改正利息制限法 講義録 1
11月1日と2日は、横浜で、日司連主催の「消費者問題対応実務セミナー」に行ってきました。
1日目は、「多重債務問題と司法書士倫理」(だったかな)というテーマのパネルディスカッションに宇都宮健児先生などといっしょに登壇させていただきました。その後、第1部では「任意整理・特定調停」の分科会で講義を行いました。
翌日は、朝から「改正利息制限法」の講義を行いました。改正利息制限法についてはまだまだ文献が乏しく、また、今回はビデオ撮影されるということなので90分間の講義時間を中途半端な講義で終わることもできませんので、早口で、なるべく漏れなくお話しさせていただきました。
ブログ上でも改正利息制限法の講義録をシリーズでUPしていきますので、皆様の忌憚のないご意見をお寄せ下さい。
ご紹介いただきました古橋清二です。 それでは、利息制限法の改正についてお話をさせていただきたいと思いますが、今日お話する内容は、民事法研究会から発行されております「実務のための新貸金業法」の中にも35ページばかり書かせていただいておりますので、是非ともお読みいただきたいと思います。
この利息制限法の改正につきましては、詳しく解説した文献がまだ出ておりませんので、この本が最も詳しく書かれているのではないかと自負しておりますので、是非ともお求めになっていただきたいと思っています。
それでは、中身に入っていきたいと思いますが、利息制限法に入る前に、従来の貸金業関係法がどのような経過を辿ってきたのか、ということを少し振り返っておきたいと思います。
まず、昭和58年に貸金業法が成立したわけで、当時は、貸金業規制法という名称であったわけです。これは、いわゆるサラ金地獄の時代といわれる昭和50年代に、高金利で苦しむ市民の、夜逃げであるとか、自殺であるとか、そういった悲劇が多数発生したことから、貸金業者を規制するために貸金業法が成立したわけですね。
その際に、出資法も改正して、利息について高金利処罰の規定を設けたわけですね。出資法では、109.5パーセント、これを超えるような金利で金銭を貸し付けた場合には刑罰をかけますよ、ということを定めたわけですね。
このころ営業した貸金業者の多くは、利息制限法を超過する利息で営業をしていたわけですが、こうした、貸金業法、出資法の立法によって、グレーゾーンというものが生まれてきたわけです。
すなわち、貸金業法43条で、一定の要件、要件といいますのは、貸付をしたのが登録貸金業者であること、貸付の際に、契約内容・貸し付け条件等、法が要求する記載事項を完備した契約書面を交付していること、いわゆる17条書面ですね、それから、弁済を受けた場合には、弁済金の充当関係など、法が要求する記載事項を完備した受取証書、いわゆる18条書面ですね、これを交付していること、そして、顧客が弁済を任意に行ったものであること、こういった要件を全てクリアーしていることを条件として、利息制限法を超過する利息であっても「有効な利息の支払いとみなす」という、いわゆるみなし弁済の規定を設けたわけですね。
もちろん、出資法の範囲内でなければならないわけですが、こういうことで、グレーゾーン金利といものが生まれてしまったわけですね。
その後、出資法の規制する利率は段階的に下げられていったわけですけれど、グレーゾーン金利が存在しているということは変わっていないわけです。
次に、平成11年貸金業法改正となりますが、これは、いわゆる商工ローン問題に端を発したものです。当時、日栄ですとか、商工ファンドなどといった事業者向けの貸金業者が非常に強硬な取立てを行っていた、たとえば、返済を迫って、「腎臓売れ」とか「目ん玉売れ」などといった強硬な取立てを行って社会問題になったわけですね。そこで、金利についても社会的にクローズアップされたわけですね
。そこで、出資法の金利を29.2パーセントまで下げるという立法が実現したわけですね。
平成15年の貸金業法改正は、ヤミ金の問題です。そこでまた、金利がクローズアップされまして、再び、貸金業のあり方、金利のあり方が議論されまして、この改正の際には、3年を目処に、貸金業のあり方、利息のあり方について見直すという付帯決議がされたわけです。そして、その3年間、消費者側からは、出資法の金利は利息制限法まで引き下げるべきだ、という運動が展開されましたし、貸金業の業界からは、規制は極力なくすべきだ、出資法の利息は29.2パーセントからもっと引き上げるべきだ、という働きかけがされたわけです。
その結果、平成18年12月に貸金業法が改正されて、グレーゾーンをなくすという立法がされたわけです。もっとも、いきなりグレーゾーンをなくしてしまうと貸金業者も大きな混乱に陥るということで、利息に関する施行期日は、交付から約3年半後、すなわち、平成22年頃ということになると思いますけれど、この間に、貸金業者がシステム変更ですとか、いろいろな準備をしなさい、ということになったわけです。
こうして、およそ四半世紀の間、グレーゾーンという特殊な金利体系が続いたことにより、様々な被害が起きていた、ということが事実としてあるわけです。
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