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2012年3月21日 (水)

農地の賃借権の時効取得の可否

今更ながら農地の賃借権の時効取得について判例を調べてみた。

最判平成16年7月13日
上告人が、本件土地の所有権に基づき、本件土地を耕作して占有している被上告人に対し、その明渡しを求めた事案の上告審につき、時効による農地の賃借権の取得については、農地法3条の規定の適用はなく、同条1項所定の許可がない場合であっても、賃借権の時効取得が認められると解するのが相当であるとするものである。

時効取得に農地法の許可が不要であることは登記実務どおりであり、全く違和感のない判決である。

「農地法3条は,農地について所有権を移転し,又は賃借権等の使用及び収益を目的とする権利を設定し,若しくは移転する場合には,農業委員会又は都道府県知事の許可を受けなければならないこと(1項),この許可を受けないでした行為はその効力を生じないこと(4項)などを定めている。同条が設けられた趣旨は,同法の目的(1条)からみて望ましくない不耕作目的の農地の取得等の権利の移転又は設定を規制し,耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ろうとするものである。そうすると,耕作するなどして農地を継続的に占有している者につき,土地の賃借権の時効取得を認めるための上記の要件が満たされた場合において,その者の継続的な占有を保護すべきものとして賃借権の時効取得を認めることは,同法3条による上記規制の趣旨に反するものではないというべきであるから,同条1項所定の賃借権の移転又は設定には,時効により賃借権を取得する場合は含まれないと解すべきである。」

Dsc_0206

ところで、判決文の中で、通常の時効取得とはやや異なる判断がされているのに気がついた。「耕作するなどして農地を継続的に占有している者につき」というところだ。そうすると、農地を、駐車場等の農地以外の目的で賃借していた場合には、「耕作するなどして農地を継続的に占有している者」ではないため時効取得は認められないということになるのだろうか。

これは、賃借権のみならず、所有権についても同じことが言えるのだろうか。

実は、この件は、話の続きがあるが、係争を予定している事案なのでブログはこのへんで。

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