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2012年2月28日 (火)

融資実行前の抵当権設定契約は有効か

登記実務において、抵当権設定登記では「受付番号の連絡」という慣行がある。これは、抵当権設定登記の申請を法務局が受理した際の受付番号を抵当権者である金融機関に電話等で連絡する慣行である。この受付番号の連絡はいくつかの意義を有すると考えられるが、その中のひとつとして、金融機関が、抵当権設定登記の申請が受け付けられたことを確認して、はじめて融資を実行するということがある。

そうすると、その場合は、抵当権設定登記を申請した段階、もっと言ってしまえば、抵当権設定契約が成立した段階では、実際には融資は実行されていなかったというのが実態であった、ということになる。

金銭消費貸借契約は要物契約である。

(消費貸借)
第五百八十七条  消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

Dsc_0185

したがって、未だ金銭消費貸借契約が成立していない時点で、「年月日金銭消費貸借同日設定」を原因として抵当権設定登記がなされた場合、抵当権の附従性から、抵当権が無効となってしまうのではないかという疑問が生じる。

しかし、最判昭和33.5.9は、将来発生する債権や条件付債権のために抵当権を設定しても無効とは言えないと述べている(「この点について事実と登記の間に不一致が存するわけであるが、かかる場合でも当事者が真実その設定した抵当権を登記する意思で登記手続を終えた以上、この登記を以て当然に無効のものと解すべきものではなく、抵当権設定者は抵当権者に対し該登記が事実に吻合しないことを理由として、その抹消を請求することはできないものと云わねばならない」)から、そういう意味では附従性が緩和されていると考えてよいだろう。また、そうでなければ、金融実務がひっくり返ってしまうことになる。

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