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2015年1月

2015年1月30日 (金)

架空請求の相談がありました

Gf1120032058以前、アダルトDVDをネットを通じて購入したことがあるという方から相談がありました。

「東京支援協会」と名乗るところから電話があり、そのアダルトDVDは少女が出演しており、摘発された。出演者が集団で訴訟を提起している。井野、示談で済ませようと交渉しているので、まず20万円を送って欲しい、とのこと。

心当たりがある相談者は、言われたとおり、相談者はゆうパックで20万円を送り、ゆうパックは昨日夕方に到着しました。

すると、今朝、「東京支援協会」から電話があり、被害者が損害賠償として月10万円を2年間支払って欲しいと言っているとのこと。
この話に困り果て、回り回って私のところに相談がきたわけです。

まあ、あり得ない話ですね。訴訟を起こしているのなら裁判所から書面が届いている筈(もちろん、書面など届いていない)。また、相手方から直接か、相手方の代理人である弁護士か司法書士から示談の話が来ることはあっても、それ以外の人から示談の話が来るわけがない(仮に、弁護士か司法書士以外の者が示談をとりまとめようとするのなら、弁護士法違反です)。

そこで、私が「東京支援協会」に電話して、「どういうこと?」と聞いたところ、「あとで折り返し電話します」と電話を切られ、その後電話がありません。一度送ってしまった現金を取り戻すのは至難の業ですが、これ以上の被害は防ぐことができたのではないかと思います。

それにしても、何かあったときは、一人で悩まずに誰かに相談した方がいいと思います。

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2015年1月29日 (木)

預金はどのように相続されるか

Af0100028091 銀行などの預貯金は口座名義人の相続の発生により凍結され、実務では、相続人全員の同意書の提出により預金を解約して現金化する取扱いが多くみられます。ですから、相続人全員の同意がもらえる場合は問題ないのですが、相続人のうち、手続きに協力しない方がいる場合は預金を解約することができなくなってしまいます。

この点について、法律的に考えてみました。

 最判平成16年4月20日は、預貯金などの金銭債権は、相続開始と同時に当然に分割され、各相続人に法定相続分に応じて帰属すると判示しています。したがって、遺産分割を待つまでもなく法定相続分に応じた払戻し請求をすることが法的には可能です。
 しかし、銀行実務では、この判決が出された後も、相続人全員の同意書の提出がなければ相続人1人からの払戻請求には応じていないようです。銀行が相続紛争に巻き込まれたくないと考えるのは仕方ないかもしれないが、最高裁判例が出ているのであるから判例にしたがった取扱いをする方が紛争に巻き込まれる可能性は低いと考えられますが、銀行の取扱いは変わっていません。

 しかし、預貯金の相続は例外があります。最判平成22.10.8は次のように判示しています。

「郵便貯金法は,定額郵便貯金につき,一定の据置期間を定め,分割払戻しをしないとの条件で一定の金額を一時に預入するものと定め(7条1項3号),預入 金額も一定の金額に限定している(同条2項,郵便貯金規則83条の11)。同法が定額郵便貯金を上記のような制限の下に預け入れられる貯金として定める趣旨は,多数の預金者を対象とした大量の事務処理を迅速かつ画一的に処理する必要上,預入金額を一定額に限定し,貯金の管理を容易にして,定額郵便貯金に係 る事務の定型化,簡素化を図ることにある。ところが,定額郵便貯金債権が相続により分割されると解すると,それに応じた利子を含めた債権額の計算が必要に なる事態を生じかねず,定額郵便貯金に係る事務の定型化,簡素化を図るという趣旨に反する。他方,同債権が相続により分割されると解したとしても,同債権 には上記条件が付されている以上,共同相続人は共同して全額の払戻しを求めざるを得ず,単独でこれを行使する余地はないのであるから,そのように解する意 義は乏しい。これらの点にかんがみれば,同法は同債権の分割を許容するものではなく,同債権は,その預金者が死亡したからといって,相続開始と同時に当然 に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。そうであれば,同債権の最終的な帰属は,遺産分割の手続において決せられるべきことになるの であるから,遺産分割の前提問題として,民事訴訟の手続において,同債権が遺産に属するか否かを決する必要性も認められるというべきである。
 そうすると,共同相続人間において,定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えについては,その帰属に争いがある限り,確認の利益があるというべきである。」

 ところで、相続財産のうち、現金も相続開始と同時に法定相続分で分割されるのでしょうか。
 これについては、最判平成4年4月10日は、相続人の一人が相続財産たる現金を相続人名義で預金していたケースで、「現金は、被相続人の死亡により他の動産、不動産とともに相続人らの共有財産となるから、遺産分割をせずに法定相続分に応じた金員の引き渡しを求めることはできない」という趣旨の判断をしま した。

 この結果、預貯金のような債権は相続と同時に分割され、現金は分割されないということになりますが、この違いの根拠は、債権と動産の違いということでしょう。

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2015年1月25日 (日)

遺言は作ることが目的ではない! 何のために作るのかが問題だ。

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facebookにもUPしましたが、相続税増税の話題が影響しているのでしょうか、書店に行くと、遺言の作り方に関するたくさんの手引書が並べられています。

 そして、パラパラと頁をめくってみますと、出だしは、おおかた次のような文章が書かれています。

「遺言は、民法という法律に定める方式に従って作る必要があります。遺言には、普通方式として、自筆証書、公正 証書、秘密証書の3種類があります。そして、自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません。・・・」

 以下、遺言の作り方に関する法律の解説が延々と続きます。

 これを読み続けるうち、読者は、「費用対効果を考えてどの方式の遺言を選ぶべきか」「どうすれば法律上有効な「遺言」を作ることができるのか」というよう な、遺言の作り方自体に関心が集中していきます。

 そして、いつの間にか、遺言を作ること自体が目的となってしまっていることが多く見受けられます。

 もちろん、作った書類が法律上の要件を満たしていないために「遺言」として認められなければ意味がありませんし、それに費やした時間も全く無駄になってしまいます。したがって、遺言の作り方自体に関心を持つこと は悪いことではないでしょう。しかし、そもそも、遺言を作ろうと考えたきっかけは別のところにあったのではないでしょうか。「遺言の作り方自体を学ぼう」 ということではなかったのではないでしょうか。

 遺言を作る目的は人により様々でしょうが、私の経験から感 じているのは、どうやって財産をバラバラにせずに承継させるか、家業を特定の者に引き継いでもらうために遺産分けをどのように指定するか、家族融和の願 い、家族に対する感謝の気持ちを伝えたい、ということが中心のようです。

 現実に、家業の相続争いで会社や家族が分裂して事業閉鎖に追い込まれたり、平等な配分にこだわるあまり、自宅を売却して現金でわけるという愚かなことが数多く行われているのです。

 ところが、手段であったにもかかわらず、いつの間にか、遺言を作ること自体が目的となってしまっている手引書が実に多く、読者も本当の目的を見失っているのです。

 例えば、妻と子供3人がいらっしゃる山田五郎さんが、自分が築いた飲食店を、いっしょに仕事をしてくれている長男にすべて引き継いで欲しいという目的で遺言を作ろうと考えたとします。

 家業を継いで欲しいというこ とは、飲食店の権利を引き継がせるということになりますので、引き継がせる財産としては、不動産の所有権である場合や賃借権である場合もあるでしょう。会社組織になっているのであれば株式として引き継ぐことになるでしょう。

 そして、書店で遺言の作り方に関する手引書を購入し、次のような遺言を作ったとします。

      遺 言 書

財産のすべてを長男Aに相続させる。

 平成○年○月○日      山田五郎 印

 仮に、この遺言が種々の遺言作成に関する要件を満たしていて、法律上も「遺言」としての効力が認められるとした場合、山田五郎さんの目的はこの遺言で達 せられるでしょうか。

 私は、山田五郎さんの目的は全く達せられていないと考えます。確かに「財産のすべて」を長男に相続させるということが書かれていますから、不動産の権利であったり、株式であったり、預貯金であったり、はたまた、飲食店で使用している調理器具や什器など、とにかくすべてにつ いては長男が相続するように、ということはわかります。

 しかし、山田五郎さんは、もともと、「自分が築いた飲食店 を、いっしょに仕事をしてくれている長男にすべて引き継いで欲しい」という目的があり、だからこそ、財産のすべてを長男に相続させたいと考えたのでしたね。

 この遺言を山田五郎さん以外の方が見たとき、果たして、何人の方が山田五郎さんの気持ちを理解するでしょうか。

 むしろ、他の子供たちから、「どうして兄さんだけ財産を独り占めにして、俺達の貰い分がないんだ」とか、「父さんは、一体俺達のことをどう考えていたんだ」、「兄さんがこの遺言を書かせたんじゃないのか」、「遺留分という権利がある筈だからこの遺言は認められない」など、この遺言が発見されたことを契機として相続争いに発展してしまうことも考えられます。

 このように、遺言を作る際に、本来の目的を忘れ、法律的に 有効な遺言を作ることに関心が集中してしまうばかりに、かえって本来の目的の実現が困難になってしまうこともあるのです。

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2015年1月18日 (日)

その悩み、不安、私たちにご相談ください

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主催 静岡県司法書士会浜松支部
    静岡県土地家屋調査士会西遠支部
    静岡県社会保険労務士会浜松支部
共催 浜松市

相続,遺言、土地の境界、土地を分けたい、年金の額、年金記録・・・・
その悩み・不安、ご相談ください


日 時 平成27年2月21日(土)
    【午前9時30分受付開始】

相談会【午前10時00分~午後4時30分】
(司法書士・土地家屋調査士・社会保険労務士が相談にあたります)

講演会(各1時間程度)
午前11時~ 「公的年金よもやま話」
         講師 社会保険労務士:大城剛氏
午後1時~  「土地の安心、子孫も安心」
      講師 土地家屋調査士:山本勝美氏
午後3時~  「プロが教える相続・遺言の基本」
    講師 司法書士:伊野瀬弘祐氏

場 所 浜松市篠原協働センター(西区篠原町20399-1)
     駐車場はたくさんあります!

  お問い合わせ
   司法書士法人中央合同事務所
   電話 053-458-1551

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2015年1月14日 (水)

配偶者だけが相続人だと思ったら大間違い・・・子供のいない夫婦

Gf1420409602 子供がいらっしゃらない夫婦の方は、ご自分が亡くなった時のことを想像したことがありますか?

 あなたが、あなたの配偶者より先に亡くなった場合、あなたの配偶者は相続人になります。
 しかし、あなたのご両親や、ご両親が既に他界している場合にはあなたの兄弟も相続人になります。
 あなたの兄弟が既に他界している場合には、兄弟の子供達(甥、姪)が相続人になります。

 このように、お子さんがいらっしゃらない夫婦の場合、相続人は配偶者だけではないのです。この点について勘違いされている方がたくさんいらっしゃるようです。

 そして、あなたの配偶者は、あなたのご兄弟などと相続の話し合いをしなければならないということになります。

話し合いが問題なくできればいいのですが、そうならない場合も多いようです。 あなたとしては、配偶者に全て遺してあげたいのではないですか?

 配偶者を思いやる心があるのであれば、遺言書を作ってあげるべきです。

 逆に、あなたの配偶者が先に亡くなった場合のことを考えてみましょう。配偶者の財産をどのように相続するのかは、配偶者のご両親やご兄弟など、あなた以外の相続人と話し合いをしなければなりません。

 配偶者が生前に遺言書を作成してくれてあれば、そのような話し合いをする必要もないわけです。 なお、ご兄弟には遺留分がありません。したがって、配偶者に全てを相続させる遺言を作成したとしても兄弟が遺留分を請求することはできません。

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2015年1月 9日 (金)

あなたが先に亡くなるとは限らない

Af0100009122 遺言を作成しようとする際に、誰が相続人になるのか考えるときに、どうしても、自分が最初に死亡するという前提で考えてしまうことが多いようです。
 確かに、それが当たってしまうこともあります。特に、いつ何時、不慮の事故に巻き込まれるかもしれません。ですから、思い立ったらすぐ遺言を作成することが必要だということができます。

 しかし、人生に筋書きはありません。不幸なことに、家を継がせたいと考えていた子供が先に亡くなってしまうことも決して珍しくありません。

 最近のことですが、平成23年2月22日、最高裁は、遺産を特定の推定相続人(将来相続人となる続柄の人)に単独で相続させる旨の遺言があったケー スについて、その推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、遺言は効力を生じないと判断しました。

 また、民法994条は、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」と規定しています。

 したがって、推定相続人に相続させる場合も、推定相続人以外に遺贈する場合も、ともに、推定相続人や受遺者が遺言者より先に死亡した場合には遺言は効力を生じないと考えておく必要があります。

 これを整理すると、次のようになります。

【事例1】推定相続人が遺言者の死亡前に死亡した場合
 遺言者の死亡以前に、遺言で指定された推定相続人が死亡した場合、その指定部分は無効となります。そのため、他の共同相続人に法定相続分の割合で相続されることとなります。死亡した推定相続人に子がいれば、その子は代襲相続人となり、死亡した推定相続人と同一の順位の相続人になります。

【事例2】受遺者が遺言者の死亡前に死亡した場合
 遺言者の死亡以前に、受遺者が死亡した場合、その指定部分は無効となり、他の共同相続人に法定相続分の割合で相続されることとなります。

 ここでは、【事例1】について詳しく考えたいと思います。
 例えば、推定相続人は子供であるA、B、Cの3人で、長男であるAに自宅の土地・建物の権利を相続させたいと考えているとします。その場合、「Aに相続させる」という遺言を書けばいいことになります。

 しかし、この状態でAが遺言者よりも先に亡くなって しまった場合には、「Aに相続させる」という部分は無効になってしまうため、亡Aの代襲相続人である子供ら(A1、A2)が3分の1、B、Cがともに3分の1の法定相続分の割合で相続することになります。

 しかし、これでは、遺言を作ったことが無意味になってしまいます。

 そこで、仮にAが遺言者よりも先に亡くなってしまったときはどうしたいのか、例えば、二男であるBに相続させることにするのか、Aの代襲相続人であるA1に相続させるのか、それとも、A1はまだ若くて心配なのでAの妻に遺贈するのか(Aの妻は代襲相続人ではないため「相続」ではなく「遺贈」になります)などを決め、遺言に遺しておいた方がいいでしょう。

 仮にAが遺言者よりも先に亡くなってしまったときはAの代襲相続人であるA1に相続させたい場合は、次のような文例によることとなります。

第○条 遺言者は、遺言者の有する下記の財産を、遺言者の長男A(昭和○年○月○日生)に相続させる。
(1)土地 浜松市北区北町1000番1 山林 500平方メートル
2 万が一、遺言者より前に又は遺言者と同時に長男Aが死亡していた場合、その者に対して相続させるべきであった前項記載の財産は、遺言者の代襲相続人である孫A1(平成○年○月○日生)に相続させる。

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2015年1月 8日 (木)

自筆証書遺言を貸金庫にしまってはならない理由

Gf1420192459せっかく遺言書を作っても、遺言者が亡くなった後に誰かが遺言書を見つけてくれなければ遺言書を書いた意味がありません。特に、自筆証書遺言の場合には、公正証書遺言と違って世界に1通しかない書面であるため、「大切なもの」として誰もわからないような場所にしまっておくと、遺言書が日の目を見ないことになってしまいます。
逆に、あまり目につく所に保管すると、生前に誰かに見つけられて改ざんされたり、家族関係にひびが入ってしまうことも考えられます。

では、銀行の貸金庫にしまっておくという方法も考えられますね、しかし、これは大きな間違いです。いくら大事な書類だからと言って,銀行の貸金庫で保管するのは絶対にやめてください。

なぜなら、遺言者が亡くなってから貸金庫を開けるためには、相続人全員の同意が必要だからです。少し法律的に考えてみると、銀行から貸金庫を借りる契約というのは、アパートを借りるような賃貸借契約類似の契約であると考えられます。そうすると、相続の発生により、賃借人の地位は相続人全員に引き継がれますので、相続人全員が合意して賃貸借契約を解除するか、相続人全員の合意により特定の相続人が賃貸借契約を引き継ぐのかを決めなければなりません。

このように、相続人が全員協力しなければ貸金庫を開けることができませんから、相続人の関係がうまくいっていないと、貸金庫を開けられず、その結果、遺言書も見つけられないのです。揉めに揉めた末に貸金庫を開けたら遺言書が出てきたなんて、笑えない話です。

では、特に自筆証書遺言の場合、遺言書をどのように保管するのがいいのでしょうか。いつも通帳等をしまってあり見つけやすい場所にしまっておく、古典的かもしれませんが信頼できる人に預けるなどが考えられます。つきあいのある司法書士などが預かってくれる場合もありますので、聞いてみるとよいでしょう。

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2015年1月 6日 (火)

自筆証書遺言と公正証書遺言の効力は同列か

Af9980011802 法律上、公正証書遺言も自筆証書遺言も、立派な遺言であり、効力としては優劣がないことになっています。

 しかし、実際に、遺言者が死亡したことにより預金を解約するために遺言を金融機関に持ち込んでみると、自筆証書遺言の場合、金融機関によっては、遺言が存在しているにもかかわらず、相続人全員の同意書(印鑑証明書付)を求められることがあります。

 これは、たとえ検認を受けた自筆証書遺言であっても、検認によって有効・無効が確定したわけではないため、無効である可能性を秘めた自筆証書遺言で預金の解約に応じるわけにはいかないという理由によるものと思われます。

 ところで、遺言が有効であるのか無効であるのかが争われるケースの多くは、遺言が遺言者本人の意思によって作成されたものであるのかどうかという点が問題とされています。

 例えば、高齢者が遺言を作成した場合には、「遺言作成当時、遺言者は認知症により判断能力が低下していたのであるから、こんな複雑な内容の遺言を作成できる状態ではなかった筈だ」などという理由で、「本人の意思に基づかずに作成されたものである」という争い方をするわけです。

 もっとも、このような争いが生じるのは遺言が効力を生じた後、つまり、遺言者が死亡した後ですから、遺言作成当時に本人にどの程度の判断能力があったのかは再現することが困難です。

 そこで、本人の意思にもとづいて作成されたものか否かを裁判所がどのような観点で見ているか考えてみますと、自筆証書遺言については識字能力、つまり、本人が書いた文字にどの程度誤字があるのか、意味が通る文章になっているのか、ということが中心のようです。

 その点、公正証書遺言は公証人に遺言の趣旨を話して伝えるということが要件となっていますので、識字能力という観点とは異なるようです。 それに加え、遺言の内容が、遺言者が当時話していたことや当時の行動と合致するものであるか矛盾するものであるか、遺言作成当時、遺言の内容に影響を及ぼすような者がどのように関与していたか(例えば、遺言により大部分の財産を相続する者が同席している場所で作成されたような場合)、というような事情も判断材料のひとつになるようです。

 これらの点について、公正証書遺言は公証人の面前で遺言内容を公証人に話し、それを公証人が書面にして遺言者に読み聴かせ、しかも、証人2人以上が立ち会わなければならないのに対し、自筆証書遺言は密室でも作成することができることから、自筆証書遺言については公正証書遺言よりも信頼性が低いと考えている金融機関があるのです。

 もちろん、こうした自筆証書遺言では預金の解約に応じない金融機関の取扱いに対しては、訴訟を起こしてあくまでも解約を請求するという選択肢もないわけではありませんが、時間も費用もかかってしまいます。そんなことが予想されるのであれば、最初から公正証書遺言を作っておけばいいだけの話です。

 このように、実際の取引社会においては、自筆証書遺言に比較して、公正証書遺言の信頼性の高さが厳然としているのです。

(写真は筆者ではありません)

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2015年1月 5日 (月)

会社が消えた?

司法書士だけにしかわからない内容ですが、ご容赦ください。

A、B、Cという会社が新設合併して、平成14年5月1日にDという会社が設立されました。ところが、「登記記録に関する事項」欄に、同日付で「設立登記抹消」という登記がなされ、登記簿が閉鎖されています。設立登記抹消の原因は何ら記載されていません。

管轄の法務局に確認しても、既に申請書は廃棄されており、確認の方法がなく、なぜ設立登記を抹消したのかわからない、とのことでした。

果たして、何が起きたのでしょうか? 謎です。

201501050001

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2015年1月 4日 (日)

障害認定医に地域差? これはどういう問題なのか

新聞報道によると、障害認定医1人が担当する障害年金の新規請求件数に大きな地域差があるとのことである。

最も多い神奈川県と最少の鳥取県を比較すると、約14倍の差とのこと。

果たして、これがどういう問題を引き起こしているかであるが、不十分な審査で支給されるべき人が漏れてしまったり、基準に達していない人に年金が支払われている恐れがあるとのことである。また、「更新のケースでは書類1件を十数秒で見ており、まともな審査はとてもできない」と言っている認定医の声も取り上げられている。

私の経験からも、障害年金は、その申請から認定まで半年ぐらいかかっているが、待たされるだけ待たされて、認定医の審査が十数秒では、お寒い限りである。

障害年金は生活保護と並ぶセーフティネットなのだから、もっと注目してみたい。

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