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2013年5月15日 (水)

破産財団の範囲

 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産は、破産財団を構成する(法34①)。この場合、当該財産が日本国内にあるかどうかを問わない。
 名義人が破産者名義であっても、それを出捐した者が破産者以外のものであり、出捐した者が当該財産を実質的に管理化に置いていた場合は当該財産は出捐者に帰属すると考えられるケースは少なくない。定期預金については、最判昭48.3.27民集27巻2号376頁、最判昭52.8.9民集31巻4号742頁などがあるが、後者においては次のように判示している。「被上告人の被相続人であるDが、上告人信用組合の管理部職員として貸付と回収の事務を担当していたEの勧めに応じて、自己の預金とするために六〇〇万円を出捐し、かねて保管中の「E」と刻した印章を同人の持参した定期預金申込書に押捺して、E名義による記名式定期預金の預入手続を同人に一任し、Eが、Dの代理人又は使者として上告人信用組合との間で元本六〇〇万円のE名義による本件記名式定期預金契約を締結したうえ、上告人信用組合から交付を受けた預金証書をDに交付し、Dがこの預金証書を前記「E」と刻した印章とともに所持していたとの原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、首肯するに足りる。右事実関係のもとにおいては、本件記名式定期預金は、預入行為者であるE名義のものであつても、出捐者であるD、ひいてはその相続人である被上告人をその預金者と認めるのが相当であつて、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。」
 このほか、実務的に多いのは保険契約の例であるが、最終的には、保険契約を締結した事情、保険契約者を破産者とした理由、破産者の関与の程度、保険料を誰がどのような財産から負担したか等の事情を検討の上、具体的な問題ごとに妥当な解決を図ることとなる(管財手引 180頁)。
破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権も破産財団に属する(法34②)。
なお、破産財団に属すべき4分の1相当額については,労働基準法24条1項ただし書(「法令に別段の定めがある場合」) により,賃金全額払・直接払の適用はないこととなる。(破産法実務(福岡)58頁)。
一方、公務員の場合には,一般に,勤務先である国又は地方公共団体から直接借入をしているものではなく,勤務先とは別法人の共済組合から借入をしていることが一般的であり、そのような借入をしている公務員の破産の場合における退職手当請求権については、4分の1相当額を破産財団に組み入れることができるものと解される(最判平成2年7月19日・民集44巻5 号837頁,最判同年同月同日・民集44巻5号853頁参照 。(破産法実務(福岡)58頁))。

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