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2016年6月

2016年6月29日 (水)

苦難は必ず乗り越えられる

6月27日、最高裁で、司法書士には衝撃的な判決が言い渡された。私も傍聴に行き、「ここが最高裁の法廷か。どんな判決になるかはともかくとして、最高裁の法廷に来るのは最初で最後かもしれない。よ~く目に焼き付けておこう」と思いながら開廷を待った。

裁判長は、主文だけではなく、判決理由の要旨を簡単に紹介してくれた。それを聞いたときに、司法書士の主張の主要部分は認められなかったと瞬時にわかり、なぜか落ち着いている自分が不思議だった。

この判決に対してはいろいろな意見が飛び交っているようだ。また、過去に行った和解の効力等についても情報交換が始まっている。この判決が司法書士界に与える衝撃は、決して小さくなさそうだ。

...

ところで、今まで築いてきたものがいとも簡単に破壊されるこの絶望感は、なぜか懐かしく感じるのは私だけだろうか。この感覚は、幾度となく味わったものと似ている。

たとえば、破産法改正前は、破産申立てをすると何件も訴訟を提起され、給料の仮差押えまで受けたあの頃。破産申立てをすればするほどそうした訴訟を抱え込み、債務者の経済的再生を阻害され、絶望感を味わった。でも、破産法改正にこぎ着け、そうしたことはできなくなった。

また、ヤミ金の取立てや嫌がらせに生活を破壊されて絶望感を味わったこともあった。しかし、ヤミ金融の口座を仮差押えしたりしながら闘っているうち、国をあげてヤミ金融問題に対峙するようになった。

商工ローンの手形も止まらず絶望感を味わったこともあった。でも、様々な手続に保全措置があるのに調停の保全措置が使い物にならないのはおかしいと声をあげ、調停前の仮の措置を活用し、手形を止める手法でそれを乗り越えた。

今までもそうだったように、今回の判決の衝撃は必ず乗り越えられる。そう信じて新しい道を手探りで進んでいけばいい。これも、司法書士の歴史の1ページだ。雑草は踏まれるほど強くなるのだ。

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2016年6月13日 (月)

ABL

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司法書士の古橋清二です。

 

ABLってご存知ですか? Asset Based Lendingの略です。金融機関が、企業や農家等の事業者に対し、商品、在庫、農畜産物、運送業者のトラックなどの動産や売掛債権を担保にして融資することです。

今回受任したのは、牛の牧場を経営している企業に対するABLです。

 

この牧場では、子牛を買ってきて飼育し、大きくなったら出荷します。ですから、牛を担保取得するといっても、担保となる牛は常に入れ替わっていきます。そのため、牛一頭一頭を特定して担保にとってしまうと、牛が入れ替わる度に変更登記をしなければなりません。この煩わしさを避けるため、動産譲渡登記を活用して、一定のエリア(牧場の所在地番で定める)にいる牛は担保に入っているということを公示することができます。

 

動産譲渡登記は、全国で東京法務局一か所だけが取り扱っています。したがって、融資に先立って動産譲渡登記の申請書を東京法務局に送付し、融資実行日に登記が受け付けられるように工夫しています。

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2016年6月10日 (金)

6月27日に最高裁判決が言い渡されます

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紛争の価額が140万円以内でれば、認定司法書士は、裁判外においての本人の代理人として交渉したり、和解を締結することができます。その140万円は、どのように計算するのかということについて、6月27日に最高裁判決が言い渡されます。

司法書士の裁判外の和解代理権は、平成14年司法書士法改正により認定司法書士に与えられました。当時はサラ金問題が隆盛を極めており、この新しい司法書士の権限により、本当に多くの多重債務者が救済されました。

平成14年司法書士法改正の際、このような多重債務者の救済をする際の140万円の計算方法については、改正司法書士法の立案担当者により明確に示されており、認定司法書士は、その立法趣旨にしたがって業務を行ってきました。

ところが、一部の業界から「立案担当者が示した計算方法がそもそもおかしい」という声が出され始めました。この考え方によると司法書士の裁判外の和解代理権は、立案担当者の示した立法趣旨よりも大幅に制約されることになります。そして、その業界の考え方を基準に考えると、過去に行われた司法書士の裁判外和解の一部は権限なく行われたもので無効であるとして裁判まで起こされるようになりました。

こうして、一部の裁判が最高裁に係属し、6月27日に判決が言い渡されることになったわけです。

しかし、こんな縄張り争いみたいな争いは市民にとってはどうでもいいことかもしれません。むしろ、様々な職種の人たちが協力しあって問題を解決してくれることを望んでいるのだと思います。もちろん、そうは言ってもそれぞれの職種が活躍できる範囲は法律で決まっているわけですので、その立法趣旨にしたがってお互いを尊重する姿勢が必要だと思います。

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2016年6月 9日 (木)

たかが特別代理人選任申立て、されど、特別代理人選任申立て

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司法書士の古橋清二です。

父が亡くなり、相続人が母と未成年の子供のような場合、母と子供が遺産分割協議をするためには、子供の権利保護のために裁判所で特別代理人(親族等が選任されることが多い)を選任する必要があります。これは、母が自らの相続人の立場と、子供の親権者としての立場で分割協議をすることは、子供の利益を害するおそれがあるからです。選任別代理人が選任されると、母と特別代理人が遺産分割協議をすることになります。
実務的には、特別代理人選任の申し立てをする際に遺産分割協議書案を裁判所に提出します。裁判所は、未成年者の権利が守られているか、つまり、法定相続分が確保されているかという点を中心に検討しているようです。

さて、みなさんは、次のような事例はどのように考えるでしょうか。

相続人は、母と12歳の子供。相続財産は時価3000万円の自宅土地建物と、亡くなった父が経営していた会社の株式。会社は、銀行から5000万円の借入れをしており、株式の評価はゼロ。会社は母が経営を続けたい。

ある司法書士の回答は次のようなものでした。

3000万円の不動産と評価ゼロの株式が相続財産だから、子供の法定相続分を守るためには不動産を母と子2分の1ずつで相続するか、母が不動産すべてを取得する代償として子供に対し1500万円払う必要がある。株式はお母さんが相続して経営を続けてください。

どうでしょう。12歳の子供が自宅の2分の1を所有するのですか? それとも、母親が12歳の子供に1500万円支払うのですか?

この回答を聞いた母親はどう感じるでしょうか。

「はあ? 子供に不動産の持分を持たせて管理できるの? これから私が一生懸命働いて子供を育てなければいけないのに、1500万円払うの? 司法書士さん、頭、おかしくない?」

きっとそう思いますよ。母親は、自宅は自分の名義にして管理し、会社も引継ぎ、子供を責任もって育てていく覚悟を決めている筈です。

これ、聞き取りが足りないんです。私だったらこう答えます。

「会社の借り入れに対し、ご主人は保証人になっていませんか? やっぱりそうですよね。5000万円の保証債務も相続されますから、相続財産の総額はマイナス2000万円ということです。ですから、保証債務も含め、奥さんが全部を相続されたらどうですか? もちろん、特別代理人選任の手続きは必要です。でも、相続財産がマイナスですから、お母さんがすべての相続財産を相続していただく内容の遺産分割をすることが子供の権利を保護することになるわけです。もちろん、保証債務のすべてをお母さんが承継することは銀行の了解が必要です。しかし、さすがに、支払能力のない未成年者を保証人にするようなことを銀行はしませんから、銀行も了解するでしょう」

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