« 土地購入者が地中埋蔵物の存在により工法変更を余儀なくされた事例で土地の瑕疵担保責任を認定した事例(福岡地裁小倉支部(第一審)平成21年7月14日) | トップページ | 静岡県司法書士会裁判事務研修会「詐欺的金融商品被害について」(白井晶子弁護士)メモ »

2010年8月20日 (金)

不動産登記規則92条の解釈

不動産登記規則92条とは、次の条文である。

(行政区画の変更等)
第92条  行政区画又はその名称の変更があった場合には、登記記録に記録した行政区画又はその名称について変更の登記があったものとみなす。字又はその名称に変更があったときも、同様とする。
2  登記官は、前項の場合には、速やかに、表題部に記録した行政区画若しくは字又はこれらの名称を変更しなければならない。

 素直に読めば、1項は、表題部、甲区、乙区全ての読替規定であり、2項は、表題部について登記官が職権で変更登記をする規定であるように見える。

 ところが、この92条が「表示に関する登記」の節に置かれているので話をややこしくしている。すなわち、92条は表題登記に関する規定であり、甲区、乙区には適用されないという解釈が、どうも通説になっているようだ。では、なぜ、甲区について、行政区画等の変更による所有権登記名義人住所変更登記等をせずに抵当権設定等の登記をすることができるかであるが、これは、行政区画等は「公知の事実」だから、ということらしい。

 これに対し、旧不動産登記法では、規則92条1項と同様の規定が総則に置かれていたために、甲区、乙区についても読替える趣旨の規定になっていた。

 旧法時代は、このようなみなし規定が存在していたために、明確な法律上の根拠があって所有権登記名義人住所変更登記等をする必要はなかったが、新法では、「公知の事実」という、やや曖昧な解釈で所有権登記名義人住所変更登記等を不要とするということだ。

何か釈然としない。後付の理由のように見えるのは僕だけだろうか。そもそも、規則92条を「表示に関する登記」の節に置いたのが間違いではないのか? 仮に間違いではないにしても、条文を素直に読めば、何ら解釈の変更をする必要はなかったのではなかろうか? 

|

« 土地購入者が地中埋蔵物の存在により工法変更を余儀なくされた事例で土地の瑕疵担保責任を認定した事例(福岡地裁小倉支部(第一審)平成21年7月14日) | トップページ | 静岡県司法書士会裁判事務研修会「詐欺的金融商品被害について」(白井晶子弁護士)メモ »

コメント

根拠は登記研究748号48ページでしょうか?
「公知の事実」ならば、所有権登記名義人住所変更登記等をしなくてもよいという規定はないのではないかと思います。
私も、釈然としません。

投稿: 小林亮介 | 2010年8月20日 (金) 19時38分

小林さん。コメントありがとうございます。ご指摘のとおりです。

また、名古屋、京都、栃木管内では下記のような通知が出ているようです(静岡管内は取扱の変更はないようです)。

行政区画の変更を伴う登記名義人住所変更登記の取扱いについて(お知らせ)

 従来,住所移転後に地番変更を伴わない行政区画の変更があり,その登記名義人住所変更登記を一件で申請するときは登録免許税を要するとされていました(昭和48年11月1日付け民三第8187号民事局長回答)。

 これは,旧不動産登記法第59条によって,行政区画の変更があったときは登記簿に記載した行政区画は当然これを変更したものとみなすこととされていたことから,住所移転後に行政区画の変更があっても,当該行政区画の変更は登記事項とはならず,住所移転事項のみを登記事項として登録免許税を徴収していたものです。

 行政区画の変更に関するみなし規定については,従来は,旧不動産登記法第59条によって登記手続の通則として,表示に関する登記、権利に関する登記を問わず適用されていたのが,昨年3月7日の改正不動産登記法等の施行後は,不動産登記規則第92条によって表示に関する登記に限られることとなり,権利に関する登記については適用されないこととなりました。

 このことにより,権利に関する登記については、行政区画の変更があっても当然に変更されたものとはみなされず,住所移転後に行政区画の変更があった場合は,住所移転事項と行政区画変更事項の両方が登記事項となり,申請書に市町村長の変更証明書を添付すれば,登録免許税法第5条5号を適用して非課税となりますので,参考としてお知らせします。

 なお,権利に関する登記について,行政区画の変更があっても当然に変更されたものとはみなされないものの,公知の事実であることから,行政区画の変更だけの場合は、所有権移転登記等の前提登記として行政区画の変更登記を求めるものではないことを申し添えます。

投稿: 古橋清二 | 2010年8月21日 (土) 09時01分

お久しぶりです。
建設機械登記規則での準用は空振りでしょうか。
表題部には、行政区画が登記されることはないのです。
打刻記号として、東京などが
車のナンバーとして、品川などが
登記されるが、行政区画が変更しても、それらは当然には変更されないのです。
ーーーー
抵当証券法施行細則は無効なのでしょうか。
法の施行に関しての細則は法務大臣が定める。という規定は附則にあるので、いわゆる経過規定のみをさすことになります。場所的にいえばです。
この場合の経過規定の必要性はないけれども・・まったく新しい制度なので・・

投稿: みうら | 2010年9月 4日 (土) 19時57分

表題部所有者の住所などにも適用があるのでしょうか。

局限りではなくて、法務省に照会してくれるといいんですがね。
回答・通知という形で統一されることになります。

乙区だけ閉鎖できないシステムだがどうしたらよいか。
当面全部閉鎖する。という回答がついきんでましたけど。
5年間もそういう事例がなかったってことですか。
局限りで処理していたのですか。

22.3.23姶良市制施行による立木変更は申請しなければ表題部を変更できないそうです。

投稿: みうら | 2010年9月 4日 (土) 20時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/109222/36265872

この記事へのトラックバック一覧です: 不動産登記規則92条の解釈:

« 土地購入者が地中埋蔵物の存在により工法変更を余儀なくされた事例で土地の瑕疵担保責任を認定した事例(福岡地裁小倉支部(第一審)平成21年7月14日) | トップページ | 静岡県司法書士会裁判事務研修会「詐欺的金融商品被害について」(白井晶子弁護士)メモ »