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2016年10月 5日 (水)

時効取得完成後に所有者が相続登記をしている場合に時効取得による所有権移転登記を申請する際の登記義務者

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司法書士の古橋清二です。今日の登記相談馮です。

相談の要旨

 
 

 

 

Y1が所有していた農地について、平成5年にXが所有の意思をもって占有を開始し、平成25年に20年の取得時効の期間が満了した。

 

Y1はその後死亡し、相続人であるY2、Y3、Y4は遺産分割協議を行ってY2がこの農地を取得し、相続登記も完了している。

 

この土地について、Xが時効取得を原因とする所有権移転登記を申請する場合は、Y2の相続登記が時効完成の前であった場合も後であった場合も、いずれも、平成5年〇月〇日時効取得を原因として、登記権利者をX、登記義務者をY2として申請すればよいと考えられるが如何か。

 

 

 

 

相談者の意見

 
 

 

 

Y2の相続登記が時効完成後である場合は登記義務者をY2として申請する旨の質疑応答が存在する(登記研究401号)。これは、Y2はY1の登記義務を承継しており、加えてY2の所有権登記を抹消する実益がないからであると思われる。

 

では、Y2の相続登記が時効完成前である場合はどうか。この場合にも、上記と同じ理由により登記義務者をY2として申請することができると思われる。

 

 なお、時効完成による所有権移転登記義務はY2、Y3、Y4全員が負っているから全員が登記義務者となるべきであり、そうであるならば一旦Y2の所有権登記を抹消したうえで時効取得による所有権移転登記を申請すべきであるという考え方も成り立ち得る。

 

 しかしながら、上記質疑応答の根底には、遺産分割によって当該物件の所有権を取得した者は当該物件についての処分権限(時効取得による所有権移転登記義務を含む)を単独で承継しているものと解して無益な手続きを極力排除するという考え方があると思われるので、Y3、Y4を登記手続に関与させるまでもないと考えられる。

 

 

 

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コメント

古橋先生、こんにちは。

不確定効果説の停止条件説(通説)に立てば、お書きの2つのケースについても,筋の通った説明ができるのではないでしょうか。

「時効の援用とは、時効によって不利益を受ける者に対する実体法上の意思表示」を基点に考えるということです。

私は、登記先例には旧判例(確定効果説)の残滓があるため要注意、と思っています。

投稿: 兼業農家 | 2016年10月20日 (木) 20時33分

なるほど。勉強してみます。ちなみに、本件については「貴見のとおり」との回答をいただき、本日、登記を申請しました。

投稿: 古橋清二 | 2016年10月20日 (木) 21時02分

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