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2011年10月19日 (水)

相続させる旨の遺言の存在と遺産分割協議の可否

簡単な問題のようで、実は奥が深い。

相続させる旨の遺言が効力を生じると(つまり、遺言者が死亡すると)、即座に遺言の効力が生じて物権変動の効果が生じるというのが最高裁の判例の趣旨である。そこで、このような遺言が存在していることを知りながら、相続人間で同一物件について遺産分割できるかどうかが問題となる。なぜなら、すでに所有権移転の物権変動が実体上は生じてしまっているならば、当該物件は相続財産として存置されているわけではないから、すでに遺産分割の対象財産ではなくなっていると考えられるからである。

これについて、遺言が効力を生じたことにより当該物件を取得した(又は取得するとされている)者は、遺贈の受諾拒否と同様、その効力発生による利益を放棄することができるという解釈が有力であるようだ。したがって、その「利益の放棄」を前提として遺産分割をすることができるということになる。

さて、次の問題は、その「利益の放棄」をすることによって、物件変動は相続開始時に遡ってなかったことになるのか、又は、あくまでも物件変動は生じているもののこれを共有物分割という考え方で実質的に遺産分割されるのか、ということが問題として登場してくる。ここまでくると、学者の先生に決めてもらわなければならない。

いずれにしても、遺言をすること、遺産分割をすることは、いずれもすぐれて個人的・自治的な問題であって、そこに、国家や法律が必要以上に介入する必要はないとも考えられる。

しかし、相続させる旨の遺言が存在しなから、相続人全員の同意のもとで遺産分割協議を行うのであれば、後日の紛争を回避するために、すくなくとも、遺言が存在していたこと、当該遺言によって利益を得た者はその利益を放棄すること、そのうえで遺産分割を行うことを明示の文書で残しておく必要がありそうだ。

以上が、昨日開催された浜松支部の業務研究委員会で議論された内容の一部である。

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