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2008年10月 6日 (月)

その債務整理、おかしいぞ (事件の選り好み)

 債務整理事件と一口に言っても、任意整理、過払金返還請求、破産、民事再生、特定調停、ヤミ金処理等、多様な対応が必要であるが、近年、①任意整理や過払金返還請求事件のみを受任し他の事件は受任しない、②過払金返還請求事件を受任したとしても任意交渉で決着させて訴訟提起までは行わない、③ヤミ金事件については高額な着手金を要求することにより事実上ヤミ金事件を受任していない等、事件を選り好みしていると思われる例がみられる。

 こうした状況が生まれた背景には。過払金の返還が一般化し、ある程度の金額的な妥協をすれは比較的容易に示談が成立すること、過払金の回収については成功報酬を貰いやすいなど、司法書士にとってコストパーフォーマンスが高いことなどが理由として考えられる。

 これに対し、破産や民事再生は手続が煩雑でコストパーフォーマンスが低いこと、ヤミ金事件では電話等により司法書士が違法業者と応酬しなければならないことなどから、敬遠しているものと考えられる。

 言うまでもなく、依頼者が債務整理を欲する目的は、生活を経済的に立ち直らせ、ひいては安心して暮らしていくことができる状況を回復することにある。一方、司法書士は、依頼者の利益を尊重すべき社会的責務を負っている。したがって、司法書士が、自己の都合により事件を選り好みして、依頼者の真の目的である生活の経済的な立て直しをないがしろにすることは許されない。

 以上の意見に対しては、①簡裁訴訟代理関係業務は依頼者との信頼関係を基調とするものであるから依頼者が望んだとしても司法書士が一部分について受任する義務を負わない、②依頼者と司法書士との委任関係はその委任契約の内容により定まるものであるから委任契約の内容が過払金請求だけであればそれ以外の業務を行うことはできない、等の反論も考えられるが、逆に言えば、裁判書類作成業務である破産申立書の作成、民事再生申立書の作成は原則として受任義務を負うものであるし、委任契約の内容を決定する際に、過払金返還請求以外の他の手続についても司法書士から十分な説明が行われたうえで委任契約が締結されたのかが問題である。

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