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2013年4月30日 (火)

破産手続開始の申立書の審査・補正命令・却下等

破産手続開始の申立書に法定の記載事項が記載されていない場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命ずる処分をしなければならならず、この処分は、これを記載した書面を作成し、その書面に処分をした裁判所書記官が記名押印してしなければならない。そして、この処分は、相当と認める方法で告知することによって効力を生ずる。民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い破産手続開始の申立ての手数料を納付しない場合も、同様である(法21条①②)。  
 この補正命令に対し、破産手続開始の申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、破産手続開始の申立書を却下しなければならず(法21条⑥)、一方、この却下については即時抗告をすることができる(法21条⑦)。
なお、裁判所は、相当と認めるときは、破産手続開始の原因となる事実又は法30条1項各号に掲げる事由に係る事実の調査を裁判所書記官に命じて行わせることができる(規則17)。
破産申立書の中には、①負債総額が比較的高額であるにもかかわらず、単に生活費の不足としか説明がされない例、②債務者自身は低収入であっても、世帯全体では相応の収入があったり、若年者で実家暮らしのため住居費等がかからない等により、借入れをする必要性が乏しいにもかかわらず、借入れをした理由が判然としない例、③生活費の不足を理由としつつも、そもそも借入れ当時の世帯収入額が明らかでない例や、債権者一覧表にクレジットカードを使用した物品購入が多く記載されていたり、家計表で収入に見合わない過大な支出(住居費、食費、電話代、被服費、交際費、娯楽費等) が計上されている例が見受けられる(管財手引 40頁)。
申立代理人が法律家として裁判所や破産管財人に提供する情報として十分と判断する内容が記載された陳述書を作成して提出することが不可欠であり(マニュアル201頁)、「申立代理人による調査の状況」が最も重要である(到達点と課題60頁)。そのために必要なのは、申立代理人の誠実義務・真実義務を前提とした意識・実務能力の向上である(到達点と課題60頁)。
 また、陳述書は申立書を補完する重要な機能を有する書面である(マニュアル200頁)。
 事業譲渡が行われている場合には、対価の正当性を明らかにする必要がある。このためには、できるだけ客観的な資料によるべきで、たとえば、公認会計士に依頼していわゆるデューデリジェンスを行い、「事業価値算定報告書」を作成させ、あらかじめ各金融機関に配布し、内諾を得る等の手続を経たうえで、事業譲渡から破産の申立手続と進むなどの手法が考えられる(マニュアル62頁)。
 さらに、申立書の記載にあたっては、まず破産管財人の立場に立って、管財業務をやりやすくするということが重要である。特に破産管財人の主要な業務は資産の換価であり、資産の換価を効率的に進められるように配慮することが重要である(マニュアル207頁)。破産申立書、または破産手続開始後の破産管財人に対する財産引継書のなかで、破産者による否認対象行為の存在について言及し、当該行為に至った経過報告と当該行為の存在を基礎づける証拠資料等を添付して、これを破産管財人に引き継ぐのが望ましい(マニュアル89頁)
破産申立を却下した事例として、次のようなものがある。
自己破産申立後、申立人が所在不明になったことを理由に、申立自体を不適法として却下した事例(仙台地決昭和59.9.3判タ537号247頁)
2度にわたって裁判所に提出した書面(破産申立ての関係書類及び同時廃止に関する上申書)において、退職金で購入したフィリピン所在の不動産を全く説明せず、退職金の使途についても審問時の供述とは重要部分で異なる説明をしていたばかりか、審問によって実情を把握し当裁判所が前記財産の実質価値等につき釈明を命じたにもかかわらず、期限経過後も何ら釈明をしない。また、本件で債務者が主張する負債及びその発生原因のうち、債務者の現妻による浪費分が約400万円にも及ぶとされているため、その経緯等についても釈明を命じたが、債務者は前同様に全く釈明をせず、同時廃止を求めるばかりで、破産手続上重要な事実関係につき誠実に説明を尽くそうとする姿勢が見受けられず、真摯に申立てを維持する意思があるとは認められないとして破産申立てを不適法として却下した事例(東京地決平成13年10月24日。金融・商事判例1132号41頁)

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