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2012年10月

2012年10月31日 (水)

「債権譲渡登記を活用した売掛金保全セミナー」を開催します

 日時 平成24年11月19日 午後3時00分開始(午後2時30分受付開始)
     講演約1時間の後、個別相談を受け付けます
 場所 浜松商工会議所 10階A会議室
 講演 「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」 
 講師 司法書士 野々垣守道(司法書士法人中央合同事務所)
 参加料無料!

 予約・問合 電話053-458-1551 司法書士法人中央合同事務所まで

 金融円滑化法が平成25年3月で期限切れになります。金融円滑化法適用会社は中小企業の1割弱と言われており、それらの企業の行く末が注目されています。
 また、それでなくても、景気回復の兆しが見えない中、売掛金が回収不能になることを避ける方策を真剣に考える必要があります。
 売掛金保全策として真っ先に思いつくのは、不動産に抵当権を設定する方法です。しかし、抵当権は登記をした順番で優先的な効力が生じるため、既に金融機関の抵当権が設定されている場合は、土地価格の下落も相まって、回収という意味では意味をなさないおそれもあり、効果に疑問があります。
 また、連帯保証人を徴求する方法も考えられますが、状況的に、相手方社長又は社長親族しか保証人となってくれる方がいないことが想定されます。仮に、社長が保証人になったとしても、売掛先が倒産した場合には会社と一心同体の社長から回収することも困難を極めるでしょう。
 そこで注目されるのが、債権譲渡登記を活用した売掛金保全策です。債権譲渡登記制度とは、相手方が現在有する売掛金のみならず将来発生する売掛金などの金銭債権の譲渡を受ける場合に、簡便に債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度です(「債務者」とは、相手方の有する売掛金の債務者という意味です)。
 債権譲渡は、原則として、内容証明郵便など確定日付ある証書によって債務者に対する通知を行うか、債務者の承諾を得なければなりませんが、債権譲渡登記制度は、債権譲渡登記所に登記をすれば第三者にその旨を対抗することができます。
 一方、債権譲渡登記をしただけでは、債務者に対しては,債権譲渡の事実を主張することはできません。債務者に対しては、登記をしたことを証する登記事項証明書の交付を伴う通知をしてはじめて、債権譲渡の事実を主張することができるとされています。
 つまり、債権譲渡登記を活用することで、従来どおりの取引を続けながら、いざという時に債権回収を図ることが可能となるわけです。 当事務所は、地方都市において債権譲渡登記を扱う数少ない司法書士事務所として、みなさんといっしょに売掛金保全策を考えたいと思います。

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2012年10月30日 (火)

過払金についての安易な和解が否認された例

神戸地方裁判所伊丹支部平成22年12月15日判決である。

貸金業者に対して有する過払金返還請求権等計48万5822円につき、貸金業者から5万円の返還を受け、その余の請求権を放棄する内容の和解契約を締結した件について「破産法一六〇条一項二号にいう「破産債権者を害する行為」とは、経済的合理性を欠くままに破産者の資産を減少させる行為をいう。したがって、本件和解が、破産債権者を害する行為に当たるか否かは、本件和解における回収額(五万円)が、本件和解時点における本件債権の経済的価値と均衡しているか否かによる。(中略)本件和解における回収額(五万円)は、本件和解時点における本件債権の経済的価値と均衡していないというべきである。したがって、本件和解は、経済的合理性を欠くままに破産者の資産を減少させる行為であって、破産債権者を害する行為に当たる。」
として、和解契約を否認した。

ありがちな事件である。

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2012年10月29日 (月)

被災地出張相談

Dsc_0302 26日、一ノ関着。27日、一ノ関から大船渡線で気仙沼入り。気仙沼駅前でレンタカーを借り、本吉唐桑商工会で相談員として待機。同日夜、気仙沼中学校の仮設住宅の集会室で相談を受ける。

同日は気仙沼に宿泊し、翌28日、旧千厩中学校の仮設住宅で相談員として待機。同日夕方浜松着。

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2012年10月26日 (金)

債権譲渡(担保)と国税の滞納処分による差押は、どこで決するのであろうか?

国税徴収法第24条第1項には、「納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっているもの(以下「譲渡担保財産」という。)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる。」と記載されています。

また、国税徴収法第24条第8項には、「第1項の規定は、国税の法定納期限等以前に、担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記がある場合又は譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている事実を、その財産の売却決定の前日までに、証明した場合には、適用しない。」と記載されています。

 つまり、譲渡担保を原因とする債権譲渡がされた日時と、滞納処分に係る法定期限の先後関係により、優劣が決することになります。

ここでは、法定期限等について、注意が必要となり、国税徴収法第2条第10号、同法15条を参照下さい。

もっとも、債権譲渡登記の原因が売買などの真正譲渡の場合は、債権譲渡登記をした日が法定期限の到来後であっても、滞納処分による差押が第三債務者に到達した日の前であれば、債権譲渡登記が滞納処分による差押に優先します(国税徴収法第62条)。

以上のように、債権譲渡担保と債権譲渡の場合では、国税滞納処分との先後関係の基準点が異なるため注意が必要となります。

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2012年10月25日 (木)

神戸地方裁判所伊丹支部平成23年12月21日免責不許可の事例

 免責許可申立事件において、「破産者は破産申立て直前に死亡保険金が入金された本件口座の存在を申立代理人にも秘匿し,本件現金について,破産管財人に説明することなく所在不明となっており、破産者の上記行為は破産法252条1項1号所定の債権者を害する目的での破産財団に属する財産の隠匿にあたるというべきである。さらに,破産者が引渡命令を受けてもこれに応じなかった点は同項11号の破産者の義務違反にあたるというべきである。したがって,破産者について同項により免責決定をすることはできない。」と判示。

 ちなみに、管財人は,破産者が本件現金を債権者を害する目的で隠匿したとして,破産法265条1項1号の詐欺破産罪にあたるとして神戸地方検察庁に告発し、神戸地方検察庁は,破産者を同罪で在宅のまま神戸地方裁判所に起訴し,同裁判所は破産者について懲役2年,4年間執行猶予の有罪判決を宣告し,同判決は確定している事案である。

裁量免責が可能かどうかについても次のように判示している。
「裁量免責の可能性について検討するに,上記1のとおり,破産者がそもそも死亡保険金受領時にすでに申立代理人に委任を行っていたにもかかわらず上記隠匿行為に及んだこと,破産申立時に破産者が報告した財産の回収見込額が35万円余であるのに対し,隠匿された本件現金の額は1564万円という多額であって,債務総額の6割以上にのぼること,隠匿が発覚するや破産者は申立代理人とも音信不通となり,管財人の呼び出しにも応じず,債権者集会期日にも第6回以降不出頭を続けたこと,有罪判決を受けた後も一切返還に応じていないことからは,破産者に免責を許可すべき事情があるということはできない。」

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2012年10月24日 (水)

訴訟事件の報酬の適正金額を上回る部分および破産申立事件の申立報酬(成功報酬)を否認の対象とした事例

東京地方裁判所平成23年10月24日の判決である。

「弁護士による過払金返還請求訴訟の提起及び自己破産申立てに対する報酬の支払行為は、その報酬額が客観的にみて高額であっても、破産者と当該弁護士の間では、契約自由の原則に照らし暴利行為に当たらない限り有効というべきである。しかし、破産債権者との関係においては、その金額が、支払の対価である役務の提供と合理的均衡を失する場合、破産者はその合理的均衡を欠く部分については支払義務を負わないといえるから、当該部分の支払行為は、破産法一六〇条三項の「無償行為」に当たり、否認の対象となり得るというべきである。」

「実質的にみても、本件の自己破産申立事件の経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情からみて、着手金の二一万円を超える金額の支払を正当化するに足る要素は見当たらない(中略)。以上によれば、被告が破産者から支払を受けた自己破産申立事件の申立報酬二一万円は、その全額が役務の提供と合理的均衡を失するものであり、債権者を害するものとして、否認の対象となる。したがって、被告は、同額について、原告に対して、不当利得に基づき返還すべき義務を負う。」

一般に、過払金請求事件は事案の難度としては低く、時間、労力もそれ程要しないと考えられる。提供した役務とその対価が合理性を欠くときは否認の対象となるとするものであるが、様々な事例の中には、暴利行為ではないかと感じるような例を聞くこともあるのは私だけだろうか?

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2012年10月23日 (火)

債権譲渡登記の債務者対抗要件を備えるためには登記事項証明書の原本の交付が必要である

東京地裁平成11年9月17日判決は次のように判示した。やや長いが引用する。

「本件は、金銭債権の譲渡に係る債務者に対する譲渡通知が譲渡人からされずに、譲受人からされた事案であるところ、債権譲渡特例法においては、民法上の指名債権譲渡の場合とは異なり、債務者に対して譲渡人のみならず譲受人も通知することができるとされている。これは公の機関が発行する登記事項証明書の交付を要件とすることにより、自称譲受人による譲渡証の偽造その他による虚偽通知の弊害を防止できるからであると解されるので、右登記事項証明書の交付がその写しの交付で足りるとすると、その趣旨を達成することができなくなる恐れがある。譲渡人による通知の場合はかかる弊害はないので、登記事項証明書の写しの交付であっても、二重譲受人相互間の優劣の基準となる譲渡の登記の日時を債務者に知らせることが可能と考えられるが、写しで足りるとすれば、登記事項証明書の全部の写しが必要か一部の写しで足りるかなどの問題が生じ、債務者は債務者対抗要件の具備の有無につき困難な判断を強いられることが考えられ、債権譲渡特例法の目的である債権譲渡の円滑化・迅速化を阻害することになりかねない。以上からすれば,少なくとも譲受人からの登記事項証明書の写しの交付による債権譲渡の通知は、債権譲渡特例法二条二項の「登記事項証明書を交付して通知し」た場合に当たらないと解するのが相当である。」

つまり、譲受人からの通知の場合には登記事項証明書の写しではなく、原本の交付が必要だとしている。譲渡人からの通知については、写しでも有効と解することができるかもしれないが、通知された者が困難な判断を強いられることになるので、どうも消極に解しているようだ。

ところで、民法が定める指名債権の譲渡の対抗要件は、譲渡人からの債務者への確定日付のある証書による通知又は承諾である。
一方、債権譲渡登記の場合は、譲渡人又は譲受人が登記事項証明書を債務者に交付してする通知又は承諾である。そして、その両方の通知があった場合の優劣は、確定日付通知が債務者に到達した日時と債権譲渡の登記がされた日時との先後ということになる。

そうすると、譲渡人が倒産したような場合、登記事項証明書の交付をゆっくりしていると、先に他の譲受人が回収をしてしまうと譲渡債権の債務者が二重払いを強いられることも考えられ、法律関係が複雑になっていってしまう。

したがって、法律関係の輻輳を避けるためにも、登記事項証明書の交付は速やかに行う必要があるということになる。

民法
第四百六十七条  指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2  前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律
(債権の譲渡の対抗要件の特例等)
第四条  法人が債権(指名債権であって金銭の支払を目的とするものに限る。以下同じ。)を譲渡した場合において、当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該債権の債務者以外の第三者については、民法第四百六十七条 の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす。この場合においては、当該登記の日付をもって確定日付とする。
2  前項に規定する登記(以下「債権譲渡登記」という。)がされた場合において、当該債権の譲渡及びその譲渡につき債権譲渡登記がされたことについて、譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に第十一条第二項に規定する登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしたときは、当該債務者についても、前項と同様とする。

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2012年10月22日 (月)

保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合に保証人が取得する求償権を自働債権とする相殺の可否

前半は首肯できるが、後半は、ちと厳しいような感じが・・・・

最高裁判所第二小法廷平成24年5月28日

「無委託保証人が弁済をすれば,法律の規定に従って求償権が発生する以上,保証人の弁済が破産手続開始後にされても,保証契約が主たる債務者の破産手続開始前に締結されていれば,当該求償権の発生の基礎となる保証関係は,その破産手続開始前に発生しているということができるから,当該求償権は,「破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」(破産法2条5項)に当たるものというべきである。したがって,無委託保証人が主たる債務者の破産手続開始前に締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合において,保証人が主たる債務者である破産者に対して取得する求償権は,破産債権であると解するのが相当である。」

「無委託保証人が上記の求償権を自働債権としてする相殺は,破産手続開始後に,破産者の意思に基づくことなく破産手続上破産債権を行使する者が入れ替わった結果相殺適状が生ずる点において,破産者に対して債務を負担する者が,破産手続開始後に他人の債権を譲り受けて相殺適状を作出した上同債権を自働債権としてする相殺に類似し,破産債権についての債権者の公平・平等な扱いを基本原則とする破産手続上許容し難い点において,破産法72条1項1号が禁ずる相殺と異なるところはない。そうすると,無委託保証人が主たる債務者の破産手続開始前に締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済をした場合において,保証人が取得する求償権を自働債権とし,主たる債務者である破産者が保証人に対して有する債権を受働債権とする相殺は,破産法72条1項1号の類推適用により許されないと解するのが相当である。」

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2012年10月19日 (金)

民法改正 ~保証制度の見直し~  野々垣バージョン

法務省法制審議会では、民法(債権関係) 改正の審議が進行しており、そのなかで、保証についての論点が取り上げられています。

 保証は、不動産等の物的担保を持たない債務者が自己の信用を補う手段として、実務上重要な意義を有しています。

 しかし、個人が、債権者と保証契約を締結し保証人となる場合、親族から連帯保証人になってほしいと頼まれることにより、義理や人情から断ることができず、情義性により保証人となってしまうことが大半です。

 そして、保証債務を負っていることを忘れてしまった頃に、保証債務の履行請求がされ、保証人が経済的に破綻に追い込まれる被害事例も多く。個人保証については、保証人保護の改正が必要です。

 また、保証債務は、片務契約であり、保証人が何らかの対価を得ることはないと思われます。

 同じ片務契約となる贈与は、贈与者の自らの意思により契約締結がされることがあるが、保証人が自らの意思により保証人となることはまずありません。

 法務省が、昨年夏頃募集した第一次パブリックコメントでは、個人保証を廃止すべきであるという意見も多数よせられており、来年以降に法務省が発表予定の中間試案では、どのような案が提示されるか注目されます。

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2012年10月18日 (木)

相続財産管理人の種類

相続財産管理人というと、すぐに思い浮かべるのは相続人不存在の場合に選任される相続財産管理人あろう。
しかし、民法では、他の場合においても相続財産管理人を選任する旨の規定を置いている。

まず、相続放棄又は承認が定まらない場合において選任する規定。
(相続財産の管理)
第九百十八条  相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
2  家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。
3  第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

次に、限定承認をした場合の規定。

(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
第九百三十六条  相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。

そして、相続財産分離の場合の規定。

(財産分離の請求後の相続財産の管理)
第九百四十三条  財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は、相続財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2  第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

最後に、相続人の存在があきらかでないときの規定。

(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条  前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。

相続財産管理人選任の審判書をよく見ると、どの条文を根拠に選任されているのか記載されているので、機会があったら見ておくとよい。

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2012年10月17日 (水)

小規模個人再生り給与所得者等再生の利用状況とその理由

 個人再生は平成13年4月からスタートしたが、平成13年における小規模個人再生の申立件数が1732件に対し、給与所得者等再生の申立件数はその2倍以上である4478件となっていた。このように、給与所得者等再生の申立件数が小規模個人再生の申立件数を上回る傾向は翌年まで続いたがが、平成15年になると、小規模個人再生が1万5001件と、給与所得者等再生の倍近い件数になり、件数の逆転現象が現れてきた。
 そして、平成23年は、小規模個人再生が1万3108件に対し、給与所得者等再生はその1割弱である1154件にまで減少し、小規模個人再生の利用増加の傾向が顕著になっている。
 こうした傾向には3つの原因が考えられる。

 まず一つ目は、給与所得者等再生を利用した場合の可処分所得の算定の基礎となる最低生活費が低いため、可処分所得金額が高額になりやすい傾向がある。特に、若年層や独身者にこのような傾向が現れやすい。そうすると、2年分の可処分所得基準が最低弁済額を上回ってしまうことが多いため、可処分所得基準を考慮しなくてもよい小規模個人再生の利用に流れているものと考えられる。

 2番目の理由としては、第1の理由により小規模個人再生に流れたとしても、再生計画の決議において、再生債権者が不同意の回答をすることが非常に少ないということが考えられる。つまり、小規模個人再生における再生債権者の決議がほとんどリスクのないものになっているということが言える。

 3番目の理由としては、給与所得者等再生は、小規模個人再生と比較して、利用対象債務者および再生計画認可の要件に厳格な制限があり、かつ、最低生活費の計算が複雑となっていることにより、給与所得者等再生が敬遠されている向きがあるのかもしれない。

以上の理由から、小規模個人再生が積極的に選択される傾向が鮮明になっていると思われる。

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2012年10月16日 (火)

表題部所有者の登記も所有権の登記もない土地を時効取得した場合、表題部所有者をどうやって認定するか

最高裁平成23年06月03日
被上告人(国)は,本件土地が明治8年7月8日地租改正事務局議定「地所処分仮規則」に従い民有地に編入されたことにより,上告人が主張する取得時効の起算点よりも前にその所有権を失っていて,登記記録上も本件土地の表題部所有者でも所有権の登記名義人でもないというのであるから,本件土地の従前の所有者が不明であるとしても,民有地であることは変わらないのであって,上告人が被上告人に対して上告人が本件土地の所有権を有することの確認を求める利益があるとは認められない。
表題部所有者の登記も所有権の登記もなく,所有者が不明な土地を時効取得した者は,自己が当該土地を時効取得したことを証する情報等を登記所に提供して自己を表題部所有者とする登記の申請をし(不動産登記法18条,27条3号,不動産登記令3条13号,別表4項),その表示に関する登記を得た上で,当該土地につき保存登記の申請をすることができるのである(不動産登記法74条1項1号,不動産登記令7条3項1号)。本件においては,上告人において上記の手続を尽くしたにもかかわらず本件土地の所有名義を取得することができなかったなどの事情もうかがわれず,所論はその前提を欠くものというべきである。・・・と判示している。

調査士の世界だろうが、登記手続上、こういう土地の表題部所有者はどうやって認定するのだろうか?

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2012年10月15日 (月)

債権譲渡登記に譲渡債権の発生年月日の始期は記録されているがその終期が記録されていない場合の効力

最高裁平成14年10月10日判決である。

「債権譲渡登記に譲渡に係る債権の発生年月日の始期は記録されているがその終期が記録されていない場合には,その債権譲渡登記に係る債権譲渡が数日にわたって発生した債権を目的とするものであったとしても,他にその債権譲渡登記中に始期当日以外の日に発生した債権も譲渡の目的である旨の記録がない限り,債権の譲受人は,その債権譲渡登記をもって,始期当日以外の日に発生した債権の譲受けを債務者以外の第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。けだし,上記のような債権譲渡登記によっては,第三者は始期当日以外の日に発生した債権が譲渡されたことを認識することができず,その公示があるものとみることはできないからである。」

また、この判例は、債権譲渡登記は「売掛債権」と登記されており、報酬債権の譲渡を公示しているとはいえないとして、報酬債権については債権譲渡の対抗力を認めなかった。このように、債権譲渡登記に関しては登記された情報をどのように解釈するかという重要な問題もあるので、実務を行う者として注意したいものである。

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2012年10月12日 (金)

定期建物賃貸借契約の説明書面は契約書とは別個独立の書面であることを要する

最高裁平成24年9月13日の事案である。
原審は、本件定期借家契約に先立って本件定期借家条項と同内容の記載をした本件契約書の原案を送付した事例で、本件賃貸借は定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したとして被上告人の請求を認容すべきものとしたが、最高裁は次のように判示した。

期間の定めがある建物の賃貸借につき契約の更新がないこととする旨の定めは、公正証書による等書面によって契約をする場合に限りすることができ(法38条1項)、そのような賃貸借をしようとするときは,賃貸人は,あらかじめ,賃借人に対し,当該賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(同条2項),賃貸人が当該説明をしなかったときは,契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる(同条3項)。
法38条1項の規定に加えて同条2項の規定が置かれた趣旨は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃借人になろうとする者に対し,定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ,当該契約を締結するか否かの意思決定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。
以上のような法38条の規定の構造及び趣旨に照らすと,同条2項は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃貸人において,契約書とは別個に,定期建物賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上,その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。

そして,紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると,上記書面の交付を要するか否かについては,当該契約の締結に至る経緯,当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく,形式的,画一的に取り扱うのが相当である。

したがって,法38条2項所定の書面は,賃借人が,当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。

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2012年10月10日 (水)

債権譲渡を受けて回収する行為がサービサー法2条2項後段の「他人から譲り受けて訴訟,調停,和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業」に該当する場合

最高裁平成24年02月06日。当たり前のように見えるが、ようやく最高裁の判決が出た。

本件債権は,長期間支払が遅滞し,譲渡元の各消費者金融業者において全て貸倒れ処理がされたものであった上,その多くが,利息制限法にのっとって元利金の再計算を行えば減額され又は債務者が過払いとなっており,また,債務者が援用すれば時効消滅となるものもあった。

被告人らは,これらの事情を十分に認識した上で本件債権を購入し,本件債権の回収に当たって,利息制限法に定める制限額を超える利息の支払の約定がされている債権につき,利息制限法の制限額内に引き直すことなく請求をしていた。

さらに,本件債権の回収方法は,最終期日を10日後等に指定した上で,それまでに連絡がない場合には,全額集金に行くか,強制執行への移行など断固たる措置をとる旨記載するなどした書面を債務者らにいきなり送付し,電話で督促するというものであり,債務者の勤務先の社長にも多大な迷惑,損害を及ぼすことになる旨記載した書面を勤務先内の債務者宛てに送付したり,勤務先に宅配便の運転手を装って電話をして連絡先の電話番号を伝え,電話をしてきた債務者らに対し,支払要求をしたりすることもあった。

サラ金問題を昔から扱っている人なら、「そんなこと、昔からたくさんあるよ」と思うかもしれない。慣れというのは恐ろしい。最高裁は、「通常の状態では満足を得るのが困難なものであるところ,被告人らは,本件債権に関し,取立てのための請求をし,弁済を受けるなどしていたのであるから,本件債権の管理回収に関する営業は,サービサー法2条2項後段の「他人から譲り受けて訴訟,調停,和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業」に該当するといえる。したがって,法務大臣の許可を受けないで,本件債権を譲り受けてその管理回収業を営んだ行為は,サービサー法33条1号,3条に該当し、罪が成立する。」と言っている。

そんなとこ、いっぱいありそうだ。

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2012年10月 9日 (火)

第2遺言の受贈者の死亡により第1遺言が復活するか

遺言者は、第1遺言で「甲土地をAに遺贈する」との遺言をし、後日、第2遺言で「甲土地をBに遺贈する」との遺言をした。ところが、遺言者死亡前にBが死亡した。
この場合、第2遺言は効力が生じないことになるが、このことにより、第1遺言が復活するかという問題である。
1025条は、旧遺言の非復活の原則を定めているが、そのルールは第2遺言が効力を生じないこととなった場合ににも妥当するものとしている。したがって、本文の場合、第1遺言は復活しない。

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2012年10月 5日 (金)

株式が相続の対象となっている場合、当該株式の権利は、どうなるのか?(野々垣バージョン)

 株主の権利は、利益配当請求権や残余財産分配請求権の経済的利益を享受する自益権と、株主総会における議決権、訴えを提起する権利の会社の経営に参加する共益権等多岐にわたる。このため、株式を社員権という地位を有べきものと解釈し、株主に相続が発生した場合、相続開始時点で相続分に応じた株数が当然に分割帰属するのではなく、遺産分割前には、共同相続人間に相続分に応じた準共有関係が生じるものと判例は示している。(最一判昭和45・1・22民24巻1号6頁)

 つまり、100株が相続の対象となり、相続人が2名だったとしても、総会において、相続人が50株づつ各々の意思に基づき株主としての権利を行使することはできない。
 この点においても、上記判例は、「旧商法203条2頁に定めるところに従い、当該株式につき株主の権利を行使すべき者1人を会社に通知すべき」と判示している。

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2012年10月 4日 (木)

ピンク・レディと「女性自身」の最高裁判決

平成24年02月02日最高裁判決である。
「女性自身」が、ピンク・レディーの5曲の振り付けを利用したダイエット法を解説することなどを内容とする記事を掲載し、ピンク・レディーの14枚の白黒写真を使用したもの。

 本件記事の内容は,ピンク・レディーそのものを紹介するものではなく,前年秋頃に流行していたピンク・レディーの曲の振り付けを利用したダイエット法につき,その効果を見出しに掲げ,イラストと文字によって,これを解説するとともに,子供の頃にピンク・レディーの曲の振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するというものである。
 そして,本件記事に使用された本件各写真は,約200頁の本件雑誌全体の3頁の中で使用されたにすぎない上,いずれも白黒写真であって,その大きさも,縦2.8㎝,横3.6㎝ないし縦8㎝,横10㎝程度のものであったというのである。
 これらの事情に照らせば,本件各写真は,上記振り付けを利用したダイエット法を解説し,これに付随して子供の頃に上記振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するに当たって,読者の記憶を喚起するなど,本件記事の内容を補足する目的で使用されたものというべきである。
 したがって,被上告人が本件各写真を上告人らに無断で本件雑誌に掲載する行為は,専ら上告人らの肖像の有する顧客吸引力の利用を目的とするものとはいえず,不法行為法上違法であるということはできない。

普段の仕事と全く関係のない判例だが、わかりやすい事例で親しみやすい。

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2012年10月 3日 (水)

相続の欠格事由

 法定相続人でも相続欠格や廃除になった場合には、相続も遺贈も受けられません。欠格事由は相続について一定の罪を犯した場合に該当します。

 欠格事由の具体例は、故意に被相続人や先順位や同順位の相続人を死亡させたり、させようとしたりしたことを原因として刑に処せられた者、被相続人が殺されたことを知りながら告訴告発をしなかった者、詐欺・強迫によって被相続人が相続に関する遺言をしたことを取り消し変更することを妨げた者、詐欺・強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせるなどした者、被相続人の遺言を偽造・変造・破棄・隠匿した者です。これらの欠格事由に該当すると、当然に相続権を失い、遺贈を受ける権利も失います。

 廃除事由は被相続人に対し生前、虐待、侮辱または著しい非行があり家庭裁判所が申し立てを認めた場合です。被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てるか、遺言で意思表示をして相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所に申し立てる場合があります。相続廃除は事後的に取り消すこともできます。

 欠格や廃除となった場合でも、その子は代襲相続できます。これを避けるためには、遺言で相続させずに最低限の遺留分を渡すにとどめるか、生前贈与などによって財産を処分するかのどちらかです

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2012年10月 2日 (火)

補助者による登記識別情報通知の受領についての取扱の変更

平成24年4月27日法務省民二第1108号「司法書士補助者による登記識別情報通知に受領について」により、登記識別情報通知を受領できる補助者の要件が緩和された。
補助者については採用後の勤務要件の6か月を2か月に短縮。司法書士試験合格者については採用後の勤務要件の3か月を廃止。特定事務指示書の有効期限3か月を1年に伸長。

これらについては、補助者や司法書士試験合格者を雇用しても長期間登記識別情報通知を受領することができず、業務上支障をきたしている、という背景があったようだ。そこで、日本司法書士会連合会から、これらの要件を緩和するように要望が出されていたということらしい。

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2012年10月 1日 (月)

農地法の許可にともなう固定資産評価額の変更と登録免許税

 農地法5条の許可があり、農地から他の用途に変更することが許可されると、まだ現況が変わらなくても固定資産評価額を許可後の用途にあわせて変更する例が多いと思われる。
 そして、実際には翌年の1月1日を基準として固定資産税が課されるので、許可後にすぐに所有権移転登記を申請する場合には、農地としての評価額に税率を乗じて登録免許税を算出すれば足りるため、許可後に宅地として使用する場合であっても、登録免許税は非常に安くすむことが多い。
 一方、不動産取得税は、固定資産台帳に登録されている近傍類似地の1㎡あたりの価格に取得面積を乗じて得た額から、造成費に相当する額を控除した額を課税価格とすることが多いようなので、実態に合わせて課税していると言えるであろう。

 以上のように、登録免許税は安くすむのでクレームを言う人もいないが、本来は、不動産取得税のように合理的な計算をすべきなのかもしれない。

 今回、珍しいケースにあたった。それは、過去、農地法5条の許可を受けた土地が転用されずにいたところ、ある特別な理由があって3条の許可により地元の農家の人が買い受けることになった。ところが、過去に5条の許可を受けていたために雑種地並の固定資産評価額になっており、3条許可にもとづき所有権移転登記をする際に、高額な登録免許税がかかってしまうことになった。
 本来、3条の許可が出るので、土地の価値としては農地として登録免許税の課税価格を算出するのが合理的だと思うのだが、どうも、そこまで綿密な課税方法にはなっていない。

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