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2006年6月 6日 (火)

民法90条違反とは

 民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と規定している。普通の日本語としてこの条文を見た場合、抽象的には理解できても、じゃあ、具体的にどういうことなんだと言われるとなかなか説明がつかないだろう。

 また、法律を勉強した者に対しこの条文の意味を問うても、それを説明せよと言われたら、一瞬息を呑む条文である。「法律に反する事項を目的とする法律行為は無効とする」となっていれば、そりゃあ、意味は明白であるが、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項」というのが曲者である。また、ある出来事について、民法90条違反で裁判で闘おうということになると、話はますますやっかいになってくるし、「民法90条を持ち出さなければならないほど手詰まりになっている」なんて見方もされかねない。しかし、民法90条で闘わざるをえないことだってあるし、そうしなければ依頼者が救われないことだってある。

 少し具体的に考えてみたい。ある契約をしたとする。その契約は刑罰法規に触れる(反する)ような契約だったとする。これだけで民法90条違反になるか? 答えはYESでもあり、NOでもある。なぜ、どちらとも言えるのか、あるいはどちらとも言えないのか、それは、民法90条に違反しているか否かは、「刑罰法規に違反している」という客観的な状態だけで判断するのではなく、多くの場合、当事者の主観的な状態、たとえば、一方は著しく暴利を得ているにもかかわらず他方は極めて困窮しているとか、一方は経験・知識ともに豊富で、他方は無知で窮迫な状態にあり、そこにつけ込んだ契約であるとか、そうした主観的な要件を加味しなければ結論を出せないからだ。

 では、そうした民法90条の性質を少し理解した観点から、次の条文はどのように理解すればいいのか。

貸金業の規制に関する法律42条ノ2
 貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつて金銭を交付する契約を含む。)において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする。

 この条文は、一定の利率を超える金銭消費貸借契約は無効であると宣言している。つまり、その利率を超えた場合(客観的要件を具備)には、主観的要件を論ずるまでもなく無効であると言っているのである。

 貸金業者に対する金銭消費貸借については、年利29.2%を超えると刑罰規定が適用となる。

そうすると、次のようになる。

利息29.2%以下  原則として金銭消費貸借契約は無効にはならない(利息契約については利息制限法違反である)

利息29.2%超109.5%以下
           客観的要件は満たしているが主観的要件をも満たさなければ金銭消費貸借契約自体は民法90条違反とはならない

利息109.5%超  客観的要件を備えておりそれだけで金銭消費貸借契約自体は無効である

あらためて、法律は難しいな、と思う。

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