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2013年5月

2013年5月31日 (金)

実務上問題となる場面

①その売掛金によって得られる収益で破産者が生計を立てていて、破産者にとって不可欠な財産であることがあります。
②保険については、破産者や家族が現に使用中であるときや、保険の再加入が認められないために保険契約を継続する必要性があるときには、破産者の自由財産から解約返戻金相当額を破産財団に組み入れて、保険契約を解約せず解約返戻金を換価しない扱いが一般的です。
 破産者の収入や生活状況等を考慮の上、退職金の8分の1相当額の全額に満たなくても、一定額の組入れがあれば、その余については、 自由財産の範囲を拡張するのが相当なときがあります。(管財手引 142頁)
 ただ、破産者の取締役としての責任(善管注意義務違反等) との関係や免責不許可事由が相当程度あり裁量免責のために積立が必要な場合には、事案ごとに一定額を破産財団に組み入れる処理が 行われているのが実状です(Q17参照) (150問33頁)

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2013年5月30日 (木)

破産財団に属しない財産の範囲の拡張の運用

裁判所によっては債務者換価の基準を作成し、その基準の範囲内であれば拡張決定をしなくても拡張決定があったものとして取り扱う運用が行われるところもあるようであり、現実の運用は、裁判所毎に異なるものと考えられる。
大阪地裁の自由財産拡張制度の運用基準(法律相談46頁)
 「実際にこれまで、数は多くないですが、99万円を超えて自由財産拡張が認められた例はあります(東京地裁では平成18年11月までの時点で、数十例あるようです)」
「破産者が、破産手続が開始した時点で、330万円の現金が残っていたが、破産者が寝たきりで入院中のために、社会復帰の見通しが絶望的であるという事例で、今後医療費・病院補償金等に必要ということで約210万円が自由財産として認められたケースや、夫や母親が死亡しその葬式費用として約110万円が必要となつた上、今後定期的かつ安定した収入を得ることが困難で夫から相続した預貯金以外に見るべき資産もないといった事例で、預貯金残高のうち約185万円を拡張したといつたケースも報告されています」(法律相談42頁)
99万円枠内での自由財産の拡張に関し、破産管財人が拡張不相当の意見を述べたケースがどれほどあったであろうか。(到達点と課題58頁)
 「預金・保険等の現金化については、これが支払不能状態等においてなされた場合、否認対象行為に該当するか、免責不許可事由に該当するかといった点が問題となりますが、①現金化自体は何ら価値の減少を伴わないこと、②法律上自由財産とされる現金99万円は破産者の今後の生活に必要な金額として立法されたものであり、この限度での現金化は破産者の生活維持のためのものであって何ら不当性を有しないこと、③「破産法等の見直しに関する中間試案」及びその補足説明においても、「債務者は一般に金銭を現金として保管するほかに、銀行等に預金をしておく場合が多いことを考えると、預金債権等の金銭債権についても、自由財産とする必要性が高いこと」・・・・・、④現代社会において現金の形で99万円を持っていることは少なく、・・・・」
 破産者による申立てどおりに自由財産拡張を認めることが相当であると判断した場合、 破産管財人は、当該財産を直ちに破産者に返還します。この時点で、裁判所による自由財産拡張の黙示の決定があったものとして扱われます(150問42頁)
 自由財産拡張基準(多くの庁で総額99万円基準が示されている。) と管財事件と同時廃止事件の 振分基準との間には多くの庁では関連性はない。(到達点と課題57頁)
 財産総額による基準を定めているためと考えられ、参考になるものである。(到達点と課題58頁)
 自由財産拡張基準と管財事件・同時廃止事件の振分基準の実質的同一化がなされていないために、 その際き間部分において、債務者による按分弁済という手段が実施されていると見ることができるのではないだろうか。(到達点と課題59頁)
 破産者に処分をさせないことは自由財産拡張制度が破産者の経済的再生のために認められたことに照らせば不合理であり、大阪地裁の運用が望ましいと考えられる。(到達点と課題69頁)
 大阪地裁では、自由財産の範囲拡張の制度と裁量免責制度は趣旨が異なる別個の制度であること、 破産法34条4項も免責不許可事由や破産に至る経緯を自由財産拡張の判断の際の考慮事由とはしていないことから、両者は連動しないという扱いをし、(到達点と課題70頁)
 99万円までの現金が自由財産とされていることとの均衡から、自由財産の総額が99万円以下となるような自由財産の範囲の拡張については、比較的緩やかに判断できる場合があります。(管財手引 141頁)
自由財産の範囲の拡張の考慮要素
① 破産者の生活の状況
② 破産手続開始時に破産者が有していた財産の種類及び額
③ 破産者が収入を得る見込み
④ その他の事情(管財手引 141頁)

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2013年5月29日 (水)

破産財団に属しない財産の範囲の拡張の申立ての時期

自由財産の範囲の拡張の裁判は、破産手続開始決定が確定した日以後1か月を経過する日までの間に行うものとされているが、この期間は不変期間ではないので、裁判所の裁量により伸長することができる(法13条、民訴96条1項、管財手引 140頁)。
債権者から破産の申立てがされた場合や、同時廃止による自己破産を申し立てていたものの破産管財人を選任することが相当とされたなどといった場合を除き、実務的には、自己破産の申立てをするのと同時に自由財産拡張の申立がなされる。申立書もそのように作成されている(法律相談55頁)

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2013年5月28日 (火)

破産財団に属しない財産の範囲の拡張

 裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、破産管財人の意見を聴いたうえで、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる(法34④⑤)。 この申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる(法34⑥)。
 自由財産の範囲拡張の制度のあり方を考える場合、破産者の経済的更生と配当可能性の低下により不利益を受ける債権者の保護という二つの視点が重要である(到達点と課題71頁)
早期に免責を得たいと思う申立人が同時廃止処理を望むことは自然であり、加えて、予納金の準備等の面で申立人の経済的負担にも大きく関わるため、申立人側の利害関心が開始決定時に同時廃止事件となるか管財事件となるかという点に集中する傾向が見られ、申立代理人にとっても、申立人の意向に応じ、同時廃止決定を得ることを目標にした開始決定までの活動が非常に重要なウエートを占めるという状況が生じている。(到達点と課題73頁)

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2013年5月27日 (月)

自由財産としての金銭の範囲

 民事執行法131条3号に規定する額(標準的な世帯の2月分の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭)に2分の3を乗じた額の金銭(99万円)は自由財産とされているが、ここで自由財産として認められるのはあくまでも「金銭」だけであり、預貯金等の金銭以外の財産は含まれない。
 現実的には、債務者が、そのような多額の財産を金銭で保有していることは稀であり、預貯金等として保有していることが多いと考えられる。そこで、預貯金、生命保険解約返戻金等、比較的換価が容易な財産については金銭と同視して自由財産とする運用が望まれるが、実際には、金銭と金銭以外の財産については明確に区別する運用が主流のようである。
 また、その場合、従前、生命保険解約返戻金等、金銭以外の財産であったものを破産手続開始の申立てに際して金銭化した場合には、当該額は金銭としてではなく生命保険解約返戻金等の従前の財産とみなされると考えられるので注意を要する。これは、現金化が債務者が返済を継続していくことが実質的に不可能な状態において行われた場合、現金化された他の財産は、本来的には破産財団に帰属すべき責任財産だった以上、按分弁済や自由財産との関係では、あくまで現金化される前の状態を基準にすべきであり、債務者が破産申立てを依頼してきた後に、現金化がなされたような場合、あくまで現金化される前の状態が基準にされるという考え方があるからである(法律相談64頁)。
 これに対して、あくまで破産手続開始決定時において既に現金となっている以上、現金として取り扱うべきという考え方(150問46頁)や、偶然99万円という財産を現金という形態で所持していたか、預金で所持していたか、生命保険として所持していたかによって、取扱いを異にする合理的理由は見出し難いように思われる(到達点と課題57頁)とする考え方、破産法34条3項1号の「金銭」という文言を使っており、「現金」と明記しているものではなく、「金銭」を現金よりも広がりを持った財産の意義に解釈することは 可能なのではないかという考え方(到達点と課題58頁)などがある。

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2013年5月17日 (金)

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著者について
古橋清二(ふるはし・せいじ)
昭和33年、静岡県生まれ。中央大学卒後、電子機器メーカーで株主総会実務、契約実務に携わる。平成2年に古橋清二司法書士事務所を開設。17年に司法書士法人中央合同事務所を設立。静岡司法書士会理事、日本司法書士会連合会中央研修所所員、日本司法書士会連合会消費者問題対策推進委員会委員長、静岡県司法書士会副会長、日本司法書士多重債務問題対策委員、静岡多重債務対策委員、静岡県司法書士会綱紀委員長、日本司法書士会連合会執務問題対策委員などを歴任。現在、静岡県司法書士会浜松支部支部長、NPO法人相続研究所理事。
著書に『クレジット・サラ金被害者救済の実務』『詳解消費者破産の実務』『司法書士始末記』『全訂増補版 消費者被害救済の上手な対処法』『登記簿で「危ない取引先」は見分けられる』『資本金1円からの有限会社・株式会社のつくり方』『個人民事再生の実務』『不動産登記の見方&申請事務の手引』『注釈 司法書士倫理』などがある。

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出版社: 日本地域社会研究所 (2013/5/16)
言語 日本語
発売日: 2013/5/16
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定価:1680円(税込) ISBN978-4-89022-127-1
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破産財団に属しない財産(差押禁止財産) その2

差押禁止債権が銀行預金となった後は、差押禁止債権の属性を承継せず、預金債権として差押可能と判断されている(最三小判平10.2.10金法1535号64頁) 。この最高裁判決では、国民年金のほか、労災保険金も対象となっているが(労働者災害補償保険法12の5②)、預金債権となった後は、自由財産拡張の判断を受けることになる(150問33頁)。
また、最高裁は、名誉侵害を理由とする慰謝料請求権は、加害者が被害者に対し一定額の慰謝料を支払うことを内容とする合意若しくはかかる支払を命ずる債務名義が成立したなどその具体的な金額が当事者間において客観的に確定したとき又は被害者が死亡したときは、 行使上の一身専属性を失うとしている(最一小判昭58.10.6民集37巻8号1041頁) 。
このような判例の立場からすれば、金額の確定した慰謝料請求権は、債務の履行を残すだけであ り行使上の一身専属性はなくなるということになる。また、金額確定前に被害者が死亡した場合も、慰謝料請求権を承継取得した相続人に行使上の一身専属性を認める必要はないことになる (前掲最一小判昭58.10.6)。(150問57頁)
 このほか、慰謝料等の差押えできない債権の弁済によって形成された財産に差押禁止の効力が及ぶという 下級審判決がある(東京地判平15.5.28金判1190号54頁、金法1687号44頁)が、最判平10.2.10(金法1535号(64頁、金判1056号6頁)は、消極に解している(到達点と課題97頁)。
 離婚に伴う慰謝料請求権は、慰謝料が行使上の一身専属性があるとされていることから、慰謝料の具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は自由財産であり、破産手続中に確定すれば(たとえば、当事者間での金額合意の成立、または債務名義の成立等)、破産財団に属するというのが判例である(名誉棄損を理由とする被害者の加害者に対する慰謝料請求権についての 最判昭58.10.6民集37巻8号1041頁) (到達点と課題98頁)。
 しかし、財産分与請求権については、清算的部分、慰謝料的部分、扶養的部分があるとされており、それを破産との関係に反映させると、理論的には、清算的部分は破産財団に属し、慰謝料的部分は(慰謝料請求権と同様に)自由財産であり、扶養的部分は、開始決定前の部分は破産財団に 属する(ただし、自由財産拡張の対象となる。) が開始決定後の部分は新得財産というべきである。(到達点と課題98頁)
 家裁実務において財産分与として認められるのは、ほとんど清算的部分であり、かつ2分の1ルールが定着していることを考慮すると、財産分与請求権そのものに一身専属性を認めることは相当ではない(到達点と課題99頁)。

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2013年5月16日 (木)

破産財団に属しない財産(差押禁止財産)

 法34条1項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない(法34③)。
一  民事執行法131条3号 に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭(現行99万円)
二  差し押さえることができない財産(民事執行法第131条3号 に規定する金銭を除く。)。ただし、同法132条1項の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
動産については、福岡地裁本庁における差押禁止動産として次のものが示されている。
和ダンス、洋タンス、整理タンス、茶タンス、鏡台(ドレッサーを含む。)、食器戸棚、ベッド、サイドボード、食卓セット、冷蔵庫、電子レンジ(オーブンレンジを含む。)、カラーテレビ、ビデオデッキ、冷暖房器具(エアコンを含む。)、掃除機、洗濯機、ラジオ(CDラジカセを含む。)。ただし、いずれも1点・・・(破産法実務(福岡)34頁)
 小規模企業共済は、事業者の「退職金」共済制度として差押禁止債権とされている(小規模企業共済法15)。同様に中小企業退職金共済(中退共)も、従業員の退職金共済制度として差押禁止債権とされている(中小企業退職金共済法20)。
平成3年3月31日以前に効力が発生している簡易保険契約の保険金又は還付金請求権は差押禁止債権とされている(平成2年改正前の旧簡易生命保険法50。ただし、契約者配当金、未経過保険料等は 差押可能であるので注意が必要)。
大工道具、理容器具等の技術者等の業務上必要な器具類は、差押禁止動産とされている(民執131六)。
各種の保険給付受給権は、差押禁止債権とされており(健保52、61)、高額療養費の支給(同52 九)、家族埋葬料の支給(同52七。Q26参照)等がある。
他にも、生活保護受給権等(生活保護法58)、失業等給付受給権(雇用保険法11)、労働者の補償請求権(労基83②)、交通事故の被害者の直接請求権(自賠16①、18、Q27参照)等がある(150問32頁)。
自動車損害賠償保障法16条1頃は、被害者による保険会社に対する直接の請求権を認めている。これは、被害者の迅速な保護や救済をしようとするものであり、この請求権は差し押さえることができない(自賠18)。したがって、自賠法に基づく被害者の直接請求権は自由財産となる(150問56頁)。
一方、車輌の物損のような財産的損害の賠償請求権は破産財団に帰属する。治療費は、損害を受けた身体の治療にかかる費用であり、自由財産の拡張(破34④) が認められると考えられる。なお、実際には、保険会社の支払は直接に医療機関に行われるため、これを破産管財人が破産財団に取り込む事例はほとんどないと思われる。
介護費用や入院雑費などは、金銭債権として破産財団に帰属することになる。しかし、これらの費用は、被害者の治療に直接関連するものであるから、自由財産の拡張が認められるものと思われる(150問57頁)。

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2013年5月15日 (水)

破産財団の範囲

 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産は、破産財団を構成する(法34①)。この場合、当該財産が日本国内にあるかどうかを問わない。
 名義人が破産者名義であっても、それを出捐した者が破産者以外のものであり、出捐した者が当該財産を実質的に管理化に置いていた場合は当該財産は出捐者に帰属すると考えられるケースは少なくない。定期預金については、最判昭48.3.27民集27巻2号376頁、最判昭52.8.9民集31巻4号742頁などがあるが、後者においては次のように判示している。「被上告人の被相続人であるDが、上告人信用組合の管理部職員として貸付と回収の事務を担当していたEの勧めに応じて、自己の預金とするために六〇〇万円を出捐し、かねて保管中の「E」と刻した印章を同人の持参した定期預金申込書に押捺して、E名義による記名式定期預金の預入手続を同人に一任し、Eが、Dの代理人又は使者として上告人信用組合との間で元本六〇〇万円のE名義による本件記名式定期預金契約を締結したうえ、上告人信用組合から交付を受けた預金証書をDに交付し、Dがこの預金証書を前記「E」と刻した印章とともに所持していたとの原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、首肯するに足りる。右事実関係のもとにおいては、本件記名式定期預金は、預入行為者であるE名義のものであつても、出捐者であるD、ひいてはその相続人である被上告人をその預金者と認めるのが相当であつて、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。」
 このほか、実務的に多いのは保険契約の例であるが、最終的には、保険契約を締結した事情、保険契約者を破産者とした理由、破産者の関与の程度、保険料を誰がどのような財産から負担したか等の事情を検討の上、具体的な問題ごとに妥当な解決を図ることとなる(管財手引 180頁)。
破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権も破産財団に属する(法34②)。
なお、破産財団に属すべき4分の1相当額については,労働基準法24条1項ただし書(「法令に別段の定めがある場合」) により,賃金全額払・直接払の適用はないこととなる。(破産法実務(福岡)58頁)。
一方、公務員の場合には,一般に,勤務先である国又は地方公共団体から直接借入をしているものではなく,勤務先とは別法人の共済組合から借入をしていることが一般的であり、そのような借入をしている公務員の破産の場合における退職手当請求権については、4分の1相当額を破産財団に組み入れることができるものと解される(最判平成2年7月19日・民集44巻5 号837頁,最判同年同月同日・民集44巻5号853頁参照 。(破産法実務(福岡)58頁))。

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2013年5月14日 (火)

破産手続開始の申立てについての裁判に対する抗告

破産手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる(法33①)。なお、株式会社の株主は、当該株式会社の破産宣告・破産終結によって会社の法人格が消滅するのに伴いその地位を喪失することになるけれども、破産宣告によって直ちに株主権が消滅したり、株主権の内容をなす自益権や共益権に変更が生じたりすることになるものでもないから直ちに権利を害されるべき利害関係人にはあたらず、即時抗告の申立権はないとした決定がある(大阪高決平成6年12月26日判例時報1535号90頁)。
そして、破産宣告決定の送達を受けた破産者の同決定に対する即時抗告期間は,旧破産法112条後段の規定の趣旨,多数の利害関係人について集団的処理が要請される破産法上の手続においては不服申立期間も画一的に定まる方が望ましいこと等に照らすと,上記決定の公告のあった日から起算して2週間であると解するのが相当である。また、上記決定の送達を受けた者が上記期間前にした即時抗告の効力は妨げられないとしている(最高裁平成13年3月23日決定(裁判所時報1288号16頁、判例時報1748号117頁、判例タイムズ1060号170頁他))。

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2013年5月13日 (月)

破産手続開始の公告等

裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない(法32①)。
一  破産手続開始の決定の主文
二  破産管財人の氏名又は名称
三  前条第一項の規定により定めた期間又は期日
四  破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者は、破産者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨
五  簡易配当(法204①2号)をすることが相当と認められる場合にあっては、簡易配当をすることにつき異議のある破産債権者は裁判所に対し破産債権の調査をするための期間の満了時又は期日の終了時までに異議を述べるべき旨

 法31条5項の決定があったときは、破産債権者に対する通知をせず、かつ、届出をした破産債権者を債権者集会の期日に呼び出さない旨をも公告しなければならない(法32②)。
 また、裁判所は、破産管財人、破産者及び知れている破産債権者、知れている財産所持者等、保全管理人、労働組合等に対し、破産手続開始の決定の公告すべき事項を原則として通知しなければならない(法32③、④)。
 一方、破産債権者が通知又は期日の呼出しを受けるべき場所を届け出たときは、破産手続及び免責手続において当該破産債権者に対して書面を送付する方法によってする通知又は期日の呼び出しは、当該届出に係る場所においてすることとなり(規則8①)、また、民事訴訟法104条1項の規定により送達を受けるべき場所を届け出たときは、当該破産債権者に対する前項に規定する通知等は、当該届出に係る場所においてすることとなる(規則8②)。
 なお、大阪高判平成18年7月5日(判例時報1956号84頁)は、債権者一覧表に債権者として記載されていたにもかかわらず、破産裁判所の担当書記官が破産宣告の通知を送達しなかったため、債権届をする機会を失い配当を受けられなかったと主張して国賠法1条1項に基づき損害賠償等を請求した事案である。
 判決では、送達と公告を併用する場合の送達の効力を定めた旧法118条2項の趣旨は、多数の手続関係者が関与する破産手続の安定を図るために、一部の関係者に対する送達の欠缺を理由に手続的効果を覆滅させることが相当ではないことから、一般的な告知方法である公告があった場合に一律に送達の効力が生ずるとしたものであって、重要な事項について、各関係者に個別に告知するという送達を省略することまでを認めた規定ではないと解されるとし、旧法143条2項の規定は、破産裁判所書記官が、個別の知れたる債権者に対し、手続的利益を確保させるために手続の開始及び重要な期日等を告知するための規定であり、職務上の義務を課したものと解するのが相当であり、本件不作為は国賠法上の違法であると判示した。
 そのため、破産手続開始決定後、新たな債権者がいることが判明した場合は、申立代理人から当該債権者に対し、①事件番号、破産者の氏名,住所・生年月日、②破産手続開始及び同時廃止決定があったこと及び決定日、③免責意見申述期間及び意見書提出先、④免責審尋期日及び場所を記載した書面を送付し、かつ、裁判所に対しその送付をした旨の上申書を提出し、裁判所宛ての上申書には、新たな債権者がいることが判明したことに加えて、上記の送付をした旨を記載する必要があるとされている(管財手引 81頁)。

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2013年5月10日 (金)

破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等

 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、破産債権の届出をすべき期間、破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会の期日、破産債権の調査をするための期間及び期日を定めなければならない(法31①)。
 各期間及び期日は次のように定められている(規則20①)
一 破産債権の届出をすべき期間 破産手続開始の決定の日から二週間以上四月以下(知れている破産債権者で日本国内に住所、居所、営業所又は事務所がないものがある場合には、四週間以上四月以下)
二 財産状況報告集会の期日 破産手続開始の決定の日から三月以内の日
三 破産債権の調査をするための期間 その期間の初日と第一号の期間の末日との間には一週間以上二月以下の期間を置き、一週間以上三週間以下
四 破産債権の調査をするための期日 第一号の期間の末日から一週間以上二月以内の日
ただし、破産財団(破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの。法2条14号)をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがあると認めるときは、破産債権の届出をすべき期間並びに破産債権の調査をするための期間及び期日を定めないことができる(法31②)。 もっとも、この場合において、裁判所が、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがなくなったと認めるときは、速やかに、破産債権の届出をすべき期間並びに破産債権の調査をするための期間及び期日を定めなければならない(法31③)。
なお、裁判所は、知れている破産債権者の数その他の事情を考慮して財産状況報告集会を招集することを相当でないと認めるときは、破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会の期日を定めないことができる。また、知れている破産債権者の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、破産債権者に対する通知をせず、かつ破産債権の届出をした破産債権者を債権者集会の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。この場合には、裁判所は、破産管財人が、日刊新聞紙に掲載し、又はインターネットを利用する等の方法であって裁判所の定めるものにより、債権者に通知すべき事項の内容、債権者集会の期日を破産債権者が知ることができる状態に置く措置を執るものとすることができる(規則20③)。

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2013年5月 9日 (木)

破産手続開始の決定

 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、破産手続の費用の予納がないとき(国庫仮支弁(法23①)の場合を除く。)、又は不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、もしくは申立てが誠実にされたものでないときを除き、破産手続開始の決定をする(法30①)。破産手続開始の決定の裁判書には、決定の年月日時が記載され(規則19②)、その決定の時から、効力を生ずる(法30②)。
なお、債権者がした破産手続開始の申立が法30条1項2号に該当するか否か争われた例として、福岡高決平成23年3月16日(判タ1373号245頁)がある。
事案は、債権譲渡を受けた債権に基づき債権者が破産手続開始の申立てがされた場合において、当該債権譲渡が債権の名目額を下回る価格でなされ、債権譲受人において、すでに当該債権の購入価格を上回る債権回収をしていると推認される等の事情があっても、債務者が支払不能又は債務超過の状態にあり、申立権の濫用や公序良俗に反すると認めるべき事情もうかがわれないときは、当該破産手続開始申立てが権利濫用にあたり公序良俗に反するということはできず、破産手続開始決定をすることができるとしている。なお、当該債権について債務名義を取得していることは破産手続開始の申立ての要件ではないことも明らかにしている。

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2013年5月 8日 (水)

破産手続開始の申立ての取下げの制限

破産手続開始の申立てをした者は、破産手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、法24条1項の中止命令、包括的禁止命令(法25①)、法28条1項の保全処分、法91条2項に規定する保全管理命令又は法171条1項の規定による保全処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない(法29)。

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2013年5月 7日 (火)

他の手続の中止命令、包括的禁止命令、債務者の財産に関する保全処分

裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続の中止を命ずることができる(他の手続の中止命令。法24①)。
①  債務者の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え、仮処分又は一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法又は会社法の規定によるものを除く。)による競売の手続で、債務者につき破産手続開始の決定がされたとすれば破産債権若しくは財団債権となるべきものに基づくもの又は破産債権等を被担保債権とするもの 。ただし、それらの手続の申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
②  債務者の財産に対して既にされている企業担保権の実行手続で、破産債権等に基づくもの
③  債務者の財産関係の訴訟手続
④  債務者の財産関係の事件で行政庁に係属しているものの手続
⑤  船舶の所有者等の責任の制限に関する法律第三章 又は船舶油濁損害賠償保障法第五章の規定による債務者の責任制限手続。ただし、責任制限手続開始の決定がされていない場合に限る。
 また、裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、法24条1項1号の規定による中止の命令によっては破産手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、すべての債権者に対し、債務者の財産に対する強制執行等及び国税滞納処分(国税滞納処分の例による処分を含み、交付要求を除く。以下同じ。)の禁止を命ずることができる(包括的禁止命令)。ただし、事前に又は同時に、債務者の主要な財産に関し法28条1項の規定による保全処分をした場合又は法91条2項に規定する保全管理命令をした場合に限る(法25①)。
 このほか、裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、債務者の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる(債務者の財産に関する保全処分。法28①)。

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2013年5月 2日 (木)

費用の仮支弁

 裁判所は、申立人の資力、破産財団となるべき財産の状況その他の事情を考慮して、申立人及び利害関係人の利益の保護のため特に必要と認めるときは、破産手続の費用を仮に国庫から支弁することができ(法23①前段)、その場合には、申立人は、破産手続の費用を予納することを要しない(法23②)。職権で破産手続開始の決定をした場合も同様である(法23①後段)。
 いかなる場合に国庫支弁できるかについては広島高決平成14年9月11日(金融・商事判例1162号23頁)が示している。すなわた、民事訴訟を初めとする、他の取引法、企業法関係の司法手続費用は、利用者負担を原則とし、自己破産の申立ての場合も、仮支弁した費用を回収する見込みがなければ、原則として仮支弁を行うことはできない。ただ、個人消費者の自己破産申立ての場合であって費用を負担させることが酷であるとか、公益上の要請が特に強いなどの例外的な場合に限り、仮支弁することができるにとどまる、と解するべきであるということである。

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2013年5月 1日 (水)

費用の予納

 破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならず(法22①)、その金額は、破産財団となるべき財産及び債務者の負債(債権者の数を含む。)の状況その他の事情を考慮して定める(規則18①)。 また、破産手続開始の決定があるまでの間において、予納した費用が不足するときは、裁判所は、申立人に、更に予納させることができる(規則18②)。費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる(法22②)。
 管財事件において予納金の分納を認めるか否かも、裁判所により扱いが異なる。東京地裁は、 集会の1週間前までに予納金を引き継げばよく、大阪地裁でも免責観察型は分納が認められているが、札幌地裁では予納金の分納は原則として認めていない(150問13頁)。管財事件の予納金が準備できていない場合に、新得財産で予納金を積み立てる方法もある(法律相談26頁)。

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