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2012年4月12日 (木)

建物増築工事による所有権の持分変更と住宅借入金等特別控除

A所有の建物にBが銀行融資を受けてBが建築業者と請負契約を締結して増築による表示変更登記をすると、附合により建物全体がA名義となってしまう。そうすると、Bが資金を出しているにも関わらず建物はA名義となり、みなし贈与となるために、「贈与」、「代物弁済」、「真正なる登記名義の回復」などを登記原因として、持分割合を考えてAB共有名義にすることがよく行われる。

そこで、このような場合、増築前に、先を見越してAからBへの所有権一部移転登記を行ってしまう場合も見受けられるが、税務署の担当者によっては、増築登記前の贈与登記は「増築前の贈与」、表示変更登記によって附合した部分については「増築後の贈与」と判断することもあるので注意が必要である。

そして、さらに注意を要するのは、住宅借入金等特別控除の適用を受けられるか否かである。住宅借入金等特別控除の適用要件のひとつに、「自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること」というものがある。この基準時は、どうも、増築工事の請負契約時と考えられているようだ。そうすると、前の例のように建物の表示変更登記をしてから所有権一部移転登記をしても、請負契約成立の段階では「自己が所有」する家屋ではないのであるから、住宅借入金等特別控除が受けられないということになる。

それでは、みなし贈与にならないようにして、なおかつ、住宅借入金等特別控除を受けられるようにするにはどうすればいいか? 実は、これには秘策がある(ここでは公開しません)。

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なお、住宅借入金等特別控除とは次のような制度で、適用がある場合には大きなメリットがある。

住宅借入金等特別控除
居住者が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をした場合で、一定の要件を満たすときは、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除する「住宅借入金等特別控除」又は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」の適用を受けることができる。

住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローン等の年末残高の1%(ただし、限度額あり。平成24年は限度額30万円)であり、10年間継続して控除できるから大きい。

ところで、この「一定の要件」とは、増築については概ね次のようなものである。
(1) 自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること。
(2) 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事などであること
(3) 増改築等の日から6ヶ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(4) この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
(5) 増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住用に供するものであること。
(6) その工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。
(7) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている増改築等のための一定の借入金又は債務があること。
(8) 居住の用に供した年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3、35条、36条の2、36条の5、37条の5若しくは37条の9の2又は旧租税特別措置法36条の2若しくは36条の5)の適用を受けていないこと。

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