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2013年4月 9日 (火)

Ⅶ 公正な手続保障

債務者と法律実務家の責務の3番目は、債務者にとっても債権者にとっても公正な手続を保障するということであるが、破産手続開始決定後は裁判所の監督下で手続が遂行されるのであるから、とりわけ、誰の監督下にもない受任から破産手続開始決定までの間で公正な手続保障を意識して執務する必要がある。そして、その最大のポイントは、迅速に破産手続開始の申立てをすべきということである。仮に破産手続きの準備中に混乱等のおそれがない場合であっても、申立てを内部的に決定してから数週間から遅くても1カ月以内には申立てをすべきであろう(マニュアル208頁)
時折、債権者からの督促が止まったことで安心してしまうのか、その後の具体的な債務整理手続に進まず、受任通知から破産手続開始の申立てまでかなり時間が経過している事案も見受けられる(マニュアル53頁)。しかしながら、債権者に対して受任通知を発している場合には、債権者も何らかの債務整理手続が進行することを期待して個別の権利行使を差し控えるのが通常であろうから、早期の申立てが求められる。
また、従業員に対する給料が未払いであった場合には、未払いになって3か月以上経過してから破産手続開始の申立てをすると、「破産手続開始前3月間」より前の給料になり、未払給料は財団債権ではなく優先的破産債権となってしまう(法149条1項・2項参照)。さらに、労働者健康福祉機構による賃金立替払制度の利用は、退職時期が破産手続開始の申立てから遡って6か月以内である必要があるから(賃金の支払の確保等に関する法律7条、同法施行令3条2号)、申立ての遅延によって労働債権者が不利益を受けることがないようにする必要がある。
このほか、手形不渡りが迫っているという状況であれば、不渡りに伴う混乱を防ぐ必要があるが、可能な限り手形が不渡りとなる日より前に申立日を設定するなど、取引債権者自身の金策等の時間を確保できるような配慮が可能かどうかについて、検討すべきである(マニュアル137頁)。

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