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2008年11月

2008年11月28日 (金)

改正利息制限法 講義録 13

そこで、この保証料の制限についてこれから解説していくわけですが、この、保証料の制限ということ自体が新しい概念ですので、具体的な内容に入る前に、保証料の制限を理解するためにはどのような視点に立って考えればいいのか、という点について、考えておきたいと思います。

先ほど、子会社を保証人としていたケースとか、日掛業者のケースなどをお話ししましたが、今回の改正を理解するためには、そうした、いわゆる脱法的なケースを想定するのではなくて、普通の、たとえば、銀行の保証会社といったケースを想定したうえで条文を読んでいただきたいと思います。

__33  そして、その際は、債務者からの視点で読んでいただきたい、ということです。債務者から見れば、銀行等の債権者に対し信用があるのであれば低い利率で融資を受けられるかもしれませんが、債権者が「リスクが高い」と考えるのであれば利率は高くなるでしょうし、「保証会社をつけてください」ということにもなると思います。

このように、債権者は、利率であったり保証人をつけることで信用リスクをカバーしているわけですから、保証料は利息と合算した額において制限することが合理的である、と考えられるわけです。したがって、利息と保証料の額の合計でもって、利息制限法の上限利率の範囲内に納めるという考え方が出てきます。

そうしますと、利息制限法の上限利率の範囲内で、融資をした債権者と、保証会社との間で、利息はどの範囲にするか、保証料はどの範囲にするか、ということを決めなければならなくなります。

__34 その際の視点としては、融資をする債権者は、融資するにあたって利率をいくらにするか、ということは非常に重要なことですけども、保証料を負担する立場にはありせんから、保証料については、利率ほど関心がないのが一般的であると思います。
一方、委託される保証人は、主たる債務の内容として利率がいくらになっているのかということは、債務者の信用リスクを考えるうえで重大な関心を持っているものと考えられます。もちろん、自ら受領する保証料についても当然に関心があります。
融資をする債権者と、委託保証人とは、立場の違いだけではなく、実は、利息と保証料に対する関心について、このように差があるわけです。

__35 したがって、営業的金銭消費貸借に際して締結される保証契約については、原則として保証人となるべき者に対し、利息と保証料を合算した場合の規律を設けて一定の制限を行い、これを超過した場合の効果を定めることとしたわけです。このような見方をして、これからの解説をお聞きいただければわかりやすいのではないかと思います。

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2008年11月27日 (木)

改正利息制限法 講義録 12

さて、次は、保証料の制限等に入ります。

 個人間で行われるような非営業的金銭消費貸借では、保証人をつけることはあっても、債務者が委託して、なおかつ、保証料を支払って保証人をつけるということはほとんど行われていないと思います。

一方で、銀行の貸付けを思い起こしていただければわかりやすいのですが、営業的金銭消費貸借においては、債務者の委託を受けて保証を業とする者が、有償で保証を行うことが多くみられます。

これまで、こうした保証料を制限する明文の規定はありませんでした。しかし、裁判上、保証料が問題とされたケースはしばしばありました。

まず、商工ローン業者が、融資の際に、子会社である日本信用保証を保証人にしていたケースにおいて、最高裁平成15年7月18日判決は、100%子会社に保証料等を取得させ同社から受ける株式への配当等を通じて保証料等を自らに還流させる目的があったと認定しています。
また、子会社ではないケースにおいても、みなし利息と認められるためには共同意思が認められれば足り、貸主と第三者が一体であるために利益の還元が予定されている場合に限定されないという、広島高裁平成18年2月16日判決(公刊物未登載)などがあります。

 さらに、日掛業者を中心として、事実上、消費貸借契約の融資業務と不可分の関係にある保証契約を結ばせて高額な保証料を得ている例もたくさん報告されています。

そこで、保証料にも一定の制限を設けるべきであるということで今回の改正に至ったわけです。

 なお、利息制限法で保証料が制限されるのは営業的金銭消費貸借上の債務である場合に限定されています。これは、今回の改正が、多重債務問題解決のための金利体制の適正化のために行われるものでありますから、営業的金銭消費貸借ではない個人間の金銭消費貸借についてまで規制する理由が立法の背景として見あたらないという理由からであります。

 また、保証が業として行われるものに限定されていますのは、業として保証を行う者は、保証のリスクの対価として保証料を設定していると考えられますので、制限の方法としては、利息や保証料を支払う立場である債務者の視点に立って、利息との合算額で規制するのが合理的であると考えられるためです。

 利息制限法では、8条1項において、保証料についての総則的な規定を置いていますが、2項以下で、実に様々なパターンを想定して保証料の制限の特則を置いています。
まず、2項は、主債務が変動利率の定めのある場合の特則です。3項ないし5項で、いわゆる根保証の場合の特則を定めています。さらに、6項で二重保証の場合の特則、7項でみなし保証料、8項で債権者の通知義務を定めています。
したがって、2項ないし5項の保証契約形態に該当しない場合は1項が適用されるということになりますが、結局のところ、1項が適用されるのは主債務の利息が固定利率で定められた、根保証ではない個別の保証ということになります。
 なお、保証料を、保証人ではなく債権者が受け取る場合には、この保証料の制限規定ではなく、先ほどの、みなし利息の規律に服するということになります。

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2008年11月26日 (水)

光る小石

20081126 元日司連会長の喜成清重さんから、喜成さんの論考集である「光る小石」(日本加除出版 5000円)が届いた。
喜成さんとは、6年ほど前、日司連の司法書士倫理策定委員会でご一緒させていただいた。月に2~3回のハイペースで委員会を行い、司法書士倫理を起案していったが、その風貌に似合わず(?)、非常に繊細な感性を持ち合わせていらっしゃったことを覚えている。

本書は、まさに、司法書士激動の時代に生きた喜成さんならではの論考集であり、制度愛や苦悩に満ち満ちており、必読の書である。

上記の委員会でごいっしょさせていだいた藤田耕三先生が「推薦の辞」を記されており、その中で、「還暦を迎えて、一つの区切りとして本書を世に送るのは結構だが、私から見れば、まだまだお若いのだから、これからも、司法書士人生、司法書士制度人生を謳歌して、司法書士界に大いに貢献して欲しいものである」と書かれている。

近年ますます元気な喜成さんの顔を思い浮かべると、本書は「一つの区切り」でしかないのは明らかで、「藤田先生、ご安心ください。喜成さんは、まだまだこれからですよ」と心の中でつぶやいた。

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改正利息制限法 講義録 11

 次に、賠償額の予定の特則です。

__32_2  利息制限法4条では、金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定について、その賠償額の元本に対する割合が利息の制限として規定されている率の1.46倍を超えるときは、その超過部分について無効とするとされていますが、営業的金銭消費貸借については、元本に対する割合が年2割を超えるときは、その超過部分について、無効ということとなります。
これは、特に解説する必要はないと思いますが、大変大きな改正といえると思います。

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2008年11月25日 (火)

法人を管理人候補者とする相続財産管理人選任申立事件

 現在、当司法書士法人を管理人候補者とする相続財産管理人選任申立事件を申し立てしているが、裁判所から、「法人を管理人にすると責任の所在があいまいになるおそれもある。法人を候補者としたい事情があれば、提出して欲しい」と連絡があった。

 司法書士法では、司法書士個人が業務として財産管理人になることはストレートには規定していない(もっとも、実務では、多数の事例で司法書士個人が財産管理人に選ばれている)。一方で、司法書士法人については法人として財産管理人になることが司法書士法上規定されており、当法人の目的規定にも同様の規定をおいている。

また、責任の所在については、もちろん、法人が責任を負うこととなるが、所属する社員司法書士も無限連帯責任を負うものと解される。

意見書を提出しておいたが、結局のところ、今回は私個人が選任されることとなった。おそらく、地方では、法人が財産管理人になる事例があまりないので、変わったことをしたくないということなのだろうか・・・・

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改正利息制限法 講義録 10

次に、みなし利息の特則に入ります。

 まず、今回の改正でみなし利息について改正された理由は2つ考えられます。
まず、第1点は、現在の利息制限法では、契約締結費用および債務弁済費用をみなし利息から除外している一方で、出資法では利息制限法のような除外規定が存在していません。そのため、利息制限法と出資法では、みなし利息の範囲が異なってしまっています。しかし、今回の改正では、出資法上の罰則利率と利息制限法上の上限利率が一致ないし接近することとなったため、両者におけるみなし利息の範囲を調整する必要があったからである、と考えられます。

2点目は、一般の方同志の金銭消費貸借とは異なって、営業的金銭消費貸借の場合には、契約締結費用や保証料など、様々な費用がやり取りされます。また、反復して貸付が行われたりするため、個人間の貸付と異なって、カードが発行されたりしております。したがって、営業的金銭消費貸借の場合には、特則を設けてみなし利息の範囲を定める必要があったからである。と考えられます。

__29 まず、営業的金銭消費貸借ではない場合、どのように規定されているか見てみたいと思いますが、3条では、「債権者の受ける元本以外の金銭は契約締結費用および債務弁済費用を除き「いかなる名義をもってするかを問わず」みなし利息としています。
これに対し、営業的金銭消費貸借の特則では、この例外として、「債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるものはみなし利息としない」ということにしております。

ここで、「債権者の受ける元本以外の金銭」とされていますが、これは、債権者が債務者から直接受け取るものをいうと考えられます。したがって、債権者が受け取ってそこで完結する完結する場合であっても、債権者が受け取って、その金額の全部または一部を第三者に交付することを予定している場合であっても、いずれも該当すると考えられます。

逆に言えば、債権者が債務者から直接受け取らないもの、たとえば、指定口座へ振込弁済する場合の金融機関の振込手数料等などは、「債権者が受け取る」には該当しないと考えられます。ただし、脱法的な場合は司法判断に委ねられるということになります。

「利息とみなされない費用」として政令で定める費用は、次の3つが定められています。
まず、「金銭の貸付けおよび弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料」です。次に、「貸金業法の規定により営業的金銭消費貸借に関して債務者に交付された書面の再発行および当該書面の交付に代えて電磁的方法により債務者に提供された事項の再提供の手数料」です。そして、3つ目は、「口座振替の方法による弁済において、債務者が弁済期に弁済できなかった場合に行う再度の口座振替手続に要する費用」です。

 これらは、いずれも、営業的金銭消費貸借に特有のものです。また、利息のように元本の使用の対価的性質を有しないものであることから、みなし利息から除外されています。

次に、今度は逆に、営業的金銭消費貸借においては、契約の締結および債務の弁済の費用であっても、次の3つについてはみなし利息から除外するものとされました。

__30 一つ目は、「公租公課の支払いに充てられるべきもの」です。二つ目は、「強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの」、3つ目は、「債務者が金銭の受領または弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料のうち、受領または弁済額が1万円以下の場合は105円以下、1万円を超える場合は210円以下(いずれも消費税額等相当額を含む)の範囲内のもの」です。

 「公租公課の支払いに充てられるべきもの」の具体例としては、契約書に貼付する印紙代、不動産担保設定登記に要する登録免許税等が考えられます。なお、登記に要する司法書士費用は、その実態が金銭を目的とする貸付けに関し「債権者が受ける」ものである場合には、みなし利息と考えられる余地もあります。

 「強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの」とは、強制執行申立手数料、不動産担保権実行申立手数料、執行官費用、公正証書作成費用等が考えられます。
このような申立てに関する弁護士費用、司法書士費用等は、その実態が金銭を目的とする貸付けに関し「債権者が受ける」ものである場合には、みなし利息と考えられる余地もあります。

「現金自動支払機その他の機械の利用料」ですが、ここで、「現金自動支払機その他の機械」とは債権者の自社現金自動支払機その他の機械、提携の他社現金自動支払機その他の機械を含むと考えられています。
 もっとも、貸金業者が自ら設置する現金自動支払機については、利用者の利便性もさることながら、有人店舗において貸金業者の従業員が行う事務を現金自動支払機が代わって処理することにより、店舗設置費用や人件費等の軽減に寄与している、換言すれば、現金自動支払機の利用料の実質は、貸金業者が本来負担すべき店舗設置費用や人件費等の代替費用であるということができるわけです。

加えていえば、貸金業者が設置する現金自動支払機には、新規の金銭消費貸借契約を締結する機能も備わっており、新規顧客の開拓のためにも設置されているものであると思います。

 このように、貸金業者が自ら設置する現金自動支払機を利用した場合の費用については貸金業者が本来負担すべき営業上の経費であると考えられますが、これをみなし利息から除外して利用者に負担させるという点について疑問を感じております。

 たとえば、最高裁昭和46年6月10日判決(判時638号70頁)では、債権者が実際に費用として支出しなかったものは利息とみなされると判示しているところです。
自社の現金自動支払機の利用に係るものについては、実際に費用として支出した金額を客観的に把握することは極めて困難であると思われますが、現金自動支払機の実際の利用料が高額となる場合には、利用料を抑制する機能がある一方と思われますが、実際の費用が、1万円以下の場合は105円以下、1万円を超える場合は210円以下となる場合には、実費と利用料との差額が貸金業者の利益となることから、先ほどの最高裁判決の趣旨との関係がさらに議論される必要があると思われます。

__31さて、ここまでの、みなし利息の話を1回聞いても、なかなか正確に理解できないのではないかと思います。そこで、非営業的金銭消費貸借と営業的金銭消費貸借におけるみなし利息について、わかりやすい図にしてみました。

まず、非営業的金銭消費貸借について、利息以外に債権者に支払われる金額のうち、契約締結費用と債務弁済費用を除くものは全てみなし利息になるということです。一方で、営業的金銭消費貸借においては、契約締結費用や債務弁済費用であっても一部の金額がみなし利息になりますし、契約締結費用や債務弁済費用以外の金額についてもみなし利息とならない部分があるということになります。

これをちゃんと覚えるためには、非営業的金銭消費貸借のみなし利息の規定がまずあって、その特則として、営業的金銭消費貸借のみなし利息が定められているという覚え方ではなくて、非営業的金銭消費貸借と、営業的金銭消費貸借では、みなし利息の定め方が全く違う、と考えていただいた方がわかりやすいのではないかと思います。

つまるところ、営業的金銭消費貸借でみなし利息とならないのは、公租公課、強制執行費用、機械利用料、カード再発行手数料、書類再発行手数料、再度の引落費用だけである、と考えていただいた方がわかりやすいのではないかと思います。

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2008年11月24日 (月)

改正利息制限法 講義録 9

__24 さて、本号の効果について、図にしてみました。

先行貸付の約定利息は利息制限法の上限の18%として貸付が行われ、その残高は40万円になっていたとします
そして、別の商品で、80万円の後発貸付が行われまたしが、80万円ということだけを見れば、1条の上限金利は18%ですね。

__25 しかし、本号の適用がある場合には、こう考えるんだ、ということですね。当該貸付、つまり後発貸付に係る営業的金銭消費貸借上の利息は、既に負担している残元本の額である40万円と後発貸付受けた80万円の額の合計額である120万円を元本の額とみなして1条を適用するということになるんですね。

そうしますと、後発貸付である80万円については、18%ではな__26く、15%が上限利率になるということになります。

 ところで、今、40万円とか80万円という例で説明していますので、皆様方は、貸金業者の貸付をイメージされていると思いますが、本号は、実は、意外なところに影響を及ぼすことになります。
 先行貸付が住宅ローンであった場合を想定してみて下さい。住宅ローンですから、100万円は裕に超えているとします。もっとも、利率は数パーセントでしょうね。その後、住宅ローン債権者である銀行が、同一の債務者とカードローン契約をしたとします。
 50万円程度の限度額のカードローンであっても、商品によっては年利18パーセントなんていうものもありますね。
 しかし、こういうケースは、まさに本号に該当することになりますね。そうしますと、後発貸付であるカードローンは、18パーセントのままでは利息制限法違反ということになってしまうわけです。

では、次に、同一債務者に対する同時貸付けの特則に入ります。

__27   ここに条文をあげていますので、そのまま読みたいと思いますが、「債務者が同一の債権者から同時に2以上の営業的金銭消費貸借による貸付けを受けた場合におけるそれぞれの貸付けに係る営業的金銭消費貸借上の利息に関する第5次利息制限法1条の規定の適用については、当該2以上の貸付けを受けた元本の額の合計額を元本とみなして適用する」ということにされました。

__28  たとえば、120万円の貸付であれば、1条に定める上限利率は15%であるわけですが、これを、80万円と40万円に分けて貸付をした場合には、それぞれ上限利率は18%ということになるわけです。
このような貸付が同時になされた場合においても、営業的金銭消費貸借においては、それぞれの適用利率は貸付総額により適用することを明らかにした、ということであります。

 では、「同時に」というのはどの程度の観念をいうのか、ということですが、時間的な観念や、当事者の意思など、さまざまなケースが考えられると思います。この条文は、貸付総額を細かく分けて、多くの利息を取得しようとする潜脱的な行為を防止するという趣旨であると考えられますから、具体的な事例については、今後、司法判断により明らかにされていくものと考えられます。

 なお、「同時」ではないということになりますと、これを先行貸付と後発貸付に分けて、後発貸付の特則により上限利率が定まることになります。

 なお、一定の限度額を設定してカードで借入と返済を繰り返すような限度額方式貸付けの場合には、どのように考えるか、ということですが、その限度額の範囲内の貸付けは、一つの営業的金銭消費貸借と観念されるのではないかと思います。したがって、本号の適用ではなく、常に残元本総額により適用利率が定められることになると思われます。

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2008年11月14日 (金)

改正利息制限法 講義録 8

__22  本号が適用される場合には、後発貸付けについて、1条の規定は、先行貸付けの残元本の額と後発貸付けにより貸付けを受けた元本の額との合計額を元本とみなして適用するというわけです。したがって、先行貸付けについての1条の規定の適用については変動をもたらさないということです。

ここで、実は、営業的金銭消費貸借の個数という問題も考えて置かなければならないわけです。

先行貸付として50万円貸していました。後発貸付として80万円の貸し付けをしました、という例であれば、今までの説明でシンプルに解釈すればいいわけです。ところが、貸金業者の貸し付けの形態というのは、ほとんど、そのようなシンプルな形ではありません。

__23_2  この問題は、みなさんが、現在、裁判実務を行っている場面においても悩ましい問題であろうと思います。
たとえば、平成元年に、30万円という限度額を設定して、その範囲内であればカードが借り入れ・返済を繰り返しすることができる、という契約をしたとします。そして、実際にカードを利用して、頻繁に借り入れと返済を繰り返して、平成9年に、いったん約定利息で完済して取引を終了したとします。
 
ところが、その2年後である、平成11年に、同じ会社から勧誘があって、今度は50万円の限度額を設定して同様の契約を行い、借り入れと返済を繰り返したとします。

 このように場合には、裁判実務では、最初の30万円の限度額で、カードを利用して借り入れたひとつひとつの借り入れについて、それぞれバラバラの貸付であるという解釈は採っていないと思います。この基本契約単位で、1個の貸付ということにして、利息の計算も、その時点の残元金をベースにして計算されていると思います(最判平成19年2月13日判時1962号67頁)。

追加貸付の特則につきましても、貸主と借主との間で基本契約が締結されている場合には当該基本契約に基づき反復して行われる貸付けや、基本契約が締結されていなくても同様の貸付けが行われ、または想定されている場合にはそれら一連の貸付けを一つの営業的金銭消費貸借と観念することができますから、金銭消費貸借の個数としては、同様の解釈でいいのではないかと考えております。

 したがって、限度額を定めてその範囲内であれば貸付けと返済が繰り返して行われることを想定した取引形態(以下、「限度額方式貸付け」という)の場合には、これを一つの営業的金銭消費貸借として観念することになり、その取引形態の範囲内で反復して貸付けが行われたとしても、先行貸付け、後発貸付けの概念が生じることはないのだろうと思います。

また、一つの限度額方式貸付けの期間変更、限度額増減額、元本確定による債務承認、その他の事情により変更契約が行われたとしても、これらは全体として一つの営業的金銭消費貸借を構成すると考えられます。

 ところが、今の例ですと、平成元年の30万円の基本契約と、平成11年の50万円の基本契約とが、基本契約が異なるから分断しているとか、いやいや、取引の方法とか、利率とか、カードの返却の有無とか、平成11年の基本契約を締結したいきさつなどを考えると、両方でひとつの金銭消費貸借取引なんだというようなことが、裁判の中心課題になることが非常に多いわけです。

 追加貸付の特則を考える場合にも、考え方としては同じことになるのだろうという感じがしていますが、平成22年の施行日までに、このあたりが明確にならない場合には、施行後、やや混乱するのかな、という感じがしております。

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2008年11月12日 (水)

改正利息制限法 講義録 7

__12 では、いくつかの例で「追加貸付の特則」を考えてみたいと思います。

まず、「営業的金銭消費貸借上の債務を既に負担している債務者」の意味ですが、これは、後発貸付けが行われた際に、その同一の債権者と債務者との間において、先行貸付けについての債権債務関係が存在している場合であることが必要になります。

__13 したがって、Aという債権者がXに対して貸付を行っていたところ、同じAがXに対して、後日貸付けを行ったという単純な例を考えてみれば、本号に該当するというのは比較的理解しやすいと思います。

ところが、最近は、貸金業の再編などが続いていますから、こういうシンプルなケースばかりではないわけです。
 
__14  たとえば、AがXに対して貸付をしていたところ、債権譲渡や合併などにより、債権者の地位がBに移ったとします。

その後、BがXに対して貸付を行った場合はどのように考えるかということです。

今一度、本号の条文を見ながら、要件に該当するかどうか考えてみたいと思いますが、「営業的金銭消費貸借上の債務を既に負担している債務者」とは、Xのことですね。

__15 そのXが「同一の債権者から重ねて営業的金銭消費貸借による貸付けを受けた場合」とありますから、同一の債権者であるかどうかは、後発貸付が行われた時を基準に判断すればいいということになります。したがって、後発貸付が行われた際の先行貸付の債権者はBであり、後発貸付の債権者もBですから、この要件にあてはまるということなります。

今の例が理解できれば、今度は、債務者に異動があった場合についても簡単に理解できると思います。

__16 この例は、AがXに貸付を行っていたところ、YがXの債務を債務引受や相続などにより承継したとします。
その後、今度は、AがYに対して貸付をしたとします。

ここでも、本号に該当するかどうかについて、条文で確認したいと思いますが、後発貸付を受けた時は、Yは「営業的金銭消費貸借上の債務を既に負担している債務者」であることになります。そし__17 て、同一のAが営業的金銭消費貸借による貸付けを受けたのですから、「重ねて」貸付けを受けたことになります。

したがって、本号の適用がある、ということになります。


 それでは、こういうケースはどうでしょうか。

__18  AがXに対して貸し付けをしていた。また、BもXに対して貸し付けをしていた。
 その後、AはBに対してXに対する債権を譲渡した、あるいは、Bが合併によりAの債権を承継した、というケースです。

先ほどの説明でおわかりのように、同一当事者であるか否かは後発貸付けが行われた時により判断することになりますから、別々__19 の営業的金銭消費貸借により同一人に貸付けが行われ、その後、債権譲渡や合併等により事後的に債権者が同一人となった場合には、たとえ、事後的に債権者が同一人に帰することになったとしても、本号の適用はないということになります。


__20_2  今度は、AがXとYに対して、それぞれ貸し付けをしていたところ、債務者Xの相続などにより、結果として、YがAからのふたつの貸し付けの債務を負うに至ったとします。

先ほどの説明のように、同一当事者であるか否かは後発貸付けが行われた時により判断することになりますから、別々の営業的金銭消費貸借により別人に貸付けが行われ、その後、事後的に債務者が同一人となった場合としても、本号の適用はないということになります。

  __21


以上のような様々なバリエーションが考えられるわけですが、次は、本号に該当することになった場合の効果について考えてみたいと思います。

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2008年11月10日 (月)

改正利息制限法 講義録 6

__09_2  そこで、原則的な規定についてはみなさんおわかりになっていると思いますので、これからの話は、特に断りのない限り、営業的金銭消費貸借の特則の話ということになるわけですが、ここで、「営業的金銭消費貸借というのはどういう定義になるのか」という点を最初に押さえておきたいと思います。

最初に、条文を見ておきたいと思います。
第5条の1号の冒頭に、営業的金銭消費貸借として、カッコ書きで定義が書かれています。定義としては、「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借をいう」となっています。ここで、「業として」とありますが、「業として」とはどのような意味なのか、ということなんですが、過去に、「業として」ということが裁判上問題になったのは、実は、出資法に関する解釈についてであります。具体的には、東京高裁昭和35年11月21日判決(東高時報(刑)11巻11号307頁))では、「業として」とは、反復係属して行うという意思があれば足りるという判断がされています。

そこに、営利性は必ずしも必要ではないと解釈されております。もっとも、営利を目的とする場合が少なからずあると考えられますが、齋藤正和先生が執筆された『出資法 改訂版』62頁参照)では、必ずしも営利の目的があることは要件ではないと考えられると説明されております。

 したがって、貸主が登録貸金業者である場合には当然に営業的金銭消費貸借に該当することらになるわけですが、それでは、それ以外の債権者はどうなのか、ということであります。例えば、銀行も反復係属して貸し付けを行っていますし、福利厚生目的の社内融資制度などは営利を目的としていないと思われますが、反復係属して行っている限りは営業的金銭消費貸借ということになるわけです。

さらに、無登録貸金業者、いわゆるヤミ金も、反復継続してする意思があれば本条の「業として」に該当すると考えられますから、その者が行う貸付けは営業的金銭消費貸借となるわけです。

このように見てきますと、世の中で行われている金銭消費貸借の多くが営業的金銭消費貸借というくくりに入ってくるのかな、という感じがいたします。まず、ここのところを理解して、第2章が、どの範囲を射程に置いているのかを知っておく必要があります。
 では、5条の中身に入っていきます。

5条は、元本の額の特則ということですが、5条の本文を見てみたいと思います。「次の各号に掲げる利息に関する第一条の規定の適用については、当該各号に定める額を同条に規定する元本の額とみなす」となっており、「当該各号」というのは、5条の1号、2号ということですね。

__10_3 この1号、2号を一言でまとめたのがA、Bなんですけど、ここでは、「追加貸付の特則」、「同時貸付の特則」と言っておきますが、これら1号、2号に定める額を1条に規定する元本の額とみなす、と言っているわけですから、単純に、ある、特定のひとつの貸付だけで1条に規定する元本の額に照らして利息の上限が定まるわけではありませんよ、ということを言っているわけですね。

__11_2 では、追加貸付けの特則ですが、1号は、「営業的金銭消費貸借上の債務をすでに負担している債務者が同一の債権者から重ねて営業的金銭消費貸借による貸付けを受けた場合における当該貸付けに係る営業的金銭消費貸借上の利息に関する利息制限法1条の規定の適用については、当該すでに負担している債務の残元本の額と当該貸付けを受けた元本の額との合計額を元本とみなして適用するものとされたわけです。

この条文の中には、たくさんの要件が入り込んでいますね。
まず、先行の貸付け(以下、「先行貸付け」といいます)が営業的金銭消費貸借であることが必要です。
次に、後発の貸付け(以下、「後発貸付け」といいます)も、営業的金銭消費貸借であることを要します。
そして、後発貸付けは、先行貸付けと同一の債権者から行われることが要件です。
さらに、後発貸付が行われた際に、同一の債権者から、既に借入債務を負担しているという要件もあります。

そして、これらの要件に該当する場合には、先行貸付の残元本の額と後発貸付の元本の額との合計額を元本とみなして1条を適用するということになるわけですが、ここで間違えやすいのは、条文をよく読みますと、1条の規定が適用されるのは、後発貸付だけということになります。

 これらの要件を頭に入れながら、いろいろなケースを想定してみたいと思います。

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2008年11月 8日 (土)

改正利息制限法 講義録 5

__08  そして、今日のお話の中心は、「営業的金銭消費貸借の特則」ということになるわけですけど、「特則」と言う限りは「原則」がある、「原則」があって「特則」がある、ということになります。
 

 この表が、原則と特則とを表にしてみたものですが、まず、利息制限法の新旧の条文を見ながらこれを簡単に対比してみるとわかりやすいと思います。

 改正利息制限法を見てみますと、全部で9条の法律になっています。たった9条の法律ですけど、条文の長さを見ておわかりのように、中身が非常に濃く、また、わかりにくい法律になっています。

そして、第1章が「利息等の制限」となっていまして、それに対して、第2章が「営業的金銭消費貸借の特則」とされておりますので、第1章が原則、第2章が特則という組立になっていることがわかります。

 まず、「利息の制限」について、原則的な規定は第1章の中の1条で規定しているわけですが、それに対する特則は、第2章の5条ということになっておりまして、営業的金銭消費貸借の場合には、利息の制限はこのように考えるよ、ということが書いてあります。

 次に3条ですが、これは、みなし利息について原則的な規定をもうけていますが、これを、営業的金銭消費貸借の場合にはどうするか、ということが6条に書かれている、ということになっています。

 さらに、「賠償額の予定の制限」、すなわち、遅延損害金のことですが、これは、4条で原則的な制限を設けていますが、これに対して営業的金銭消費貸借の場合には、7条で特則を設けている、という組立になっています。

 最後に、「保証料の制限等」についてでありますが、これにつきましては、第1章の原則的な規定の中には制限をする規定がありません。つまり、営業的ではない金銭消費貸借の場合に、保証料を支払って第三者に保証委託するということはほとんど考えられないのに対しまして、営業的金銭消費貸借の場合には、保証料を支払って、業として保証をする第三者に保証委託をするということが頻繁に行われていることから、第1章には保証の制限等の規定はおかず、第2章の中にのみ、8条、9条で、保証料の制限等の規定を置いたものと考えられます。

 このように、まず、全体的に、原則的規定と特則の規定を対比してみますと、全体構造がわかりやすいかな、と思います。

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2008年11月 6日 (木)

改正利息制限法 講義録 4

__07  では、具体的に利息制限法を見ていきたいと思います。

 まず、「現行1条2項、4条2項の廃止」とありますが、現行1条というのは、利息の最高限を定めている規定なんですね。元本が10万円未満の場合には年2割ですとか、みなさんお馴染みの規定ですね。

 その2項では、「債務者は、前項の超過部分を任意に支払ったときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することはできない」というように規定しています。要するに、利息制限法で規定する利息を任意に支払ったときは、超えて支払った部分について返還を請求することができないという規定であるわけですが、あらためてこの条文を見ますと、現在たくさん行われている過払金返還請求は、何を根拠に不当利得として返還を請求しているのか、という疑問に陥る方もいらっしゃるかと思います。

 ここのところをどのように考えるか、ということですが、これにつきましては最高裁判例がいくつも出ているんですね。まあ、削除される法律ですからあまり詳しくお話ししても仕方ないのですが、簡単に歴史的変遷を見ておきますと、昭和39年11月18日の代表的な最高裁判決があります。これは、1条の2項についてどのように言っているかといいますと、「この規定は債務者が超過部分について任意に支払ったときはその超過部分について返還を請求することができないと規定しているけども、これは、元本に充当されるんだ、そういう意味なんだ」という趣旨のことを言っているわけですね。

元本に充当される前に「返してくれ」ということはできないんだ、と、そういうことを言っているわけです。そういう言い方によって、この条文を解釈しているんですね。
 次の代表的な判決としては、昭和43年11月13日の最高裁判決です。これはどのように言っているかといいますと、「利息制限法所定の制限を超える金銭消費貸借上の利息・損害金を支払った債務者は、制限超過部分の充当により元本が完済となったときは―これは、先ほどの昭和39年の最高裁判決により元本にまず充当されるんだ、ということを言っていたわけですね―、その後に債務の存在を知らないで支払った金額の返還を請求することができる」と、こう言っているわけです。

だから、過払金を返還請求することができるんだ、ということになるわけです。ですから、現行の1条2項をそのまま読んで、「なんだ、返還を請求することはできないんだ」と考えるのは間違いであるわけです。

 まあ、最高裁判決もこのように言っていますし、現状の実務も昭和43年判決の考え方により動いていますから、いずれにしても過払金返還請求の根拠は既に確立しているわけです。したがって、1条2項は誤解を招きやすい条文でありますし、考え方も確立しているということで、今回の改正では廃止することとされたわけです。
 4条2項も、こちらは損害金に関する同様な規定であります。したがって、1条2項と同様に廃止することとされたわけです。

 「金利概念の明確化」は先ほどお話しした趣旨ですが、後ほど詳しくお話ししたいと思います。

次に、新しい概念として「営業的金銭消費貸借の特則の創設」ということがあります。先ほど、現行利息制限法は、個人間の貸付であるとか法人がする貸付などをいっしょにして、シンプルな、たった4条の法律で規制しているというお話をしましたが、貸付を業として行う場合は、そうでない場合と分けて考えた方がわかりやすいし、今回の立法の背景として問題になったのはサラ金の問題ですから、そういった、業者が貸付をする場合にどのように規制していくかということが重要な視点であったわけです。それを「営業的金銭消費貸借の特則」というかたちで特則を設けたわけです。

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2008年11月 5日 (水)

改正利息制限法 講義録 3

__05 では、金利体制の適正化について、もう少し内容を見ておきたいと思いますが、ここにありますように、①上限金利の引下げ、②金利概念の適正化、③日賦貸金業者および電話担保金融の特例の廃止が柱とされています。

まず、上限金利の引下げにつきましては、貸金業法上の「みなし弁済」制度(グレーゾーン金利)を廃止し、出資法の上限金利を20%に引き下げる(これを超える場合は刑事罰を科す)ことになります。

これにより、10万円未満の営業的金銭消費貸借の場合には、利息制限法違反であると同時に出資法の高金利違反の罪となるわけですが、10万円以上の場合には利息制限法の上限利率(18パーセント、15パーセント)違反でありながら、出資法上の高金利違反とはならない場合も生じることとなります。
しかし、利息制限法の上限利率違反であるものが有効とみなされることはないわけでして、そのような貸付がされた場合には、貸金業法による行政処分の対象となるということです。

次に、「金利の概念の適正化」ということですが、一般に金銭の貸借というものは、個人間であったり、法人間であったり、または、法人と個人との間で行われるものであったり、様々な形態があるわけです。

従来は、そういったものすべてをシンプルな利息制限法で規制していたわけですが、改正利息制限法では、業として行う貸付けの利息につきましては特例を設けまして、契約締結費用および債務弁済費用も含むこととされ(ただし、公租公課・ATM手数料等を除く)、また、貸付利息と借主が保証業者に支払う保証料を合算して上限金利を超過した場合には、超過部分につき、原則として、保証料を無効とし、保証業者に刑事罰を科すものとされました。これにつきましては、後ほど詳しくお話しいたします。

そして、日賦貸金業者および電話担保金融の特例が廃止されます。日賦貸金業者、電話担保金融という制度そのものがなくなるということではなく、金利の特例がなくなるということです。もっとも、金利の特例がなくなるということは旨みがなくなるということですから、日賦貸金業者、電話担保金融という業態そのものもなくなっていくものと思われます。

このほか、出資法を改正し、金銭の貸借の媒介手数料の制限に関しては、従来は、その媒介に係る貸借の金額の100分の5に相当する金額を超える手数料の契約をし、またはこれを超える手数料を受領してはならないとしていましたが、貸借の期間が1年未満であるものについては当該貸借の金額にその期間の日数に応じ、年5パーセントの割合を乗じて計算した金額を超える手数料の契約をし、またはこれを超える手数料を受領してはならないものとされました。

さらに、金銭の貸借の保証の媒介については、これを制限する規定はありませんでしたが、これも出資法を改正し、金銭の貸借の媒介の制限と同様の規制を設けることとし、その媒介に係る保証の保証料の金額の100分の5に相当する金額を超える手数料の契約をし、またはこれを超える手数料を受領してはならないとし、保証の期間が1年未満であるものについては当該保証料の金額にその期間の日数に応じ、年5パーセントの割合を乗じて計算した金額を超える手数料の契約をし、またはこれを超える手数料を受領してはならないものとされました。

このような保証の媒介につきましては、媒介を行う者がその媒介に関し受ける金銭も、礼金、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、手数料とみなすことといたしました。

また、債権者が業として行う金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする業として行う保証において、保証人が主たる債務者から受けるべき保証料についても、利息制限法と同様の枠組みで出資法において刑罰の対象とされることになりました。

__06 さて、こうした金利体制の適正化について、どのように法律に落とし込んでいるか、ということですが、利息制限法の改正、出資法の改正という形で実現をしております。また、これらの改正にともなって、関係法律が整備されているということです。

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2008年11月 4日 (火)

改正利息制限法 講義録 2

__03 そこで、平成18年の改正貸金業法について、どのように施行されるか、ということを見ておきたいと思います。

今日のスライドでは4段階の施行というように見えますが、実は、詳しく見てみると、5段階の施行ということになっております。

5段階といいますのは、画面に出ています4つの前に、平成18年12月の公布と同時に施行されている部分があります。それは、「国の責務」です。多重債務問題を解決するんだ、という「国の責務」については、18年12月の法律公布と同時に施行されているわけです。

この「国の責務」の一環として、金融庁が多重債務対策本部を立ち上げ、また、各都道府県単位で多重債務対策のために、行政や弁護士会、司法書士会などを構成員とするチームが設置されているわけです。

もっとも、一般的には、画面にありますように、4段階での施行といわれているわけです。

まず、①の無登録営業、いわゆるヤミ金の罰則の強化ですが、この部分は、公布後1カ月、平成19年1月に施行されています。
そして、平成19年の12月には、改正法そのものが、一部を除いて施行されました。これは、本体施行などといわれています。

③の「指定信用情報機関の整備」、これは、施行日から1年半後、ここでいう施行日というのは②の施行日のことですから、平成21年春頃ということになるかと思います。

今回の貸金業法改正についての中身については、ご説明している時間はありませんが、総量規制ということがありまして、これを実効性あるものにするためには信用情報をキチンと整備する必要があるわけです。これには、少し時間がかかるということで、指定信用情報の整備につきましては第三段階ということになっているわけです。

そして、施行日から2年半以内、施行日というのは②の施行日ですから、平成22年春頃に、全面的に施行される、ということになるわけです。

今日、お話しする利息制限法の改正につきましては、この④の全面施行のタイミングで施行されることになるわけですね。

したがって、今日、これから勉強するわけですけども、実務として生かしていくというのはもう少し先になるわけです。この、改正利息制限法は、これまでにない、新しい概念が入ってきたり、条文も、かなりわかりにくい部分がありますが、今日のところは、「だいたいそんなものか」という感じで、全体像を掴んでいただければ、というように思っております。


__04  次に、平成18年改正貸金業法の柱ということですけども、この5つということになっているわけです。

①の「貸金業の適性化」につきましては、参入条件の厳格化、貸金業協会の自主規制機能の強化、行為規制の強化の3つが主なものです。

参入条件につきましては、純資産が5000万円以上であることを要することとし、貸金業務取扱主任者の試験制度を導入し、この合格者を営業所ごとに配置するなどの改正がなされています。

貸金業協会の自主規制機能の強化につきましては、貸金業協会を、認可を受けて設立する法人とし、貸金業者の加入を確保するとともに、都道府県ごとの支部設置を義務づけています。

行為規制の強化につきましては、不実告知等の禁止、借主の死亡による保険金を受け取ることとなる保険契約締結の禁止、公正証書作成委任状取得の禁止、日中の執拗な取立行為の禁止等、多くの改正がなされています。

②の「過剰貸付の抑制」につきましては、まず、貸金業者が借主の総借入残高を把握できるように指定信用情報機関制度を創設しました。そして、原則として、借入残高が年収の3分の1を超える貸付けを禁止するなどの改正を行っています。

③の「金利体制の適正化」、この主な内容としましては、業として金銭の貸付けを行う者が貸付けを行う場合の上限金利の引下げ、業として行う著しい高金利の罪の創設、利息とみなされるものの範囲に係る規定の整備等、であります。

④は「ヤミ金対策の強化」につきましては、法令の改正としてはヤミ金融に対する罰則の強化という改正が行われていますが、従来に比べ、昨今は取締りが強化されているとお感じになっている方も多いと思います。

⑤は「多重債務対策に対する政府をあげた取り組み」、これが、先ほどいいました、平成18年12月の公布と同時に施行されているところですね。

これを受けて、平成18年12月の閣議決定により、多重債務者対策の円滑かつ効率的な推進を図るため、内閣に多重債務者対策本部が設置されたわけです。
この多重債務者対策本部の検討課題は5つとされています。
①として、カウンセリング体制の充実、
②としてセーフティネットの充実、
③として金融経済教育の強化、
④としてヤミ金融の徹底した取締りを含む執行体制の強化、
⑤として改正法の円滑な実施等
ということになっています。

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2008年11月 3日 (月)

改正利息制限法 講義録 1

 11月1日と2日は、横浜で、日司連主催の「消費者問題対応実務セミナー」に行ってきました。

1日目は、「多重債務問題と司法書士倫理」(だったかな)というテーマのパネルディスカッションに宇都宮健児先生などといっしょに登壇させていただきました。その後、第1部では「任意整理・特定調停」の分科会で講義を行いました。

翌日は、朝から「改正利息制限法」の講義を行いました。改正利息制限法についてはまだまだ文献が乏しく、また、今回はビデオ撮影されるということなので90分間の講義時間を中途半端な講義で終わることもできませんので、早口で、なるべく漏れなくお話しさせていただきました。

ブログ上でも改正利息制限法の講義録をシリーズでUPしていきますので、皆様の忌憚のないご意見をお寄せ下さい。

__01_2ご紹介いただきました古橋清二です。 それでは、利息制限法の改正についてお話をさせていただきたいと思いますが、今日お話する内容は、民事法研究会から発行されております「実務のための新貸金業法」の中にも35ページばかり書かせていただいておりますので、是非ともお読みいただきたいと思います。

 この利息制限法の改正につきましては、詳しく解説した文献がまだ出ておりませんので、この本が最も詳しく書かれているのではないかと自負しておりますので、是非ともお求めになっていただきたいと思っています。


__02 それでは、中身に入っていきたいと思いますが、利息制限法に入る前に、従来の貸金業関係法がどのような経過を辿ってきたのか、ということを少し振り返っておきたいと思います。

 まず、昭和58年に貸金業法が成立したわけで、当時は、貸金業規制法という名称であったわけです。これは、いわゆるサラ金地獄の時代といわれる昭和50年代に、高金利で苦しむ市民の、夜逃げであるとか、自殺であるとか、そういった悲劇が多数発生したことから、貸金業者を規制するために貸金業法が成立したわけですね。

 その際に、出資法も改正して、利息について高金利処罰の規定を設けたわけですね。出資法では、109.5パーセント、これを超えるような金利で金銭を貸し付けた場合には刑罰をかけますよ、ということを定めたわけですね。
 このころ営業した貸金業者の多くは、利息制限法を超過する利息で営業をしていたわけですが、こうした、貸金業法、出資法の立法によって、グレーゾーンというものが生まれてきたわけです。

すなわち、貸金業法43条で、一定の要件、要件といいますのは、貸付をしたのが登録貸金業者であること、貸付の際に、契約内容・貸し付け条件等、法が要求する記載事項を完備した契約書面を交付していること、いわゆる17条書面ですね、それから、弁済を受けた場合には、弁済金の充当関係など、法が要求する記載事項を完備した受取証書、いわゆる18条書面ですね、これを交付していること、そして、顧客が弁済を任意に行ったものであること、こういった要件を全てクリアーしていることを条件として、利息制限法を超過する利息であっても「有効な利息の支払いとみなす」という、いわゆるみなし弁済の規定を設けたわけですね。

もちろん、出資法の範囲内でなければならないわけですが、こういうことで、グレーゾーン金利といものが生まれてしまったわけですね。

 その後、出資法の規制する利率は段階的に下げられていったわけですけれど、グレーゾーン金利が存在しているということは変わっていないわけです。

 次に、平成11年貸金業法改正となりますが、これは、いわゆる商工ローン問題に端を発したものです。当時、日栄ですとか、商工ファンドなどといった事業者向けの貸金業者が非常に強硬な取立てを行っていた、たとえば、返済を迫って、「腎臓売れ」とか「目ん玉売れ」などといった強硬な取立てを行って社会問題になったわけですね。そこで、金利についても社会的にクローズアップされたわけですね

。そこで、出資法の金利を29.2パーセントまで下げるという立法が実現したわけですね。

 平成15年の貸金業法改正は、ヤミ金の問題です。そこでまた、金利がクローズアップされまして、再び、貸金業のあり方、金利のあり方が議論されまして、この改正の際には、3年を目処に、貸金業のあり方、利息のあり方について見直すという付帯決議がされたわけです。そして、その3年間、消費者側からは、出資法の金利は利息制限法まで引き下げるべきだ、という運動が展開されましたし、貸金業の業界からは、規制は極力なくすべきだ、出資法の利息は29.2パーセントからもっと引き上げるべきだ、という働きかけがされたわけです。

 その結果、平成18年12月に貸金業法が改正されて、グレーゾーンをなくすという立法がされたわけです。もっとも、いきなりグレーゾーンをなくしてしまうと貸金業者も大きな混乱に陥るということで、利息に関する施行期日は、交付から約3年半後、すなわち、平成22年頃ということになると思いますけれど、この間に、貸金業者がシステム変更ですとか、いろいろな準備をしなさい、ということになったわけです。

 こうして、およそ四半世紀の間、グレーゾーンという特殊な金利体系が続いたことにより、様々な被害が起きていた、ということが事実としてあるわけです。

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