものと見ることができる。
6 よって、原告は、被告らに対し、各自連帯して、不法行為による損害賠償請求権として、賠償額金125万7000円及び司法書士費用金10万円の合計である金135万7000円から損害が填補されたとみなされる金127万1050円を差し引いた金8万5950円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済み至るまで民事法定利率である年5パーセントの割合による損害金の支払いを求める。

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