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2013年1月

2013年1月31日 (木)

和合町、住居表示が実施される

 ついに、和合町に住居表示が実施される。浜松市中区和合町というのは、自衛隊浜松基地のすぐ南東に位置し、かなり広い町である。そして、分筆を繰り返した結果、枝番が4桁のところも多く、住宅地図で探しても容易に住所を探し出すことができない。これが、ようやく住居表示が実施されてきれいになる。

 住居表示が実施されても不動産登記、商業登記の住所は自動的に変更されるわけではない。それぞれ申請が必要である。ただし、登録免許税は非課税の措置がある。住居表示前後の住所の証明は各サービスセンターでもらえるようだ。

以前、当事務所の所在地が町名変更、住居表示実施がされた際、不動産や商業についても登記申請書の書き方も配布された。おそろく、今回も同じだと思われるので、本人が申請することも多いであろう。

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2013年1月30日 (水)

休眠担保権抹消供託における利息損害金計算

Dsc_0340_2   休眠担保権抹消供託における利息損害金計算は、エクセルを使えば簡単にできるが、元金を分割払いする約定であった場合には、どうしてエクセルのような計算になるのか、文系の人間が理解するのは苦労する。

 要は、分割払いの1回の元金ごとに利息と損害金を計算すればいいのだが、法務局のエクセルでは、それぞれの分割払いの期間毎に残元金全体の利息と遅延元金全体の損害金を計算しているのである。

 表現が適切かどうかわからないが、1回ずつの分割払いの期間について、分割金に発生する利息・損害金を串刺し計算しているようなイメージかな。こんな表現ではわからないだろうな。

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2013年1月29日 (火)

こういうこともあるのですね(多少説明不足のところはありますが、わけがわからない事件です)

 賃料未払いにより賃貸借契約を解除し、建物明渡訴訟を提起した。そうしたところ、被告である賃借人と連帯保証人に「宛所に尋ねあたらず」を理由に訴状が送達できないという連絡が裁判所からあった。おかしい。訴訟を提起する直前に、賃借人に対して賃貸借契約解除通知を郵送し、賃借人はそれを受領しているのだ。そこで、集配をした郵便局に確認したところ、賃借人の住所には人が住んではいたが「宛先に書かれているその男はここには住んでいない。今後、この者に対する郵便はここに持ってこないでくれ」と言われたとのことだ。これは変だ。虚言だとしたら、こりゃ、相当慣れた、悪い奴だ。

 そこで、万が一のことがあってはならないので、共同代理人である野々垣司法書士といっしょに掛川市の南部の方まで賃借人を訪ねて現地調査に出掛けた。

 この地方は農村地帯であるが、全国的にも有名になった浜岡原子力発電所が近く、全国から労働者が流れ込んでは去っていくという話を聞いたことがある。現地で目的地のアパートの所在場所がわからなくなったので、たまたま自転車で通りかかった人に道を聞いたところ、日本人のように見えたが、実際は外国人だった。労働者の流入は、全国的どころか国際的になっているようだ。結局、外国人の指した方向には目的地はなく、反対方向で目指していたアパートを見つける。

 駐車場に車を止め、車の中で、不動産業者からもらっている賃借人の顔写真を頭にたたき込み、もし本人がいて、しらばっくれるようだったら顔写真をとるように、野々垣司法書士と打ち合わせる。そして、外階段を上り、部屋の呼び鈴を押した。夕方にさしかかり、今日は特別に寒い。待っていても中からの反応がないので、手早く電気のメーターやポスト、ガス栓などの写真をフラッシュを光らせながら写真を撮る。

 そして、隣の部屋の住人に話を聞く。「いる筈だけどね」という言葉に意を強くして、もう一度ドアを何度か叩く・・・・・。いた。中からドアのロックをはずす音がして、ドアがゆっくり、5センチほど空いた・・・。

 あれ、本当に写真とは違う人だ・・・・。あなた、誰? 訪問の理由を話すと、「僕は、○○と言いますが、ちゃんと大家さんと契約して済んでいます。家賃もちゃんと払ってますよ」という。

「はあ?」何が何だかわからん。

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2013年1月28日 (月)

絆プロジェクト

 インターネットで「絆プロジェクト」を検索すると、実に様々なサイトが現れます。しかし、浜松市で司法書士が関わっている「絆プロジェクト」と言うと、浜松市自殺対策推進事業の「絆プロジェクト」です。

 なお、浜松市自殺対策推進事業の「絆プロジェクト」についてはhttp://www.npo-e-jan.com/modules/ejantsuushin/などを参照してください。

 25日夜、「絆プロジェクト」の研究会がアクトシティで行われました。法律問題を扱う司法書士や弁護士、本人の立ち直りを様々な角度から支援する社会福祉士が交流し、お互いの業務を理解するグループワークが行われました。

 私は2回目の参加でしたが、「絆プロジェクト」が本人の支援というよりも、司法書士等の法律家に対する支援であるということを初めて知りました。このブログで詳細を紹介することはできませんが、もっともっと日常的に連携しなければならないと考えさせられました。

 しかし、現状のシステムでは、なかなか「絆プロジェクト」にアクセスするのが難しいのが現実だと思います。もっとお互いに気軽に連携できるシステムが必要であると思います。

 例えば、裁判所という場所は、様々な問題を抱えた人が多数出入りしています。ですから、裁判所の中の一部屋に「法律相談以外の相談」の部屋があれば、もっと気軽に連携できると思います。私たちも本人といっしょに裁判所に出向くことがありますが、そんな時、そういう窓口があれば、「ちょっと話を聞いていきましょうか」ということもできます。特に、浜松の裁判所は、特定調停全盛の時に設計された建物ですから、皮肉にも、現在は、部屋はたくさん空いていると思います。

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2013年1月25日 (金)

株式会社の清算人の選任方法(野々垣バージョン)

 設立登記に比べ解散の登記を受任することが多いことから、清算人の選任手順をもう一度確認したいと思います。

株式会社が、定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生、株主総会の決議により解散する場合の清算人の選任手順は以下のとおりとなります。

定款で定める者

 ↓

株主総会の決議で選任されたもの

 ↓

取締役

 ↓

上記の手順により清算人になる者がいない場合は、裁判所が選任した者となります。

清算人の任期はありませんが、取締役と同様の欠格事由があります。裁判所の選任した清算人は裁判所の嘱託登記ではなく、清算会社を代表する清算人が登記申請をすることになります。

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2013年1月24日 (木)

審判の確定

 後見開始の審判は、選任された成年後見人が審判書を受領した日から2週間が異議申立期間です。後見開始の審判に対しては、異議申立期間に、「本人は判断能力が十分あり、成年後見人の選任は必要でない」という異議申立てはできますが、「成年後見人を別の人に変更して欲しい」という異議申し立てはできません。
 そして、2週間の異議申立期間内に異議がない場合は、2週間の経過をもって審判が確定します。審判が確定すると、家庭裁判所が後見登記の嘱託を行います。

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2013年1月22日 (火)

身元引受け・身元保証

 被後見人が老人ホームに入所するような場合、身元引受人とか身元保証人を求められることが多いようです。そして、成年後見人が就任しているケースでは、成年後見人が身元引受人や身元保証人となるよう施設から求められることが多いようです。しかし、親族後見人であればともかく、第三者後見人が民法上の保証をしなければならないものではありません。
 もっとも、施設の言う「身元引受人」や「身元保証人」がどのような意味を持つものなのか、入所契約書等をよく確認する必要があると思われます。実質的には、民法上の保証ではなく、緊急時の連絡等の役割であることもあるようです。
 しかし、もしも、第三者後見人に民法上の保証責任を伴う契約を求められるのであれば、本人の財政状況を説明し、財産管理を成年後見人が行うので「身元引受人」や「身元保証人」がいなくても問題ない旨を説明して理解を求めるべきです。

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2013年1月21日 (月)

一身専属権

一身専属権は、権利を持つその人しか行使することができない権利(行使上の一身専属権)、又は、特定のその人しか持つことのできない権利(帰属上の一身専属権)をいいます。身分行為も一身専属権とされています。また、医療行為への同意も一身専属権の一種と考えられています。
 一般に、一身専属権に属する行為は成年後見人の職務ではありません。

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2013年1月18日 (金)

一時使用の賃貸借であるか否かの判断(野々垣バージョン)

不動産の賃貸借契約が、一時使用目的の賃貸借である場合は、契約期間の終了により、当該契約は終了する。
一時使用の賃貸借契約でない場合に、賃貸人が賃借に対し、当該契約の解除の申入れをする際には、立退料の支払いが必要となる場合がある。
借地借家法には「一時使用のために賃貸借契約をしたことが明らかな場合」と記載されているのみで、明確は定義されていない。
  このため、下記の判例を参考に一時使用の可否を判断する事になる。

最判昭和36年10月10日
「一時使用目的とは、賃貸借の目的、動機その他諸般の事情から、その賃貸借を短期間に限り存続させる趣旨のものであることが客観的に判断されるものであればよい。必ずしもその期間の長短だけを標準として決せられるものではなく、期間が1年未満でなければならないものでもない。」

これらをもとに判断すると、一定期間、展示場として使用する場合や住居新築のため、一定期間仮住まいとして使用する場合等は「賃貸借の目的、動機その他諸般の事情」が、展示場、仮住まいとして賃貸する期間が、一定期間に明確に定められていれば、「短期間に限り」に存続させることが客観的に明確であるため、一時使用の賃貸借であることが判断できる。

これに対し、賃貸人が、転勤等により賃貸人の所有する長期間使用しないため、転勤等が終了した場合に賃貸借契約が終了する定めは、存続期間が明確に定められておらず、「短期間に限り」存続させる趣旨が明確でないため、一時使用貸借とは認められない。
類似した判例は下記の通りですので、ご参照ください。
東京地裁昭和56年1月30日判決 昭和53年(ワ)12568号

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2013年1月17日 (木)

身分行為

 成年被後見人は、成年後見人の同意なくして身分上の法律行為をすることができる。身分行為とは、婚姻・離婚・養子縁組・離縁など、身分の取得・変動を生ずる法律行為のことをいうとされている。例えば、婚姻について、民法は次のように規定している。

(成年被後見人の婚姻)
第七百三十八条  成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。

 身分行為は、本人の自由な意思に委ねるべきであり代理に親しまないから、成年後見人が本人を代理して婚姻の合意等をすることはできないとされている。逆に言えば、婚姻の合意等の身分行為は成年後見人の職務ではない。

 そして、成年後見人の同意を得ないでした身分行為の届出も本人がしなければならないことになっている。

戸籍法第三十二条  未成年者又は成年被後見人がその法定代理人の同意を得ないですることができる行為については、未成年者又は成年被後見人が、これを届け出なければならない。

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2013年1月16日 (水)

居所指定権

成年後見人には、本人の居所指定権はない。
この点、親権者や未成年後見人の権限と異なる。

(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)
第八百五十七条  未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

(居所の指定)
第八百二十一条  子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

むしろ、親権者や未成年後見人の場合は、未成年者が未成熟だという特殊性があるからこそ居所指定権を認めているのであって、自己決定権の尊重を理念とする成年後見制度において、成年後見人に居所指定権を認めるのは制度としてそぐわない。

したがって、成年後見人は、本人の意思に反して病院や施設への入所を強制することはできない。

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2013年1月15日 (火)

医療行為の同意権

 成年後見人は、医療契約を本人に代わって締結する権限はあるが、具体的な医療行為の段階で、身体を傷つけたするような医的侵襲行為を受けることの同意(例えば、手術に対する同意)をする権限はない。
 そもそも医的侵襲行為を受けることの同意権は一身専属権であると考えられているから、代理してすることはできない(同意能力を有しない未成年者について親権者が同意するのは、未成年者は未成熟だという特殊性による)。

 同意なく医的侵襲行為が行われると、刑法上の傷害罪の構成要件に該当してしまう。違法性阻却事由である本人(被害者)の同意がないということになると、医師も医療行為をためらうことになってしまう。しかし、それでは、身上監護義務のある後見人の職務を全うすることができないから同意権を認めるべきだという見解もあるようだ。

 このあたりは、法整備が必要だと言われて久しいが、もしも、後見人に同意権が与えられた場合、何を基準にして同意したり拒否をすればいいのかは悩ましい問題になるだろう。

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2013年1月11日 (金)

債権の弁済期の定め(野々垣バージョン)

 不動産登記法70条3項に基づく休眠担保権抹消の要件の一つとして、債権の弁済期から20年を経過したことがあるが、明治、大正に設定された抵当権の被担保債権に関する書類を所持していることはまずない。
 そうすると、債権の弁済期をどうやって確認するかということになる。抵当権設定登記の際、債権の弁済期に関する定めは登記されない。これは現行の不動産登記法に根拠がないからであるが、昭和39年の不動産登記法一部改正以前には、債権又は利息の定め弁済期の定めがされているときは、これらは登記事項とされていたため、閉鎖謄本を取得し、そこから債権の弁済期を確認することになる。
 閉鎖謄本を取得しても弁済期を確認できない場合、担保権設定の日を弁済期とすることになる。

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2013年1月10日 (木)

成年後見人の心構え

成年後見人の心構えについては、「成年後見教室」(日本加除出版)の解説(9頁以降)を参考にして解説する。

(1)制度の基本理念を理解すること
① ノーマライゼーション
 ノーマライゼーションとは、障害がある人でもない人でも、共に暮らし、共に生きるという考え方。
② 自己決定の尊重
 判断能力が十分でなくてもできる限り本人の意思を尊重するという理念。
③ 残存能力の活用
 本人に少しでも能力を見いだすことができるのであれば、それを可能な限り引き出し活用すべきという考え方。

(2)最善の利益を目指すこと
 本人の利益を最大限確保しようという考え方。
 したがって、本人のためには、財産を残すよりも、むしろ積極的に使うということが求められる場合もある。ときには、周囲の者には一見愚かに見えることでも、本人にとっては価値があるというのであれば、それはそれで尊重すべき場合もあると考えるべき。愚行権を尊重するという考え方。※愚行権(ぐこうけん、 the right to do what is wrong)とは、たとえ他の人から愚かでつむじ曲りの過ちだと評価・判断される行為であっても、個人の領域に関する限り邪魔されない自由のこと。 (Wikipedia)。

(3)関係者との連携
 福祉、医療関係者、親族等と日頃から連携し、広い視野の下に様々な角度から情報をキャッチできるネットワークを構築して本人を支援していくこと

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2013年1月 9日 (水)

成年後見人の義務

  成年後見人には広範な権限が与えられているのと同時に、様々な義務が課せられています。
成年後見人の義務は、明文の根拠規定があるものと、解釈上考えられる義務とがあります。

(1)善良な管理者の注意義務
 成年後見人は、善良なる管理者の注意義務があります。

(委任及び親権の規定の準用)
第八百六十九条  第六百四十四条及び第八百三十条の規定は、後見について準用する。
(受任者の注意義務)
第六百四十四条  受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

(2)意思尊重義務、身上配慮義務
 成年後見人は、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません。

(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第八百五十八条  成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

(3)見守り義務
 成年後見人が意思尊重義務、身上配慮義務を果たす為には、定期・不定期の訪問や電話などによって、継続的に本人の状況把握に努める必要があります。これは、見守り義務と呼ばれ、解釈上導き出される義務です。

(4)自己執行義務
 成年後見人は、その職務を自ら処理すべき義務を負うものと解釈されています。もっとも、自己執行義務といっても、事務を無制限に他人任せにしてはいけないという意味であって、相当な範囲で適切な履行補助者等を使用することを禁止するものではありません。

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2013年1月 8日 (火)

成年後見人の権限

 成年後見人の権限は、財産管理権、代理権、取消権、追認権ですが、特に、代理権、取消権については、その範囲について原則と例外を理解しておく必要があります。

① 財産管理権
 財産管理権の法的根拠は民法859条です。

(財産の管理及び代表)
第859条  後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。

 成年後見人の財産管理権の具体例は、預貯金の管理、収入・支出の管理、証券類等金融商品の管理、税務処理等です(「成年後見の法律相談」(学陽書房)67頁)。一方、「成年後見教室」(日本加除出版)2頁では、「財産管理権とは保存行為と管理行為をする権限をいい、処分行為を含まない」という解説がされています。しかし、後に述べるように、成年後見人が本人の包括的な代理権を有していることを考えると、代理人として処分行為ができるわけですから、保存行為、管理行為は成年後見人がどのような権限で行うのか(つまり、代理人として行うのか否か)、明確な説明にはなっていないと感じます。
 その点、成年後見人の立場で預貯金の管理、収入・支出の管理、証券類等金融商品の管理、税務処理等ができると理解する方がすっきりすると思います。

② 代理権
 代理権の法的根拠も民法859条です。

(財産の管理及び代表)
第859条  後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。

 成年後見人の代理権は包括的な代理権と言われています。ただし、本人保護・本人の意思尊重という趣旨からいくつかの制限が設けられています。

 制限のひとつは、居住用建物・敷地についての処分の制限です。
(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第859条の3  成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

 これは、本人が住み慣れた住環境を失うことは、精神上、重要な影響を及ぼす可能性があるからと言われています。

 制限のふたつ目は、利益相反行為の制限です。
(利益相反行為)
第八百六十条  第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
(利益相反行為)
第八百二十六条  親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2  親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

 なお、後見監督人がいる場合は、後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為については後見監督人が被後見人を代表することになります。

 制限の3つ目は後見監督人がいる場合特有の制限ですが、後見人が、被後見人に代わって営業若しくは民法13条第1項各号に掲げる行為(但し、元本の領収を除く)をするときは後見監督人の同意を得なければなりません。

民法13条第1項各号に掲げる行為
一  元本を領収し、又は利用すること。
二  借財又は保証をすること。
三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四  訴訟行為をすること。
五  贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八  新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。

③ 取消権
 取消権の根拠とその制限はいずれも民法9条に規定されています。

(成年被後見人の法律行為)
第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

 日用品の購入その他日常生活に関する行為について取消権を制限しているのは、成年後見制度自体が、判断能力が劣っていても普通の生活ができることを支援するための制度であるにもかかわらず、日用品の購入等を取り消すことができるとすると、かえって本人の生活を制限する事になりかねないからです。また、仮に日用品の購入で損害が生じたとしても、大きな不利益とはならないとも考えられます。

④ 追認権
 成年被後見人と取引をした相手方は、成年被後見人であるという理由だけで取り消される可能性があり、非常に不安定な立場に置かれます。
 そこで、相手方は、成年後見人に対し、その権限内の行為について、前項に規定する催告をした場合において、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。そして、成年後見人がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなすことにしていますが(民法20条)、その場合の追認する権限も成年後見人に認めています。

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2013年1月 7日 (月)

成年後見人の職務

成年後見人の職務は、財産管理と身上監護と言われている。
財産管理業務についは民法859条にその根拠を求めることができる。

(財産の管理及び代表)
第859条  後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2  第824条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

 しかしながら、身上監護については、これをストレートに根拠づける条文はなく、民法858条が身上監護義務があることを前提とした条文構成になっていることから、間接的に解釈されているように感じられる(なお、「身上監護」とは、本人の生活、療養看護がうまくいくように監督し、保護すること、と言われている)。

(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第858条  成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

 いずれにしても、立法趣旨が「成年後見人の職務は財産管理と身上監護」であったのだろうから、このあたりの条文の構成については学者の議論に任せることとしたい。

 ところで、民法858条は、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては」と言っているのである。後者の「財産の管理に関する事務」については、他の制度、たとえば、不在者財産管理人であるとか相続財産管理人の経験があれば何となくイメージできるだろうが(ただし、成年後見人の場合と同一ではないことは明らか)、「生活、療養看護に関する事務」というのはどういうことを意味するのか、確認しておく必要がある。

 ちなみに、「財産管理」の例としては、預貯金の管理・払い戻し、公共料金の支払い、年金の受け取り、不動産の売買・賃貸契約など重要な財産の管理・処分、遺産分割・相続の承認・放棄など相続に関する財産の処分などと言われている。

 そして、「身上監護」とは、日常生活や病院などでの療養看護に関わる法律行為で、例えば日用品の買い物、介護サービスの利用契約・要介護認定の申請・福祉関係施設への入所契約や医療契約・病院への入院契約などといわれている。

 したがって、「身上監護」と言っても、食事や排泄の世話、介護などの事実行為は成年後見人の職務ではない。しかし、介護等についての契約をすることは成年後見人の業務であることから、そうしたサービスを提供してくれる業者の情報を集め集めたり契約をする手配をしたりする行為(法律行為に付随する事実行為と言われている)も成年後見人の業務に含まれているという解釈がなされている。

 このあたりは、法律家よりも社会福祉士等現場を知っている方の方が熱い議論をされているようだ。例えば「エピソードで学ぶ成年後見人」(民事法研究会)10頁では、成年後見人の業務は「財布をみながら生活を考える」ことだと言っている。そして、次のようにまとめている。

身上監護・財産管理を一体的に行っていくとは、次のようなことを考えることです。
①現在の生活の状況と毎月の収支・年間収支のバランスをみて適切か考える。
②これからの日常生活にかかるお金(生計)と医療の必要性等(療養看護)を考える。
③それに伴う生涯収支の予測を立て、できるだけ破綻がないようにする。
④本人の希望する生活の実現のために、財産を積極的に活用すればできることがあるのかも考える。

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