« ブレーンストーミング 抵当権抹消の巻 | トップページ | 静岡県司法書士会、武富士対策本部を設置しました »

2010年9月10日 (金)

ブレーンストーミング 抵当権抹消の巻  回答編

古橋の勝手な回答です。

【問題1に対する回答】
 不動産の権利に関して訴訟を提起する場合、物権的請求権によるのか債権的請求権によるのかを事件の内容により判断する必要がある。
債権的請求権では、債務の発生原因事実、抵当権設定契約の存在、債務の弁済(しからずとも時効援用権の代位行使による債務の消滅)、抹消登記義務の不履行という構成が考えられるが、債務の弁済の立証責任はXにあるため、実質的には時効援用することになると思われる。
しかし、本件の場合には、物権的請求権で、所有権の妨害排除請求として構成した方が簡便であると考えられる。その場合の請求原因事実は、Xの所有権、Y会社の抵当権の存在だけを主張・立証すればよい。この場合、Y会社の代表取締役としては、被担保債権の存在を主張しなければならないが、資料は全くないとのことであるので主張・立証不能と思われる。仮に、債権の存在の主張・立証が功を奏した場合には、Xとしては時効の抗弁を提出することになり、実質的に債権的請求権で争うことになる。

【問題2に対する回答】
Y会社は職権解散されていて、清算人も選任されていないのであるから、解散当時の取締役が法定清算人となっていた。ところが、法定清算人も全員死亡しているのであるから、Y会社を代表する者がいない状態である。そこで、非訟事件手続で清算人を選任することが考えられる。実務上は、清算人候補者は申立人が推薦するので、清算人が選任されれば、Xとの共同申請により抵当権抹消登記が可能となる。
このほか、抵当権抹消登記手続請求訴訟を提起することも考えられる。その際には、緊急性があれば民事訴訟法上の特別代理人の選任申立をすることも考えられるが、非訟事件手続で清算人を選任するのは特に時間を要しないため、裁判所は特別代理人の選任に消極であると考えられる。そうすると、結局のところ、非訟事件手続で清算人を選任することになるのであるから、訴訟手続をせずとも、清算人と共同申請で抵当権を抹消すればいいことになる。

【問題3に対する回答】
Y会社は破産終結により会社を代表する者がいない状態である。そこで、非訟事件手続で清算人を選任することが考えられる。実務上は、清算人候補者は申立人が推薦するので、清算人が選任されれば、Xとの共同申請により抵当権抹消登記が可能となる。

|

« ブレーンストーミング 抵当権抹消の巻 | トップページ | 静岡県司法書士会、武富士対策本部を設置しました »

コメント

静岡地裁はだめだそうですね
静岡市内の会社の強制執行で、特別代理人拒否でした。
東京地裁は、清算人の方がが消極ですね。だって、やめられないから。

投稿: みうら | 2010年9月10日 (金) 18時38分

民事訴訟法上の特別代理人は、ハードルが高い裁判所もありますね。
非訟事件手続で選任された清算人は、所期の目的を達成したら、選任取消決定を出すようにしてもらっています。いつまでも清算人になっているのはいやですからね。

投稿: 古橋清二 | 2010年9月10日 (金) 19時20分

法令上はそのスポット運用と呼ばれるものはおかしいですけどね・・
入院していた人が退院した。
実は解散していなかった。とかが本来になります。

投稿: みうら | 2010年9月11日 (土) 19時18分

大変参考になります。

ふと疑問に思ったのですが、①抵当権が所有者に対抗できる場合(前所有者時に設定して売買時に抹消しなかった)や②所有権又は所有権移転請求権の仮登記の場合でも同じように考えられるのでしょうか?

1原告は現在所有している
2被告の登記がある

投稿: 求道 | 2010年11月12日 (金) 10時45分

コメントありがとうございます。
①抵当権が所有者に対抗できる場合(前所有者時に設定して売買時に抹消しなかった)
 同じ考え方でいいと思います。この場合も、単に売買時に抹消しなかったということであれば被担保債権は弁済によのり消滅していると思われますので、債権的請求権で訴訟提起してもかまわないと思いますが、物権的請求権による請求の方が請求の原因としてはシンプルですね。

②所有権又は所有権移転請求権の仮登記の場合
 所有権移転請求権の仮登記は抵当権と同じように物権的請求権で請求の原因を書けばいいと思います。なぜなら、登記されている所有権は真正なものと推定されますので、その所有権にもとづく妨害排除請求が可能であるからです。
問題は、所有権を抹消したい場合です。請求の趣旨は、所有権の抹消登記手続をせよ、ということになるのですが、抹消すべき所有権が登記されているわけですから抹消すべき所有権に登記の推定力が働いてしまうと思います。そうすると、その推定を覆さないといけないわけですから、結局のところ、所有権移転の原因である売買契約が無効であるとか取り消したなどの債権的請求で請求原因を組み立てることになると思います。

投稿: 古橋清二 | 2010年11月12日 (金) 11時14分

ご教示ありがとうございます。

実は先順位の代物弁済予約の所有権移転請求権仮登記の抹消手続きの訴えで、代物弁済予約日の翌日から10年経過しているので、時効消滅によるか、妨害排除によるかで迷っていました。

とりあえず妨害排除で訴えて、向うが被担保債権の弁済期を立証した場合は、抗弁で時効消滅を主張しようと思いました。

100%私の決断ですので…

投稿: 求道 | 2010年11月12日 (金) 16時33分

ご教示ありがとうございます。

実は先順位の代物弁済予約の移転請求権の抹消の訴えで、妨害排除にするか予約日の翌日から10年経過しているので時効にするか迷ってました。

①妨害排除②弁済期の立証があったら時効、でいこうと思いました。

私の責任で決めたことですので…

投稿: 求道 | 2010年11月12日 (金) 16時42分

①妨害排除②弁済期の立証があったら時効・・・。たぶん、私も同じように考えると思います。がんばってください。

投稿: 古橋清二 | 2010年11月12日 (金) 16時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/109222/36496496

この記事へのトラックバック一覧です: ブレーンストーミング 抵当権抹消の巻  回答編:

« ブレーンストーミング 抵当権抹消の巻 | トップページ | 静岡県司法書士会、武富士対策本部を設置しました »