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2012年7月23日 (月)

遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合に抵触する部分について前の遺言を取り消したものとみなすことの法意

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2  前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

第2項については、遺言で相続させる旨を定めた不動産を生前に売却してしまったような場合は理解しやすい。

最判昭和56年11月13日は、終生扶養を受けることを前提として養子縁組をしたうえその所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者がその後養子に対する不信の念を深くして協議離縁をした場合について、遺言は、その後にされた協議離縁と抵触するものとして、民法一〇二三条二項の規定により取り消されたものとみなすべきであるとした。

判決は次のように指摘している。
「民法一〇二三条一項は、前の遺言と後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなす旨定め、同条二項は、遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合にこれを準用する旨定めているが、その法意は、遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずるにあることはいうまでもないから、同条二項にいう抵触とは、単に、後の生前処分を実現しようとするときには前の遺言の執行が客観的に不能となるような場合にのみにとどまらず、諸般の事情より観察して後の生前処分が前の遺言と両立せしめない趣旨のもとにされたことが明らかである場合をも包含するものと解するのが相当である。」

ここで、2点、重要なポイントを指摘しておきたい。ひとつめは、「遺言者がした生前処分に表示された遺言者の最終意思を重んずる」という点である。これは、1項について述べたものと解されるが、遺言者の意思について、最終意思が最も尊重されるべきものであることを明らかにしている。そして、ふたつめは、冒頭の単純な例のように遺言の執行が客観的に不能となる場合だけではなく、判決の事例のように、趣旨として遺言と両立し得ない行為によっても撤回を擬制していることである。

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