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2012年1月19日 (木)

公売により所有権を取得した者からの建物明渡請求

競売により建物を競落し、所有権を取得した者は不動産の引渡命令の申立をすることができる。

民事執行法  (引渡命令)
第八十三条  執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、 事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない。
2 買受人は、代金を納付した日から六月(買受けの時に民法第三百九十五条第一項に規定する抵当建物使用者が占有していた建物の買受人にあつては、九月)を経過したときは、前項の申立てをすることができない。

ちなみに、1項の「買受人に対抗することができる権原により占有」とは、以前勉強した民法395条1項の借家人を含むと考えていいだろう。そのために、2項では、「(買受けの時に民法第三百九十五条第一項に規定する抵当建物使用者が占有していた建物の買受人にあつては、九月)」と申立期間を3か月伸長している。

Dsc_0126 さて、競売の場合は、このように、簡易に不動産の引渡を命令する制度が設けられており、競売手続きの信頼性を高めているわけだ。以前、この手続きをやったことがあるが、まず、執行裁判所に不動産引渡命令の申立をして、命令が出たら、執行官ら執行の申立をするという流れであったと記憶している。

先日、競売ではなく、公売(注)により所有権を取得した方から、元所有者が居座り続けているのでどうしたらいいかという相談があった。そこで、いろいろ調べてみたが、公売の場合には、競売の不動産引渡命令に相当する手続きが用意されていないようだ。そうすると、まず、明け渡しについての債務名義を得なければならないことになり、訴訟等を提起する必要がでてくるわけだ。

もっとも、今回のケースは相手方と話ができたので、一定の猶予期間を与えたうえで明け渡す旨の即決和解を申し立てることにした。これは、物権的請求権であるから申立書は至って簡素だ。①申立人は所有権を有している。②相手方が権限なく占有している。③よって・・・。そして、和解条項案を添付する。

注)公売(こうばい)とは、滞納税庁が、国税徴収法に基づき、滞納税金の回収のために差し押さえた財産(不動産または動産)を換価するための手続きのこと。民間が行う競売に対し、官公庁が滞納税金の回収のために行うものを公売という。(出典 ウィキペディア)

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