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2012年12月

2012年12月27日 (木)

過払金の消滅時効の起算点はいつか

タイトルだけ見れば、「そんなことは最高裁で解決済み」という声が聞こえてきそうだ。最高裁平成21年1月21日判決は、大意「基本契約にもとづく過払金返還請求権の消滅時効は、特段の事情のない限り、同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である」と判示している。だから、「取引が終了した時点」が起算点なのだ、ということである。

では、「取引が終了した時点」っていつなのか。最終取引日(通常は最終弁済日)なのか?

着目しなければいけないのは、最高裁は「基本契約にもとづく」という前提で判示していることだ。これが、「1個の金銭消費貸借にもとづく」という前提であれば、通常は、最終弁済によって約定の債権債務はなくなるわけだから「最終弁済日」でいいだろう。しかし、「基本契約にもとづく」ということは、借入と返済が繰り返されるということを前提とした契約であるということだ。

そして、多くの場合、基本契約において3年とか5年とかの契約期間が定められている。つまり、最終取引によって約定残高がゼロになったとしても、基本契約が解約されるなどの特段の事情のない限り、基本契約は継続しており、カードで借りようと思えば借りられる状態にあった・・・・、つまり、最終弁済によって取引が終了したわけではない、ということになるのではないだろうか。

横浜地裁平成24年2月1日判決(消費者法ニュース92号404頁)は、同趣旨の判断をしているものと思われる。

そうすると、一定の限度はあるのかもしれないが、基本契約が自動更新されている場合には、時効期間はいつまでも進行しないということにもなるのかもしれない。

なお、「元本0円特約」という条項が盛り込まれている基本契約もあるようだ。たとえば、「残元本0円が一定期間継続すると契約は終了する」という定めである。

このあたりの問題は、消費者法ニュース93号106頁に加藤修弁護士が解説しているので参考になる。

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2012年12月26日 (水)

根抵当権の債権の範囲の変更についての登記申請の権利者・義務者

抵当権の変更の登記について、形式的に、根抵当権者に有利な変更は根抵当権者が登記権利者となり、設定者に有利な変更は設定者が権利者になるとされている。そして、どちらに有利か形式的には判断できない場合は根抵当権者が登記権利者になるとされている

根抵当権の被担保債権の範囲を「相互銀行取引」から「銀行取引」に変更した場合
金融機関の合併及び転換に関する法律の規定により相互銀行が普通銀行に転換した後に、既登記の根抵当権の被担保債権の範囲を「相互銀行取引」から「銀行取引」に変更した場合の債権の範囲の変更の登記は、設定者が登記権利者、根抵当権者が登記義務者となって申請するものと考えますが、いかがでしょうか。
御意見のとおりと考えます。(登研497号・昭46、10、4民甲3230通達第3のただし書、昭46、12、27民三第960依命通知第3)

ということは、「相互銀行取引」を「銀行取引」に変更することにより、債権の範囲が狭くなるという考え方であろう。これは、法律でそれぞれの範囲を比較すればいいだろう。
 
「銀行取引、手形債権、小切手債権」から「保証委託取引」に変更した場合
甲銀行が根抵当権を設定していたところ、その根抵当権を乙信用保証株式会社に全部譲渡した。そして、債権の範囲を「銀行取引、手形債権、小切手債権」から「保証委託取引」に変更契約をしたが、この根抵当権変更登記申請の権利者は設定者、義務者は乙信用保証株式会社と考えますが、いかがでしょうか。
御意見のとおりと考えます。(登研502号)

銀行法10条2項1号は、銀行の付随業務として「債務の保証」を掲げている。したがって、この変更も、債権の範囲が狭くなるという解釈であろう。

今日申請するものは、「金銭消費貸借取引、手形債権、小切手債権」を「銀行取引、手形債権、小切手債権」に変更するものであるが、「銀行取引」は「金銭消費貸借取引」を包含するより広い定義であるため、根抵当権者が登記権利者で問題なかろう。そして、今日、もう1件申請する「金銭消費貸借取引、手形債権、小切手債権」を「証書貸付取引、保証委託取引」に変更する場合はどうであろうか。「金銭消費貸借取引」を「証書貸付取引」とはどっちが範囲が広いとか狭いとかは言えないと考えれば、次に「手形債権、小切手債権」と「保証委託取引」の比較になる。そして、こちらも、どっちが範囲が広いとか狭いとかは言えないと考えるのであれば、原則どおり、根抵当権者が登記権利者になるのであろう。

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2012年12月25日 (火)

免責された債権について支払督促の申立をすることは不法行為を構成する

東京地裁平成20年2月29日

単に、免責された債権については強制的に実現することができないとするものではなく、当該債権について支払督促の申立てをすることは著しく相当性を欠き、違法性が認められるとしたもの。当然といえば当然だろう。

「前提事実及び上記認定した事実によれば,被告は,原告らに対する各支払督促の申立てをする約3か月半前から7か月前までの間に,原告らに対する破産手続開始決定及び同廃止決定がされたことの通知を受けていたこと,原告らに対する免責許可決定は公告されていたこと,原告らに対する免責許可決定は確定していることが認められる。
 ところで,原告らに対する破産手続開始決定及び同廃止決定がされていたことを知れば,その後に原告らが免責許可の申立てをし,免責許可決定がされることも容易に予測することができ,現に,原告らに対して免責許可決定がされ,しかもそのことは公告されていたのであるから,被告は,原告らに対する免責許可決定がされたことを容易に認識し得たということができる。
(3)免責許可決定がされ,同決定が確定した後の破産者の債務は,訴えをもって履行を請求することによる強制的実現を図ることができなくなると解されるから,通常の民事訴訟手続に準ずる手続である督促手続においてもその満足を受け得ないことは明らかである。そうであるとすれば,当該債権について支払督促の申立てをすることは,法的手続によって正当な権利の実現を図るという裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠き,違法性が認められる。」

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2012年12月21日 (金)

総会議事録に、「賛成多数、大多数をもって」等の記載がある場合の判断(野々垣バージョン)

株主総会の決議要件は、

普通決議
 原則として、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

特別決議
 原則として、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上をもって行う。
 
と、法定されている。

では、総会議事録に、「賛成多数、大多数をもって」等の記載がある場合の判断はどのようになるのだろう?

 それについての参考となる先例が、以下の通りである。
  
 株主総会の議事録に「大多数をもつて解任を可決した」と記載されている場合には、その記載は出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもつて可決したことを表現しているとは解されない。
(昭38.10.9、民事甲第2,817号)

大多数という記載だけでは、具体的な議決件数が明確でないため、議事録等の作成にあたっては、「出席した株主の議決権の過半数」又は「出席した株主の議決権の3分の2以上」と記載することが望ましい。

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2012年12月18日 (火)

貸金業者が過払金を代理人弁護士の指定口座ではなく債権者本人の預金口座に振り込んだことは不法行為が成立する

熊本地裁人吉支部平成22年4月27日(福岡高判平23.2.25で控訴棄却され確定)

債務整理経験者であれば、このようなことは○○グループが行う、いやらしいやり方であることを知っているだろう。○○グループは、過払金を弁護士や司法書士が自らの利得として収受してしまうおそれがあるという訳の分からない理屈で指定口座ではなく債権者本人の預金口座に振込を行う。

ところが、○○グループの把握している本人口座が睡眠口座になっていたり、こうした○○グループの行為により依頼者との信頼関係が壊れてしまったなどの事例が現実にあり、トラブルを生じている。

本判決は、一般的に,債権の弁済の受領について代理人が債権者本人からこれを受任したからといって,当該本人がその受領権限を喪失するわけではないから,当該債権者本人の預貯金口座に過払金を振り込んでこれを返還したものとしても,そのことが直ちに違法な行為となることはないとしながらも、本件は次のような理由により不法行為が成立するとして、不法行為の損害賠償として本人と弁護士に各5000円の支払を命じたものである。

 弁護士又は司法書士などによる多重債務者の債務整理(私的整理)が果たす役割及び件数は,我が国の社会において,比較的重要な地位を占めるに至っている。
 直ちに過払金の返還までも代理人である弁護士にしなければならない義務が生ずるわけではないにせよ,多重債務者の債務整理においては,貸金業者から過払金の返還があったからといって代理人である弁護士の任務が直ちに終了するものではなく,その過払金の回収は債務整理の一過程であり,債務整理をするための原資を集めるためには,その返還が代理人である弁護士の指定する預貯金口座にされることが望ましく,また,多重債務者である依頼者本人の預貯金口座にこれが入金された場合には,各種の引落しや,ときによっては債権者からの差押えなどによって,その過払金を債務整理のための原資に充てられなくなるおそれもあり得る。
 過払金を返還する側の貸金業者としては,過払金返還請求権の債権者(債務整理に係る債務者)本人の預貯金口座あてであっても,その代理人である弁護士が指定する預貯金口座あてであっても,そのどちらに振込みをしても労力や費用などの面で異なることはない。
 本件に先行して,これまでも度々本件同様の申入れをし,しかも,別紙「ご通知」と題する書面では,本件同様の損害賠償請求訴訟を提起する可能性を告知していた。
 「債務者保護」のためか,「嫌がらせ」によるものかはともかくとして、一定の思わくの下に意図的に本人口座へ振込をしていた。
 報酬の額や受任事務の在り方などをめぐって弁護士と依頼者の間に紛争が生ずる例があるとしても,それは弁護士と依頼者の間の問題であって,過払金を返還する側がその問題について積極的に配慮しなければならない理由がいささか不明確である。

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2012年12月17日 (月)

提供日が前日である以上、受付日が当日であっても登記をすることはできない

タイトルだけでは何のことかわからないと思う。

登記・供託オンライン申請システムの利用時間は、月曜日から金曜日までの8時30分から21時まで(国民の祝日・休日,12月29日から1月3日までの年末年始を除く。)だが、登記の申請の受付時間は,8時30分から17時15分までである。したがって、17時15分を過ぎて申請情報が登記・供託オンライン申請システムに送信された場合は,申請情報を送信した日の翌日(翌業務日)に受付がされることとなる。

そこで、12月18日付金銭消費貸借契約及び抵当権設定契約についての抵当権設定登記を前日の19時に申請すると、18日に受付られることとなる。

しかし、申請情報を送信した17日には、まだ抵当権設定の効力が生じていないから、当該登記はできない。これは、最新の登記研究777号に掲載されている質疑応答である。

では、郵送申請の場合はどうか、17日に申請書類を発送し、18日に登記所に到着したとする。この場合も、原則として信書便で送るわけだから、17日に発送したということは調べればわかる筈。だから、同じ結論になると思うがいかがだろうか。

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2012年12月14日 (金)

内縁解消に基づく財産分与を原因とする所有権移転登記(野々垣バージョン)

内縁離婚に基づく「財産分与」を登記原因として所有権移転登記を申請することの可否

 内縁離婚をした件につき「被告は、原告に対し、〇〇の不動産につき 年 月 日財産分与を原因とする所有権移転登記手続をせよ」との判決正本を添付して所有権移転登記を申請する場合には、登記原因を「財産分与」とすることができる。

(昭47.10.20、民事三発第559号民事局第三課長回答)

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2012年12月13日 (木)

将来債権を譲渡担保に供した場合、譲渡目的債権は遅くとも当該債権が発生したときに譲渡担保権者に移転する

国税不服審判所平成20年3月3日

将来債権を譲渡担保に供した場合、将来債権はいつ担保取得されることになるのかを判断した事例。今後、集合債権譲渡担保の実務を行うときに参考となる判例である。

「金銭債務の担保として、既に生じ、又は将来生ずべき債権を一括して譲渡担保権者に譲渡することとする債権譲渡担保契約が譲渡担保設定者と譲渡担保権者との間で締結された場合には、債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款がない限り、譲渡担保の目的とされた債権は譲渡担保設定者から譲渡担保権者に確定的に譲渡され、譲渡担保の目的とされた将来生ずべき債権については、それが発生したときに、譲渡担保権者が譲渡担保設定者の特段の行為を要することなく当該債権を担保の目的で取得するものと解されており、譲渡目的債権の移転時期については、遅くとも当該債権が発生したときに、譲渡担保権者に移転すると解される。」

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2012年12月12日 (水)

破産管財人が回収した手形金が譲渡担保の目的物であった場合は破産財団の不当利得となり、破産手続開始決定後に生じたものとして財団債権となる

東京高裁平成20年9月11日

 売掛債権が譲渡担保の目的債権とされ、目的債権である売掛債権の支払のために譲渡担保設定者が取得した手形を譲渡担保権者に交付する旨が約定があったとする。その場合において、譲渡担保設定者が取得した手形を、譲渡担保設定者の破産開始後に破産管財人が譲渡担保権者に交付しないで、他の売掛債権とともに自ら取り立てたとする。その場合、譲渡担保権は別除権であるから、回収金は破産財団が法律上の原因なくして利得を得たものとであるから、譲渡担保権者は、破産管財人が回収した手形金および回収金額につき、不当利得返還請求権を取得し、当該不当利得返還請求権は破産手続開 始決定後に生じたものとして財団債権となるとしたもの。
 売掛債権が譲渡担保が別除権として機能することを明らかにする判決。もっとも、譲渡担保については、特に条件付譲渡担保が否認の対象となるケースもあるので注意が必要。

「控訴人は、本件手形1を控訴人が取り立てて回収したことによる被控訴人の不当利得返還請求権は破産債権である旨主張する。
 しかし、前記のとおり、被控訴人は本件譲渡担保権に基づき破産財団(破産管財人である控訴人)に対して本件手形1の交付請求権を有していたところ、この請求権は、別除権である本件譲渡担保権に基づく物権的請求権であり、破産会社に対する債権的請求権ではないから、破産債権ではないと解される。そして、破産管財人である控訴人が本件手形1を取り立てて回収し、その結果、上記交付請求権は消滅し、反面、破産財団には回収額と同額の利得が生じたことにより被控訴人に不当利得返還請求権が発生するが、この不当利得返還請求権は、破産管財人の本件手形1の取立てによって破産手続開始決定後に生じたものであるから、財団債権(破産法148条1項5号)に該当するものというべきである。」

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2012年12月11日 (火)

賃借人に破産手続開始の申立てがあったときには賃貸人は無催告で契約を解除することができる旨の条項は無効である

破産法改正の際、賃借人の破産は賃貸借契約の終了事由とならないとする民法改正も行われたが、賃貸借契約の約定において解除事由として合意されていた場合について判示されたもの。

東京地裁平成21年1月16日

「被告は、平成19年9月18日、本件契約書21条1項3号に基づき本件契約を解除する旨の意思表示をしたのであるが,同契約条項は、平成16年法律第76号により当時の民法621条が削除された趣旨(賃借人の破産は、賃貸借契約の終了事由とならないものとすべきこと)及び破産法53条1項により破産管財人に未履行双務契約の履行・解除の選択権が与えられている趣旨に反するものとして無効というべきであるから、同契約条項に基づく上記解除もまた無効というべきである。」

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2012年12月10日 (月)

会社分割と言えども分割会社代表者の詐害についての悪意が認められるときは詐害行為として否認することができる

福岡地裁平成21年11月27日

会社分割と言えども、否認の対象行為から除外するような規定はない。分割会社代表者の詐害についての悪意が認められるときには、詐害行為として否認することができるとしたもの。

「破産法と会社法は、それぞれ異なる分野を律する立法であって、必ずしも一般法特別法の関係に立つものではないところ、破産法においても、会社法においても、否認の対象となる行為から会社分割を除外する規定はなく、その他これらを調整する旨の規定も置かれていないことからすれば、破産法上、否認の対象となる行為から会社分割を除外すべき根拠はなく、新設分割について会社法上の無効原因があるかどうかや、また、会社分割が相当かどうかといった点によって、否認権行使の可否が左右されるものでもないというべきである。
 そうすると、本件新設分割の会社法上の無効原因の有無や相当性といった点について判断するまでもなく、前記2において判断したとおり、本件新設分割については、否認権を行使し得るものと認められる。」

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2012年12月 7日 (金)

財産分与の予約と登記原因とする所有権移転請求権仮登記の受否(野々垣バージョン)

離婚前における財産分与の予約を登記原因とする所有権移転請求権仮登記の申請は、受理できない。(昭57.1.16、民事甲第251号民事局長回答)

 離婚前における財産分与の協議については、離婚の予約の一内容であるから何らの効力を発生するものでないことにより、所有権移転請求権仮登記も認められないと解される。

 離婚に際し、夫が、妻に対し、住宅ローンを原因とする担保権が設定されている不動産を財産分与し、その所有権移転登記は、住宅ローン完済後とするという内容の協議が整った場合、住宅ローン完済までに新たな担保権が設定されると、担保権付の不動産を妻が譲り受けることになると想定すると、離婚時に、妻が順位保全効として予め仮登記を設定しておく実益は十分にある。

 この場合、離婚時において、住宅ローン完済を条件した財産分与契約を締結したと解し、「条件付財産分与契約」を原因とする所有権移転仮登記を申請すべきなのであろうか?

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2012年12月 6日 (木)

民事調停法の改正 17条決定に対する異議の却下

民事調停法が改正され、来年から施行される。17条決定に対する異議の申し立てがあると調停がなかったものとみなされることになるが、不適法な異議は却下しなければならない、とするもの。

さて、この改正の趣旨は何なのか。単に家事事件手続法284条以下と平仄を合わせるにすぎないものなのか?

おそらく、債務整理に少し詳しい方なら、僕が何を言いたいのか想像がつくと思うが、情報をお持ちの方、教えていただけませんか?

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2012年12月 4日 (火)

財団債権として取り扱われる給料債権の立替払求償権は破産手続との関係では財団債権である

どうして今更こういうことを確認する判決が出ているのか、不思議である。破産管財人は、何を問題提起したかったのだろうか。

横浜地裁川崎支部平成22年4月23日

「原債権は、破産手続開始前3月間の破産者の使用人の給料債権であるから、本件代位債権も労働者の未払給料債権という性質は失わないものというべきである。そして、破産手続開始前3月間の破産者の使用人の給料の請求権は財団債権とされる(破産法149条1項)ところ、この規定は、使用人(労働者)の保護という政策的目的によるものであり、また、被告は、破産手続開始決定を受けた事業主に代わり、労働者の請求に基づき賃金の立替払をすることが義務付けられているのである(独立行政法人労働者健康福祉機構法12条6号、賃確法7条)から、事業者の信用不安に関するリスク回避を講じることは予定されておらず、被告による上記立替払は、最終的には優先的に支払われる賃金債権について、早期に支払うということで上記労働者保護の目的に合致しているものといえる。以上の趣旨からすれば、本件代位債権も、破産法149条1項により財団債権とするのが相当である。」

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2012年12月 3日 (月)

遺産分割の方法

 遺産分割を行う方法としては、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割の4つがあります。 また、遺産分割の内容として、現物分割、換価分割、代償分割の概念があります。

 まず、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割について説明しましょう。

 遺言がある場合は、遺産分割は原則として遺言書のとおりに行います。 遺言がない場合は相続人間で話し合って、遺産分割をします。 これが協議による分割です。
 話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てます。調停による分割申し立てを行う裁判所は相手方の住所地の家庭裁判所が管轄裁判所になります。審判の場合は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てることになっています。

 次に、現物分割、換価分割、代償分割について説明します。
 現物分割は、遺産分割の方法としては、最も原則的な分割方法です。遺産分割は、相続財産全体に対する共同相続人の共有状態を解消する手続きであることから、個々の財産について、その相続取得者をそれぞれ決定するのが現物分割です。

 遺産の価額が、土地のように分割が困難な財産に集中しているような場合で、その財産を処分して換価することが可能なときに、その財産を第三者に譲渡してその代金を相続人間で分配する方法を換価分割といいます。

 また、換価分割と同様に、遺産の価額が土地のように分割が困難な特定の財産に集中している場合で、その財産を容易には換価することができないときや、相続人が、換価しないで所持を希望するときは、その財産を取得する者が他の相続人に対して代償金を支払う方法をとることがあります。これを代償分割といいます。

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