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2012年4月24日 (火)

母と同居して面倒をみるという負担付で遺産分割により相続財産を取得した者が母の面倒をみない場合遺産分割を解除できるか

母と同居して面倒をみるという負担付で遺産分割により相続財産を取得した者が母の面倒をみない場合遺産分割を解除できるか

母と同居して面倒をみるという負担付で遺産分割により相続財産を取得させたり、相続財産を取得させる代わりに代償金を他の相続人に支払うという内容で遺産分割協議が成立することがある。
しかし、協議で定めた筈なのに母の面倒をみない、代償金を支払わない、という場合、どうすればいいのだろうか。

まず考えられるのは、債務不履行による遺産分割協議の解除であるが、「代償金を支払わない」という場合には、単に金銭債務を履行しないというだけであり金銭の支払いを求めて訴訟提起などすればいいのであるから、「面倒をみない」場合の解除の可否について考えてみたい。

最判平成元年2月9日は次のように判示している。
「共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであつても、他の相続人は民法五四一条によつて右遺産分割協議を解除することができないと解するのが相当である。けだし、遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法九〇九条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになるからである。」

(履行遅滞等による解除権)
第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

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つまり、遡及効がある遺産分割が解除できるということになると、法定安定性が著しく害されることになるから、民法541条によって遺産分割協議を解除することはできないというわけだ。

しかし、相続人全員の合意により解除することは差し支えないようだ(事案は異なるが、一般論として合意解除することができることを明らかにした最高裁判例として、最判平成2年9月27日(共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではなく、上告人が主張する遺産分割協議の修正も、右のような共同相続人全員による遺産分割協議の合意解除と再分割協議を指すものと解される))。

では、「母と同居して面倒をみる」という負担を履行させるにはどのようにしたらいいのだろうか(続く)。

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