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2008年12月 4日 (木)

改正利息制限法 講義録 16

さて、次は、根保証の場合の扱いです。

 根保証(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証をいう。以下同じ)である場合には、その保証料が主たる債務の元本に対する割合をもって定められている場合を除き、保証契約のときに現に存する主たる債務の元本に係る法定上限額とすることとされました。
 
このように、根保証の場合には、法定上限額の算出時を保証契約締結の時とし、同時期の主たる債務の元本によって計算することとされました。ただし、保証料が主たる債務の元本に対する割合をもって定められている場合は本項の適用はありません。

 根保証契約の際における保証料の定め方も様々なパターンがあると思いますが、未だ融資は実行されていないのに、保証料については、たとえば、一定の根保証額を基準にして一定の率で確定額を算出するというような場合には、未だ発生していない債務額を基準として定めた保証料額と実際の債務額に対する利息を、法定上限額で合理的に規制することができません。

そこで、保証料が主たる債務の元本に対する割合をもって定められている場合を除いて、法定上限額を保証契約のときに現存する主債務の元本に係る法定上限額に固定することにより、法定上限額における利息と保証料額の割当てのバランスを図ろうとしているものと考えられます。

__42 そして、根保証の場合も、主たる債務が固定利率の場合には法定上限額の範囲で保証料を考えるということになりますし、変動利率の場合には、特約上限利率の定めがあるかどうかによって、保証料の制限がある方が変わってくるということになります。画面は、固定利率の場合のイメージです。

次の画面が、変動利率で特約上限利率の定めのある場合のイメージです。

__43

そして、次の画面が、変動利率で特約上限利率の定めのない場合のイメージです。

さて、そうしますと、実は、保証人にとっては誠に酷な結果となってしまうことがあります。根保証契約を締結したが、未だ融資は実行されていないという例を考えてみて下さい。
その場合、「保証契約のときに現に存する主たる債務の元本に係__44る法定上限額」ということですが、主たる債務の元本はゼロですから、法定上限額もゼロです。つまり、保証人は保証料を全くもらうことができなくなってしまうわけです。

そこで、根保証の場合には、「特別の措置」という規定が設けられています。

すなわち、次の3つの要件にあてはまる場合には、元本極度額を主たる債務の元本の額、元本確定期日を弁済期として、法定上限利率や特約上限利率を計算してもよい、ということにしました。

__45 その3つの要件の一番目は、元本極度額および元本確定期日の定めがある根保証であることです。そもそも、この定めがなければ、法定上限額の計算をすること自体できないわけですね。

2番目は、主たる債務者が個人の場合には、保証の業務に関して行政機関の監督を受ける者として政令で定める者が保証人である場合に限られることです。

なぜ、保証人の属性について制限を設けたか、ということですが、この規定が全ての保証人に適用されるということになりますと、実際の融資に対して過大な元本極度額が設定されることにより法定上限額が高額となってしまうことがあるからです。
このように濫用のおそれがあることから、債務者および保証人の属性について一定の制限を設けたわけです。
__46 ちなみに、「政令で定める者」とは、保証協会など、濫用のおそれがないと考えられるところが定められています。

なお、債務者が法人の場合には、保証人の属性について規制はされていません。それは、今回の利息制限法の改正の背景が多重債務問題の解決という点にあったためであって、法人の債務者については議論がなされていなかったからである、と言われています。

そして、3番目の要件が、債権者が法令の規定により業として貸付けを行うことができない者である場合を除くということです。

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