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2012年7月

2012年7月31日 (火)

不動産登記簿の粗悪用紙等の移記について

土地の沿革を調べる際に、コンピュータ化による閉鎖登記簿の甲区に「法務大臣の命により順位●番の登記を移記」と書かれているものがある。
この「法務大臣の命」というのは、昭38.7.18、民事甲第2,094号のようである。

 粗悪用紙の移記庁に指定された登記所における粗悪登記用紙の移記作業についての不動産登記法第24条の規定による法務大臣の処分命令は、監督法務局又は地方法務局の長が代つて命ずるものとし、その命令は指定する登記所ごとに行い、移記を要する粗悪用紙は個々に特定することなく包括的に指示してさしつかえない。なお、不動産登記法施行細則第23条の規定による申報は要せず、当該作業を実施する登記所は、その作業の完了した用紙を、逐次監督法務局又は地方法務局の長に報告するものとする。
(昭38.7.18、民事甲第2,094号民事局長依命通達)

なお、物資不足により「質」の悪い登記用紙(粗悪用紙)を利用していた時期(戦中,戦後)があったため、登記簿謄本の作成に不便、長期の保管に不向きということで新しい用紙に移記したようだ。

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2012年7月30日 (月)

商業登記規則61条の規定により印鑑証明書を添付する場合の印鑑証明書の有効期限

会社法施行前からそうだったのか覚えがないが、商業登記規則61条の規定により印鑑証明書を添付する場合の印鑑証明書には有効期限の定めがない。

印鑑届に添付する印鑑証明書は作成後三月以内のものである必要がある。

商業登記規則
(印鑑の提出等)
第九条  印鑑の提出は、当該印鑑を明らかにした書面をもつてしなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる印鑑を提出する者は、その書面にそれぞれ当該各号に定める事項(以下「印鑑届出事項」という。)のほか、氏名、住所、年月日及び登記所の表示を記載し、押印しなければならない。
<省略>
5  第一項の書面には、次の各号に掲げる印鑑を提出する者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書面を添付しなければならない。ただし、同項の書面の提出を受ける登記所において登記がされている法人(当該登記所の管轄区域内に本店又は主たる事務所を有するものに限る。)の代表者の資格を証する書面及び当該登記所に提出された印鑑に係る印鑑の証明書については、この限りでない。
一  商号使用者、未成年者、後見人(法人である場合を除く。)、支配人を選任した商人(会社である場合を除く。)、会社の代表者(法人である場合を除く。)又は管財人等(法人である場合を除く。)
    第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市区町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの

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2012年7月27日 (金)

「債務者 何市何町何番地 甲野商店」と個人商号を記載して登記を申請できるか(野々垣バージョン)

抵当権設定登記の原因証書に「債務者 何市何町何番地 甲野商店」と記載されている場合には、申請書に個人商号を記載しても差し支えない。

 認可を受けていない自治会など、法人格を有しない権利能力なき社団は所有権等の登記名義人とする登記の申請又はその団体名を冠記した代表者名義の登記申請は、受理すべきないとするのが登記実務であるが、抵当権設定登記における債務者は登記名義人ではなく、かつ、権利能力なき社団であっても、民事訴訟法第37条によって、民事訴訟法上の当事者能力が認められているため、権利能力なき社団を抵当権設定登記の債務者とする申請は受理して差し支えないとされている。
 これと同様に、「債務者 甲野商店」と記載して差し支えないとされている。

 ここで、債務者を個人名とするか甲野商店と記載することの相違は、民事法定利率か商事法定利率の適用の別が明らかになることであろう。

 債務者を個人商店として登記されている抵当権をあまり見かけることはないが、今後、さらに注意して登記簿を確認したい思う

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2012年7月26日 (木)

利息が「定めなし」とされている場合の抵当権設定の登記

金銭消費貸借契約において、無利息とする定めがされているときは、無利息の定めは登記することができるとされていますが、元本につき利息定めなしとする定めがある場合、その定めは利息の定めと解されないので登記することはできないものと考えますがいかがでしょうか。なお、民事債権の場合も同じであると考えますが、いかがですか。
御意見のとおりと考えます。(登研240号)

つまり、利息として「定めなし」と定めている場合は、利息の定めはないという趣旨であるから利息の定めの登記をすることはできないという趣旨である。これに対し、無利息とする定めがされているときは、無利息の定めは登記することができる。

訴状を起案する時は、定めがなければ「定めなし」と書いてしまうが、登記申請書の場合とごちゃごちゃにならないようにメモしておきたい。

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2012年7月25日 (水)

一部の取締役についてのみ定款及び選任時の株主総会決議で任期を定めることの可否

有限会社の取締役について、株主から選任された取締役については任期の定めを設けず、従業員の中から選任した取締役について任期を定めることは合理的理由もあり、許されるもねのと考えられるとされる(登記研究772 33頁)。

この場合の定款の定めであるが、「株主総会は、取締役の選任に際し、当該取締役について、任期を定めることができる。この場合の取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」というような定めが考えられると記載されている。

そうすると、株式会社も同様の定めをすることができると考えられる。たとえば、取締役の任期は10年である場合に、特定の取締役については株主総会の決議により任期を短縮することが考えられる。

(取締役の任期)
第三百三十二条  取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
2  前項の規定は、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。

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2012年7月24日 (火)

抵当権設定の登記をした●日後に金銭を授受するという消費貸借契約はいつ成立するのか

次の質疑応答がある。

登研138号
「抵当権設定の登記をした5日後に、金銭を授受する。」旨の消費貸借契約及びこれに基づく抵当権設定の契約は、有効と思われますが、右の契約書を登記原因を証する書面として、抵当権設定の登記申請があった場合、右の「金銭は何月何日に授受する。」旨の約定は、特約事項として登記することはできないと思いますが、反対説もありますので、いかがでしょうか。
御意見のとおりと考えます。

おそらく、登記の原因としては「年月日金銭消費貸借同日設定」となるのであろうが、実際に金銭が交付されるのは抵当権設定の登記をした5日後ということであろう。以前、野々垣バージョンでも指摘していたが、消費貸借契約の要物性が緩和されている一例であろう。

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2012年7月23日 (月)

遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合に抵触する部分について前の遺言を取り消したものとみなすことの法意

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2  前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

第2項については、遺言で相続させる旨を定めた不動産を生前に売却してしまったような場合は理解しやすい。

最判昭和56年11月13日は、終生扶養を受けることを前提として養子縁組をしたうえその所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者がその後養子に対する不信の念を深くして協議離縁をした場合について、遺言は、その後にされた協議離縁と抵触するものとして、民法一〇二三条二項の規定により取り消されたものとみなすべきであるとした。

判決は次のように指摘している。
「民法一〇二三条一項は、前の遺言と後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなす旨定め、同条二項は、遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合にこれを準用する旨定めているが、その法意は、遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずるにあることはいうまでもないから、同条二項にいう抵触とは、単に、後の生前処分を実現しようとするときには前の遺言の執行が客観的に不能となるような場合にのみにとどまらず、諸般の事情より観察して後の生前処分が前の遺言と両立せしめない趣旨のもとにされたことが明らかである場合をも包含するものと解するのが相当である。」

ここで、2点、重要なポイントを指摘しておきたい。ひとつめは、「遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずる」という点である。これは、1項について述べたものと解されるが、遺言者の意思について、最終意思が最も尊重されるべきものであることを明らかにしている。そして、ふたつめは、冒頭の単純な例のように遺言の執行が客観的に不能となる場合だけではなく、判決の事例のように、趣旨として遺言と両立し得ない行為によっても撤回を擬制していることである。

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2012年7月20日 (金)

「知れたる債権者」とはどの様な債権者か

資本金の額の減少等を行う場合、知れたる債権者に対して、異議申述の為の個別催告を行っていく必要が生じるケースがある(会社法449条)。
 
 この個別催告を求めた趣旨は、分配可能額の増加により、株主に対し払戻す財産額が増加する可能性があり、その結果、債権者への返済について影響することが考えられるため、利害関係者となる債権者に対して異議を述べる機会を与えるためだとされている。

 債権者と一口言っても、多額で継続的な取引のある債権者から小口の単発取引の債権者まで、取引の形態はさまざまである。

 では、会社法には「知れたる債権者」には、個別催告が必要と記載されており、知れたる債権者か否かの判断について具体的な定義はされていない。この知れたる債権者をどう定義したらいいのだろうか?

 仮に知れたる債権者から異議が出た場合、「株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該資本金等の額を減少しても当該債権者を害するおそれがないときは、このかぎりでない。」と記載され、当該会社は、債権者に不利益が生じない措置を行う必要がある。

 そう考えると、一括支払いで完済できる額の債権者には、個別催告をしなくとも、債権者に不利益が生じる可能性がないとして、知れたる債権者には該当しないと考えていいのだろうか? 

 しかしながら、会社にとって、50万の債務額の債権者でも、100社そのような債権者が存在すれば5000万円の債務を負っていることになり、全社に対して一括で完済することは難しいと考えられこともあり、一律に債務額で知れたる債権者を画することにも検討が必要である。

 どの書籍を調べても、「知れたる債権者」の定義が明確に記載されていない理由がわかる気がする。

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2012年7月19日 (木)

ノンバンクからの融資を拒否しローン条項に基づく契約解除が認められた事例

東京地裁判決平成16年7月30日は、不動産売買契約についてローン特約がある場合があるが、「都市銀行他」から融資を受けるというローン特約があつた場合、「都市銀行他」にノンバンクが含まれるのかが争われた。

 買主Xは、平成13年4月、業者Y2の媒介で、売主Y1から土地付建物を代金6,100万円で購入し、手付金250万円を支払った。
 本件売買契約には、①買主は、契約後速やかに「都市銀行他」に「4,000万円」の融資申込みをしなければならない、②5月末までに融資の全額または一部について承認が得られない場合は、本件売買契約は自動的に解除となる、③買主が4月末までに、金融機関等に対して必要な書類を提出せず、売主が催告をした後に5月末日を経過した場合、または買主が故意に虚偽の証明書等を提出した結果、融資の全部または一部について承認が得られなかった場合には、②の規定は適用しない等とするローン条項があった。

 Xは、売買契約締結後、都市銀行や信用金庫に融資を申し込んだ。また、Y2に勧められたノンバンクであるA社に対しては、申込みはしたものの、銀行などに比べ金利が高いという理由で、申込みの翌日にそれを撤回し、1か月後には提出書類の返却を受けた。結局、都市銀行や信用金庫からは、4000万円の融資希望額の一部につき承認が得られなかったため、Xは、Y1に対して本件売買契約の解除の意思表示をし、手付金の返還を求めて提訴した。

 Y1及びY2は、Xが融資の承認を得られなかったのは、X自らが融資を得るのに必要な手続きを採らなかったからである等として反訴した。

判決は、Xが本件売買契約以前にノンバンクから融資を受けるほかないことを了承していたことはない、さらに「都市銀行他」という文言は、都市銀行及びそれに類する金融機関を意味するものと解するのが自然であることを併せ考慮すると、ノンバンクであるA社は、「都市銀行他」に含まれないと認めるのが相当と判示した。

本件は住宅の売買契約であると思われるが、住宅を購入するにあたって銀行以外のノンバンクからのみ融資を受けることはほとんどないであう。したがって、「都市銀行他」という文言にはノンバンクは含まないと判断したのは妥当であろう。

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2012年7月18日 (水)

「公簿売買」で売買された不動産について、後日、面積相違による精算を請求することができるか(判例より)

昨日のふりかえりメモ

相続放棄の照会書の記入の仕方に対する問い合わせに対する対応・・・特に、「あなたが相続人となったことを知った日」と「あなたが相続放棄をした結果誰が相続することになるのですか」の記入のしかた

共同根抵当権設定の登記委任状には「共同」必要。登記原因証明情報にも「共同担保として」が必要。オンライン申請だと致命傷ですよ。

設定の取扱支店・・・書類を預かる際に申請書を頭の中で書いてチェックすること。空白になっていればその場で確認。

農地の明け渡し訴訟・・・結局賃貸借契約継続の方向で和解交渉進める

遺留分減殺による物件返還調停申し立て・・・調停申し立てとは別個に遺留分減殺の意思表示を直接行うべき

再生申立の準備が進まない依頼者・・・労働組合に影からバックアップしてもらう

提訴中の不法占有者・・・ある機関に保護されたが先方も守秘義務があり交渉進まず

「公簿売買」で売買された不動産について、後日、面積相違による精算を請求することができるか(判例より)
   
本件土地は,愛知県岡崎市内の市街化区域内に所在する隣接した2筆の土地であり,地目は畑であるが,現況は更地。

宅地建物取引業者である株式会社D住宅は,平成3年8月20日ころ,買主に対し本件土地の売買の媒介を旨申し入れ、その際の広告には、「公簿177㎡(53.54坪),価格3640万円,3.3㎡単価68万円」との記載があった。

買主は、D住宅を通じて坪単価の値下げを折衝し,坪単価65万円に値下げしてもらった。

そこで,買主は,D住宅と本件土地購入について専属専任媒介契約を締結したが、その契約書には,本件土地の実測面積が177㎡,公簿面積も同様である旨の記載がされていた。

一方、売主とD住宅との専属専任媒介契約については、本件土地の公簿面積が177㎡である旨の記載はされていたが,実測面積についての記載はなかった。

買主が、D住宅に対し本件土地の実測図面を要求したところ,D住宅は,本件土地の面積が177㎡である旨が記載された公図の写しの交付を受けた。

D住宅はが交付した重要事項説明書には、本件土地の地積として,「登記簿177㎡(53.54坪)」との記載はあったが,実測面積の欄は空欄であった。また,同説明書の建築基準法に基づく制限の概要の欄には,本件土地の建築面積の限度として,「敷地面積177㎡×60%=106.2㎡」,本件土地の延べ建築面積の限度として,「敷地面積177㎡×200%=354㎡」との各記載があった。

本件売買契約書には,売買物件の表示として,「末尾記載の通りとしすべて面積は公簿による。」との条項(以下「本件条項」という。)があるが,D住宅からはその文言の意味の説明はなく,上告人と被上告人らとの間でその意味が確認されたこともなかった。

買主は、売買終了後、住居を新築するために土地家屋調査士に依頼して本件土地を測量したところ,その実測面積が167.79㎡であって,本件売買契約書に表示された面積177㎡に9.21㎡不足することが判明した。

以上の事実から、買主は、本件売買契約の代金額を坪単価に面積を乗じる方法により算定することを前提とするなど、実測面積に関心を持っていたことが明かであるし、本件売買契約当時,当事者双方とも,本件土地の実測面積が公簿面積に等しいとの認識を有していたことがうかがわれる。

また、本件条項自体は,実測面積と公簿面積とが食い違う場合に代金額の減額を要しないという趣旨を定めたものとはいえないし,本件条項がそのような意味を有する旨の説明がD住宅からされたことなどもないというのであるから,本件条項が存在することから直ちに実測面積に増減があっても公簿面積を基礎として本件売買契約の代金額が決定されたこととする趣旨であったと断定することはできない。

以上のことから、単に「公簿売買」と記載されていただけでは何も書いていなかったと変わらず、その意味までをも記載しておく必要があるし、特に、宅地のように、面積に対して当事者が感心を持つ取引は、原則として、数量指示売買として考えられる可能性もあるので注意が必要。

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2012年7月17日 (火)

「きらりタウン浜北」の換地処分登記による登記閉鎖について

浜松都市計画事業浜北新都市土地区画整理事業(愛称「きらりタウン浜北」)において、以下の日程で換地処分登記事務が行なわれる。
 
平成24年8月10日(金)       換地処分公告日
平成24年8月13日(月)       換地処分登記嘱託
平成24年8月13日~10月下旬  登記閉鎖期間(約2ヶ月)

【所在地】浜松市浜北区染地台、内野台
【事業主体】独立行政法人都市再生機構
【規  模】約160ha

1.登記閉鎖期間における一般登記事務
区画整理に伴う登記の書き換え作業のため、換地処分の公告の日から上記日程予定で、一般の登記事務が出来なくなります。同様に登記閉鎖期間中には、関連する土地・建物の登記事項証明書の取得も出来なくなる。

2.換地処分前の登記申請期限(権利関係)
 平成24年7月31日(火)までに申請された「権利の登記」に関しては、換地処分登記前に完了することが可能であり、かつ関連する登記事項証明書の発行も受けられる。同日以降に関しては個別協議となる。

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2012年7月13日 (金)

消費貸借契約に関する民法改正の議論(野々垣バージョン)

(消費貸借)
民法第587条
 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

 現行民法は、条文上、要物契約であることが明記されているが、実務上、抵当権設定登記が完了した後に、金銭の交付を行うという金融実務がなされることあり、要物性が緩和している。

Dsc_0254  判例(最判昭和48年3月16日金法683号25頁)も,諾成的消費貸借の有効性を肯定している。

 抵当権に関しての判例で、抵当権の附従性を緩和し、将来債権を被担保債権とする抵当権の設定も有効であるとするもの(大判明治38年12月6日民録11輯1653頁)がある。 

 このため、法制審議会民法(債権関係)部会においても、消費貸借を諾成契約として規定するか否かの議論がされている。

 仮に、諾成的消費貸借契約が立法された場合の論点として、利息付金銭消費貸借契約の締結後、借主が金銭を必要としなくなった場合は、借主の解除権を認めてもいいのではないかとの意見も出されている。

 この考え方は、契約成立後に金銭を必要としなくなった借主は,この解除権を行使することにより,利息の支払の負担から解放されることになり、借主の利益を考慮したものであるが、他方、交付前に契約が解除されたことにより、金銭交付の対価として利息利益を予定していた貸主の利益はどう考えていくかということも必要となる。

 民法(債権関係)改正作業は、一つの論点から多くの論点が生じてくる。法改正の審議がいかに大変なものであるかが垣間見ることができる。

 なお、諸外国の民法は、消費貸借をどのように規定しているかというと、ドイツ、スイスでは、諾成契約として規定し、フランス、オランダでは要物契約として規定されており各国によって、規定が異なっている。  

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2012年7月12日 (木)

土地の所有権が、贈与、相続により順次移転している場合に、真正な登記名義の回復を原因として、直接元所有者に持分移転登記手続を請求することは許されないとした事例

最高裁平成22年12月16日判決は、、Aが所有していた土地をBに贈与し、その後Bの死亡によりCが単独で本件土地を相続した件について、本件土地に持分10分の3のA名義の持分登記が残っていたケースで、Cが真正な登記名義の回復を原因とするA持分全部移転登記手続を求め部分を破棄・差戻しとした。

判決では、その理由として、「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」と述べ、「Cは、A名義で登記されている持分につき、①AからBに対する本件贈与を原因とする移転登記手続を請求し、その認容判決を得た上で、②BからCに対する本件相続を原因とする持分移転登記手続をすべきである」とした。

場合によっては、安易に使ってしまいがちな「真正な登記名義の回復」であるが、裁判所の判断は不動産登記法の原則にしたがって厳しく判断している。また、本件は、「真正な登記名義の回復」を安易に使うことによって中間省略登記を認めてしまうことについての警鐘を発しているのかもしれない。共同申請が原則である登記申請において申請当事者双方が「真正な登記名義の回復」を原因として登記を申請することが手続上は可能である場合であっても、訴訟において登記手続請求権として「真正な登記名義の回復」を原因として訴求しうることができない場合がありそうだ。

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今まで「真正な登記名義の回復」を使っていたケースを洗い出して、この判例に趣旨に照らして、今までどおりでいいケースとそうではなく物権変動を忠実に登記簿に反映すべきケースを場合分けする必要があるかもしれない。

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2012年7月11日 (水)

新築分譲住宅を建設する目的で土地付中古住宅を購入した業者が、建物を取り壊した後、同建物内で自殺があったことを知った場合、売買契約の解除ができるか

大阪地裁判決平成11年2月18日の事例である。

 買主業者Xは、平成10年3月、売主Yから、新築分譲建設目的で、土地付中古住宅を1,600万円で買い受け解体したところ、平成8年にYの母親が建物内で首吊り自殺していたことが判明した。Xは、Yがその事実を説明しなかったとして売買契約を解除し、Yに対し、違約金及び解体費用410万円の損害賠償を求めた。

しかし、Xが本件土地建物を買い受けたのは、取壊して新築住宅を建設、分譲するためであり、契約後解体されているから、Xの意思は主として土地取得のためにあったと認められる、継続的に生活する場所である建物内で首吊り自殺があったという事実は、民法570条の瑕疵に該当する余地があると考えられるが、本件においては、本件土地について、かつて本件土地上に存していた建物内での自殺であるから、嫌悪すべき心理的欠陥の対象はもはや特定できない一空間内におけるものに変容しており、嫌悪の度合いは通常一般人が本件土地に新たに建築された建物を居住の用に適さないと感じることが合理的であると判断される程度には至っておらず、Xの転売が不能であるといえない、という理由で、本件自殺があったという事実は、隠れたる瑕疵には該当せず、Yに説明義務はないと判示した。

他の判例では、売買物件において過去に自殺があった場合、自殺のあった座敷蔵が取除かれて存在しないときは、住み心地のよさを欠くとはいえないとして瑕疵担保責任を否定した判決がある(大阪高判昭和37年6月21日)。

また、大阪高裁判決平成18年12月19日は、殺人事件について、かつて存在していた建物内で殺人事件が発生したものであっても、女性が胸を刺されるというもので残虐性が大きく、本件殺人事件は新聞にも報道されており、約8年以上前に発生したものとはいえ、付近住民の記憶に少なからず残っているものと推測され、本件土地1の側の購入を一旦決めた者がその購入を見合わせたことなどの事情に照らせば、本件土地には、その上に建築された建物の居住者が、住み心地が良くなく、居住の用に適さないと感じることに合理性があると認められる程度の、嫌悪すべき心理的な欠陥がなお存在するというべきとして、一定の範囲で瑕疵担保責任を認めている。

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2012年7月10日 (火)

預金の払い戻しについて、金融機関の注意の程度を示した判例

昨日、債権の準占有者に対する預金払い戻しの話をしたが、それに関し、相続とは関係ないが、金融機関の過失の有無を判断した判例があるので紹介しておく。なお、いずれも、預金の約款に照らして判断しているようだ。

Dsc_0252

印鑑照合の程度
最高裁判所第二小法廷 平成10年3月27日
【事件番号】 平成10年(オ)第226号
「銀行の印鑑照合を担当する者が、払戻請求書に使用された印影と届出印の印影又は預金通帳に届出印により顕出された印影(副印鑑)とを照合するにあたっては、特段の事情のない限り、折り重ねによる照合や拡大鏡による照合までの必要はなく、肉眼による平面照合の方法をもってすれば足りるものと解される。この場合、担当者は、銀行の印鑑照合を担当する者として、社会通念上一般に期待される業務上の相当の注意をもって照合を行うことが要求され、そのような事務に習熟している銀行員が、通常の事務処理の過程で、限られた時間内にではあるが、相当の注意を払って照合するならば、肉眼をもって別異の印章による印影であることが発見し得るのに、そのような印影の相違を看過した場合には、銀行には過失があり、民法四七八条はもとより、本件免責条項の適用もできないこととなるのである。」

キャッシュカードの利用と免責約款の効力
最高裁判所第二小法廷平成5年7月19日
「銀行の設置した現金自動支払機を利用して預金者以外の者が預金の払戻しを受けたとしても、銀行が預金者に交付していた真正なキャッシュカードが使用され、正しい暗証番号が入力されていた場合には,銀行による暗証番号の管理が不十分であったなど特段の事情がない限り、銀行は、現金自動支払機によりキャッシュカードと暗証番号を確認して預金の払戻しをした場合には責任を負わない旨の免責約款により免責されるものと解するのが相当である」

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2012年7月 9日 (月)

債権の準占有者への預金の払い戻しは、いつまでも古典的な考え方でよいか

9月に、とある金融機関の職員に相続についての講義をすることになった。そこで、金融機関で想定される相続に関する問題を取り上げていきたいと思う。

9月1日、預金者Aの通帳及び印鑑を持参したAの長女Bに対し、預金全部である200万円を払い戻しました。その際、Aの免許証コピーとBの本人確認書類も徴求しました。ところが、2週間後、Aの長男Cが来店し、「Aは8月に死亡した。なぜBの払い戻しに応じたのか」と言っています。なお、Aさんが死亡していたという事実はCから初めて聞かされました。また、相続人はBとCの二人で、戸籍謄本は揃っているものとします。金融機関として、Bに対し、どのように対応したらいいでしょうか。

ⅰ 200万円を返してもらわなければならない。
ⅱ 200万円を返して貰う必要はない。
ⅲ 100万円を返してもらわなければならない。

ポイント
 「債権の準占有者への弁済」(民法478)の適用があるか否かを検討する必要があります。

(債権の準占有者に対する弁済)
第478条  債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

 つまり、Bに対する払い戻しについて金融機関が善意かつ無過失であれば払い戻しは有効ということになります。
 「善意」とは、無権利者であることを知らないということを言います。つまり、通帳と印鑑を持参したAが何らの権限もない者ということを知らなかったということです。通常、通帳と印鑑を持参していれば、代理権限があると推定すると思われますので、特別の事情のない限り、「善意」ということになると思われます。
 ただし、顧客が著名人でニュースなどで死亡を知っていた場合や、営業担当者が死亡の事実を把握していたような場合には「善意」ではないと判断されることも考えられますので、顧客死亡情報に接した場合には速やかに預金の入出金停止措置をとる必要があります。
 次に、「無過失」であることが要件となっていますが、過失は様々な場面において想定されますし、「善意」であると信じたことに過失がある場合も考えられます。

今後、金融機関の本人確認が形骸化してしまうと過失が認定される場合もありますので注意が必要です。
 以上により、原則として、Bに対しては「200万円を返して貰う必要はない。」ということになります。

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本人確認について過失を認定した例
大阪高等裁判所 平成20年2月28日
「被控訴人は、本件パンフレット(本人確認法について全銀協が作成したパンフレット(解説者注))により、二〇〇万円を超える大口現金出金等には、法人の場合、登記簿謄本・抄本、印鑑登録証明書などの本人確認書類の提示のほか、併せて来店者の本人確認書類の提示を求めるなどと具体的かつ明確に記載した本件パンフレットを作成配布しているから、本人確認法の趣旨を超えて盗難通帳による被害防止の趣旨を含んでいるとの記載はないものの、特別の事情のないかぎり、本件払戻の際、被控訴人が来店者に運転免許証などの提示を求めるなどの本人確認の手続をとらなかった点につき、過失があったというべきであるし、その確認手続を不要とするような特別の事情を認めるに足りる証拠はない。したがって、被控訴人の本件払戻については、過失があるといわざるをえない。
<中略>
 なお、念のため、被控訴人主張のとおり、本件パンフレットによっても、被控訴人に来店者の確認をする義務まではないとの見解のもとにおいて、本件払戻につき、被控訴人に過失があるか否かについて検討する。
<中略>
 本件口座が控訴人の営業に常時使用されていないため、悪用される可能性がかなりあると容易に思いつくはずであり、また、来店者が二七七万三二三〇円という高額の預金残高のほぼ全額の払戻をしようとしているのであるから、少なくとも、被控訴人の担当職員は、来店者に対して、控訴人の代表者本人か代理、代行の者であるかの確認をすべきであったというべきである。したがって、被控訴人の担当職員が、本件払戻の際、その来店者に対して本人か、代理、代行の者かの確認をして、格別、不審な態度が認められなかった場合には過失がないというべきであるが、その確認をしないで、本件払戻の手続に応じたことにつき、被控訴人は過失があるといわざるをえない。」

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2012年7月 6日 (金)

1筆の土地の一部の時効取得と裁判手続及び分筆手続

最判 昭和45年12月18日は、一筆の土地の一部の所有権を時効取得するできることを明らかにしている。 

 では、このような事案に我々が遭遇した場合、相手方へ判決による所有権移転登記手続を求める訴訟を進行していくと思われるが、その前提として、当該訴訟の請求に対象土地の分筆登記手続を求める必要があるかということが論点となる。

 ここで、「東京地判昭和31年3月22日」は、所有権の取得者が分筆登記手続をするためには、登記名義人に代位して分筆登記申請を行うこで足りるため、判決主文において、従前の所有者である登記名義人が分筆登記手続をすべきことをうたう必要はないと判示した。

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 上記は、条文の基本的知識があれば理解できる問題である。時効取得の要件、一筆の土地の一部の時効取得、分筆登記等、論点が増えても、基本的知識である条文に立ち返れば、解決の糸口を見つけることができるのではないか。

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2012年7月 5日 (木)

議事録上、株主総会の招集の手続が法令又は定款に違反していることが明らかな場合の登記申請手続

登記情報608号「泣き笑い千例集」を参考にした小話

議事録上、株主総会の招集の手続が法令又は定款に違反していることが明らかな場合、たとえば、招集期間が定款に違反して短期間であることが議事録の記載から明らかとなる場合など、どのように登記申請すればいいか。

このように、招集の手続が定款に違反している場合、株主等は決議取り消しの訴えを提起することができる。しかし、いつまでも不安定な状態にしておくことはできないため、訴えの提起は決議の日から三箇月以内にしなければならないとされている。

会社法831条抜粋
 次の各号に掲げる場合には、株主等は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。
一  株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
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そこで、決議の日から三箇月以内に上記の議事録を添付して登記の申請がなされた場合は、「登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき」として、却下される(商業登記法24条10号)。

決議の日から三箇月以内に訴えが提起されなければ取り消されることはないので、その場合には、訴え提起のないことの証明を裁判所で発行してもらい、それを添付して登記申請することになる。なお、この訴えは本店を管轄する地方裁判所の専属管轄であるので、当該裁判所で証明書を発行してもらうことになる。

(提訴期間経過後の登記)
第二十五条  登記すべき事項につき訴えをもつてのみ主張することができる無効又は取消しの原因がある場合において、その訴えがその提起期間内に提起されなかつたときは、前条第十号の規定は、適用しない。
2  前項の場合の登記の申請書には、同項の訴えがその提起期間内に提起されなかつたことを証する書面及び登記すべき事項の存在を証する書面を添附しなければならない。この場合には、第十八条の書面を除き、他の書面の添附を要しない。
3  会社は、その本店の所在地を管轄する地方裁判所に、第一項の訴えがその提起期間内に提起されなかつたことを証する書面の交付を請求することができる。

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2012年7月 4日 (水)

ローン特約がある場合の白紙解約が認められない場合

不動産売買契約の際に「ローン特約」を締結することがある。一般的に、「ローン特約」とは、住宅ローンの借入ができなかった場合に、売買契約を白紙に戻すというもの。つまり、支払った手付金も返してもらえる。したがって、買主から言えば安易に契約を白紙に戻すことができてしまうことから、ローン特約に、仲介業者が斡旋する具体的な銀行名を入れ、仲介業者が同行するなどして融資を受けさせることが行われているようだ。

いずれにしても、ローンが受けられなければ売買契約を白紙解約できるわけであるが、買主がローンを受ける努力をしていなかった場合には、売主としては憤懣やるかたないということになる。

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東京地裁判決平成9年9月18日の事例を見てみたい。

 買主Xは、平成7年1月、業者Aの媒介で、売主業者Yから、土地建物を1億2,000万円で買い受け、手付金1,000万円を支払った。

 Xは、本件売買代金の資金調達について、住宅ローン5,500万円を計画し、本件契約にローン特約(解除期限2月17日、申込先はXの希望する金融機関)を付した。その後Xは、Yと協議して、特約期限を延長し、申込先はC銀行及びD銀行とする、融資額は5,000万円で変動金利とする、返済期間は融資申込先の最長年数とする、という内容の合意書を交わした。Xは、C銀行、D銀行のそれぞれ2支店に融資申込みを行ったが、完済時の年齢が70才以下で、年収に対する返済負担率が35%(D銀行は40%)以下でなければならないとして断られた。
 また、XはC銀行ローンセンター及びD銀行の7支店に、完済時年齢が75才までの大型ローンの融資の可否を問い合わせたが、受け入れられなかった。

 Xは、Yに対し、3月18日ローン解約を通告し、手付金の返還を求めたが、Yは、Xが金融機関に対して真摯な申込みをしていない、Aを関与させていない等を理由として、本件解約は無効であると拒否したので、Xは訴訟を提起した。

 本判決は、
①Xは、本件合意後、融資機関に申込手続を積極的に行ったが、いずれも融資基準に満たないとして断られたことや、融資の可能性を積極的に探っていたことなどに照らすと、Xは真摯な努力を尽くしている。 
②媒介業者Aを関与させずに融資申込をX単独で行ったとしても、申込手続のAの代行又はAと共同して行うべき旨の合意は成立しておらず、当該合意をしていない限り、Xが自ら融資機関と交渉したとしても何ら非難されるべき点はない。
③したがって、Xのローン解約には理由があるので、その請求を認容する。

 ローン特約と買主の努力義務については、融資限度額を大幅に超え、保証人をつける努力をしなかったから、買主は真摯な努力義務を尽くさなかったとした、平成9年9月19日西宮簡裁判決があるが、判例は少ない。

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2012年7月 3日 (火)

不動産売買契約について、将来の手付金倍返しの債務を担保するための抵当権の登記原因の記載方法

不動産売買契約について、将来、売買契約が解除され、手付金倍返しをしてもらうことになったときの請求権を担保するための抵当権の登記原因はどのようになるか、記載方法を考えてみよう。

なお、抵当権の原因については次のような先例があるので、いっしょに覚えておこう。

 民法第420条に基づき当事者が債務不履行の場合の損害賠償額の予定契約をなしたる場合、その将来の債権を担保するために抵当権を設定することができる。
 この場合、登記原因は「昭和年月日損害賠償額の予定契約年月日設定」とするのが相当である。
(昭60.8.26、民三第5,262号民事局長通達)

 登記原因を「年月日債務承認契約同日設定」とする抵当権設定登記の申請は、当該債務承認契約が単に既存の債務を承認し、その弁済方法を定めたものではなく、新たな債権契約と認められる場合は、受理して差し支えない。
(昭58.7.6、民三第3,810号民事局長通達)

 更改契約により成立した新債権を担保する抵当権設定登記の登記原因及びその日附の記載は、「年月日債務更改契約の年月日設定契約」としてさしつかえない。
(昭41.8.3、民事甲第2,368号民事局長回答)

 土地又は建物の給付を目的とする契約に基づく給付後の残代金を担保する抵当権設定登記の登記原因は、「年月日土地(建物)給付による残代金の年月日設定契約」と記載する。
(昭41.4.6、民事三発第343号民事局第三課長回答)

 保証委託契約による求償債務及び保証料債務を担保する場合の抵当権設定登記の申請書に記載すべき登記原因及びその日付としては、「昭和何年何月何日保証契約による求償債務及び保証料債務のための昭和何年何月何日抵当権設定契約」の振合によるべきである。
(昭31.3.8、民事甲第474号民事局第三課長事務代理回答・先例集追Ⅰ561頁、登研101号30頁)

以下は質疑応答

問 売買代金を消費貸借の目的としたことによる当該債権担保のための抵当権設定の登記原因は、「年月日準消費貸借年月日設定」又は「年月日金銭消費貸借年月日設定」として差し支えありませんか。
答 「準消費貸借」とするのが相当であると考えます。

問 売買代金を担保する為に抵当権を設定する場合の申請書の登記原因の記載の仕方をお教え下さい。
答 所問の場合の登記原因は、「昭和何年何月何日売買代金の昭和何年何月何日設定」と記載するのが相当と考えます。

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2012年7月 2日 (月)

相続放棄申述受理通知書をもって祖続放棄を証する書面としてよいか

静岡 昭和53年9月25日第1121号局長回答
「相続放棄申述受理通知書」をもって相続放棄申述の受理を証する書面として取り扱って差し支えない。

この回答は、本来であれば「相続放棄申述受理証明書」を添付すべき場合であっても、「相続放棄申述受理通知書」には、本籍、申述人、被相続人、事件番号、受理年月日が記載されているから、「相続放棄申述受理通知書」が添付されていれば相続放棄があったことが明かであるという理由で出されたものと思われる。

Dsc_0247

ところで、次のような先例がある。
 相続登記申請書に添付の相続放棄申述受理証明書および戸籍謄本によれば、受理審判の日の前日に申述人の1人が死亡していることが認められる場合であつても、当該相続登記申請は受理するのが相当である。
(昭47.5.2、民事甲第1,776号民事局長回答)

判決の効力は、これを受けるものに告知することによって効力を生じるのが原則であるから、この先例がどのような趣旨で出されているのか要注意である。

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