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2012年3月19日 (月)

自筆証書遺言の「自筆」の意味(野々垣バージョン)

最判昭和62年10月8日は、病気その他の理由により他人の添え手による補助を受けてされた自筆証書遺言について、自書の要件を次のように説明している。

(1) 遺言者が証書作成時に自書能力を有し、
(2) 他人の添え手が、単に始筆若しくは改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、又は遺言者の手の動きが遺言者の望みにまかされており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけであり、
(3) 添え手が右のような態様のものにとどまること、すなわち添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが、筆跡のうえで判定できること

Dsc_0205  そして、本件遺言書には、書き直した字、歪んだ字等が一部にみられるが、一部には草書風の達筆な字もみられ、便箋四枚に概ね整つた字で本文が二二行にわたつて整然と書かれており、前記のようなDの筆記能力を考慮すると、EがDの手の震えを止めるため背後からDの手の甲を上から握つて支えをしただけでは、到底本件遺言書のような字を書くことはできず、Dも手を動かしたにせよ、EがDの声を聞きつつこれに従つて積極的に手を誘導し、Eの整然と字を書こうとする意思に基づき本件遺言書が作成されたものであるから無効と認定している。

不自然な遺言を検討する際の参考になるだろう。

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