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2012年5月

2012年5月31日 (木)

網入りガラスの破損についての裁判例

横浜地裁平成8年3月25日(原審 保土ヶ谷簡裁平成7年1月17日)では、敷金返還請求訴訟の中で、次の修繕費が問題となった。
①畳六畳の裏返し
②洋間カーペットの取り替えならびに洋間の壁・天井、食堂、台所、洗面所、トイレ、玄関の壁・天井の張り替え
③網入り熱線ガラス二面張り替え
④トイレ備え付けタオル掛けの取り付け

このうち、③については「網入りガラスは、熱膨張により破損しやすいところ、Xが破損に何らかの寄与をしたとは認められない。」として修繕費は認められず、全額大家さん負担となった。

そこで、網入りガラスについて調べてみると、有限会社伝ガラス店のホームページに次のような記載があった。

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主に網入りガラスに起こる現象です。見かけた方もあるかと思われますが硝子に稲妻が走ったようにクラック・ヒビが入ってしまった状態です。(ぶつけて割れてしまった状態とは明らかに違います。)
硝子の表面は日光が当たると温まり膨張しますが、サッシにのみ込まれた部分のガラスは 温まらずに温度差が生じます。簡単にいいますとこの温度差が熱割れの原因なのですが、その差が著しいほど熱割れの危険性は高くなり、サッシの取り付け状態、日陰の状態、ガラスの大きさ、などの条件にも左右されます。
熱割れを防ぐにはガラスの内側にカーテンやブラインドを密着させないこと、冬季において暖房の風をガラスに直接当てない事、強い照明を当てない事、ガラスにフィルムやシールを貼ったり塗装をしないなど等を守ってください。 サビ割れは結露や横から吹き付けた雨などが、何らかの原因でガラスの小口に到達し、その水分を吸収した鉄線が時間をかけて膨張しクラックが入った状態をいいます。

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2012年5月30日 (水)

商業・法人の印鑑・印鑑カード取扱事務の変更

平成24年6月1日から、静岡地方法務局管内の商業・法人の印鑑・印鑑カード事務が次のとおり変更される。

●印鑑カード事務・電子証明事務は、静岡地方法務局、支局、出張所(清水出張所を除く)において、県内の管轄全域分を取り扱う。
これにより、浜松に所在する当事務所が静岡市に本店を置く会社の設立登記を静岡地方法務局にオンライン申請した場合、登記完了を確認できれば浜松支局でカード発行を受けることが可能となる。

●印鑑の届出、改印及び廃印は、登記の申請と同時に提出された以外のものについては、静岡地方法務局、支局、出張所(清水出張所を除く)において、県内の管轄全域分を取り扱う。登記の申請と同時に提出された印鑑の届出、改印及び廃印は管轄の法務局で行う。

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2012年5月29日 (火)

最判平成16年6月8日はなぜ司法書士の不法行為責任を認めたか(公売又は競売による所有権移転登記後、真正なる登記名義の回復を原因として所有権移転登記ができるかの論点を含め)

真正なる登記名義の回復登記(登研367号)
 問 税務署の公売又は裁判所の競落を登記原因として所有権移転の登記がしてある物件について、真正なる登記名義の回復を登記原因として所有権移転の登記の申請は、できないと考えますがいかがでしょうか。
 答 御意見のとおりと考えます。
 なお、判決による場合は差し支えないものと考えます。

公売や競売は公法上の処分であり、真実に所有権を取得した者に所有権移転登記がなされるので、公売又は競売による所有権移転登記後、当該登記名義人を義務者として真正なる登記名義の回復を原因として所有権移転登記をすることはでできないという趣旨であると思われる。

これに対し、市町村が所有する財産を払い下げによって売り払う行為は行政処分ではなく私法上の売買と解すべきである(最判裁昭和35年7月12日 論旨は要するに、物納土地の払下は行政処分である旨を主張するのであるが、国有普通財産の払下を私法上の売買と解すべきことは原判決の説明するとおりであつて、右払下が売渡申請書の提出、これに対する払下許可の形式をとつているからといつて、右払下行為の法律上の性質に影響を及ぼすものではない。」

そうすると、払い下げによって所有権移転の登記がしてある物件について、真正なる登記名義の回復を登記原因として所有権移転がなされることはあり得ることだと考えられる。

端的に言って、「払下」によって所有権移転された不動産が「真正な登記名義の回復」を原因としてさらに所有権移転しているのが不自然と判断したところの判断ミスである。もっとも、一般に、司法書士が「払下」が行政処分ではなく私法上の契約であるということを理解しているかといえば、そうではないと考えられるが、「不自然」と感じた以上、専門職としては、慎重に調べるべきであったという落ち度があるであろう。

 そして、決済当日に、事前の予告もなく「本件土地については、その実体的所有関係を確定することができず、本件売買契約によって本件土地の所有権が移るとは限らないという問題があるので本件嘱託を受けることはできない」と依頼を拒否しているが、決済当日にそのような発言を突然すれば事態が混乱することは目に見えている。判断ミスがあったとしても、もっと事前に依頼を拒否していれば、依頼者としても他の司法書士に依頼するなどの対策を講ずることができたのであるから、判断ミスに加え、司法書士の対応にも問題があったと考えられる。

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 なお、司法書士法施行規則27条1項は、「司法書士は、依頼(簡裁訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)を拒んだ場合において、依頼者の請求があるときは、その理由書を交付しなければならない。 」としている。

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2012年5月28日 (月)

依頼に応ずる義務

司法書士法21条は、「司法書士は、正当な事由がある場合でなければ依頼(簡裁訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)を拒むことができない。」と規定している。したがって、登記代理、裁判書類作成関係業務は、正当な事由がある場合でなければ依頼を拒否することはできない。これは、それらの業務が司法書士に独占的に認められていることから、原則として依頼に応じる義務のあることを規定したものである。なお、簡裁訴訟代理等関係業務は、依頼者との信頼関係の構築が不可欠であることから、除外されている。
「正当な事由」とは、利益相反に該当する場合(裁判書類作成関係業務に限る)や、事件の輻輳・司法書士の病気などで業務遂行が困難な場合、費用の不払いなどと言われている。

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最判平成16年6月8日の事案
不動産登記を依頼された司法書士が、売買対象の不動産の元所有者が「払下」を登記原因として所有権を取得しているにもかかわらず、現所有者が元所有者から「真正な登記名義の回復」を登記原因として所有権移転登記がされているのは不自然であることから、決済当日に、事前の予告もなく「本件土地については、その実体的所有関係を確定することができず、本件売買契約によって本件土地の所有権が移るとは限らないという問題があるので本件嘱託を受けることはできない」と依頼を拒否した。これによって本件売買契約が合意解除されたため、現所有者は司法書士の不法行為により損害を被ったとして提訴。

裁判所は、①不動産登記申請代理の嘱託を拒否したこと、②嘱託拒否の理由を述べた発言により売買契約の合意解除を余儀なくされたことから、司法書士の不法行為責任を認めた。

では、なぜ司法書士の不法行為責任が認められたのか、考えてみたい。

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2012年5月25日 (金)

取得条項付株式への変更(野々垣バージョン)

従業員が株式を持つことにより、士気向上を図り、退職時に、会社が当該株式を有償で取得すること合意が会社と株主との間で定めている場合がある。
 退職時に、会社が当該株式を有償取得する理由は、会社と無関係の第三者が、株式を取得することを防止するためである。

 実際に、従業員が退職した場合の自己株式の取得する場合の手続は、発行している株式が普通株式のみである場合、会社法160条による規定に基づき、株主総会を開催することによって、取得する。

 しかしながら、会社法160条に基づき、自己株式の取得する場合は、原則、他の株主も会社に対し、株式の買取請求をすることができるので注意が必要である。

このような事態を避けるため、定款変更し、取得条項付株式の規定を設けることが考えられる。
取得条項付株式とは、ある一定の事由が生じたことを条件として、当社が、株主の有する株式を買取ることができる株式である。

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例えば、定款で「当会社は、株主が当社の役員等でなくなった場合、1株につき金5万円で株式を買取ることができる」と規定することができる。

 取得条項付株式の規定を設けることにより、会社と無関係の第三者が株式を取得する株式分散のリスクを防ぐことができるが、この規定を設けるに際しても、株主総会を開催することが必要であるため、取得条項付株式の規定を設ける事を検討する時は、各々の会社の定款、株主名簿等を確認して、慎重に手続を進めていくことが重要である。

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2012年5月24日 (木)

事業年度の変更と会計監査人の任期(登記研究770号より)

会社計算規則59条2項の解釈により。事業年度を変更する場合、変更後の最初の事業年度は1年6か月まで延長することができると考えられる(そもそも、括弧書きの解釈でそのように定まること自体、変な法律だと思う)。

(各事業年度に係る計算書類)
第五十九条  法第四百三十五条第二項 に規定する法務省令で定めるものは、この編の規定に従い作成される株主資本等変動計算書及び個別注記表とする。
2  各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、一年
(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、一年六箇月)を超えることができない。
3  法第四百三十五条第二項 の規定により作成すべき各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書は、当該事業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。

 ところで、会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなすとされている。

会社法第338条  会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2  会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。

そうすると、定時総会で事業年度の変更の決議(定款変更決議)をした場合の会計監査人の任期が問題となる。

例えば、24年3月末が事業年度の会社が24年6月の定時総会で定款変更決議をして、事業年度末日を9月末に変更するため、変更後の最初の事業年度を平成24年4月1日から平成25年9月末日にしたとする。そうすると、次の定時株主総会は平成25年12月頃ということになるから、「選任後一年以内に終了する事業年度」がないことになる。

これについて、東京法務局の取扱は次のようにしているとのことである。

①事業年度を変更した後に会計監査人を選任してときは、当該会計監査人に当初からその事業年度の終了までを任せていると考えられるから、変更後の事業年度が1年以内に終了しないときでも当該事業年度に関する定時株主総会の終結の時に退任する。

②会計監査人を選任した後に事業年度を変更した場合には、選任時からその事業年度の終了までを任せていないことになるから、変更後の事業年度が選任後1年以内に終了しないときには、当該事業年度の変更の効力が発生した時点で退任する(上の例では24年6月の総会で任期が終わる)。

そのため、②のケースは、みなし選任ではなく、実際に選任決議をする必要があるという取扱をしているとのことである。

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もっともらしいが、私見では、会計監査人は「みなし選任」されるのであるから、②の理屈も突き詰めれば「みなし選任」により①と同じ結論になるのではないかとも思う。

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2012年5月23日 (水)

農業生産法って何?

農地法では、所有権や使用貸借権など農地の権利移動をするためには、原則として知事又は農業委員会の許可を要することとされている。許可にあたっては、農地を効率的に利用するかどうか、受け手の農業経営の状態や経営面積等を審査し、許可してはならない基準に該当するときは、許可しないこととされている。したがって、法人による農地の権利取得は原則として許可されない。

しかし、農地に関する権利を取得して農業を経営するために、一定の要件を満たした法人(農業生産法人)は、農地に関する権利を取得することができる。

ところで、この農業生産法人は、「農業生産法人」という法人類型があるのではなく、株式会社(株式譲渡制限会社に限る)、農事組合法人、合同会社、合名会社、合資会社で、農地法に定める農業生産法人の要件を満たした会社である。

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農業生産法人の要件を満たしているかどうかは、地区の農業委員会の調査が必要であるので、会社設立の手続と平行して農業委員会に相談をしていく必要がある。

つまり、法人形態で農業を行うというものだが、そのメリットは、信用力の向上、後継者の育成、社会保障制度に加入することができること、などと言われている。

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2012年5月22日 (火)

評価通知書の取扱

4月5日のブログで、「近い将来、評価通知書が発行されなくなるかもしれない」という話題を紹介した。過日、これが、現実となるような話があったので、どういうことになるのかシミュレーションしたところ、これにより、誰にもメリットがなさそうなことがわかった。

 まず、法務局は、評価が年に一度通知されるとしても、個人情報保護の観点からデータを検索するのは慎重に行われるため、評価額の確認作業に手間取ることになる。

 そして、市民は、有料の評価証明書を取得する必要にせまられ、新たな負担が生じる。加えて、司法書士や不動産業界も、不動産評価額が速やかに判明しないために、経済取引に支障が生じる。

 そのため、某市では、評価の一括通知後も、当面の間は、評価通知書を発行するという取扱いをすることに方針を変えたようだ。もちろん、法務局としても、評価通知書が添付されていれば、これまでどおりと同じなので登記の審査をスムーズに行われるわけだ。

 評価の一括通知は他の市町村でも始まっているらしいが、どんな取扱になっているか知りたいものだ。

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2012年5月21日 (月)

抵当権の債務者の相続による債務者の変更の登記の申請の登記原因証明情報

平成16年度主席登記官会同等における質疑応答より

抵当権の債務者の相続による債務者の変更の登記の申請の登記原因証明情報には、報告形式の登記原因証明情報がある場合には、それ以外に相続を証する情報(戸籍謄本、遺産分割協議書等)まで提供する必要はないと考えるが、どうか。

意見のとおり。

不動産登記法改正前における債務者の相続登記には原因証書が存在しないため申請書副本を添付して申請していた。当該申請は、抵当権者、所有者の共同申請によるために、「真性が担保されている」という理由で相続証明書を添付していなかった。ところが、原則として登記原因証明情報を添付しなければならなくなったため、上記の質疑がなされたものであろう。

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参考のため、昭33.5.10、民事甲第964号民事局長心得通達を記載しておく。
共同相続人の1人の債務引受による抵当権の変更登記の前提として共同相続人全員の債務承継による抵当権の変更登記の要否
 共同相続人の1人が抵当権付債務を引き受けた場合、その引受が遺産分割によるものであるときは、共同相続人全員の債務承継(相続)による抵当権の変更登記を経ることなく、直接当該共同相続人の1人の債務承継(相続)による抵当権の変更登記をすることができるが、当該債務の引受が遺産分割の協議によるものでないときは、相続により債務者を共同相続人の全員とする抵当権の変更登記をした上で、当該債務引受による抵当権の変更登記をなすべきである。

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2012年5月18日 (金)

民法改正案 危険負担(今日は野々垣司法書士の担当です)

現行民法 

第534条

1.特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。

2.不特定物に関する契約については、第401条第二項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。


 この条文は、不動産売買契約を例にとると、契約時から目的物件引渡までの間に自然災害等で目的物件が消滅した場合の危険負担は、不動産の引渡債権者である買主は、目的物件の引渡は受けられないが、不動産の代金支払い債務は負ってしまうことになると考えられており、批判が多い。

 実務上は、特約として、引渡債権者である買主への危険負担の移転時期は、「引渡完了時」とすることが多く、いずれの責めによらない事態により、本契約が履行できなくなったときは、売主は受領していた手付け金をそのまま、買主に返還し、契約解除できるとする条項を設ける場合が多い。

 そこで、現行条文の適切な見直しを行うため、法制審の複数ある改正案のうち、危険負担の移転を登記の時期までとする案が提示されている。

 提案理由は、学説では、債権者が目的物の実質的な支配を獲得した場合に危険が移転するとの考え方が有力であるため、支配移転の徴表として,目的物の引渡しのほか,登記・登録の移転時が考えられることに基づいている。

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参照資料 法制審 部会資料34

民法第534条(危険負担の債権者主義)の規定の要否等

ア 物権の設定又は移転を目的とする双務契約における目的物の滅失・損傷の危険負担(債権者主義)を規定する民法第534条の在り方については,次のような考え方があり得るが,どのように考えるか。

【甲案】 物権の設定又は移転を目的とする契約の目的物が滅失又は損傷した場合の危険の移転時期に関する規定を置くこととし,その時点が契約締結時点よりも遅い一定の時点(例えば,[目的物の引渡しがあった時点/登記又は登録が債務者から債権者に移転した時点])であることを規定上明らかにする。

【乙案】 民法第534条を削除し,物権の設定又は移転を目的とする契約の目的物が滅失又は損傷した場合の危険の移転時期に関する規定を設けないものとする。

仮に危険負担の移転時期が、登記の時とすると改正された場合、決済終了後から登記申請までの間において自然災害等により目的物が滅失した場合の契約条項を考慮する必要が生じ、登記申請時点から登記完了までの間に登記申請が取下却下となってしまった場合は、売主から買主へ危険負担が移転しないため、司法書士の責任は非常に重要となり、登記申請が今まで以上に重要となってくることは容易に推測できる。

 民法(債権関係)改正において、この他にも債権譲渡等、現在の司法書士実務に大きく変化すると思われる論点が多々存在する。

 来年以降、第2次パブリックコメントの募集が予定されており、司法書士からも有益なパブリックコメントを提示したいと考えている。

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2012年5月17日 (木)

事前通知制度についての平成16年度主席登記官会同等における質疑応答より

申請人から事前通知書を法人の代表者の住所にあてて送付する希望があった場合において、申請人が申し出た住所が商業登記簿に記録された代表者の住所と相違するときは、どちらの住所にあてて送付すべきか。

商業登記簿に記録された住所にあてて送付すべきである。

次の取扱いは維持されるか。
昭35.6.16、民事甲第1,411号民事局長通達
外国等遠隔の地にある登記義務者が保証書を添付してする登記申請と代理人への通知
 登記義務者が外国に住所を有するため不動産登記法第44条ノ2の申出を3週間内にすることができない場合、その不動産の管理処分等一切の権限を授権された代理人が存し、その授権を公正証書等権限ある官憲の作成した証書により証明して、その代理人あてに同条第1項の通知をされたい旨の申出があれば、その代理人に右の通知をしてさしつかえない。

維持される。

これらは、理屈の問題ではなく、機械的に知っておくしかない。

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2012年5月16日 (水)

登記簿地目宅地、現況農地の所有権と農地法許可書の添付の要否

静岡 平成8年度第2回第2問
登記簿の地目が「宅地」とある土地について所有権移転登記申請に際し、添付された評価証明書上の地目が「登記簿 宅地 現況 畑」とある場合、農地法の許可書の添付がなくとも当該登記は受理せざるを得ない。

農地法は、農地について次のとおり定義している。
(定義)
第二条  この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。

したがって、登記簿地目が農地以外であっても、現実に「耕作の目的に供される土地」であれば農地法上の農地となる。したがって、当該土地を所有権移転するためには農地法の許可が必要となる。

本問は、法定添付書類ではない評価証明書によって現況が農地であることがわかったとしても、登記官の形式的審査においては「受理せざるを得ない」とするものである。

このような事例にあたったとき、司法書士としては、当然に農地法上許可されていることを確認する必要があるだろう。なぜなら、農地の所有権移転について、農地法の許可は効力要件であるとされているから、農地法の許可があったことが確認できなければ所有権移転があったことを確認したとは言えないからである。

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2012年5月15日 (火)

今日の朝礼は欠席です

本日は朝から出張ですので朝礼は欠席します。

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2012年5月14日 (月)

公正証書遺言を破棄した場合の遺言の効力

(遺言書又は遺贈の目的物の破棄)
第千二十四条  遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。

遺言者が、手元にある公正証書遺言を破棄した場合、この条文が適用されるのだろうか。
公正証書遺言の場合、遺言の原本は公証人役場に保管されているから、手元にある正本を破棄したとしても遺言の破棄にあたらないというのが通説のようだ。そうすると、公正証書遺言の場合には、現実的には「破棄」ということはあり得ないと言うことになる。

遺言者が、何かの事情で公正証書遺言の存在を否定するつもりで破り捨てたような場合でも遺言の破棄にあたらないという解釈が成り立つのは、遺言者の意思の尊重の観点からいかがなものだろうか。

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2012年5月11日 (金)

監査役の兼任規定の禁止(野々垣バージョン)

監査役は、当該会社又は子会社の取締役、支配人その他使用人、子会社の会計参与、執行役を兼ねることができないと、会社法第335条2項に明示されている。

 この兼任禁止の理由が、監査する者と監査を受ける者の重複を避け、監査の公正をきすことは既に周知の事である。

 実務上、従前取締役であった者が、取締役退任後、監査役に就任する(いわゆる「横滑り監査役」と言うらしい)登記を申請手続きをすることが多いが、この件について、従前の取締役が監査役に就任すると、この者が営業年度途中まで取締役であった期間についてはいわゆる自己監査となり監査的確を欠くとして、兼任禁止規定に抵触するのではないかと問題となった裁判例があった(東京高裁昭和61年6月26日)。

 この判決は、「取締役であった者が立場を変えて心機一転監査役の立場で職務を執行することは可能であり、実質的に見ると、監査役就任直前まで当該会社の取締役であった者は会社の最近の実情に通じているため、かえって外部から監査役に選任された者より有効な監査ができる長所をもつことも考えらる。このため、取締役であった者を監査役に選任するか否かは株主総会の判断に委ねるべき事項である。」とし、兼任禁止に反するものではないと判示した。 



「この者が営業年度途中まで取締役であった期間についてはいわゆる自己監査となり監査的確を欠くのではないか?」という問題提起は的をえていると思う。 裁判所は、それよりも従前の取締役が監査役に就任した場合、当該会社の内部事情に精通しているという利点と株主総会で大多数の株主が賛成したことを重視し、兼任禁止に反しないと判示したのであろうか?

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2012年5月10日 (木)

農地法5条の許可を得て2名共有で農地を取得した者の持分更正登記に農地法許可書を要するか

農地法5条の許可を得て2名共有で、例えば、2分の1ずつ農地を取得した場合において、この持分を3分の1、3分の2に更正する登記申請書に、持分を更正する旨の農地法許可書を要するか。これは、静岡、平成3年度第3回第5問で、実は私が問題提起した問題である。

当時の結論としては、「許可書の添付を要する」との回答であったが、その後、調べてみたら、「持分を更正する旨の農地法許可書」などというものは存在しないということがわかり、お粗末な結果に終わった。

この質疑の前提としては、当初の農地法許可書に取得者の持分が記載されていることが前提であるが、まま、持分が記載されていないことがある。その場合、以前は、民法250条の規定により、持分は相等しいものと考えることとされていたように思う。

(共有持分の割合の推定)
第二百五十条  各共有者の持分は、相等しいものと推定する。

ところが、いつの日か、取扱が変わり、持分が記載されていない場合には、持分を自由に決めて登記できるようになった。

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そこで、持分が記載されていない場合に持分を自由に決めて登記したものについて、その持分を更正することができるか、ということが次に問題となるが、農地法許可書に持分が記載されていないのであるから、更正登記をすることができるものと考えられる。

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2012年5月 9日 (水)

登記上の甲・乙の住所が異なっている場合、共有者甲乙が同一日付で同一場所に住所移転した際の登記の一件での可否

甲不動産についてはA住所、乙不動産についてはB住所で各々所有権の登記がされている名義人がA、B、Cと淳に住所移転していた場合には、甲、乙両物件について同一の申請書でC住所への所有権登記名義人住所移転登記を申請することができると考えるが、いかがか。

本問は、司法書士会と静岡地方法務局との協議にかかる昭和55年11月11日第1332号局長回答により、可とされているものであるが、近時、類似のケースで不可とされた事案があったので念のため確認しておきたい。

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不可とされた事案は次のとおり
登記上の甲・乙の住所が異なっている場合、共有者甲乙が同一日付で同一場所に住所移転した。登記の申請は従来は一件にて申請ができたが(登記研究440P80、575P122)、○○支局の登記官より不登規則35条8号にて受理が不可と指摘された。中段「いずれも同一の登記名義人の氏名、若しくは名称又は住所の変更...」と記載されているからだということです。厳格に解釈すれば甲乙が同じ住所で登記され、同一日付で同一場所に住所移転した場合も別々の登記申請が必要だとのこと。

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2012年5月 8日 (火)

原本還付について(平成16年度主席登記官会同の質疑応答より)

いわゆる「のみ書面」に該当するかどうか、という趣旨の質疑応答と思われる。

質疑 2以上の登記所に登記申請するために作成された委任状について、最初の申請か、最後の申請かわからないので、このような委任状は原本還付の対象となるのか。
回答 2以上の登記所に申請する場合の委任状は、原本還付の対象となる。

質疑 登記原因証明情報に他管轄物件の表示がある場合は、すべて原本還付を認めなければならないか。
回答 報告形式のものについは、原本還付を認める必要はない。

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この2つの質疑応答は、なぜ結論が異なってくるのであろうか。ちなみに、原本還付については規則55条で規定されている。

不動産登記規則
(添付書面の原本の還付請求)
第五十五条  書面申請をした申請人は、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができる。ただし、令第十六条第二項 、第十八条第二項若しくは第十九条第二項又はこの省令第四十八条第一項第三号 (第五十条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第四十九条第二項第三号 の印鑑に関する証明書及び当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでない

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2012年5月 7日 (月)

工場財団の所有権移転に基づく組成物件たる不動産の所有権移転登記申請に添付すべき登記済証

静岡 昭和44年6月30日第1062号局長回答
工場財団の所有権移転に基づいて組成物件個々の不動産の所有権移転登記を申請する場合の登記済証は、工場財団所有者が工場財団について所有権保存又は所有権の取得をうけたときの登記済証でよい。

工場財団の所有権を移転する場合、登記の申請としては、工場財団の所有権移転登記をするほか、組成物件の所有権移転登記の申請をすることを忘れないようにしたい。この場合の組成物件の所有権移転の登記原因は「年月日工場財団所有権移転」である。

登記申請に登記済証を添付させるのは登記申請意思の確認のためであるから、上記先例は頷ける。むしろ、工場財団の所有権移転の登記申請がされた場合には、組成物件の所有権移転は職権で行っていただいてもいいぐらいだ。

ちなみに、次のような先例がある。

 工場財団について所有権移転の登記がされたが、その組成物件である不動産について所有権移転の登記がされていない場合は、当該不動産の財団からの分離による工場財団目録の記載の変更登記の申請は受理できない。
(昭60.8.9、民三第4,789号民事局第三課長回答)

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2012年5月 2日 (水)

長男Aに全ての財産を相続させる旨の遺言の予防法務

昨日は、遺産額が少ないからといって相続紛争が少ないとは限らないこと、その原因は、自宅のように、事実上分割できない財産が主な財産であることなどを学習した。

では、こうした現状を踏まえて、遺言者、妻は既に死亡、子供3人(A、B、C)、相続財産は自宅(本人と長男が居住。価額2000万円)、預金100万円のケースで、紛争予防の観点から、次の遺言の問題点はどのようなところにあるのか。

遺言書

財産のすべてを長男Aに相続させる。

平成○年○月○日
           ●●●● 印

 当然ながら、B、Cは遺留分を請求してくる可能性がある。それぞれの遺留分は350万円であり、相続財産のうち預金は100万円であるから、Aが自宅を自己名義にしたければ、自己の預貯金から代償金を支出するなどして話し合いをしなければならなくなる。
 いずれにしても、BCが遺留分を請求すると、Aは700万円(相続財産である預金100万円を使えば残り600万円)の出費を余儀なくされる。どうせそういうことになるのであれば、遺言者も、もう少し考えた方がよさそうだ。

 次に、この遺言を見たBCはどう思うだろうか。財産の分け前はともかく、父の遺言書に自分の名前が出てこない寂しさをどれほどのものだろうか。BCに対して感謝の気持ちを伝えてはどうだろうか。

 さらに、なぜ「長男Aに相続させる」ことにしたのか、遺言の中でその理由も説明して欲しいところだ。その理由が納得できれば紛争にはならない。

 また、長男は家賃もローンもなく自宅に暮らしてきた一方、BやCは家賃やローンを支払っているかもしれない。遺言者は、そのあたりも考えてあげた方がいいかもしれない。

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そうすると、こんな遺言になるかもしれない。

遺言書

財産のすべてを長男Aに相続させる。

付言事項
 最後に伝えておきたいことがあります。
 私が現在持っている財産は、自宅の土地と建物、○○銀行の預金100万円程度です。本当は、ABC3人に均等に分けてあげたいのですが、自宅を3つにわけることもできません。

 さいわい、長男Aが家業を継いでくれていますので、家業のためにも必要な自宅は長男Aに相続させることにしました。また、私の葬儀やお祀りごとにもいろいろとお金がかかると思いますので、わずかな預金ですが、これも長男Aに相続させることにしました。

 Aには全ての財産を相続させることにしましたが、BやCがそれぞれ住宅ローンを払っていたり家賃を支払っていたりしていることを考えれば、金銭的には余裕があるかもしれません。しかし、亡くなったお母さんの介護に続き、私の老後の世話を見てくれて、大変助かっています。一口に介護と言っても、毎日毎日、昼も夜もなく面倒をみてくれました。この苦労は、実際に経験した者でなければわからないと思います。BもCも、そのあたりは理解してあげてください。

 Bは若くして結婚し、私も心配で心配でなりませんでしたが、今では子供3人を立派に育て上げ、頼りがいのある母親になりましたね。何も遺してあげることはできませんが、亡くなったお母さんの着物と指輪などが和箪笥にたくさんありますので、形見分けとして気に入ったものを貰ってください。

 Cは、小さい頃は本当におとなしい子でしたので、まさか、会社を辞めて自分で商売を始めるとは思いませんでした。特に、生き馬の目を抜くような厳しい業界だと聞いていますが、何か困ったときは、必ずお兄さんに相談しなさい。きっと、力になってくれると思います。
 Cにも何も遺してあげることはできませんが、私が結婚した時にお母さんに買ってもらった腕時計を形見分けにもらってください。手動式で、時間も時々狂いますが、そんなところが私に似ていると思って使ってもらえると大変嬉しく思います。
みなさんには本当に感謝しています。これまで、いろいろなことがありましたが、しあわせな人生をおくることができました。
本当にありがとう。

平成○年○月○日
           ●●●● 印

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2012年5月 1日 (火)

数字からみる遺産分割紛争の実態

現在の相続税制のもと、年間約114万人の相続の発生に対し、相続税の対象となるのはわずか4%のみということである。

では、「ウチは財産そんなにないし、相続の問題なんて存在しない」ということになるのだろうか。

司法統計によると、平成22年中に成立した遺産分割調停7987件のうち、相続財産の価額別件数は次のとおりである。
1000万円以下 2469
5000万円以下 3465
1億円以下    1060
5億円以下     590
5億円超       51
不明         352

つまり、調停に持ち込まれているケースは、相続税がかからないようなケース方が圧倒的に多いということがわかる。

そして、遺産の価額別にみると
土地・動産その他          81
建物・現金等            142
建物・動産その他          28
現金等・動産その他        163
土地・建物・現金等        2315
土地・建物・動産その他      251
土地・現金等・動産その他     88
建物・現金等。動産その他     55
土地・建物・現金等・動産その他 979

このように、ほとんどのケースで不動産が相続財産に入っている。

そうすると、調停に持ち込まれているケースの多くは、相続財産は5000万円以下で、相続財産は不動産と預貯金等だけであるようだ。したがって、実質的には、自宅の不動産と預貯金であると推測される。このような場合、揉める原因は、事実上分割できない不動産について、家を継ぐ者は当然に自宅の権利を主張する、家を継がない者は自宅を価額で換算して法定相続分で考えるという考え方の違いから生じているのではないかと思われる。

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では、こうした現状を踏まえて、遺言者、妻は既に死亡、子供3人、相続財産は自宅(本人と長男が居住。価額2000万円)、預金100万円のケースで、紛争予防の観点から、次の遺言の問題点を挙げよ(遺言書の成立要件に瑕疵はないものとする)。

遺言書

財産のすべてを長男○○に相続させる。

平成○年○月○日
           ●●●● 印

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