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2012年11月29日 (木)

相続財産管理人選任申立書を作成した司法書士が自らを財産管理人候補者として申し立てをすることの是非(辛口)

昨日、「平成20年度専門業務研修 財産管理業務分野」の「事例を通して考える相続財産管理人の実務」を見た。その中で、「従来、申立に携わる司法書士が、自らを候補者として申立を行い、そのまま選任され職務を行ってきた。このような場合、管理人として公正な職務が遂行できるかは甚だ疑問である。また司法書士倫理の観点からも、このような取扱いは当然望ましくない」という解説がある。

一見、もっもらしく見えるが、これに対し、違和感を覚えた。

まず、なぜ「従来、申立に携わる司法書士が、自らを候補者として申立を行い、そのまま選任され職務を行ってきた」という実務が定着しているのか考えてみる必要があるのではないか。「申立に携わる司法書士」は利害関係人から依頼されて不在者財産管理人選任の申立書を作成するわけだが、その申立書を作成することによって、他人の権利を発生させたり変更させたり消滅させたるすることはない。単に(一般的には)相続人がいない、相続財産がある、申立人は利害関係人である、ということを書くだけである。この作業にどれほどの意味合いがあるのだろうか。

そして、「管理人として公正な職務が遂行できるかは甚だ疑問である」ということだが、管理人は常に裁判所の監督下にあり、ほとんど裁量の余地はない。「公正な職務が遂行できるかは甚だ疑問である」と言うが、どういうことを想定して言っているのかわからない。

さらに、「司法書士倫理の観点からも、このような取扱いは当然望ましくない」と言うが、これまでの実務を否定して問題提起をされるのであれば、もっと具体的に、司法書士倫理のどの条文のどこに抵触する可能があるのか指摘していただきたかった。

講師は、「管理人に選任されたら、申立書類を見たり申立人と面談して、どういう動機と目的で申立をしたのか確認すべき」と何回も繰り返して発言している。結局のところ、申立人の事情を理解するところが業務の出発点になるわけだから、「申立に携わる司法書士が、自らを候補者として申立」するのと同じことになるのではないだろうか。

時々、こういう爆弾発言をするのでよくないのかな? でも、ちゃんと議論すべき問題だと思う。

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