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2012年8月28日 (火)

根抵当権設定者である所有権の登記名義人を被相続人とする相続を原因とする所有権の移転登記と根抵当権の債務者の相続との関係について

登記研究773の質疑応答である。

民法398条の8第4項(※)に規定する期間の経過によって同項及び同条第2項の規定により元本が確定しているとして代位弁済を原因とする根抵当権の移転の登記をするためには、登記記録上、根抵当権設定者である所有権の登記名義人の表示と当該根抵当権の債務者の表示とが同一であり、当該根抵当権設定者である所有権の登記名義人を被相続人とする相続を原因とする所有権の移転の登記がされている場合においても、債務者の相続による債務者の変更の登記(根抵当権の変更の登記)を省略することはできない。

※第398条の8 元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
3 第398条の4第2項の規定は、前2項の合意をする場合について準用する。
4 第1項及び第2項の合意について相続の開始後6箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。

 これは、所有権の登記名義人と根抵当権の債務者名とが同一であったとしても別人の可能性があるという、登記独特の形式的な判断基準を前提とするものであろう。したがって、所有権について相続登記がなされていても根抵当権の債務者についても相続登記がなされていなければ、相続の開始後6箇月を経過としても、形式的には「確定している」と言うことはできない、という趣旨であろう。所有権の相続登記はやってくれたが根抵当権の債務者の相続登記(原則として根抵当権者と共同申請になる)に協力してくれないという場合には、ちょっとややこしいことになりそうだ。

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コメント

死亡後6か月経過だとふくめつしないから根抵当権確定通知も無理か。
これはこまったね。根抵当権の債務者の変更は単独申請できないし。

今日発売の商業登記倶楽部・中央経済社の商業法人登記六法は買いますかる

投稿: みうら | 2012年8月28日 (火) 19時26分

根抵当権の債務者の変更に協力してくれなければ訴訟提起するしかないですね。困ったものです。

商業法人登記六法は、あれば便利そうですがちょっと高いですね。それに、しょっちゅう改正がある分野ですから購入を迷ってしまいます。

投稿: 古橋清二 | 2012年8月29日 (水) 08時57分

根抵当権自体の時効の援用で足りますよね。被担保債権とは無関係に。債務者ならだめだけど。
死後6ヶ月以内に根抵当権確定通知を確実にすることですね。これをすれば確定通知による単独申請が可能。
株主割当で1人の株主が一部のみ行使して一部失権させるのは可能でしょうか。可能ならば株主割当方式も使えるのですがね。

投稿: みうら | 2012年8月29日 (水) 19時21分

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