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2012年9月

2012年9月28日 (金)

農地を対象物件として時効取得を原因とする所有権移転登記申請がされた場合、法務局等の対応はどのようになされるか(野々垣バージョン)

 食料生産の基盤を確保することを一つの目的として、「農地法」が制定されている。この農地法には、農地の所有権移転登記申請手続きを行う場合、原則として農地法の許可が必要な旨が記載されている。しかし、時効取得によって所有権を取得する場合、時効取得は、原始取得であるため、これを原因として農地の所有権移転登記申請手続きを行う場合、農地法の許可は不要である。

 では、農地を対象物件として時効取得を原因とする所有権移転登記申請がされた場合、法務局等の対応はどのようになされるか?

 まず、法務局は、農業委員会にその旨の通知をおこない、法務局から通知を受けた農業委員会は、時効取得が認められている実情を調査する。要件を具備していると判断すれば、登記申請が完了されるという流れである。

 農地を目的として、原因が時効取得の所有移転登記申請手続きをする場合、売買を原因とした所有権移転登記に比べ、登記完了までに時間を要する。
安定した食料供給を行い、自国での食糧自給率を確保するためには、国策として農地をあつく保護していることがよくわかる。

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2012年9月27日 (木)

撤回した遺言を撤回することにより、当初の遺言が復活するか

次のような事例である。
Aは「全財産をBに遺贈する」との遺言①をしていたが、後日、この遺言を撤回する遺言②を作成した。ところが、またまた気が変わり、遺言②を撤回する遺言③を作成した。これにより、遺言①が復活するかという問題である。
この場合、民法は、原則として復活しないと規定しているが、その理由は、遺言者が遺言①を復活させる意思があったのかどうかは遺言者が死亡後は確認が困難であること、遺言①を復活させる意思があるのであれば、遺言③の内容として遺言①と同じ内容をすれば足りること、と説明されている。したがって、本文の場合には、原則として遺言①は復活しない。

このような趣旨であるから、「遺言②を撤回し、遺言①を有効とする」との遺言③が残されていた場合には、遺言者の意思を尊重して遺言①を復活させるのが相当である(最判平成9.11.13)。

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2012年9月26日 (水)

遺言の撤回と撤回擬制

遺言を撤回するときは、遺言の方式にしたがって行われなければならない。これは、撤回の意思表示の真意性と明確性を確保するためと言われている。なお、この場合、先に行われた遺言と撤回の遺言とは方式が異なっていてもよい。たとえば、前の遺言が公正証書である場合に、撤回の遺言は自筆証書遺言であってもよい。

遺言者が、生前に、遺言が撤回されたものと評価される場合(撤回擬制)として、前後の遺言が内容的に抵触する場合、遺言の内容とその後の生前処分とが抵触する場合、遺言者が故意に遺言書や遺贈目的物を破棄した場合とがある。

では、遺言による財産処分が、その後になされた身分行為によって撤回擬制となるかどうかが問題となる。たとえば、養子に遺贈する旨の遺言をしていたが、その後、生前に養子と離縁したという場合である。

判例では、およそ遺言後の生前処分が遺言と両立させない趣旨で遺言者により行われたものと評価できる場合は、それが身分行為であっても遺言と抵触するものとして遺言が撤回されたものとみなしている(最判昭和56.11.13参照)。

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2012年9月25日 (火)

自由財産の範囲の拡張の運用

破産法では、破産手続開始決定時に有していた財産のうち、99万円を自由財産と定めている。この99万円は、民事執行法施行令で、差押えが禁止される継続的給付に係る債権等の額として支払期が毎月と定められている場合は33万円とされていることから、この3か月分を自由財産としているのである。

しかしながら、裁判官によってこの運用はマチマチである。今回、夫婦について破産申立をしたところ、民事執行法は世帯単位の生活費を確保するという趣旨であるから夫婦の財産合算で99万円という決定が出された。

破産手続については、他にも多くの点で運用が異なることが多く、また、その運用は必ずしも明らかにされていない。 

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2012年9月24日 (月)

遺言撤回の自由

遺言者は、遺言により行った意思表示をいつでも撤回することができ、また、遺言の撤回権の放棄を認めていない。このように、民法は遺言撤回自由を保障している。

したがって、たとえば、遺言者Aが土地をBに遺贈する旨の遺言をした場合において、A・B間で遺言を撤回しない約束をしても無効である(潮見佳男「相続法」参照)。

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2012年9月21日 (金)

遺言者の生前に受遺者としての地位確認を求める訴えは許されるか

Aが書いた公正証書遺言の中で、甲土地がDに遺贈されることが記載されていることが明かとなった。まだ、Aは生存している。この時期に、DがAを相手取り、受遺者として地位の確認を求めることができるか。

できない。確定的な権利義務関係が発生していないために、訴えは却下される(最判平成11.6.11)。また、上記のケースで、推定相続人が遺贈にもとづく法律関係の不存在の確認を求めて訴えを提起しても、却下される(最判昭和31.10.4)。(以上、潮見佳男著「相続法第4版」)。

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2012年9月20日 (木)

相続による所有権の移転がされている農地について、真正な登記名義の回復を原因として他の相続人に所有権移転をする場合は農地法の許可は不要である

平成24年7月25日民二第1905号の先例は次のとおりである。

相続による所有権の移転がされている農地について、真正な登記名義の回復を原因として他の相続人に所有権移転をする場合は農地法所定の許可書の提供の要否については、不動産登記法においては、登記原因証明情報の内容として事実関係(相続登記が誤っていること、申請人が相続により取得した真実の所有者であること等)又は法律行為(遺産分割等)が記録されていれば、当該許可書を提供する事を要しないものと考えますが、いささか疑義がありますので、照会いたします・・・・・。

貴見のとおりと考えます。

さて、従来の先例は次のとおり。

 農地につき「真正な登記名義の回復」を原因とする移転登記をするには、前の名義人に回復する場合を除いてその申請書に農地法の許可書の添付を要する。(昭40.9.24、民事甲第2,824号民事局長回答)

 農地について、「真正な登記名義の回復」を原因として、従前の所有権登記名義人でない者のための所有権移転の登記を申請するには、従前の所有権登記名義人の1名から、その者への所有権移転についての農地法の規定による知事の許可書の添付を要する。(昭40.12.9、民事甲第3,435号民事局長通達)

したがって、従来の先例と抵触する部分は変更されたことになる。

そもそも、相続による農地の承継であるから農地法の許可が必要となるという法的根拠は存在しないため、今回の先例は、実質的には妥当な先例である。そして、今回の通達のような場合に、昭和40代に出されたふたつの先例が邪魔をしていた。したがって、これらの先例を整理したものと理解できるが、別の問題点はないだろうか。

 ひとつは、中間省略登記になるのではないかという懸念、そして、もうひとつは、他の相続人がこの手続に関与する必要はないのか、という点である。

 まず、最初の問題的は、本来であれば、誤った相続登記を抹消して正しい相続登記を行うことになるところ、抹消登記をせずに移転登記をしてしまうことは、中間省略登記になるのではないかという点である。この点については、そもそも、「真正な登記名義の回復」を原因とする移転登記というのは、実体関係をそのまま反映する登記ではないといえるのであるから、従来の「真正な登記名義の回復」を原因とする移転登記の延長線上の運用だと割り切って考えればいいのかもしれない。

 次に、誤った相続登記を抹消して正しい相続登記を行うことになると、仮に遺産分割協議書の記載が誤っていたとしたら、相続人全員が新たな遺産分割協議書の作成に関与しなければならないが、「真正な登記名義の回復」を原因とする移転登記の場合には、どうも、権利者及び義務者だけが関与すれば登記は可能であると考えられ、その結果、他の相続人の関与は不要であるということになりそうである。
 しかしながら、「遺産分割協議書の記載が誤っていたとしたら、相続人全員が新たな遺産分割協議書の作成に関与しなければならない」という考え方はすぐれて実務的な感覚であって、「誤って登記された」というのは、遺産分割協議は正しく行われたにもかかわらずあくまでも登記申請がなされ、それが受理されてしまった、という状態をいうのかもしれない。
 もしもそうであるとするならば、他の相続人を関与させる必要はないということになる。また、登記の審査が形式的審査であることからすると、登記申請人でもない他の相続人のことを考慮する必要はないのかもしれない。

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2012年9月19日 (水)

不倫の関係にある者への遺贈の遺言

Aには、妻Wと、子X、Y、Zがいる。Aは家族の目を避けてFと10年来の不倫関係にある。AはFの歓心を得るため、Fの目の前で「自分の財産の中から、1000万円をFに譲る」との自筆証書遺言を書いた。

不倫の相手方への遺贈が公序良俗に反し無効か否かは、目的の合理性(不倫関係を維持継続するのが目的かどうか)と手段の相当性(相続人の生活基盤を脅かさないか)により判断するという考え方が支配的ということだ。最判昭和61.11.20は、法律婚が破綻した後に半同棲の関係が公然と生じ、7年ほど継続している場合において、その相手方である女性に対して行われた遺贈につき、その遺贈がもっぱら生計を遺言者に頼っていた相手方の生活を保全するためになされたみものであった、不倫関係の維持継続を目的とするものでなかったし、その遺言の内容が相続人らの生活の基盤を脅かすものでもなかったとの理由で、公序良俗違反ではないとした(以上、潮見佳男著「相続法第4版」)。

判例を直接あたっていないのでわからない点もあるが、「不倫関係の維持継続を目的とするものでなかった」という遺贈が果たしてあるのだろうか。公序良俗違反となるかどうかは、実際の裁判では紙一重ではなろうか。

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2012年9月18日 (火)

共同根抵当権の追加設定と取扱店の表示

15日(土)は、NPO法人相続研究所のセミナーが開催された。弁護士の佐々木成明先生から「遺産分割の仕方と遺留分について」と題する講義が行われた。

さて、今日の一題。

登研548号から

共同根抵当権の追加設定の申請において、申請書に記載された根抵当権者の取扱店の表示が、次のように既登記のものと異なっていても、受理されるでしょうか。
1 既登記に取扱店の表示がなく、追加設定に取扱店の表示がある。
2 既登記に取扱店の表示があり、追加設定に取扱店の表示がない。
3 既登記に取扱店Aの表示があり、追加設定に取扱店Bの表示がある。

答 いずれの場合も受理されるものと考えます。

登研382号から

共同根抵当権の追加設定の登記申請をなすに当たり、根抵当権者の取扱店の表示が前登記の取扱店の表示と異なる場合でも、前登記の取扱店変更の登記申請を要せず、そのまま受理されるものと考えますがいかがでしょうか。

答 御意見のとおりと考えます。

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2012年9月14日 (金)

引っ越してもいないのに住民登録を異動することへの疑問

 これも、司法書士の世界では、半ばあたりまえのようになっていること。例えば、住宅を建築したときに所有権保存登記をするが、実際には新居に転居していないのに新住所の住民票の用意を依頼する。その理由は、新住所の住民票があれば容易に登録免許税の減税措置が受けられること(転居予定であっても一定の要件に該当すれば減税措置は受けられる)、旧住所で保存登記をしたうえで後日住所変更登記をする手間が省けること、などである。

そこで、住民登録の異動のために、本人は、市役所等の窓口で、既に転居を済ませたと嘘を言って異動届を受理してもらう。

 中古住宅の売買の際にも、同じような理由で新住所の住民票の用意を依頼することが多い。

以前話題にしたように、売主は、既に転居しているにもかかわらず転居前の印鑑証明書  を準備し、買主は、転居していないにもかかわらず新住所の住民票を準備するため、登記申請書だけ見ると、売主も買主もいっしょの家に住んでいるように見える。しかし、実態は、両者ともその家には住んでいないという奇妙な現象が生じる。

こういうことが、当たり前に行われており、この世界にどっぷり浸かっていると何の疑問も持たなくなる。

でも、よく考えればおかしいなあ。

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2012年9月13日 (木)

胎児の相続手続

民法第886条は「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。」と定めている。これは、相続に関しては胎児にも権利能力を認めたものと説明されているが、登記先例では、「胎児の出生前においては、相続関係が未確定の状態にあるので、胎児のために遺産分割その他の処分行為をすることはできない」(昭29.6.15、民事甲第1,188号)とされている。

また、「民法第886条の規定は、胎児にも相続能力を認めたものと解されるから、胎児のための相続登記をすることができる。この場合には、未成年者の法定代理の規定が胎児にも類推適用される」(同通達)とされている。
ということは、胎児のために相続登記できるのは法定相続による場合だけということになろう。

「胎児が生まれるまでは相続関係が未確定であるので遺産分割ができない」ということになると、預金の解約もできないということになってしまう。かと言って、相続人の一人が自分の法定相続分だけの引き出しを求めても、判例では認められているが、金融機関はこれに応ずることはほとんどないだろう。これでは困るのではないだろうか。
では、懐胎していることを秘して遺産分割したらどうなるのか。その後胎児が生まれてきても、誰もクレームを言わなければそのままになってしまうのではないだろうか。ちょっと不安定な制度のような気がする。

ところで、胎児に相続分がない旨の特別受益証明書(民法903条)を添付して、相続を原因とする移転登記を申請することができるという解説があるらしい(登記研究660-203頁参照)。この胎児は、どうやって特別受益を得たのだろうか。贈与をうける権利能力はないはずだが・・・。

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2012年9月12日 (水)

評価証明書上の住所が登記簿と相違している場合

不動産売買でよくある話であるが、登記簿上の住所はA、登記申請のために準備された売主の印鑑証明書もA。しかし、既に売主はAからBに転居し、住民登録上の住所もBに変更済み。しかし、登記申請のうえでは住所Aの印鑑証明書があるから、住所変更登記をせずに所有権移転登記をすることが手続的には可能である。発行後3か月以内の印鑑証明書を添付すればいいことになっているから、こういう現象が生じる。

ところが、登記申請の委任を受けて、評価証明書を取り寄せたところ、評価証明書に印字された売主の住所はBとなっていた場合、どうするべきか。

いろいろな考え方があると思う。

①そもそも、登記申請の時点で売主の住所が移転しているのであるから住所移転登記をするべきという考え方
②評価証明書は法定添付書面ではないから評価証明書で住所が異なることがわかっても却下できないだろう。しかし、評価証明書で住所が異なることがわかるのであるから住所移転登記をすべきという考え方
③評価証明書は法定添付書面ではないから評価証明書で住所が異なることがわかっても却下できないだろう。だから住所移転登記は必要ないという考え方

さあ、みなさんはどうする?

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2012年9月11日 (火)

代襲相続人

 被相続人の死亡の前に相続人がすでに死亡や廃除・欠格によって相続人ではなくなっている時に、その子が親に代わって相続することを、代襲相続といいます。直系卑族の場合は子の次に孫、孫の次にひ孫と、永遠に再代襲相続します。

 直系尊属には代襲相続は起こりません。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥や姪に代襲相続しますが、甥や姪も亡くなっている場合は、再代襲はしません。これはあまりにも縁遠い人間に相続させないためといわれています。

 死亡や廃除、欠格ではなく相続放棄の場合は、相続放棄をした相続人の直系卑族には代襲相続は起きません。代襲相続によっては、予想外に相続人の範囲が広くなることがありますので注意が必要です。

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2012年9月10日 (月)

礼金の一部返還を認めた裁判例

月報司法書士486号に掲載されていたものを読んで、初めて知った。
事案は、平成21年12月24日から1年間の期間で賃料月額3万円と定めて建物を賃借し、礼金として12万円支払い、2か月弱で貸借契約を解除したケースで、支払い済みの礼金のうち9万円の返還を命じた。

裁判所は、礼金は実質的には賃借人に建物を使用収益させる対価という側面もあるとして、期間経過前に退去した場合は、建物未使用期間に対応する前払賃料を返還するべきであると判断。なお、礼金として支払われた金員を返還しないという合意は、契約期間経過前退去の場合に前払分賃料相当額が返還されないとする部分について、消費者の利益を一方的に害するものとして一部無効とした。
 この事案は、礼金が賃料の4か月分と高額で、しかも、契約期間1年に対し入居期間が2か月と短いなどの特殊な事情があったため、一般化できないかもしれないが、参考となる。

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2012年9月 7日 (金)

判例から見た消費者契約法 ~媒介の委託を受けた第三者及び代理人に対する契約取消~

販売会社が、販売の際に重要事項等について嘘をいって売買契約を結び、信販会社の書類を書かせた場合、販売会社の契約が取り消す場合に、信販会社の契約を取り消すことができるか(特商法適用ある場合は特商法で解決すればよい)。厳格にとらえた場合には、販売会社と信販会社との間には法的な委託関係はないことの方が多いと考えられる。

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2012年9月 6日 (木)

抵当権追加設定と根抵当権追加設定の既登記物件の記載方法が違うのはなぜか

今更ながら、初歩的な疑問。

抵当権追加設定を当初設定した物件の管轄法務局とは異なる法務局に申請する場合、既登記物件の表示としては、不動産の表示、順位番号を記載するが、共同担保目録がある場合には共同担保目録の番号だけ記載すればよい。

一方、根抵当権の場合には、既登記物件の表示として不動産の表示、順位番号を記載し、共同担保目録がある場合には共同担保目録の番号を併記する扱いになっている。

なぜ、こういう違いがあるのだろうか。不動産登記法改正前は申請人が共同担保目録を作成して提出し、それを法務局が使っていたが、そこらあたりに疑問を解くヒントがあるような気がするのだが・・・・

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2012年9月 4日 (火)

判例から見る消費者契約法 ~損害賠償義務の免除~

●大阪地裁平成15年9月26日(消費者契約法施行前の事案)
子犬の売買において,感染症に罹患した子犬が引き渡された後に同犬が死亡したことにつき,売主の瑕疵担保責任に基づき売買代金,葬儀費用等の賠償を求めた。この事例は、ペットの購入にあたり、生命保証契約の合意をしなかった場合においても、売買の目的物に瑕疵があった場合の法定責任である瑕疵担保責任による損害賠償義務を免除したものではないという趣旨であると思われる。

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2012年9月 3日 (月)

判例から見た消費者契約法 ~免責条項~

●最高裁平成15年2月28日
ホテルのフロントに預けた貴重品が盗難された場合の免責条項が無効とされた事例(消費者契約法施行前の事案)
 本件特則は,宿泊客が,本件ホテルに持ち込みフロントに預けなかった物品,現金及び貴重品について,ホテル側にその種類及び価額の明告をしなかった場合には,ホテル側が物品等の種類及び価額に応じた注意を払うことを期待するのが酷であり,かつ,時として損害賠償額が巨額に上ることがあり得ることなどを考慮して設けられたものと解される。このような本件特則の趣旨にかんがみても,ホテル側に故意又は重大な過失がある場合に,本件特則により,被上告人の損害賠償義務の範囲が制限されるとすることは,著しく衡平を害するものであって,当事者の通常の意思に合致しないというべきである。したがって,本件特則は,ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されないと解するのが相当である。

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