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2012年2月20日 (月)

遺言者の死亡前に相続させる推定相続人が死亡した場合の遺言の効力

Dsc_0174 (受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条  遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

このように、遺言者の死亡前に受遺者が死亡した場合は、原則として遺言の効力は生じないとされている。そして、その場合には、受遺者が受けるべきであった遺産は相続の対象になるとされている。

(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
第九百九十五条  遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

このような考え方は、「相続させる」旨の遺言のついても同様に考えられてきた。たとえば、昭和62年6月30日法務省民事局回答は、「相続させる」という遺言の文言であっても、このような遺言は遺贈についての994条1項と同様に考えて、推定相続人が先に死亡した場合は遺言の効力を否定して当該財産は相続の対象として扱うこととされていた。

また、下級審判例も、本件と同様のケースにおいて、代襲相続人に特定財産を相続させる旨の記載がない限り、遺言の該当部分は無効であるということを前提に判断をしていた(札幌高決昭61・3・17、東京地判平6・7・13、東京地判10・7・17、東京高判平11・5・18等)。

ところが、東京高裁平成18年6月29日判決は、「相続させる」旨の遺言で推定相続人が先に死亡した場合には、代襲相続人が遺言により相続する旨の判断を示したため、実務が混乱していた。

しかしながら、最高裁平成23年2月22日判決は、「「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはないと解するのが相当である。」と判示し、この問題に決着がついた。

「相続させる」旨の遺言を作成する場合には、推定相続人が先に死亡することも想定して、その場合の定めもしておく方が賢明だ。

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