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2012年3月

2012年3月30日 (金)

不動産登記の添付書類の編綴順序

静岡 昭和41年第15回事務打合会(なんと、45年前なのですね)。最近、法務局からこの手の通知を受けなくなりましたが、これも時代の趨勢でしょうか。

添付書面の編綴順序は、次のとおりにすることが望ましい。
 一般の場合の添付書面の編綴順序
    (A)①申請書
       ②印紙貼用台紙
       ③課税証明書
       ④権利者の委任状
       ⑤住所証明書又は資格証明書
       ⑥義務者の委任状
       ⑦印鑑証明書
       ⑧第三者の許可、同意、承諾を証する書面
       ⑨保証書
    (B)⑩共同担保目録
    (C)⑪原因証書(又は副本)
       ⑫登記済証(又は保証書)

 相続の場合
       ①相続放棄申述、審判受理証、遺産分割協議書又は民法903条の証明書
       ②戸籍謄抄本
        ※ 戸籍の謄抄本は古い順に、又は年長者順につづる

 申請書はコヨリでA,B,Cのグループ毎に綴じて、更にA,B,C一括してコヨリで耳綴じをする。

(注)A,Cの書類をそれぞれホチキスで綴じても差し支えない。また、A,B,Cの書類を一括する際に、クリップ等でとりまとめることも差し支えない。

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2012年3月29日 (木)

債権譲渡登記を受任した際のチェック事項

月末申請予定で債権譲渡登記申請の準備をしているが、当事務所で債権譲渡登記を受任するのは年に数件であるので、どうしても、申請データ作りに力を注ぐ結果、実体面のチェックがおろそかになってしまうことがある。

債権譲渡登記の添付書類は、登記委任状、資格証明書、印鑑証明書だけであり、申請データを電子データで添付すればいいので、債権譲渡契約書自体を添付することはない。しかしながら、登記原因の発生根拠である債権譲渡契約書を見なければ、債権譲渡がどういう趣旨で行われるのか、譲渡の対象となる債権は現債権だけか将来債権を含むのかなどがわからないのであるから、債権譲渡契約書のチェックは必須である。むしろ、半分ぐらいのケースでは、債権譲渡契約書の作成から依頼を受けるので、いずれにしても、これらの事項はチェックすることになる。

ところで、債権は、原則として譲渡することができるが、その性質上、または、当事者が譲渡禁止の特約をした場合は譲渡することができない。これは、民法466条2項に規定されている。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条  債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

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ご存じの方も多いと思うが、最判昭和48年7月19日は、「民法四六六条二項は債権の譲渡を禁止する特約は善意の第三者に対抗することができない旨規定し、その文言上は第三者の過失の有無を問わないかのようであるが、重大な過失は悪意と同様に取り扱うべきものであるから、譲渡禁止の特約の存在を知らずに債権を譲り受けた場合であつても、これにつき譲受人に重大な過失があるときは、悪意の譲受人と同様、譲渡によつてその債権を取得しえないものと解するのを相当とする。」

債権譲渡契約により債権の譲り受けをしようとする者は譲渡人よりも優位な立場にあるから、譲渡債権の内容について譲渡人に確認を求めることは可能である。そうすると、その調査をせずに譲渡禁止特約の存在を見過ごしてしまうのは重大な過失となるものと考えられる。せっかく債権譲渡登記ができても、実質的には何の保全にもならないものとなってしまう。

したがって、譲渡の対象となっている債権について譲渡禁止の特約がないことを確認しておく必要がある。

債権譲渡登記はたまにしか受任しない仕事なので、チェック事項をマニュアル化しておく必要がありそうだ。

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2012年3月28日 (水)

特別受益はどのように評価するか

遺産分割をする前提として、第一段階で相続開始時の財産、みなし相続財産を評価して個々の相続人の相続分を計算する必要がある。その際、特別受益についてどのように評価をするか、という問題である。
イメージとして、相続開始の30年前に大きな財産が贈与されたと考えてみよう。

特別受益の評価の基準時は、相続開始時とするのが通説、判例である。
 最判昭和51年3月18日(判時811号、50頁)
「被相続人が相続人に対しその生計の資本として贈与した財産の価額をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産に加える場合に、右贈与財産が金銭であるときは、その贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもって評価すべきものと解するのが、相当である。けだし、このように解しなければ、遺留分の算定にあたり、相続分の前渡としての意義を有する特別受益の価額を相続財産の価額に加算することにより、共同相続人相互の衡平を維持することを目的とする特別受益持戻の制度の趣旨を没却することとなるばかりでなく、右のように解しても、取引における一般的な支払手段としての金銭の性質、機能を損う結果をもたらすものではないからである。」

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特別受益について、具体的な財産については次のように考えられているようだ。
(1) 土地
 相続開始時の土地の時価による。路線価などが多く用いられているようである。
(2) 建物
 建物についても相続開始時の時価によるとする見解があるが、贈与時の価額を相続開始時の価額に評価換え等するという説もある。
(3) 金銭
 物価指数により相続開始時の貨幣価値に換算する。具体的には、総務省統計局編「消費者物価指数」等を用いる。
(4) 動産
 建物と同じように、相続開始時の時価によるとの説があるが、嫁入り道具等については、贈与時の価額を相続開始時の価額に評価換えするという説もある。
(5) 株式、有価証券、ゴルフ会員権等
 相続開始時の時価による。
(6) 不動産取得のための金銭の贈与
 金銭の贈与と考えられるものの、具体的な不動産の取得のためであることが明白なときは上記不動産の贈与に準じて考えられることもある。

 なお、贈与の目的物が受贈者の行為によって滅失し、価格が増減したときでも、受贈者の故意又は過失によって事実行為として目的物を取りこわし、焼失し、棄損した場合のみならず、法律行為として売却した場合にも、その目的物が贈与当時の原状のまま存在するものとしてこれを評価する。逆に、不可抗力や第三者の行為による目的物の滅失等の場合には、相続開始時の現状にて目的物を評価することとなる。

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2012年3月27日 (火)

所有権譲渡証明書に添付する印鑑証明書等の援用の可否

静岡 昭和62年度第1回第1問である。
「敷地権付区分建物の所有権保存登記を連件で申請する場合(申請人は各別人)に所有権譲渡証明書に添付する譲渡人の印鑑証明書・資格証明書等は、申請書毎に添付すべきである。」

敷地権付区分建物の所有権保存登記の申請は、概ね次の振り合いによる。

登記の目的  所有権保存
原     因  平成年月日売買
所  有 者  
添付書類   住所証明書
         租税適用証明書
         所有権譲渡証明書
         承諾書
         代理権限証書
         評価証明書

添付書類のうち、所有権譲渡証明書は、保存登記申請人に対し表題部所有者である分譲業者から建物の所有権が譲渡されたことを証する書面である。そして、その真正を担保するために、印鑑証明書・資格証明書を添付することになる。

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本問の趣旨は、連件で保存登記を申請する場合においても、申請人はあくまでもマンション購入者であり、分譲業者は申請人ではないから、添付書類の援用をすることができないという趣旨であると想像する(そういう趣旨で、(申請人は各別人)とわざわざ括弧書きされているのであろう)。

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2012年3月26日 (月)

遺産の評価はいつの時点で行うのか

遺産分割をする前提として、個々の分割額を算出するにあたって遺産を評価する必要があるが、いつの時点で評価するか、という問題がある。
通説は、二段階に分けて評価するという考え方である。

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まず、第一段階は、相続開始時における評価である。
たとえば、相続人が配偶者と子供二人という前提で、相続財産の評価が1000万円、配偶者の特別受益200万円と評価されると、配偶者の相続分は1000分の400、子の相続分はそれぞれ1000分の300ということになる。
なぜなら、配偶者の相続分は、相続財産+みなし相続財産の1200万円の2分の1であるから600万円であるが、特別受益は既に受領しているから、相続財産1000万円に対しては400万円の相続分を有するにすぎない。
このように、第一段階の評価の目的は、相続人の相続分を算出するために行う評価である。

第二段階は、遺産分割時における評価である。
たとえば、相続開始後10年後に、ようやく遺産分割の話し合いが行われたとする。相続財産の内、不動産については相続開始の時より価値が大幅に下落していたような場合には、遺産分割時点において再度評価をしたうえで、第一段階で算出した相続分にしたがって分割を行った方が公平であるということになる。

しかし、第一段階での評価を基準にして遺産分割を行ったとしても不公平にならない場合(相続の開始から遺産分割までの期間が短期間であるような場合)は、第一段階の評価=第二段階の評価となるから、実質的には第一段階の評価にしたがって具体的な相続分を算出することになる。

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2012年3月23日 (金)

1名の退任取締役の後任として複数の補欠取締役を選任することができるか(野々垣バージョン)

一口に補欠取締役と言っても、会社法329条2項に規定する補欠取締役の制度と、任期途中で死亡などの理由で退任した取締役の補充として後任の取締役を選任する場合の補欠取締役とがある。このうち、会社法329条2項に規定する補欠取締役は、予め補欠取締役を選任する制度であり、事例は少ない。実務的には後者の補欠取締役の例が圧倒的に多い。

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(選任)
第三百二十九条  役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ
。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2  前項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠く
こととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。

ところで、A取締役が辞任等の理由により退任し、B及びCの2名が補欠取締役として選任された場合、両名とも「補欠」でよいのか、という問題がある。これに対して明確な先例はないが、補欠であるかどうかは選任機関の意思によるのであるから、1名の役員の補欠として2名を選任するという総会の意思であれば、両名とも補欠という扱いで構わないと考える。野球やサッカーの補欠とはちょっと異なるようだ。

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2012年3月22日 (木)

債務はどのように相続されるか

債務は、相続により相続人に承継されるものと、承継されないものがある。

承継されない債務には次のようなものがある。
① 一身専属性のある債務
 たとえば、芸術家に作品の制作を依頼していた場合、その芸術家は作品を制作する債務を負っているが、その性質上、その芸術家でなければなしえない債務であるから相続により承継されない。
 また、身元保証契約にもとづく保証債務(身元保証に関する法律参照)についても、身元保証契約が個人的信頼関係にもとづいて存続するものであるから一身専属的な債務とされ、特別な事情がない限り相続性は否定されている。

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② 限度額・期間の定めのない包括根保証契約
 最判昭和37年11月9日 限度額・期間の定めのない包括根保証契約については、被相続人の死亡後に生じた債務についての責任を否定した。したがって、被相続人死亡時における債務残高は相続人に承継されるが、保証人としての地位までも相続されるわけではないことが晃かとなった。

 なお、限度額・期間の定めのあるものについては、一般論として相続性が認められている。したがって、被相続人死亡時の保証残高が法定相続分にしたがって承継されるとともに、保証人としての地位も承継される。ただし、法定相続分にしたがって保証割合が定まることとなる。
 ただし、貸金等根保証契約(債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれるもの)については、保証人が死亡したときは債務の元本が確定するため、被相続人死亡後に発生した債務を保証人の相続人が保証責任を負うことはない。

(貸金等根保証契約の元本の確定事由)
第四百六十五条の四  次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。
一  債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
二  主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
三  主たる債務者又は保証人が死亡したとき。

債務が承継される場合には、可分債務については法定相続分にしたがって相続人に分割承継される。

 なお、相続人間の遺産分割協議で、特定の相続人がある債務を相続するように合意したりすることがあるが、之は、相続人間での内部負担割合の指定、あるいは一種の免責的債務引受にすぎず、債権者に当然には効力を生じない。

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2012年3月21日 (水)

農地の賃借権の時効取得の可否

今更ながら農地の賃借権の時効取得について判例を調べてみた。

最判平成16年7月13日
上告人が、本件土地の所有権に基づき、本件土地を耕作して占有している被上告人に対し、その明渡しを求めた事案の上告審につき、時効による農地の賃借権の取得については、農地法3条の規定の適用はなく、同条1項所定の許可がない場合であっても、賃借権の時効取得が認められると解するのが相当であるとするものである。

時効取得に農地法の許可が不要であることは登記実務どおりであり、全く違和感のない判決である。

「農地法3条は,農地について所有権を移転し,又は賃借権等の使用及び収益を目的とする権利を設定し,若しくは移転する場合には,農業委員会又は都道府県知事の許可を受けなければならないこと(1項),この許可を受けないでした行為はその効力を生じないこと(4項)などを定めている。同条が設けられた趣旨は,同法の目的(1条)からみて望ましくない不耕作目的の農地の取得等の権利の移転又は設定を規制し,耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ろうとするものである。そうすると,耕作するなどして農地を継続的に占有している者につき,土地の賃借権の時効取得を認めるための上記の要件が満たされた場合において,その者の継続的な占有を保護すべきものとして賃借権の時効取得を認めることは,同法3条による上記規制の趣旨に反するものではないというべきであるから,同条1項所定の賃借権の移転又は設定には,時効により賃借権を取得する場合は含まれないと解すべきである。」

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ところで、判決文の中で、通常の時効取得とはやや異なる判断がされているのに気がついた。「耕作するなどして農地を継続的に占有している者につき」というところだ。そうすると、農地を、駐車場等の農地以外の目的で賃借していた場合には、「耕作するなどして農地を継続的に占有している者」ではないため時効取得は認められないということになるのだろうか。

これは、賃借権のみならず、所有権についても同じことが言えるのだろうか。

実は、この件は、話の続きがあるが、係争を予定している事案なのでブログはこのへんで。

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2012年3月19日 (月)

自筆証書遺言の「自筆」の意味(野々垣バージョン)

最判昭和62年10月8日は、病気その他の理由により他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言について、自書の要件を次のように説明している。

(1) 遺言者が証書作成時に自書能力を有し、
(2) 他人の添え手が、単に始筆若しくは改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけであり、
(3) 添え手が右のような態様のものにとどまること、すなわち添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが、筆跡のうえで判定できること

Dsc_0205  そして、本件遺言書には、書き直した字、歪んだ字等が一部にみられるが、一部には草書風の達筆な字もみられ、便箋四枚に概ね整つた字で本文が二二行にわたつて整然と書かれており、前記のようなDの筆記能力を考慮すると、EがDの手の震えを止めるため背後からDの手の甲を上から握つて支えをしただけでは、到底本件遺言書のような字を書くことはできず、Dも手を動かしたにせよ、EがDの声を聞きつつこれに従つて積極的に手を誘導し、Eの整然と字を書こうとする意思に基づき本件遺言書が作成されたものであるから無効と認定している。

不自然な遺言を検討する際の参考になるだろう。

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2012年3月16日 (金)

第三者のためにする売買契約が利益相反に該当する場合の取締役会議事録の添付の要否

売主X会社、買主Y会社、第三者Zで第三者のためにする売買契約が行われ、X会社からZに移転登記を申請する場合において、X会社とY会社との契約が利益相反取引となるときに、利益相反の承認のあったことを証する書類の添付を要するか。

古橋の考え
「要する」

Dsc_0204

考え方
 このケースの登記申請人はXとZであるが、登記原因として記載する「平成●年●月●日売買」とはXとYとの間で行われた売買を意味するものと思われる。なぜなら、第三者のためにする売買契約であるから、売買当事者はあくまでもXとYであり、Zはこの効果として所有権を取得するにすぎないからである。
 不動産登記令7条1項5号ハは「登記原因について第三者の許可、同意又は承諾を要するときは、当該第三者が許可し、同意し、又は承諾したことを証する情報」の添付を規定しているから、登記原因である売買が有効に成立したか否かを審査するためには利益相反の承認のあったことを証する書類の添付を要するものと考える。

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2012年3月15日 (木)

商法265条の規定による取締役会承認の日と登記原因日付

売買契約の後、商法第265条の規定による取締役会の承認がなされても登記原因日付は売買契約の日とする登記申請は受理される(静岡 昭和43年6月11日第232号局長回答)

もちろん、現在では会社法356条、同265条に読み替えることになるが、要するに、売買契約の日の後に利益相反取引の承認がなされた場合であっても、登記原因は売買契約の日でよろしい、ということである。

これに対し、次の先例を見てみたい。

 農地の売買契約は、農地法第3条第1項の許可書が売買当事者に到達した日に効力を生ずるから、その日を登記原因の日付とすべきである。この場合、登記原因を証する書面が初めから存在しないので、申請書副本を添付すれば足りる。
(昭35.10.6、民事甲第2,498号民事局長事務代理回答)

取締役会も農地法許可書も、いずれも不動産登記令7条5号ハの規定により登記申請書に添付することになるが、上記の違いはどこから来るのであろうか。

不動産登記令
(添付情報)
第七条  登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
五  権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる情報
ハ 登記原因について第三者の許可、同意又は承諾を要するときは、当該第三者が許可し、同意し、又は承諾したことを証する情報

Dsc_0203_2  まず、農地法の許可についてであるが、農地法の許可は実体法上の効力要件であると言われている。つまり、売買契約を締結していたとしても、売買契約の効力発生自体が農地法の許可によって生じるという考え方である。

それに対し、取締役会の承認のない状態で利益相反取引が行われた場合は、「相対的無効」と言われている。この場合は、利益相反取引の行為は無効であるが、第三者に対して、会社は、その者の悪意を証明するのでなければ無効を主張することができない、という意味で「相対的無効」と言われている。

たとえば、X会社の取締役がX会社所有の不動産を買い受けた。Y銀行は、取締役が所有することになった不動産に抵当権を設定した。この場合、X会社は取締役に対して売買契約の無効を主張することができるが、Y銀行に対してはY銀行の悪意を証明するのでなければ無効を主張することはできないということだ。

どうしてこのような複雑な考え方をするかは、取引の安全の見地から、第三者を保護しようということらしい。

さて、以上を理解して再度、静岡 昭和43年6月11日第232号局長回答を見てみよう。この例は、取締役会の承認により効力が発生したのではなく、「相対的無効」から「有効(追認?)」に転化したにすぎない。善意の第三者に対しては、あくまでも売買契約の日付で売買が行われたということになるのだから、そういう趣旨で出された回答であると思われる。

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2012年3月14日 (水)

遺言がある場合の未成年者の相続分

相続人の中に未成年者がいる場合、遺産分割協議にあたって、家庭裁判所で特別代理人を選任しなければならないケースがある。その場合、実務的には、遺産分割協議書案を提出して、未成年者の法定相続分が原則として守られている必要がある。もっとも、未成年者の母も相続人になっており、母が未成年者の養育に相続財産を使用することを予定しているなどの合理的な利用があれば、未成年者の法定相続分を下回る分割案であっても特別代理人が選任されるケースなどがある。

では、遺産の一部について、未成年者以外の者に相続させる旨の遺言があった場合はどのように考えるか。

Dsc_0202 もっとも合理的な考え方は、①遺言の対象となった財産については未成年者の遺留分の額、②遺言の対象とならなかった相続財産については法定相続分の額をそれぞれ算出し、①+②の合計額が遺産分割で未成年者に与えられればいいと考えるが、いかがだろうか。

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2012年3月13日 (火)

相続欠格者がいる場合の相続登記の添付書類と「隠匿」の意味(3)

遺言を隠匿したとして相続欠格が認められる要件は、次の4つとされている。
① 被相続人の遺言であること
② 相続人が遺言を故意に隠匿したこと
③ 隠匿された遺言が有効なものでなくともよい(反対説あり)
④ 隠匿により相続に関して不当な利益を得る目的を有する意思があったこと

Dsc_0201

このうち、②の「隠匿」の意味については先日学習した。

③について、無効な遺言(つまり、遺言ではない)であっても、これを隠匿した場合には要件に該当するという考え方のようだ。これについて、ストレートに判断した判例の有無は不明だが、最判昭和56年4月3日が参考になる。

「相続に関する被相続人の遺言書がその方式を欠くために無効である場合又は有効な遺言書についてされている訂正がその方式を欠くために無効である場合に、相続人がその方式を具備させることにより有効な遺言書としての外形又は有効な訂正としての外形を作出する行為は、同条五号にいう遺言書の偽造又は変造にあたるけれども、相続人が遺言者たる被相続人の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨で右の行為をしたにすぎないときには、右相続人は同号所定の相続欠格者にはあたらないものと解するのが相当である。
 これを本件の場合についてみるに、原審の適法に確定した事実関係の趣旨とするところによれば、本件自筆遺言証書の遺言者である●●名下の印影及び各訂正箇所の訂正印、一葉目と二葉目との間の各契印は、いずれも同人の死亡当時には押されておらず、その後に被上告人○○がこれらの押印行為をして自筆遺言証書としての方式を整えたのであるが、本件遺言証書は遺言者である●●の自筆によるものであつて、同被上告人は右●●の意思を実現させるべく、その法形式を整えるため右の押印行為をしたものにすぎないというのであるから、同被上告人は同法八九一条五号所定の相続欠格者にあたらないものというべきである。」

なんとなく、ありそうな事例である。

そして、④については、最判平成9年1月28日が参考となる。

「相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は、民法八九一条五号所定の相続欠格者には当たらないものと解するのが相当である。けだし,同条五号の趣旨は遺言に関し著しく不当な干渉行為をした相続人に対して相続人となる資格を失わせるという民事上の制裁を課そうとするところにあるが(最高裁昭和五五年(オ)第五九六号同五六年四月三日第二小法廷判決・民集三五巻三号四三一頁参照)、遺言書の破棄又は隠匿行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、これを遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、このような行為をした者に相続人となる資格を失わせるという厳しい制裁を課することは、同条五号の趣旨に沿わないからである。」

この流れをくんだ判決として、大阪高判平成13年2月27日がある。

「相続人が被相続人から遺言書を受領して金庫内に保管し、被相続人の死後約一〇年を経過するまでその検認の手続をしなかったとしても、相続上不当な利益を得る目的に出たものとはいえないときは、同相続人は、民法八九一条五号所定の相続欠格者に該当しない」

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2012年3月12日 (月)

静岡地裁浜松支部における同時廃止基準

Dsc_0200 3月8日浜松支部で開催されたスキルアップ研修で、劔持弁護士から破産についての説明があったので、念のため再確認しておく。

1 同時廃止基準

 (1)財産の評価額合計が99万円を超える場合は原則として管財事件とする。

 (2)財産の評価額合計が99万円以下の場合
  個々の財産の評価額が20万円を超えるものがない・・・同時廃止
  個々の財産の評価額が20万円を超えるものがある・・・評価額合計が50万円以下の場合は同時廃止
  ※「個々の財産」とは、預貯金、生命保険解約返戻金などの単位の合計である。したがって、A保険10万円、B保険20万円の場合は「保険30万円」となる。

  なお、上記はあくまでも原則であり、運用には幅がある。

2 自由財産の拡張について

 生命保険解約返戻金120万円の場合、金銭21万円を財団に入れて生命保険契約を自由財産とする方法も行われている。本人の体調等により生命保険契約を解約したくない場合には使える方法。

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2012年3月 9日 (金)

取締役会について(野々垣バージョン)

Dsc_0199_2 取締役会は、原則として会議を開催して行う必要があるが、一定の要件を満たした場合には決議の省略が認められている。

(取締役会の決議の省略)
第三百七十条  取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

要件を拾ってみると次のとおりである。
①定款に定めがあること
②取締役の提案があること
③取締役全員の同意があること(書面又は電磁的記録)
④監査役が異議を述べないこと

この条文にしたがって取締役会の決議が省略された場合においても、会社法施行規則101条4項の規定にしたがって作成する必要がある。

4  次の各号に掲げる場合には、取締役会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一  法第三百七十条 の規定により取締役会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした取締役の氏名
ハ 取締役会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
二  法第三百七十二条第一項 (同条第三項 の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により取締役会への報告を要しないものとされた場合 次に掲げる事項
イ 取締役会への報告を要しないものとされた事項の内容
ロ 取締役会への報告を要しないものとされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

なお、この一部の記載が抜けている議事録では登記を受理できないとの解説(民事月報64巻8号)があるので注意を要する。

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2012年3月 8日 (木)

相続欠格者がいる場合の相続登記の添付書類と「隠匿」の意味(2)

Dsc_0198 891条2号乃至4号については事件性もあり、どのような行為をした者が対象となるのか、何となくイメージしやすいが、5号の「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」、中でも「隠匿した者」というのはどのような意味か、実際には難しそうだ。

また、そもそも、「隠匿」はどういう状態を指すのかも検討しておく必要がある。

大阪高判・昭和61年1月14日判時1218号81頁

「おもうに、民法891条5号にいう相続欠格事由としての遺言書の隠匿とは、故意に遺言書の発見を妨げるような状態におくことを意味し,<略>本件遺言書は公正証書遺言であって,その原本は公証人役場に保管され,遺言書作成に当たって証人として立ち会いその存在を知っているA弁謹士が遺言執行者として指定されているのであるから,被控訴人において本件遺言書の存在を他の相続人に公表しないことをもって遺言書の発見を妨げるような状態においたとはいい難く,<略>被控訴人の右行為は同条同号にいう相続欠格事由としての遺言書の隠匿には当たらないと解するのが相当である。」

神戸地判平成4年3月27日

「民法八九一条五号に定める相続欠格事由としての遺言書の「隠匿」とは、遺言書の発見を妨げるような状態に置くことであると解されるところ、右一に認定した各事実を総合すると、本件遺言書及び補足遺言書は、既に発見されているし、原告●●及び●●弁護士の立会いのもとに開封されて、その記載内容が明らかにされているうえ、その写しが、右開封後かなり早い時期から原告●●及びその実質的な代理人である●●弁護士の手元に存在していたものと認めるのが相当であるから、被告らが民法八九一条五号に定める遺言書の隠匿行為をなしたものとはとうてい認め難い。」 

最判平成6年12月16日

被上告人は、父である乙山太郎から遺言公正証書の正本の保管を託され、太郎の法定相続人(被上告人のほか、太郎の妻ハナ、子丙川春子、上告人、丁原夏子)の間で遺産分割協議が成立するまで上告人に対して遺言書の存在と内容を告げなかったが、ハナは事前に相談を受けて太郎が公正証書によって遺言をしたことを知っており、ハナの実家の当主である戊田松夫及び乙山家の菩提寺の住職である甲田竹夫は証人として遺言書の作成に立ち会った上、戊田は遺言執行者の指定を受け、また、被上告人は、遺産分割協議の成立前に夏子に対し、右遺言公正証書の正本を示してその存在と内容を告げたというのである。右事実関係の下において、被上告人の行為は遺言書の発見を妨げるものということができず、民法八九一条五号の遺言書の隠匿に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。

以上、いずれも、隠匿とは「故意に遺言書の発見を妨げるような状態に置くこと」という趣旨であり、遺言の存在や内容が既に複数の人が知っていたような場合には隠匿にあたらない、また、そのような状態にあったならば、自筆証書遺言の検認までに時間がかかったとしても隠匿があったとは言えないということになる。

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2012年3月 7日 (水)

相続欠格者がいる場合の相続登記の添付書類と「隠匿」の意味(1)

民法891条は、相続人の欠格事由を定めている。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

本条により、相続人の欠格事由に該当する場合は当然に相続人になることはできず、家庭裁判所の審判などの手続は必要ないとされている。しかし、相続登記を申請する場合には、何らかの方法で相続人のうち一部の者が欠格事由に該当することを明らかにする必要がある。

891条1号については客観的な資料により欠格事由にあたることを証明することができるが、他の場合はどうするのだろうか。そのような事例を扱ったことがないので、調べてみた。

Dsc_0196 方法としては、欠格者が自ら欠格事由に該当することを、印鑑証明書付で証明する方法があるようだ。しかし、自ら証明してくれるようなことは希であろう。そして、欠格者が自ら証明してくれない場合には、相続欠格者に該当することを確認する判決を得て、これを添付するという解説がいくつか見つかった。

 なお、次のような質疑応答がある。

民法891条の規定による相続欠格事由を証する書面の適格性(登研634号)
問 民法891条各号のいずれかに該当する相続欠格者がある場合において、検察庁の事務官が証明した刑事裁判事件の判決書の内容の要旨及び判決が確定した旨が記載された書面の交付を受けたときは、これを右欠格者につき相続欠格事由が存することを証する書面として申請書に添付し、右欠格者を除外した相続による所有権移転の登記を申請することができると考えますが、いかがでしょうか。
答 所問の書面の記載内容から、被告人が民法891条所定の相続欠格事由に該当する罪により刑に処せられた事実を確認することができ、加えて、同書面に記載された被害者及び被告人が被相続人及びその推定相続人の関係にあったことを登記申請書に添付された戸籍謄本等によって確認することができる場合には、貴見のとおり取り扱って差し支えないものと考えます。

相続欠格者を含めてした相続登記につき、該欠格者である旨の官公署の証明書を添付した更正登記申請の受否(登研141号)
問 相続登記後、共同相続人中に民法891条の規定に該当する者がある旨の官公署の証明書を添付して、右非該当者より更正登記の申請があった場合は、受理して差し支えありませんか。
答 受理できないものと考えます。なお、所問の場合には、申請書に、当該欠格者の作成にかかる民法891条所定の欠格事由を証する書面又はその旨の確定判決の謄本を添付し、当該欠格者を登記義務者とし、その他の登記名義人全員を登記権利者とする更正登記の申請をすべきであると考えます。

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2012年3月 6日 (火)

代理貸付における抵当権の順位変更登記の取扱について

静岡 昭和49年4月30日第423号局長回答である。

A銀行が、住宅金融公庫業務委託金融機関として代理貸付を行っているとき、住宅金融公庫のいわゆる包括委任状で、「住宅金融公庫を債権者又は担保権者とする貸付金額債権又は担保権につき、その変更又は処分の契約の締結に関すること」の委任を受けている場合、この委任事項の中には、順位変更の合意をする権限も含まれていると解することができる。
 また、A銀行が本人兼住宅金融公庫代理人として、住宅金融公庫を先順位とする順位変更契約をすることは、民法第108条に違反しない。

Dsc_0195 参考
民法
(自己契約及び双方代理)
第百八条  同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 前段については、順位変更契約は「処分の契約」にあたるといういうことで是認できる。後段については、「民法108条に該当しない」という趣旨が不明である。A銀行が相手方の代理人となるわけだから、「自己契約」にあたるのではないかという疑問が生じる。
「自己契約にあたるが「本人(A銀行)があらかじめ許諾した行為」」だから、但し書きが適用されるという趣旨だろうか? 仮にそうだとしても、A銀行が後順位となることをあらかじめ許諾していたということは書類上不明であると考えられるがいかがだろうか。

なお、次のような先例がある。

注 中小企業金融公庫の代理貸付(担保権の処分権も委任されている)を行なつている銀行の代表取締役が自行の1番抵当権を中小企業金融公庫の2番抵当権のために順位譲渡する契約を締結するには、取締役会の承認を要する。(昭43.4.5、民事三発第436号民事局第三課長回答・先例集追Ⅳ1337頁)

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2012年3月 5日 (月)

復代理人の選任

静岡 登記事務適正処理委員会 平成3年度第3回第2問から

Dsc_0189 A信用金庫(本人)がB支店の支店長甲(代理人)に対して、
①A信用金庫を担保権者とする担保権につき、その設定・移転・変更もしくは抹消の登記申請に関すること
②委任状及び資格証明書の原本受領に関すること
③前記各号の行為をなすにつき復代理人選任に関すること(「復代理人に対し、さらに代理人を選任させること」という事項はない)
という内容の包括委任状を交付している場合、支店長甲より登記申請を委任された司法書士C(復代理人)は、その登記申請を司法書士Dに委任することはできない。

本問は、復代理人がさらに復代理人を選任できるかという問題である。上記の委任状の文言からは、復代理人がさらに復代理人を選任することまでは委任していないと思われる。では、このように、明示されていない場合に、解釈上、復代理人がさらに復代理人を選任することまで委任しているかという点が問題となる。

任意代理人による復代理人の選任については民法104条に規定がされている。

民法
(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条  委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

このように、本人の許諾を得ているか、やむを得ない事由があることが要件となっているので、本人の許諾文言がない本問では、復代理人がさらに復代理人を選任することはできないと考えられる。また、「やむを得ない事由」とはどういう場合かと考えてみると、復代理人が代理権を行使できない状況が生じてしまい、そのままでは本人に不利益が生じるおそれがあり、また、時間的にも物理的にも本人の許諾を得ることができないような状況というぐらいの事由だろうか。仮にそうだとすると、本問の場合は「やむを得ない事由」とまでは言えないだろう。

なお、登記申請について出頭主義が廃止された現在では、複代理人を選任する事案はほとんどなくなっている。

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2012年3月 2日 (金)

債権者代位権行使の際の「無資力」の意味(野々垣バージョン)

むずかしい内容だったので簡単に解説というわけにはいきません。

今日は板書をそのまま書いておきます。

最判昭和35年4月26日
計数上の債務超過のみならずその信用等の存否を考慮して判断

債務超過
① 会社清算を前提とした清算価値
② 会社継続を前提とした継続価値
③ ①、②どちらかで債務超過であればよい
④ 会社存立能力の有無の予測の結果評価基準を決定
⑤ 評価は清算価値によるが会社存立能力の有無

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2012年3月 1日 (木)

建物明渡の強制執行の流れ

芸能人の賃料不払いで建物明渡しの強制執行が話題となっている。そこで、建物明渡しの強制執行について簡単におさらいしておこう。

 賃料不払などを原因として賃貸借契約を解除しても、賃借人が自ら立退きをしない場合には、裁判所で判決などを得たうえで強制執行の申立てをする必要がある。このような建物明渡しの執行申立てがあると、裁判所の「執行官」が現地に赴いて強制執行を行うこととなる。

もっとも、現実には、賃貸建物に相手方が居住している場合などには執行官がいきなり強制執行をすることはなく、1カ月以内の期限を定めて相手方に任意の退去を促す。これは、「明渡しの催告」と言われている。執行官は、ねばり強く任意退去を促すが、相手方から罵声を浴びることも少なくなく、仕事とはいえ、執行官は本当に大変な職業だと思う。

 もしも、相手方の事情で任意の明渡しに1カ月を超える期限が必要な場合は、執行官が裁判所の許可を得て1カ月を超える期限を定めることになる。

 そして、明渡しの催告をしたときは、執行官は、明渡しの催告をした旨、引渡し期限及び相手方が賃貸建物の占有を移転することを禁止されている旨を記載した公示書を、建物の中の適宜の場所(あまり目立たないところ)に公示する。

 この段階で、執行官は、相手方に対し、明渡しの催告に応じない場合は現実に強制執行を行う旨を説明していくので、8割方のケースでは、催告期限内に相手方が任意に退去してしまう。その場合には、催告期限が到来した日に執行官が執行完了を宣言し、強制執行が終了する。

 しかし、相手方が任意に退去しない場合には、強制執行を実行することになる。

 現実に強制執行をすることになった場合には、執行官と打ち合わせのうえで、申立人側で運送業者、倉庫業者、合鍵業者を手配しなければならない。

 強制執行の当日は、執行官は、必要があるときは鍵を強制的に開けて、相手方の占有する建物に立ち入ることができる。これらの執行官の行為を妨害する者は執行妨害により逮捕されることもある。

 執行官は、建物の中の相手方の家財道具などの動産を相手方に引き渡さなければならないが、相手方が家財道具をそのままにして夜逃げをしてしまったような場合は、原則として、運送業者に動産を運ばせて、倉庫業者に保管させることとなる。これは、建物の明渡しを行うとともに、動産を執行官の管理の元で保管するという意味があるためだ。

 倉庫業者に保管させた動産については、別途競り売り期日を設けますが、最終的には、申立人が落札をして処分するしかない。もちろん、運送業者、倉庫業者、合鍵業者等の費用は相手方に請求することができるが、現実に支払ってもらえる見込みがないケースが大半で、最終的には申立人が負担せざるをえない。

 このように、建物明渡しの強制執行は精神的にも金銭的にも大きな負担を強いられる。したがって、日頃から賃料の入金管理を適切に行って、仮に賃料延滞が発生したら早期に交渉することが必要と考えられる。

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