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2016年6月 9日 (木)

たかが特別代理人選任申立て、されど、特別代理人選任申立て

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司法書士の古橋清二です。

父が亡くなり、相続人が母と未成年の子供のような場合、母と子供が遺産分割協議をするためには、子供の権利保護のために裁判所で特別代理人(親族等が選任されることが多い)を選任する必要があります。これは、母が自らの相続人の立場と、子供の親権者としての立場で分割協議をすることは、子供の利益を害するおそれがあるからです。選任別代理人が選任されると、母と特別代理人が遺産分割協議をすることになります。
実務的には、特別代理人選任の申し立てをする際に遺産分割協議書案を裁判所に提出します。裁判所は、未成年者の権利が守られているか、つまり、法定相続分が確保されているかという点を中心に検討しているようです。

さて、みなさんは、次のような事例はどのように考えるでしょうか。

相続人は、母と12歳の子供。相続財産は時価3000万円の自宅土地建物と、亡くなった父が経営していた会社の株式。会社は、銀行から5000万円の借入れをしており、株式の評価はゼロ。会社は母が経営を続けたい。

ある司法書士の回答は次のようなものでした。

3000万円の不動産と評価ゼロの株式が相続財産だから、子供の法定相続分を守るためには不動産を母と子2分の1ずつで相続するか、母が不動産すべてを取得する代償として子供に対し1500万円払う必要がある。株式はお母さんが相続して経営を続けてください。

どうでしょう。12歳の子供が自宅の2分の1を所有するのですか? それとも、母親が12歳の子供に1500万円支払うのですか?

この回答を聞いた母親はどう感じるでしょうか。

「はあ? 子供に不動産の持分を持たせて管理できるの? これから私が一生懸命働いて子供を育てなければいけないのに、1500万円払うの? 司法書士さん、頭、おかしくない?」

きっとそう思いますよ。母親は、自宅は自分の名義にして管理し、会社も引継ぎ、子供を責任もって育てていく覚悟を決めている筈です。

これ、聞き取りが足りないんです。私だったらこう答えます。

「会社の借り入れに対し、ご主人は保証人になっていませんか? やっぱりそうですよね。5000万円の保証債務も相続されますから、相続財産の総額はマイナス2000万円ということです。ですから、保証債務も含め、奥さんが全部を相続されたらどうですか? もちろん、特別代理人選任の手続きは必要です。でも、相続財産がマイナスですから、お母さんがすべての相続財産を相続していただく内容の遺産分割をすることが子供の権利を保護することになるわけです。もちろん、保証債務のすべてをお母さんが承継することは銀行の了解が必要です。しかし、さすがに、支払能力のない未成年者を保証人にするようなことを銀行はしませんから、銀行も了解するでしょう」

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