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2012年1月25日 (水)

398条の20第1項3号、4号による元本確定

昨日は、根抵当権設定者又は根抵当権者からの元本確定請求について勉強したが、今日は、別の事由で根抵当権が確定する場合について考えてみたい。

(根抵当権の元本の確定事由)
第三百九十八条の二十  次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一  根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二  根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三  根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四  債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2  前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

1項1号については、不動産に差押の登記の登記がされるわけだから、確定したことは登記簿上明らかであるという理由で確定登記は不要とされている。2号についても同様に、確定登記は不要とされている。
3号については、根抵当権者の主観的な問題であるから、確定登記をしなければ確定したことがわからない。4号については、登記簿上で破産手続開始決定があったことがわかる場合とわからない場合とがある。

では、詳しく考えてみよう。
まず、3号。
「根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始」があったことを知るのは、競売の場合は、民事執行法49条2項の催告書を受け取ることによって知ることとなる。

民事執行法
第四十九条  強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合(その開始決定前に強制競売又は競売の開始決定がある場合を除く。)においては、裁判所書記官は、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない。
2  裁判所書記官は、配当要求の終期を定めたときは、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公告し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(利息その他の附帯の債権を含む。)の存否並びにその原因及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届け出るべき旨を催告しなければならない。
一  第八十七条第一項第三号に掲げる債権者
二  第八十七条第一項第四号に掲げる債権者(抵当証券の所持人にあつては、知れている所持人に限る。)
三  租税その他の公課を所管する官庁又は公署

したがって、同催告書を添付して元本確定登記を申請をすることとなる。

国税徴収法
(質権者等に対する差押えの通知)
第五十五条  次の各号に掲げる財産を差し押さえたときは、税務署長は、当該各号に掲げる者のうち知れている者に対し、その旨その他必要な事項を通知しなければならない。
一  質権、抵当権、先取特権、留置権、賃借権その他の第三者の権利(担保のための仮登記に係る権利を除く。)の目的となつている財産 これらの権利を有する者
二  仮登記がある財産 仮登記の権利者
三  仮差押え又は仮処分がされている財産 仮差押え又は仮処分をした保全執行裁判所又は執行官

Dsc_0130 滞納処分による差押えの場合には、国税徴収法55条による通知により根抵当権者が知ることとなるので、同通知を添付して元本確定登記を申請することとなる。

なお、いずれの場合も根抵当権者の単独申請でよく、その場合、根抵当権者が登記権利者となるらしい。

不動産登記法
(根抵当権の元本の確定の登記)
第九十三条  民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。ただし、同項第三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。

次に、4号の「債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき」であるが、破産法改正により、根抵当権設定社が自然人の場合には、不動産に破産の登記が嘱託登記される。法人の場合は法人登記簿に破産の登記がされるが不動産登記簿には破産の登記がされない。また、実務上は、自然人の破産の場合にも不動産登記簿の破産の登記がされないことが多い。

とすると、自然人の破産で不動産登記簿に破産登記がなされた場合は元本確定登記をする必要はなさそうだが、それ以外の場合には元本確定登記をする必要がありそうだ。したがって、破産決定、官報等を添付して元本確定登記を申請することとなるのだろう。
そして、この場合も、根抵当権者の単独申請でよく、その場合、根抵当権者が登記権利者となるらしい。

さて、ここで注意しなければならないのは、「三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない」とされている点だ。典型例としては、根抵当権の代位弁済による移転登記とあわせて申請するような場合でなければすることができないということだ。

しばらく勉強を怠っていたが、たかが元本確定登記、されど元本確定登記、である。いつの間にか複雑なことになっていた。

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