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2012年11月

2012年11月30日 (金)

受遺者が遺言執行者である場合の登記申請の可否(野々垣バージョン)

受遺者が遺言執行者である場合の登記申請の可否について、次のような登記研究の質疑があります。

問 受遺者が遺言執行者に指定されている場合にする登記の申請は、債務の履行に準ずるものであるから、登記権利者としての受遺者および登記義務者としての遺言執行◆者の共同申請によるべきものと考えますが、いかがでしょうか。

答 御意見のとおりと考えます(大正9、5、4民事甲1307号民事局長回答参照)。

 登記権利者と登記義務者が同一となると、利益相反になるのではないかとも考えられるが、遺贈は、被相続人と受遺者との契約であり、遺言執行として登記申請手続きは債務の履行に準ずるものであると解したものと思われます。

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2012年11月29日 (木)

相続財産管理人選任申立書を作成した司法書士が自らを財産管理人候補者として申し立てをすることの是非(辛口)

昨日、「平成20年度専門業務研修 財産管理業務分野」の「事例を通して考える相続財産管理人の実務」を見た。その中で、「従来、申立に携わる司法書士が、自らを候補者として申立を行い、そのまま選任され職務を行ってきた。このような場合、管理人として公正な職務が遂行できるかは甚だ疑問である。また司法書士倫理の観点からも、このような取扱いは当然望ましくない」という解説がある。

一見、もっもらしく見えるが、これに対し、違和感を覚えた。

まず、なぜ「従来、申立に携わる司法書士が、自らを候補者として申立を行い、そのまま選任され職務を行ってきた」という実務が定着しているのか考えてみる必要があるのではないか。「申立に携わる司法書士」は利害関係人から依頼されて不在者財産管理人選任の申立書を作成するわけだが、その申立書を作成することによって、他人の権利を発生させたり変更させたり消滅させたるすることはない。単に(一般的には)相続人がいない、相続財産がある、申立人は利害関係人である、ということを書くだけである。この作業にどれほどの意味合いがあるのだろうか。

そして、「管理人として公正な職務が遂行できるかは甚だ疑問である」ということだが、管理人は常に裁判所の監督下にあり、ほとんど裁量の余地はない。「公正な職務が遂行できるかは甚だ疑問である」と言うが、どういうことを想定して言っているのかわからない。

さらに、「司法書士倫理の観点からも、このような取扱いは当然望ましくない」と言うが、これまでの実務を否定して問題提起をされるのであれば、もっと具体的に、司法書士倫理のどの条文のどこに抵触する可能があるのか指摘していただきたかった。

講師は、「管理人に選任されたら、申立書類を見たり申立人と面談して、どういう動機と目的で申立をしたのか確認すべき」と何回も繰り返して発言している。結局のところ、申立人の事情を理解するところが業務の出発点になるわけだから、「申立に携わる司法書士が、自らを候補者として申立」するのと同じことになるのではないだろうか。

時々、こういう爆弾発言をするのでよくないのかな? でも、ちゃんと議論すべき問題だと思う。

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2012年11月28日 (水)

「支払不能」の解釈に関し、弁済期の到来した債務について判断すべきであるとした事例

支払不能の概念につき、将来の弁済の可否について判断するものではないとした事例である。

東京地裁平成22年7月8日

「破産法における「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう(同法2条11項)。支払不能は、弁済期の到来した債務の支払可能性を問題とする概念であることから、支払不能であるか否かは、弁済期の到来した債務について判断すべきであり、弁済期が到来していない債務を将来弁済できないことが確実に予想されても、弁済期の到来している債務を現在支払っている限り、支払不能ということはできない。」

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2012年11月27日 (火)

祭祀財産の承継による所有権の移転の登記の方法

登記研究776号の「登記簿」に、祭祀財産の承継による所有権の移転の登記は、「祭祀物承継」を登記原因として、祭祀に関する権利を承継すべき者が登記権利者となり、相続人が登記義務者となって共同申請により行う旨の記載がある。

被相続人が遺言によって祭祀承継者を指定することもできるとされているが、相続人のうち一人を祭祀承継者に指定する場合に、上記の共同申請の例によるのであれば、遺言執行者が他の相続人の代理人として義務者となって申請するものと考えられる。

一般的には、相続人のうち特定の者に相続させる旨の遺言には、遺言執行者を選任する実益が乏しいと思っていたが、祭祀承継の共同申請のことを考えると遺言執行者を選任しておく実益がありそうだ。

もっとも、これまで、「祭祀物承継」を登記原因として所有権移転を申請した経験はないが・・・。

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2012年11月26日 (月)

事実婚の問題

 婚姻届を提出していない事実婚の場合には、配偶者が亡くなった場合には、遺言を残していない限り、法律上の相続人でない事実婚のパートナーは相続できません。

不動産や会社の名義が死亡した配偶者になっていて、遺言も残していない場合は、すべて配偶者の相続人のものになります。

 こうした場合にも出資を証明して持分を主張することは可能です。銀行預金も、実質的にお金を出した人間が預金債権者ですので、亡くなられた名義の預金通帳があるが実はお金を出したのは自分であるという方は、それを証明して権利を主張することになります。

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2012年11月22日 (木)

『もうやって行けないかも知れない。』という銀行に対する発言が「支払停止」に当たるか

この発言を「支払停止」と解釈すると、否認のひとつの基準時になる。当然のようだが、この発言だけでは「支払停止」を表明したことにはならず、客観的な弁済能力の欠乏が伴っていなければならないとするもの。

高松高裁平成22年9月28日

「仮に、控訴人が主張するような「倒産を示唆する発言『もうやって行けないかも知れない。』(筆者注)」(証拠《略》によると9月20日ころ)が破産会社代表者から被控訴人Y2銀行に対してあったとしても、支払停止とは、「弁済能力の欠乏のために弁済期の到来した債務を一般的、かつ、継続的に弁済することができない旨を外部に表示する債務者の行為」であるから、破産会社代表者の倒産を示唆する発言があったとしても、本件全証拠に照らしても、それは所詮は、個人的な弱音を吐いた域を超えるものとまでは認められず、破産会社が、弁済能力の欠乏のために弁済期が到来した債務を一般的かつ継続的に弁済することが出来ない旨を外部に表示したものとまでは認められない。」

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2012年11月21日 (水)

内縁の妻

 実質的に夫婦関係にある場合でも、婚姻届を提出していない関係を「内縁関係」といいます。 内縁関係の場合、法律上の夫婦と違い、お互いが相続人となりません。つまりお互いの財産について一切の相続権が発生しないことになります。

 内縁の配偶者といえるためには、内縁に必要とされる婚姻意思および夫婦共同生活の実態の存在が必要です。夫婦別姓などの理由で婚姻届を出さずに事実婚を続ける場合、従来の内縁とは区別され、内縁と同様の法的保護が与えられるかどうかは未知数です。

 このように、社会的には夫婦としての実態を備え、夫婦共同生活を送っているにも関わらず、何らの保護も与えないのは妥当でないという考えから、内縁関係を法律上の夫婦に準ずる関係として、内縁の配偶者に対して法律上の保護がなされる場合があります。

 たとえば、判例では、内縁の配偶者の居住する建物に対する居住の保護について、非居住相続人からの明け渡し請求を権利の濫用として排斥し、家主からの明け渡し請求を相続人の賃借権を援用して排斥しました。相続人がいない場合は、借地借家法36条によって、内縁の妻の借家権の継承が認められています。

 祭祀財産の承継については、被相続人の指定が優先するので、被相続人の指定があれば生存内縁配偶者が祭祀主催者となります。被相続人の指定がない場合でも、被相続人と生計を異にしていた相続人ではなく、内縁の妻が祭祀主催者とされたとされた事例もあります。

 これらのほか、健康保険の保険給付(健康保険法3条7項)、厚生年金保険の遺族厚生年金(厚生年金保険法3条2項)、労働災害の遺族補償年金(労働者災害補償保険法16条の2第1項)、公営住宅の入居者資格(公営住宅法23条1項)、育児・介護休業の申出や深夜業の規制(育児介護2条4項)などがあります。

 このように内縁関係者に対して保護がされつつあるものの、完全ではありませんので、内縁関係にある者が自分の死後にパートナーに財産を残したい場合には、生前贈与や遺贈により借地上の建物を内縁の妻名義にしておく必要があります。

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2012年11月20日 (火)

助成金は債権譲渡の対象とすることはできるか

昨日、「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」セミナーを開催したが、講演後の質疑の中で、「助成金の譲渡を受けることができるか」という質問があった。もちろん、債権譲渡することはできるかもしれないが、譲渡禁止特約があると、善意無過失な譲受人でなければ譲渡は無効であると考えられる。

法律で定められている助成金は制度趣旨からして譲渡が禁止されているのではないか、また、独立行政法人の助成金は契約書で縛られているのではないか、と思い、直感的な意見として回答したが、帰ってから調べてみた。

まず、雇用保険法等の法律で規定している助成金については、明確な譲渡禁止の規定が見つからなかった。あるQ&Aでは、「事業者から助成金を債権譲渡したい旨の要望があった場合の考え方如何。」という問いに対し、「本助成金は、全額を福祉・介護職員の賃金にあてることを支給の要件としているものであり債権譲渡することは適当ではない。都道府県におかれては、事業者に対し、その趣旨を十分に説明し債権譲渡しないように指導されたい」というものがあった。あれ、こんなこと、法律で債権譲渡禁止にすればいいのにと思わざるを得ない。

次に、独立行政法人の助成金については、いくつかの「助成金交付規程」を見つけることができた。その中で、例えば、「助成事業者は、第6条第1項の規定に基づく交付決定によって生じる権利の全部又は一部を機構の承諾を得ずに、第三者に譲渡し、又は承継させてはならない。ただし、信用保証協会、資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第3項に規定する特定目的会社又は中小企業信用保険法施行令(昭和25年政令第350号)第1条の2に規定する金融機関に対して債権を譲渡する場合にあっては、この限りでない。」というような条文が存在していた。やはり、このような規程で債権譲渡を禁止しているようだ。

このあたり、情報をお持ちの方は教えて欲しいな~。

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2012年11月19日 (月)

相続人がいない場合

 遺言もなく相続人もいない場合は、利害関係人や検察官の申し立てによって家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。法定相続人がいない場合というのは、相続人全員が相続放棄をした場合も含みます。

 相続財産管理人は財政状況の報告などの相続財産管理をし、債権者や受遺者に対する請求催告、不明の相続人の探索を行います。相続人捜索の公告の後6か月を経過しても相続人が現れない場合は相続人不在が確定します。

 相続人不在が確定すると、相続人、管理人に知られなかった債権者・受遺者はともにその権利を失います。相続人がいないと確定した場合、被相続人の特別縁故者は家庭裁判所に申し立てをし、財産の全部または一部の分与を受けることができます。

 特別縁故者とは被相続人と生計を共にしていた人や、被相続人の療養看護に努めた人などがあたります。相続人、債権者、受遺者、特別縁故者いずれもいない場合は、被相続人の財産は原則として国庫に帰属します。

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2012年11月15日 (木)

動産譲渡登記を行うメリットを考える

法務省のホームページでは次のように説明されている。

 動産譲渡の対抗要件は,動産の引渡し(民法第178条)によっても備えることができますが,譲渡人に目的動産の利用を認める譲渡担保の場合には,占有改定の方法により引渡しをすることにならざるを得ません。しかしながら,この占有改定は,第三者からみて外形上その存在が判然としないため,後日,動産を取得する者が現れて,占有改定の有無,先後をめぐって紛争を生じるおそれがあります。
 国の公示制度である動産譲渡登記を利用して対抗要件を具備することにより,こうした紛争を未然に防止することができるほか,仮に紛争になった場合でも,対抗要件を具備していることの立証が容易になると考えられます。
 なお,動産譲渡登記制度が活発に利用されるようになり,高額な動産等,一定の動産について,それが譲渡された場合には登記がされるのが通常であるという取引慣行が形成された場合には,後行の譲受人には,登記の調査義務が認められることになると考えられます。この場合には,登記をすることによって,後行の譲受人による即時取得を防止することができるという効果が生ずるものと考えられます。

これを読んで明らかなとおり、動産譲渡登記制度は動産譲渡担保に利用されることを主目的として設計されている。ただ、将来的には、高額な動産等,一定の動産について,それが譲渡された場合には登記がされるのが通常であるという取引慣行が形成された場合にも利用されることが想定されているようである。
さて、この動産譲渡登記を利用して通常の売買による譲渡を登記した場合、どの様な意味を持つか。たとえば、超大型動産を売買して、それがまだ出荷に数ヶ月を要するような場合、倒産隔離、対抗要件を具備するために動産譲渡登記をすることが考えられないか。そんな議論があるのかないのかわからないが、どんなもんだろうか。

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2012年11月14日 (水)

破産の申立代理人には可及的速やかに破産申立てを行うこと、債務者の財産が散逸することのないよう措置することが、法的義務として認められると判断した例

東京地裁平成22年10月14日である。本件は申立代理人である弁護士について判断したものであるが、その法的義務は破産制度の趣旨から当然に求められるとされていることから、本人申立ての際の本人にもその法的義務が認められることなると言える。したがって、本人申立を支援する司法書士も、そのような本人の法的義務を理解したうえで執務に当たる必要がある。

「破産申立てを受任し,その旨を債権者に通知した弁護士は,可及的速やかに破産申立てを行うことが求められ,また,破産管財人に引き継がれるまで債務者の財産が散逸することのないよう措置することが求められる。これらは,法令上明文の規定に基づく要請ではないが,破産制度の趣旨から当然に求められる法的義務というべきであり,申立代理人弁護士に一義的に求められるのは,債務者の財産の保全を図りつつ,可及的速やかに破産申立てを行うことである。
 この点,いわゆる法人少額管財手続においては,低廉な予納金で管財手続が行われるよう申立代理人弁護士によって事前に資産,負債等に関する十分な調査が行われていることが必要とされるが,申立代理人弁護士による換価回収行為は,債権者にとって,それを行われなければ資産価値が急速に劣化したり,債権回収が困難になるといった特段の事情がない限り,意味がないばかりか,かえって,財産価値の減少や隠匿の危険ないし疑いを生じさせる可能性があるのであるから,そのような事情がないにもかかわらず,申立代理人弁護士が換価回収行為をすることは相当でなく,換価回収行為は,原則として管財人が行うべきである。管財人は,裁判所が選任し,その監督を受け,善管注意義務と賠償責任を負っているのであり(破産法74条,75条,85条),申立代理人弁護士とその地位や権能が大きく異なることは明らかである。ましてや,申立代理人弁護士が,相当高額な弁護士報酬を得る目的で,安易な換価回収行為を優先して行い,資産,負債等に関する十分な調査をせずに迅速な破産申立てを怠るようなことは,破産制度の意義を損なうものというべきである。」

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2012年11月13日 (火)

定款付則による役員任期の定めの射程範囲

次のような法人の定款が存在しているとする。
---------------------------
 (役員の任期等)
第16条 役員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
 2 前項の規定にかかわらず、後任の役員が選任されていない場合に限り、任期の末日後最初の総会が終結するまでその任期を伸長する。
 3 補欠のため、又は増員により就任した役員の任期は、それぞれの前任者又は現任者の任期の残任期間とする。

付則
この法人の設立当初の役員の任期は、第16条第1項の規定にかかわらず、この法人の成立の日から平成24年05月31日までとする。
---------------------------

この法人は、平成23年に設立され、平成24年5月現在就任している役員は設立時役員である。そして、定時総会が24年6月に開催されたとする。

この場合、役員の任期は16条2項により、24年6月に開催された総会終結時となる。

では、付則が「この法人の設立当初の役員の任期は、第16条の規定にかかわらず、この法人の成立の日から平成24年05月31日までとする。」となっていた場合はどうか。

この場合は、16条全部を排斥しているわけだから、付則のとおり、平成24年05月31日で任期が満了する。
(参照 法務通信 653号24頁)

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2012年11月12日 (月)

保証についての日司連意見書 ~野々垣バージョン~

日司連が保証に関しての意見書を公表しました。

そのうちの一部を抜粋します。

1 保証人の要件について
【意見の趣旨】
保証人となる者は、保証債務を履行する資力がなければならないとの規定を設けるべきである。
具体的には、現民法第450条を次のように改正し、強行規定とすべきである。
第○条(保証人の要件)
保証人は保証債務を弁済する資力を有する者でなければならない。
(現民法の第2項、第3項は削除する。)
【意見の理由】
保証人は、人的担保としての機能を有する者であるから、弁済する資力を有する者でなければならないのは当然である。
しかし、「情義性」、「未必性」、「軽率性」等の特性を持つため、自己に資力がないにも関わらず、主たる債務者の懇願を断りきれずに、「まさか自分に請求されることはないだろう」という安易な期待のもとに保証契約を締結してしまい、主たる債務の履行が遅滞し、債権者から資力以上の弁済を求められ生活が破たんしたという相談が数多く寄せられている。
債権者に対して契約締結時や契約締結後に一定の義務を課したとしても、主たる債務者に懇願された者は保証人となることを拒否できないといった事態が生じる可能性があるので、このような被害を根絶するためには、保証人に、保証債務を弁済する資力を有すること、という要件を課し、強行規定とする必要がある。つまり、現民法第450条を債権者保護という視点から保証人保護という視点に大きく趣旨変更することにより、保証債務を弁済する資力がないにも関わらず、情義によって軽率に保証人となってしまうという事態を防止しようという提案である。
資力については、フランスの比例原則に関する裁判例等を参考に判断することを念頭に置いている。
なお、本提案は保証契約締結時点での保証人の資力に関するものであり、保証契約締結後については保証人の意思で資力を減少させることもあり得るため、考慮していない。

 債権者の権利保全という意味合いが強かった保証制度が、保証人保護という制度に変わりつつあると思います。

詳細は、日司連HPに記載されています。

http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/info_disclosure/opinion/opinion_detail.php?article_id=103

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2012年11月 8日 (木)

債務者の支払停止等を予約完結権の発生事由とする債権譲渡予約契約を否認したケース

本件と同様のケースについて、既に同旨の最高裁判決が出され、下級審判決も多数出ている。
高利貸が事業者に融資する際に、白紙の債権譲渡通知を多数取得しておいて、手形不渡等が発生した場合に債権譲渡通知書の内容を補充して発送する、というようなことが行われることがある。しかし、債務者が破産手続をとった場合には、本件のように否認される。しかし、倒産しても法手続をとる会社は、おそらく2~3割程度と想像されるので、法手続をとらない場合は旨みがあるということだろうか。

東京地裁平成22年11月12日

「債務者の支払停止等を予約完結権の発生事由とする債権譲渡契約は、その契約締結行為自体は危機時期前に行われるものであるが、契約当事者は、その契約に基づく債権譲渡の効力の発生を債務者の支払停止等の危機時期の到来に係らしめ、これを予約完結権の発生事由とすることにより、危機時期に至るまで債務者の責任財産に属していた債権を債務者の危機時期が到来するや直ちに当該債権者に帰属させることによって、これを責任財産から逸出させることをあらかじめ意図し、これを目的として、当該契約を締結しているものである。
 したがって、債務者の支払停止等を予約完結権の発生事由とする債権譲渡契約は、破産法162条1項1号の規定の趣旨に反し、その実効性を失わせるものであって、その契約内容を実質的にみれば、債務者に支払停止等の危機時期が到来した後に行われた債権譲渡と同視すべきものであり、同号に基づく否認権行使の対象となると解するのが相当である(旧破産法72条2号に関する最高裁判所平成16年7月16日第二小法廷判決・民集58巻5号1744頁参照)。」

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2012年11月 7日 (水)

「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」セミナーの会場を広くしました!

 過日ご案内しました「債権譲渡登記を活用した売掛金回収」セミナーですが、予約していた会議室が一杯となってしまいましたので、一部の方にはご迷惑をお掛けしてしまいました。
 そこで、急遽、となりの広い部屋で開催することにいたしました。未だ席に余裕がありますので、お誘い合わせのうえお越しいただきますようご案内申し上げます。

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日時 平成24年11月19日 午後3時00分開始
     (午後2時30分受付開始)
     講演約1時間の後、個別相談を受け付けます
場所 浜松商工会議所 10階B会議室
講演 「債権譲渡登記を活用した売掛金保全」 
講師 司法書士 野々垣守道(司法書士法人中央合同事務所)

参加料無料!

 予約・問合 電話053-458-1551
  司法書士法人中央合同事務所まで

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2012年11月 6日 (火)

会社設立時の払込 5題 その3

津地方法務局 18.8.25

株式会社(発起設立のみ)又は合同会社設立登記で、払い込みがあったことを証する書面に「発起人の預金通帳の写し」を使う場合について、入金した通帳には、誰がいくら入金したか分かるように、発起人がそれぞれ自分の振込み金額を振り込んで、氏名がそれぞれ記入されていなければならないのですか?
例えば発起人の代表者が全員の分を一括して預け入れた場合、払込金の全額が入金されていることが確認できれば、氏名は確認できなくても良いのですか?

出資に係る金銭の全額の払い込みが預金通帳により確認できればよい。

栃木県全体研修会18.9.30

発起設立における会社法第34条の規定に基づく払込があったことを証する書面は,設立時取締役並びに設立時監査役による調査報告書(会社法第46条の調査)に払込取扱機関における口座の預金通帳の写しを合綴したものでも差し支えないと考えますが,いかがでしょうか?

調査報告書の添付の必要なく,払込のあったことを証する書面で足りる(平成18年3月31日民商第782号法務省民事局長通達(以下「基本通達」という。)8,9ページ)。設立時取締役及び設立時監査役の調査は,定款に現物出資に関する記載(法33条10項1号又は2号)がある場合だけであり,現物出資の記載がないときには,「法34条1項の規定による払込があったことを証する書面」を添付すれば足りる。(法務省民事局商事課「会社法の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いに関するQ&A」(以下「Q&A」という。)3-14,15,東京司法書士会説明資料(以下「説明資料」という。)1)

18.6.13東京司法書士会・会社法登記関係質問・回答集

定款・取締役会議事録に記載された発起人・株式申込人と、通帳に記帳された払込人が一致しない場合(金額は合致する)や、そもそも振込ではなく直接入金のため名前が無い場合、上申書等が必要ですか。また、そもそも審査の対象となりますか。

この場合のように通帳の写しを利用する場合には,設立時代表取締役等の作成に係る払込取扱機関に払い込まれた金額を証明する書面が通帳に合てつされており(18年3月31日民商第782号法務省民事局長通達8,9ページ),別途上申書等は不要である。
 なお,添付書面足りうるかは登記官の審査項目であり,この例では払込みがあったものと設立時代表取締役等が証明しているので問題ないが,例えば給与振り込みや利息などを払込みとした場合には,設立時代表取締役等が証明したとしても払込みと考えることはできないので却下せざるを得ない。

栃木県全体研修会18.9.30

株式会社の設立登記に添付する「払込があったことを証する書面」及び「資本金証明書」に押す印鑑は,会社の登録印と考えますが,代表者個人の実印を押印した場合には補正の対象になるのでしょうか?

補正の対象となる(Q&A3-11)。「払込があったことを証する書面」及び「計算規則に従って計上されたことを証する書面」は,設立時代表取締役が会社を代表して作成することを要し,代表者が個人の資格で作成したものは商業登記規則(以下「商規則」という。)61条5項を適用すべき書面とはならない。

埼玉会 会社設立マニュアル

設立時代表取締役の通帳への払込でもみとめられるか?

設立時代表取締役の口座への払込については、発起人による払込金の受領権限証明書を添付することにより認められる。(H18,10月29日の関東ブロックでの会社法研修会)

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2012年11月 5日 (月)

設立時の払込方法 5題 その2

津地方法務局 18.8.25
合同会社の設立登記には、「出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面」が添付書類(商登法第117 条)とされ、この場合の、金銭の払込みについては、払込取扱機関(銀行等)に限定はなく、また、現物出資の検査役の調査規定もない(会社法第578 条)と理解してよろしいですか。

意見のとおり。

津地方法務局 18.8.25

株式会社(発起設立のみ)又は合同会社設立登記で、払い込みがあったことを証する書面に「発起人の預金通帳の写し」を使う場合について、発起人一人だけの場合でも、預金残高があるだけではだめで、必ず、定款作成時から代表者の証明書作成日の間に「出資金全額の入金が記帳された預金通帳の写し」でなければならない取扱いでよろしいでしょうか?

株式会社については意見のとおり(平成18年3月31日付け民商第782号法務省民事局長通達第2部第2(3)オ)。合同会社についても単に残高があるだけではなく、払込があったことが分からなければならない。なお、合同会社の払込は、会社法上金融機関に限定されていない。

津地方法務局 18.8.25
"株式会社(発起設立のみ)又は合同会社設立登記で、払い込みがあったことを証する書面に「発起人の預金通帳の写し」を使う場合について、発起人個人の名義と共に設立する前の個人の屋号の入った通帳への払込でもよいですか?(参考:論点解説新会社法千問の道標4ページ)
例:会社名 株式会社鈴木事務所 、 発起人 鈴木太郎 口座名義 鈴木事務所 鈴木太郎
尚、ある法務局では、発起人の同意書に『個人商店の法人成りであり、今まで使用していた通帳を使用する』という旨の書き込みがあれば受理されている報告を受けています。"

本件事案であれば差し支えない。発起人個人の通帳であることが確認できればよい。

津地方法務局 18.8.25

株式会社(発起設立のみ)又は合同会社設立登記で、払い込みがあったことを証する書面に「発起人の預金通帳の写し」を使う場合について、定款・取締役会議事録に記載された発起人・株式申込人と、通帳に記帳された払込人が一致しない場合(金額は合致する)や、そもそも振込ではなく直接入金のため名前が無い場合、上申書等が必要ですか。また、そもそも審査の対象となりますか。

通帳の写しを利用する場合は、設立時代表取締役等の作成に係る払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面が通帳に合てつされており(平成18年3月31日付け民商第782号法務省民事局長通達第2部第2(3)オ)、別途上申書は不要である。

大阪司法書士会 18.8.1 会社法Q&A

発起設立時の払込証明書につき、取扱金融機関から発行された「取引明細書」を添付する場合は、通帳の写しは必要ないか。

銀行等名・口座名義人・口座種類・口座番号・振込日・振込人・振込み金額等の明細が記載された取引明細書を通帳の写しに代えることは可能である。ただし、設立時代表取締役の振込みがあったことの証明書(商登47Ⅱ⑤)と合綴する必要がある。

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2012年11月 2日 (金)

オンライン申請の登記原因証明情報の補正について(野々垣バージョン)

「いまさら聞けない登記手続」

去る、平成24年10月27日土曜日に浜松市西区の佐藤和真先生が講師を務められ、標記研修が開催されました。研修の中で、オンライン申請の登記原因証明情報の補正についての説明がありました。

オンライン申請において、登記原因証明情報の記載内容不備の補正が認められないことは、周知のことです。

そこで、内容をもう一歩踏み込んで、「登記原因証明情報の記載内容不備」に該当する事由は何かについての説明があり、

平成20年12月12日法務省民事局民事第二課長からの連絡には、

「PDFに記録された登記原因証明情報の訂正箇所が登記原因又は登記事項に関係のない部分にすぎない場合には、当該PDFファイルの提供があったものとして事務処理を行うこととする。」という趣旨の記載があり、

以下の通り、根抵当権の極度額の変更登記申請手続きを行う際、

変更後の極度額 金500万円

変更前の極度額 金300万円

登記原因証明情報に変更前の極度額を金300円と記載してしまった場合でも、登記申請書には、変更後の極度額金500万円を記載するのみで、変更前の極度額は記載しないため、登記原因証明情報を記載不備には該当しないとのことでした。

原因証明情報の記載内容全てを一字一句間違いのないよう注意することは勿論ですが、次回より、登記事項となる部分については、絶対に間違いのないよう確認すべできあると感じました。

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2012年11月 1日 (木)

会社設立時の払込について 5題

大阪司法書士会 18.8.1 会社法Q&A

発起設立の株式払込金は、発起人が複数存在するときは、通帳の名義人である発起人以外の発起人は振込の手続をとる必要があるのか。

発起人代表名義の通帳に入金するだけでよい。また複数の発起人引受株式につき一括して 入金したものでもよい。

18.10.23 愛知・法司研究会

発起設立の株式払込金の入金または振込は、定款作成後であれば定款認証前であっても有効と考えますがいかがでしょうか。また、全額の払込みがあったことの証明書(商登47Ⅱ⑤)作成時に上記払込金が引き出され、残高が払込金額に満たない通帳写しの添付があっても、申請は受理されるものと考えますがいかがでしょうか。

前段 出資の履行義務は定款作成後に発生するものと考えられる。従って,その払込みは通常は定款認証後が原則と思われるが,近接している場合は,認証前であっても受理できる。後段 出資履行の事実が確認できれば良い。

18.10.23 愛知・法司研究会

発起設立の株式払込金を超える入金または振込みがあったとしても、申請は受理されるものと考えますがいかがでしょうか。

引き受けた株式の出資に係る金銭の全額についての払込みがあったことを証する書面を添付すればよいことから,払込金に相当する額が払込みされたことが確認できれば良い。

津地方法務局 18.8.25

発起設立の際の発起人の出資に係る払込又は募集株式の引受人が行う払込の銀行等の払込みの取扱いの場所(会社法第34条第2項)として外国銀行の外国における支店の口座は認められますか?

認められない。
銀行とは、銀行法第4条第1項の内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む者とされ、外国銀行はこれに該当するが(同法第4
7条第1項)、外国銀行の外国における支店は該当しない(同法第47条第2項)。

埼玉会 会社設立マニュアル

郵政公社の通帳への払込でもみとめられるか?

みとめられない

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