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2012年3月13日 (火)

相続欠格者がいる場合の相続登記の添付書類と「隠匿」の意味(3)

遺言を隠匿したとして相続欠格が認められる要件は、次の4つとされている。
① 被相続人の遺言であること
② 相続人が遺言を故意に隠匿したこと
③ 隠匿された遺言が有効なものでなくともよい(反対説あり)
④ 隠匿により相続に関して不当な利益を得る目的を有する意思があったこと

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このうち、②の「隠匿」の意味については先日学習した。

③について、無効な遺言(つまり、遺言ではない)であっても、これを隠匿した場合には要件に該当するという考え方のようだ。これについて、ストレートに判断した判例の有無は不明だが、最判昭和56年4月3日が参考になる。

「相続に関する被相続人の遺言書がその方式を欠くために無効である場合又は有効な遺言書についてされている訂正がその方式を欠くために無効である場合に、相続人がその方式を具備させることにより有効な遺言書としての外形又は有効な訂正としての外形を作出する行為は、同条五号にいう遺言書の偽造又は変造にあたるけれども、相続人が遺言者たる被相続人の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨で右の行為をしたにすぎないときには、右相続人は同号所定の相続欠格者にはあたらないものと解するのが相当である。
 これを本件の場合についてみるに、原審の適法に確定した事実関係の趣旨とするところによれば、本件自筆遺言証書の遺言者である●●名下の印影及び各訂正箇所の訂正印、一葉目と二葉目との間の各契印は、いずれも同人の死亡当時には押されておらず、その後に被上告人○○がこれらの押印行為をして自筆遺言証書としての方式を整えたのであるが、本件遺言証書は遺言者である●●の自筆によるものであつて、同被上告人は右●●の意思を実現させるべく、その法形式を整えるため右の押印行為をしたものにすぎないというのであるから、同被上告人は同法八九一条五号所定の相続欠格者にあたらないものというべきである。」

なんとなく、ありそうな事例である。

そして、④については、最判平成9年1月28日が参考となる。

「相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は、民法八九一条五号所定の相続欠格者には当たらないものと解するのが相当である。けだし,同条五号の趣旨は遺言に関し著しく不当な干渉行為をした相続人に対して相続人となる資格を失わせるという民事上の制裁を課そうとするところにあるが(最高裁昭和五五年(オ)第五九六号同五六年四月三日第二小法廷判決・民集三五巻三号四三一頁参照)、遺言書の破棄又は隠匿行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、これを遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、このような行為をした者に相続人となる資格を失わせるという厳しい制裁を課することは、同条五号の趣旨に沿わないからである。」

この流れをくんだ判決として、大阪高判平成13年2月27日がある。

「相続人が被相続人から遺言書を受領して金庫内に保管し、被相続人の死後約一〇年を経過するまでその検認の手続をしなかったとしても、相続上不当な利益を得る目的に出たものとはいえないときは、同相続人は、民法八九一条五号所定の相続欠格者に該当しない」

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コメント

4.2からの熱海の図面交換開始は、暫定予算突入でも変更ないのですか。

投稿: みうら | 2012年3月13日 (火) 21時05分

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