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2016年7月

2016年7月30日 (土)

登記申請書に添付する株主リストについてQ&Aを掲載しました

ホームページに、登記申請書に添付する株主リストについて質疑を記載しました。

http://kigyouhoumu-hamamatsu.info/%e7%99%bb%e8%a8%98%e7%94%b3%e8%ab%8b%e3%81%ab%e3%80%8c%e6%a0%aa%e4%b8%bb%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88%e3%80%8d%e3%82%92%e6%b7%bb%e4%bb%98%e3%81%99%e3%82%8b%e5%bf%85%e8%a6%81%e3%81%8c%e3%81%82%e3%82%8a/

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2016年7月 7日 (木)

在外外国人のサイン証明書の原本還付

法務局に、次のような申し出をしています。果たして、みなさんは、どのように考える?

第1 申し出の趣旨
 7月5日に申請した登記に外国人が作成した委任状(現地公証人が別紙でサイン証明をし、委任状と一体となっている)を添付情報として提出し、原本還付を請求したところ、原本還付に応じることができるのは1枚目の委任状部分だけであり、2枚目のサイン証明をした部分は原本還付できないと指導されました。
 しかしながら、上記取扱いは疑義がありますので再考していただきたいと思います。

第2 申し出の理由
1 原本還付請求しているのは委任状である
 今回原本還付請求をしているのは委任状です。委任状には米国公証人のサイン証明が付されていますが、当該サイン証明は委任状に付されて一体となっており、これを切り離したとしても単独ではサイン証明書として機能しません。この委任状は、いわゆる「のみ書面」ではありませんので原本還付できると考えます。

2 仮に、サイン証明書として見るとしても印鑑証明書の規定は適用されない
 在外外国人には印鑑証明書の制度はありませんので、サイン証明書を提出することになっていますが、サイン証明書は法令上の印鑑証明書とは異なります。
 昭34.11.24、民事甲第2,542号民事局長通達は、「所有権の登記名義人たる外国人が登記義務者として登記の申請をする場合においては、印鑑証明書に代えて申請書又は委任状の署名が本人のものであることの、当該外国官憲の証明書を提出せしめるのが相当である。」としており、外国官憲の証明書は印鑑証明書の代替にすぎないことを明らかにしています。外国官憲の証明書を印鑑証明書とみなすという意味ではありません。
また、昭48.11.17、民三第8,525号民事局第三課長通知は、「在外邦人の印鑑証明書の有効期間は、これを延長する取扱いはできないが、署名証明書は、細則第44条の規定の適用はない。」と、印鑑証明書についての規定は適用されないことを明らかにしています。
このように、先例においても、サイン証明については印鑑証明書の規定を直接的に適用しているわけではありません。
 印鑑証明書は、不動産登記規則55条ただし書きで原本還付請求できないとされていますが、サイン証明は、文書の信ぴょう性を担保するために通達により添付しているものであり、法令上の印鑑証明書ではありません。したがって、同条の適用はないものと考えます。

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最高裁判決を受けて  裁判外代理業務及び裁判書類作成関係に関する指針 ~静岡版~

平成28年6月27日の最高裁判決を受けて、静岡県司法書士会から指針が出されたので紹介する。

会員各位

裁判外代理業務及び裁判書類作成関係に関する指針

                            平成28年7月4日
                           静岡県司法書士会
                           会長 杉 山 陽 一

 既にご存知のことと思われますが、平成28年6月27日に最高裁において司法書士の裁判外の和解の代理業務について、平成14年改正司法書士法施行の際に示された解釈とは異なる判断がなされました。これは、従来は司法書士の正当な代理業務と考えていた行為の一部について違法と評価するものであり、極めて重要な判断であると受け止めざるを得ません。
 これに対し、今後、会員がどのように執務を行うべきかについて日本司法書士会連合会から指針が示されると思われますが、当会としては、会員が一日でも早く最高裁の示した判断に沿う業務が行われるよう、指針を取りまとめました。
 もっとも、当指針は取り急ぎ考えられる対応を示したものであり、今後改正することもあることをお含みいただき、業務の参考としていただければ幸いです。
 なお、最高裁判例については下記の最高裁ホームページからダウンロードできます。http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/969/085969_hanrei.pdf
 また、最高裁の原審である大阪高裁判決については司ネットのフォーラムからダウンロードすることができます。

第1 最高裁判決の要旨

 認定司法書士が裁判外の和解について代理することができる範囲は,認定司法書士が業務を行う時点において,委任者や,受任者である認定司法書士との関係だけでなく,和解の交渉の相手方など第三者との関係でも,客観的かつ明確な基準によって決められるべきであり,認定司法書士が債務整理を依頼された場合においても,裁判外の和解が成立した時点で初めて判明するような,債務者が弁済計画の変更によって受ける経済的利益の額や,債権者が必ずしも容易には認識できない,債務整理の対象となる債権総額等の基準によって決められるべきではない。
 以上によれば,債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が法3条1項7号に規定する額を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと解するのが相当である。

第2 最高裁判決から導き出されるポイント(債務整理を念頭に)

(1)裁判外の和解の代理業務の「紛争の目的の価額」
認定司法書士は、民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号 に定める額(140万円)を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理することができるが、この場合の「紛争の目的の価額」は、個別(①)の債権の価額(②)により判断することとなる。
①「個別」とは
 「個別」とは、原則として、「1債権者」という意味に解する。たとえば、1債権者が複数の債権(貸付債権、立替金債権、求償債権等)を有する場合、通常であればそのすべての債権が一つの和解の対象とすると考えられるから、その合計額が「個別」の意味するところとなると考えられる。
 近年、貸金業者が銀行の保証をしていることも多くみられる。そこで、貸金業者の貸付債 権をA債権、代位弁済後の求償債権をB債権とした場合には、代位弁済前はA債権だけが裁判外和解の対象であり、代位弁済後はA債権とB債権の合計額が「個別」の意味するところとなると考えられる。また、仮に、A債権が50万円、B債権が100万円として、受任時は代位弁済前で当該貸金業者にはA債権しか存在していなかった場合には当該貸金業者について裁判外和解の代理業務を受任することはできるが、代位弁済が行われてB債権が発生すると、その合計額は150万円であるから代理権は喪失すると考えられる。
②「債権の価額」とは
 最高裁の示した基準は当該事案について訴訟を提起する場合の訴訟物の価額によるものと考えられる。
 したがって、「債権の価額」とは、債権者が債務者に請求している債権額のうちの元本の額と考えられ、訴訟の場合の付帯請求となる利息や損害金は「債権の価額」に含まれないと考えられる。
 また、貸金業者については、債務者に対し、旧貸金業規制法のみなし弁済規定による約定残高を請求していることも考えられるが、この場合にあっては当該請求額のうちの元本の額が「債権の価額」になるものと考えられる。これは、事実上、みなし弁済が成立する余地が皆無であるとしても、約定残高による提訴は可能であり、提訴が可能である以上、約定残高のうちの元本の額が「債権の価額」になるものと考えられるからである。

(2)裁判書類作成関係業務等について
 原審である大阪高裁判決は、裁判外代理業務の「紛争の目的の価額」だけではなく、裁判書類作成関係業務、債務整理を受任する際の善管注意義務についても一定の判断をしている。これらすべてについて上告受理申立てがされたが、裁判書類作成関係業務、債務整理を受任する際の善管注意義務については上告審の審理の対象とはならなかった。
したがって、裁判書類作成関係業務、債務整理を受任する際の善管注意義務についての大阪高裁の判断も確定したこととなる。
 大阪高裁判決では、裁判書類作成関係業務で予定されている司法書士の権限の内容、報酬請求の考え方、説明助言義務とその内容、処理方針のあり方等について判断しているので、会員にあっては大阪高裁判決も参照していただきたい。

第3 実務対応(裁判外の和解の代理業務について)

(1)調停代理権の活用
 債務整理によって債務者の経済生活の再生を図るためには、受任時において、債権者の取立行為の恐怖から債務者を解放することが重要である。ところが、今回の判断により、「個別の債権の価額」が140万円を超える場合には裁判外の和解の代理業務を受任することができない。そこで、これに代わる方法として、調停代理についての委任契約を締結してその旨の通知をすることが考えられる(貸金業法21条1項9号参照。なお、同号により取立行為が規制されるのは代理権を持った受任者が交渉窓口となるからであり、厳密には、書類作成権限のみを有する受任者の場合には取立行為の規制の対象外であると考えられる。また、債務弁済協定調停や特定調停は調停事項の価額は受益額であることが確立されており、今回の判断の射程外であると考えられる。そのため、個別の債権の価額が140万円を超えている場合であっても、受益額で計算した調停事項の価額が140万円以内であれば、調停代理権を有するものと考えられる)。
 以下、これを前提として今後の実務対応を検討したので参考にされたい。

(2)新規の受任
 「個別の債権の価額」が140万円を超える場合には、調停代理として受任し、その旨の受任通知を送付することが考えられる。他に「個別の債権の価額」が140万円以内の事件を同時に受任する場合に、当該事案を裁判外の和解の代理業務として受任することも、調停代理として受任することも可能であり、その判断は個々の司法書士に委ねられる。
 なお、相談時に依頼者が「個別の債権の価額」を把握していないこともあるが、その場合は、依頼者が電話等で問合せをすれば簡単に判明する(近年、そのような問合せに対して貸金業者は丁寧に対応しているようである)。
 「個別の債権の価額」が140万円を超えていたために調停代理で受任した後、引直計算、担保物件処分による債務充当等により債権額が140万円以下に変動した場合であっても、判断時はあくまでも受任時であると考えられるから、その時点で裁判外の和解の代理業務に切り替えることはできないものと考えられる。
 また、調停代理で受任した後に調停外において和解に向けた協議が行われることが想定されるが、当該協議はあくまでも調停代理権限を根底としたものであり、法3条1項6号の範囲内の業務と考えられる。なお、この場合、協議の結果合意に達する場合には、あくまでも調停の成立を目指すべきであり、調停外で和解書を交わして調停を取り下げることは、そもそも当該和解を成立させることが目的であり法3条1項6号の業務を逸脱していると評価されるおそれがあるため避けるべきである。
調停代理で受任した後に過払であることが判明した場合、特定調停手続の中で過払金請求をする実務は行われていないため、調停代理権で過払金請求をすることは難しいと考えられる。その場合には、あらためて過払金請求の裁判外和解の代理権等の付与を受ける必要があると考えられる。

(3)現在受任している事件
 現在、裁判外の和解の代理業務として受任している事件のうち、「個別の債権の価額」(あくまでも受任時でありその後の変動は考慮しない)が140万円を超えていたものについては、調停代理権の付与を受けたうえで、裁判外の和解の代理権を喪失していることが明らかとなったこと、調停代理人として引き続いて関与していくことを通知することが考えられる。

(4)受任内容の明確化
 これまで、依頼者との間の委任内容や、受任通知に記載する受任業務について、裁判外の代理業務、裁判上の代理業務、書類作成業務を包括的に記載してした傾向がみられる。しかしながら、場合によって違法な業務の委任を受けていると見られることも考えられるので、今後は、極力具体的に記載して誤解を招かないようにすることが重要となる。

以上

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