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2012年6月28日 (木)

他に相続人がいない場合の証明方法

1 除籍簿廃棄のため、これにより相続関係の証明が不能の場合、その旨の市区町村長の証明書と過去帳に基づき、当該相続人が死亡し、かつ、その者に子がなかつたことを認定することができる寺の証明書があれば、相続人の証明書の提出を要しない。
2 相続人において他に相続人がいないことを証明する場合には、相続人全員によるその旨の証明書(印鑑証明書付)の提出を要する。
(昭55.2.14、民三第867号民事局第三課長回答)

 戸籍が廃棄されていたり戦災で消失している場合など、相続人を確定できる戸籍謄本を全て揃えられない場合、上記の通達にしたがって、相続人全員から「他に相続人はいない」旨の証明書(印鑑証明書付)を添付して相続登記を申請する旨の実務が行われている。しかし、数次相続や再転相続のような場合などに、例えば、被相続人の20歳以前の戸籍謄本を取得することができないが、相続人がその当時出生しておらず、とても「被相続人には他に相続人がいない」旨の証明を書くことができない、というような事態が起こりうる。

名古屋地裁平成22年1月21日判決は、相続人17名のうち、「他に相続人はない」旨の証明書が相続人の一部からしか提出されておらず、登記申請を却下した処分を適法と判断した。

原告は、相続人全員にその証明を求めると、「そんな昔の事情は知らないから証明書は書けない」とか、一定の金銭の支払いを要求されるきっかけになる、というような理由で、一部の者からの証明を提出し、残りの者については証明書をあればいいのではないか、という主張をしていたようである。しかし、裁判所は、本件登記に関して原告から提供された登記原因証明情報では、他に相続人がいない事実を証明したことにならないから、却下は適法であると判断した。

Dsc_0239 

ちなみに、判決の中では、この証明書の性質について、「事柄の性質上、当該申述書は、申述者において「他に相続人はない」という事実を確定的に認識した上で作成するまでの必要はなく、申述者の認識が「他に相続人がいるという事実を認識していない」という限度にとどまるものであつても足りる」と判示している。それならば、今後は、証明書の文言もそのように変えていく方向で考えることにしたい。

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コメント

そういう文言では登記所が受理しないという可能性はないですか。

投稿: みうら | 2012年6月29日 (金) 18時42分

今度機会がありましたらやってみますね。

投稿: 古橋清二 | 2012年7月 2日 (月) 08時40分

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