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2012年1月 5日 (木)

抵当権の効力はどこまで及ぶか(付可物の範囲はどこまでか)

Dsc_0110 民法370条は、抵当権の効力の及ぶ範囲として「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ」と規定しているが、現実にどのような状態であれば「不動産に付加して一体となっている物」となっているかの判断は難しい。
これについては、民法242条の「不動産の付合」の規定「不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。」がどのように適用されるかが問題となる。
 
事例1
東京地裁昭和55年1月28日判決
Yが公正証書にもとづき甲の所有物として乙の建物に設置した空調機64台を差し押さえたところ、乙の建物に根抵当権を設定していたX信用金庫が、空調機は建物に付合しているので甲の所有物ではなく、乙の所有であると認定。

事例2
熊本地裁昭和54年8月7日判決
エレベーターの工事業者Xが、建物工事業者にエレベーターを工事・納品(但し代金納付ので所有権を留保)したところ、建物工事業者は倒産。Xが建物発注者Yにエレベーターの返還を請求したところ、本件エレベーター一式が取引上もはや独立性を失つているとの点を認めるに足りる証拠はないとして請求を認容。

裁判所はどういう点を見て判断したか。

事例1について
冷暖器は、本件ビルの四階から一一階までの各階の壁面に八個ずつ取り付けられた冷暖器設備で、縦四〇・七センチメートル、横一〇六・七センチメートル、奥行四八センチメートルの大きさで、八〇キログラムから八七キログラムの重量のものであること、本件ビルの右各階は、右冷暖器を埋め込むことができるように設計され、右各階の壁面には右冷暖器の大きさに合わせた穴が空けられており、右冷暖器はその箇所にボルトで固着する方法で据付けられ、かつ、ビルの内部と外部とを遮断する壁の役割をも果している。

事例2について
エレベーター一式を建物から取り外すには,乗場ユニツトを建物の壁面に固定させているアンカー・ボルト(ナツト)を取り外した上、すき間を埋めたモルタルのみを取り壊し建物のコンクリート壁面は取り壊さずに、乗場ユニツトを取り外し、制御盤、巻上機、調速機、ガイド・レール、電線を通すダクトを建物壁面に固定させているアンカー・ボルト(ナツト)を取り外して、右制御盤等を取り外し、更に、本体かごを分解してこれを昇降路及び建物から搬出することなどによつて、これが可能であつて、四、五日程度でこの取外しが終了できること、右のごとく取り外される本件エレベーター一式は、機能を何ら損うことなく、ほかの建物の昇降機として利用し得るものであり、本件エレベーター一式を取り外される建物も、建物のコンクリート壁に埋め込まれたアンカー・ボルト及び昇降路の空間などが残るのみであり、建物自体が取り壊されることはない。

そうすると、事例1は取り外すことによって建物の壁がなくなる、事例2は建物自体が取り壊されることはないということが大きく違うように見えるが、実際の判決内容を見ると、もっと細かく事実認定がされているので、それほど単純ではないようだ。

現実に、そこまで考えながら担保取得しているのか疑問であるが、いざ紛争ということになると、事例により判断が分かれるので重要な問題だ。

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