« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

2013年2月

2013年2月28日 (木)

他の共有者の相続人の調査

地域のために利用されている公民館の土地等について、その役員である数名の個人の共有名義となっている土地を見かけることがある。本来であれば、役員交代の都度、個人名義を「委任の終了」を原因として移転登記すべきであるが、移転登記されないまま放置され、数十年経過してしまい、共有名義人に相続が発生してしまっているというようなことがある。

その場合、司法書士が依頼を受け、他の共有者の所有権移転登記を前提として他の共有者の相続関係を職務上請求書を用いて調査できるのか、という問題である。

以下、私見である。

司法書士に対して所有権移転登記(他の共有者から新役員への移転登記)を委任したのは、個人としての共有者ではなく、実質的には権利能力なき社団そのものであると考えるべきである。したがって、単に、共有者の一人が他の共有者の相続調査を依頼したという構図とは異なる。

仮に、本件土地の共有者がこのような権利主体ではなく、それぞれの共有者が私権を制限されることなく共有状態にあるのであれば、共有者は他の共有者の持分について処分権限を有するものではないから、他の共有者の持分について相続調査を依頼することはできないものと考えられる。

しかしながら、本件は、権利能力なき社団が、その登記名義を現在の役員名義とすることを司法書士に依頼したものである。そして、他の共有者の相続人に対して、「委任の終了」を原因とする所有権移転登記請求権が発生しているのであり、それを実現するためには、その前提として他の共有者の相続関係を調査する必要がある。

したがって、司法書士、権利能力なき社団の依頼を実現するための付随業務として、他の共有者の相続関係を調査することができるものと解する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月26日 (火)

自由民主党浜松での勉強会

25日、自由民主党浜松の勉強会に呼ばれ、市議会議員の先生方に不動産登記制度についての講義をしてきました。この勉強会は、今後の政策提案をしていく際に、その前提として、どうして不動産登記(権利の登記)は義務づけられていないのかということを押さえておく必要があったからだと思います。

1時間の持ち時間でしたので、45分お話しし、残りの時間を意見交換の時間にしましたが、意見交換も活発に30分ほど行われ、非常に充実した時間でした。また、対抗要件の世界にどっぷり浸かっている私にとって、政治家が30年~50年先を見据えて考えている姿が新鮮でした。

この講義を頼まれたときは、「やっかいなことを頼まれてしまった」と思ったのですが、「頼まれ事は試され事。予想を上回る結果を出して驚かせる」ことができたと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月24日 (日)

裁判書類作成業務に関する判決の読み方

Dscf0005 23日は、長野県司法書士会の研修会に呼ばれ、「簡裁訴訟代理関係業務の代理権の範囲と本人訴訟支援」というテーマで講演をしてきました。

2週間前にも静岡で同様の内容の研修会でパネラーを行ったのですが、両方の研修会で感じたことは、(もう隠すこともないと思いますが)いわゆる和歌山訴訟で判断された裁判書類作成業務のあり方について、実に多くの方が判決理由の読み方を間違えていると思ったことです。

「和歌山訴訟の判決はこう読むんだよ」ということをここで書きたいぐらいですが、いろいろな影響を考えると、躊躇を覚えます。機会がありましたら、私の読み方をご紹介いたします。
Dscf0001_2 写真は、松本市美術館前にあったオブジェです。松本は想像していたよりも雪は少なく(というか、市内はほとんど雪がなかった)、暖かかったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月22日 (金)

売買における売主の瑕疵担保責任(野々垣バージョン)

売買における売主の瑕疵担保責任は、強制競売においては適用がありません(民法570条)。

民法(債権関係)改正審議において、限定的なものであるが、売主の瑕疵担保責任を負う内容とすべきかが検討されています。

 競売手続は、ある程度の隠れた損傷等があることを見込んで、買主は物件を購入する実情もあり、任意売却に比べ売買代金が低額であることが多いです。

 仮に、改正によって、競売手続においても、売主の瑕疵担保責任が認められることとなると、現状実務に変化が見られると考えられます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月21日 (木)

旧外国人登録原票の行政証明

登記研究779号の質疑応答では、行政証明として発行された旧外国人登録原票の記載事項に関する書面に、外国人の住所の移転の履歴、移転日が記載されている場合は、変更証明書として取り扱って差し支えないという質疑応答があります。

旧外国人登録の記載事項について、平成24年7月9日以降に行政証明を発行している市町村をご存じの方、教えていただけますか?

なお、私の問題意識は下記のブログに記載されているものです。場合によっては、それぞれの市町村に折衝する必要があると思います。

大阪の司法書士・行政書士ブログ 悠里(ゆうり)事務所
http://www.shihou-syoshi.net/yuriblo/2012/06/post-443.html

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2013年2月20日 (水)

本人死亡後の未支給年金は誰に帰属するか

年金受給者が2月1日に死亡したが年金支給停止の手続が間に合わずに2月15日に年金が振込により支給された場合、そのお金は誰のものか。

まず、2月15日に支給された年金はどの期間に対する年金なのかが問題である。国民年金法18条3項は次のように規定している。

3  年金給付は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、その支払期月でない月であつても、支払うものとする。

また、厚生年金保険法36条3項も次のように定めている。

3  年金は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれその前月分までを支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。

つまり、年金は後払いなのである。そうすると、本人は12月、1月は生きていたのであるから、2月15日に支給された年金は本人の財産のようにも見える。

この点につき、国民年金法、厚生年金保険法ともに、ほぼ同様の規定を置いている。

国民年金法
(未支給年金)
第十九条  年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
2  前項の場合において、死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であつたときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となつていた被保険者又は被保険者であつた者の子は、同項に規定する子とみなす。
3  第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
4  未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
5  未支給の年金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

厚生年金保険法
(未支給の保険給付)
第三十七条  保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
2  前項の場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であつたときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であつた者の子であつて、その者の死亡によつて遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項に規定する子とみなす。
3  第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。
4  未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
5  未支給の保険給付を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

 したがって、本件の場合には、2月15日に支給された年金は遺族の固有の財産となり、本人の相続財産を構成しないということになる。

 今回は、相続財産管理人に就任した事件であったが、通常の遺産分割や相続放棄の事案においても知っておきたい知識である。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2013年2月19日 (火)

不在者財産管理人が権限外行為の許可を得て登記義務者となる場合にも登記済証の添付は必要ない

登記研究366号に次のような質疑応答がある。

問 不在者の財産管理人が選任されており、財産管理人が土地の買収に応ずるために民法103条に定めた権限を超える行為につき家庭裁判所の許可を得ている場合において、買収を登記原因とする所有権移転の登記申請書にその許可書(審判書)を添付しているときでも、登記済証の添付を要するか。
答 当該審判書を添付している場合でも、法35条1項3号に規定する登記済証の提出を要する。

しかしながら、昨日の解説のように、破産管財人、相続財産管理人、成年後見人については、①申請人が裁判所に選任された者であるということ、②不動産の処分について裁判所の許可書が添付されていることから、登記識別情報の提供は不要とされている。

そこで、登記研究779号の質疑応答では、上記の質疑応答を変更し、不在者財産管理人が権限外行為の許可を得て登記義務者となる場合にも登記済証の添付は必要ないことを明らかにした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月18日 (月)

成年後見人が裁判所の許可を得て不動産を売却した場合は登記識別情報の提供は不要である

登記研究779号、カウンター相談である。

 成年後見人が被後見人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要とされているが、その登記申請には登記識別情報の提供を要しないというものである。

 類似の先例として、破産管財人が裁判所の許可を得て破産者の不動産を売却しその所有権移転登記の申請をする場合には破産者の登記済証の添付を要しないとするもの、相続財産管理人が家庭裁判所の権限外行為許可を提供して相続財産法人を登記義務者として所有権移転の登記を申請する場合に登記済証の添付を要しないとするものがある。

 これらの先例の共通点は、①申請人が裁判所に選任された者であるということ、②不動産の処分について裁判所の許可書が添付されていること、である。そのような意味においては、成年後見人が被後見人の居住用不動産を処分するにおいても、成年後見人は裁判所により選任されていること、家庭裁判所の許可書を添付することとされる本件と同様である。

 そもそも、登記義務者の登記識別情報を提供させる趣旨は、当該申請が登記義務者の真意に基づくものであることを担保するためであるから、裁判所に選任された者が裁判所の許可を得て申請する場合には、虚偽の登記のおそれがないということから、このような解説がなされたものだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月15日 (金)

自動車譲渡担保契約(野々垣バージョン)

 担保権の代表的なものとしては、不動産への抵当権設定や保険金の受領債権に質権を設定することがあります。
 最近では、債権の相手方の売掛金債権を担保とする債権譲渡登記や、相手方が所有する動産を担保とする動産譲渡登記の申請手続きを法務局に対し、行うことも増えてまいりました。
 動産のうちでも、自動車は、特別法の道路運送車両法に基づき、各運輸支局へ登録手続を行うため、法務局に申請する動産譲渡登記の対象外となります。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2013年2月 8日 (金)

訴えの提起による債権者代位権の行使の場合の訴訟告知

民法(債権関係)の改正に関する中間試案のたたき台(2)

第8

8 債権者は,訴えの提起によって債権者代位行使をしたときは,遅滞なく,債務者に対し,訴訟告知をしなければならないものとする。

【部会資料35・36頁,44頁】

(概要)

債権者代位訴訟を提起した代位債権者は債務者に対する訴訟告知をしなければならないとするものであり,株主代表訴訟に関する会社法第849条第3項を参考として,合理的な規律を補うものである。債権者代位訴訟における代位債権者の地位は,株主代表訴訟における株主と同じく法定訴訟担当と解されており,その判決の効力は被担当者である債務者にも及ぶとされているにもかかわらず(民事訴訟法第115条第1項第2号),現在は債務者に対する訴訟告知を要する旨の規定がないため,その手続保障の観点から問題があるとの指摘がされている。

私見

 仮に上記の案が改正されると新しく創設される制度です。

 債権者代位権は、本来債務者が処分権を有する債権を、債権者が債権保全のために行使し、その効果は訴提起の有無に関わらず債務者に及びます。そう考えると、訴え提起の有無に関わらず、債権者代位権を行使を、債権者は債務者に告知すべきと考えてもよろしいのではないでしょうか?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年2月 4日 (月)

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例。

被相続人から相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続開始の年に被相続人から財産の贈与を受けていた場合には、その贈与を受けた財産については相続税の課税価格に加算されるため贈与税はかからない。しかし、相続開始の年に婚姻期間が20年以上である被相続人から贈与によって取得した居住用不動産については、過去にその被相続人からの贈与について配偶者控除を受けていないときは、その居住用不動産について贈与税の配偶者控除があるものとして控除される部分は、相続税の課税価格に加算されず、相続税の対象とならない。

したがって、相続税の基礎控除の減額が予定されている現在、即効性のある相続税対策となる。

特例を受けるための適用要件は次のとおり。
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
(注) 配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができない。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2013年2月 1日 (金)

民法95条 錯誤

 現行民法95条において、法律行為の要素に錯誤があった場合は、その意思表示は無効とされていますが、この無効の主張権者は表意者に限定されると判例(最判昭和40年9月10日民集19巻6号1512頁)は示しており、相手方からの無効主張ができない点を考慮すると、錯誤無効は、取消に近似していると考えられます。

 このような観点から、法務省法制審議会 - 民法(債権関係)部会は、民法改正に関する中間試案のたたき台(1)において、錯誤の効果を取消とする案を提示しています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »