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2010年8月21日 (土)

静岡県司法書士会裁判事務研修会「詐欺的金融商品被害について」(白井晶子弁護士)メモ

1 未公開株被害

 「秋には上場します!」等の電話勧誘、パンフレット、技術を掲載した新聞記事等で勧誘。
  結局上場せずに、購入者が騒ぎ出した頃に販売会社と連絡がとれなくなり、被害が一気に顕在化する。発行会社に連絡をとっても、発行会社は「関係ない」という対応。

違法性の所在 価値を偽る商品の販売。
損害回復の方法  詐欺→当初から上場するつもりはなかったとの立証を要する。そこで、価値を偽る社会的妥当性のない不法行為で訴えているのが実情。
金商法違反→業法違反だからといって私法上の効果まで直接的に影響を及ぼすものではない。価格が適正ではないということを直接立証するのは困難であるので、ひとつの事情として金商法違反を持ち出すこともある。

訴訟についての注意点
会社だけではなく、取締役、従業員も被告とする。民法上の共同不法行為という構成でいいのではないか。役員等として名義を貸していることもあるので、被告はなるべくたくさん並べたほうがいい。ただし、取締役、従業員の住所は、登記申請書を閲覧したり、携帯電話の番号で契約者を23条照会するなどして調べることがある。日本商品先物取引協会に照会することもある。相手方の会社に当事者照会することもある。刑事事件になっている場合には刑事記録の文書送付嘱託を使うことも。
送達がうまくいかない場合は休日送達、付郵便、公示送達等になることも多いが、実は、ここが大きなハードルになることが多い。裁判自体はそれほど大変できない。
裁判に勝手も回収できないこともあるので、その点、依頼者に伝えておくこと。ただし、徹底的にやっていれば、噂が広がって、別の事件1がすんなり1解決する必要がある。

先物の事件などは、本人尋問をやるまでは、依頼者に対し、どのようにだまされたのか説明はしない。説明をしてしまうと、尋問が整然と行われることとなり、裁判所に「仕組みをわかっているじゃないか」という印象を与えてしまう。

会社とは連絡がとれなくなった場合に「高額で買い取ってあげる」という劇場型の二次被害も発生している。→単位が足らないので不足の数を買わされるという被害。
「よく話を聴いて、おきしいと思ったらやめなさい」→こういう指導はだめ。よく話を聞いたらだまされてしまう。悪徳商法と断定して、話を聴かないように、電話もガチャ切りするように指導すること。被害者は欲が深いわけではなく、どちらかというとお人よしが多いのでは。

2 先物取引被害
 国内公設先物取引被害は減少傾向。この原因は、業者の取引高自体が減少しているため。
平成23年1月、商品先物取引法施行予定。これにより、不招請勧誘は禁止となる。ただし、具体的には政令で定められることになる。→業界としては壊滅的な打撃を受けることになろう。
先物取引自体は違法ではないので、取締役や従業員を被告にする例は少なかったが、今後、業社自体が破綻する恐れがあるので、今後は、取締役、従業員等も被告として入れることを検討すべき。
先物取引の仕組み 小額の証拠金を担保として預けて、その何倍もの取引を行うことができる。国内公設の場合は取引の取次を受ける受託者(善管注意義務あり)。公設でない場合(ロコロンドン等)は取次ぎではなく相手方そのものであるから商法そのものが詐欺的。

先物取引被害者も欲ぼけではない。最初は少額で設けさせておいて、追加の証拠金(追証)を出させ、今やめたらかなりの損をすることになる、という具合に、抜けられないようにしていく。
取引についての確認書や同意書が多数取られている場合もある。しかし、それがあっても損害賠償請求はできるのであきらめない。取引終了後に当事者間で和解合意がなされていると、和解の効力の問題となるので、まだ和解していないのなら、当事者間で和解しないように指導すること。全体として、一連一体の不法行為として考える。時効は取引終了時からであるが、不法行為を認識したときからという判例もある。
日本商品先物協会の仲裁斡旋は業者の論理が強いのでお勧めできない。できれば、裁判の方がいい。

業者から取引の資料を出させて、分析ソフトを使って取引を分析する。そうすると、追証を出させておいて、それで商品を買ったりしていることがある。

3 海外商品先物取引
海先法。参入規制がないので違法業者、行政処分が多い。行政処分を受けていない業者は返金してくることもある。なぜなら、さっさと支払うものは支払って、他の顧客を開拓したほうがいいからであると思われる。

4 CFD取引
 取引所を通さない業者との相対取引である。だいたいは、取引所のレートを参考にして業者が価格を一方的に定める。相対取引であるにもかかわらず、証拠金、手数料を徴求し、あたかも取次委託と誤認させる。取引が公認されているものではなく、実質的には賭博であり、かつ、違法性が阻却されない。

5 海外先物オプション取引
 法規制なし。
海外先物のポジションを売買する権利の取引(何だかよくわからない)。難解なもの。

6 各種ファンド商法
出資法違反、。適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供等をあわせて主張すること。

7 注意点
 本人が気がついていない問題点がたくさん出てくることがある。そもそも、先物取引業者は悪徳業者だという認識が必要。

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