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2015年3月 3日 (火)

職業選択の自由と司法書士という職業

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 以前、当事務所に勤務しており、今は某専門学校の講師をしているM君から、「以前、司法書士新人研修で話をしていた憲法と司法書士の話を思い出しているんですけど、どういう話でしたっけ」という電話があった。

 7~8年前まで、毎年、司法書士中央新人研修で合格者数百名に講演させていただいており、確かにそういう話を織り交ぜて話をしていたことを思い出した。 M君に聞かれた部分を少し整理してみよう。

 憲法は、国民の権利や自由を守るために国家権力を制限する目的で定められている。時折、憲法は国家が国民を縛るために規定していると誤解している方もいるが、全く逆である。

 そして、憲法22条1項は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と規定している。これを先ほどの憲法が定められた趣旨を考えて解釈すると、国民が社会生活を営む上でどのような職業を選択するかは自由であり、国家は、これに制限を加えることはできない、ただし、公共の福祉に反しない限り、国家は職業選択の自由に制限を加えることができる、といった意味合いであると理解できる。

 司法書士という職業は、日本司法書士会連合会に司法書士として登録しなければ業務を行うことはできないし、司法書士登録をするためには司法書士試験に合格しなければならない。したがって、誰でも自由に司法書士という職業を行うことはできないことになっている。つまり、司法書士業務は、職業選択の自由の例外として国家が制限を加えているのである。

 その例外を認める理由としては、国民の権利の保全という重大な職責を全うする為には一定の能力や適性が必要であるため、資格試験に合格し、一定の自治に復する者のみにその業務を行わせるべきであるからと考えられる。

 このように、司法書士が職業選択の自由の例外として認められている職業である以上、司法書士により国民の権利保全という機能が十全に果たされなければならない。もっと平たく言えば、国民のニーズにすべからく応える事が要請されていると考えるべきである。

 例えば、他人から嘱託を受けて裁判所に提出する書類を作成する業務は弁護士と司法書士しか行うことができない。

 司法書士として生きる以上、「経験がない」、「割に合わない」などと言って裁判書類作成業務の依頼を断ることは、職業選択の自由の例外に置かれているということの責任を全うしないことになるし、国民の権利保全という職責を放棄しているに等しい。

 新人司法書士は、このことを肝に銘じて、弱音を吐かずに正面から依頼者のニーズに応えて欲しい。やったことのない事件や自信のない事件であっても、君たちがそれを克服できる力を持っていることは、試験合格によって保障されているのだ。困ったときは、先輩司法書士に聞けばよい。先輩司法書士は必ず力になってくれる。

と、こんな内容だった。M君の参考になれば幸いである。

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