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2012年3月 7日 (水)

相続欠格者がいる場合の相続登記の添付書類と「隠匿」の意味(1)

民法891条は、相続人の欠格事由を定めている。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

本条により、相続人の欠格事由に該当する場合は当然に相続人になることはできず、家庭裁判所の審判などの手続は必要ないとされている。しかし、相続登記を申請する場合には、何らかの方法で相続人のうち一部の者が欠格事由に該当することを明らかにする必要がある。

891条1号については客観的な資料により欠格事由にあたることを証明することができるが、他の場合はどうするのだろうか。そのような事例を扱ったことがないので、調べてみた。

Dsc_0196 方法としては、欠格者が自ら欠格事由に該当することを、印鑑証明書付で証明する方法があるようだ。しかし、自ら証明してくれるようなことは希であろう。そして、欠格者が自ら証明してくれない場合には、相続欠格者に該当することを確認する判決を得て、これを添付するという解説がいくつか見つかった。

 なお、次のような質疑応答がある。

民法891条の規定による相続欠格事由を証する書面の適格性(登研634号)
問 民法891条各号のいずれかに該当する相続欠格者がある場合において、検察庁の事務官が証明した刑事裁判事件の判決書の内容の要旨及び判決が確定した旨が記載された書面の交付を受けたときは、これを右欠格者につき相続欠格事由が存することを証する書面として申請書に添付し、右欠格者を除外した相続による所有権移転の登記を申請することができると考えますが、いかがでしょうか。
答 所問の書面の記載内容から、被告人が民法891条所定の相続欠格事由に該当する罪により刑に処せられた事実を確認することができ、加えて、同書面に記載された被害者及び被告人が被相続人及びその推定相続人の関係にあったことを登記申請書に添付された戸籍謄本等によって確認することができる場合には、貴見のとおり取り扱って差し支えないものと考えます。

相続欠格者を含めてした相続登記につき、該欠格者である旨の官公署の証明書を添付した更正登記申請の受否(登研141号)
問 相続登記後、共同相続人中に民法891条の規定に該当する者がある旨の官公署の証明書を添付して、右非該当者より更正登記の申請があった場合は、受理して差し支えありませんか。
答 受理できないものと考えます。なお、所問の場合には、申請書に、当該欠格者の作成にかかる民法891条所定の欠格事由を証する書面又はその旨の確定判決の謄本を添付し、当該欠格者を登記義務者とし、その他の登記名義人全員を登記権利者とする更正登記の申請をすべきであると考えます。

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