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2012年7月12日 (木)

土地の所有権が、贈与、相続により順次移転している場合に、真正な登記名義の回復を原因として、直接元所有者に持分移転登記手続を請求することは許されないとした事例

最高裁平成22年12月16日判決は、、Aが所有していた土地をBに贈与し、その後Bの死亡によりCが単独で本件土地を相続した件について、本件土地に持分10分の3のA名義の持分登記が残っていたケースで、Cが真正な登記名義の回復を原因とするA持分全部移転登記手続を求め部分を破棄・差戻しとした。

判決では、その理由として、「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」と述べ、「Cは、A名義で登記されている持分につき、①AからBに対する本件贈与を原因とする移転登記手続を請求し、その認容判決を得た上で、②BからCに対する本件相続を原因とする持分移転登記手続をすべきである」とした。

場合によっては、安易に使ってしまいがちな「真正な登記名義の回復」であるが、裁判所の判断は不動産登記法の原則にしたがって厳しく判断している。また、本件は、「真正な登記名義の回復」を安易に使うことによって中間省略登記を認めてしまうことについての警鐘を発しているのかもしれない。共同申請が原則である登記申請において申請当事者双方が「真正な登記名義の回復」を原因として登記を申請することが手続上は可能である場合であっても、訴訟において登記手続請求権として「真正な登記名義の回復」を原因として訴求しうることができない場合がありそうだ。

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今まで「真正な登記名義の回復」を使っていたケースを洗い出して、この判例に趣旨に照らして、今までどおりでいいケースとそうではなく物権変動を忠実に登記簿に反映すべきケースを場合分けする必要があるかもしれない。

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コメント

真正な登記名義の回復を共同申請できるが裁判上は駄目なケース・逆のケースがありますよね。

投稿: みうら | 2012年7月12日 (木) 19時14分

そうなんですよね。勉強することがたくさんあって困ります。

投稿: 古橋清二 | 2012年7月12日 (木) 20時49分

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