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2018年6月

2018年6月15日 (金)

短期消滅時効の適用のある債権について勝訴判決を得たのち一部弁済があった場合、時効期間は何年になるか

 例えば、売掛金として2年の短期消滅時効の適用のある債権(民法改正前)について勝訴判決を得ると、時効期間は10年に延長される。

 ここで、その10年に戻った債権について、判決確定後に一部弁済があり、時効が中断した場合に、その後の時効期間は何年になるか、という問題を考えたい。

Gf1140022747

 たとえば、売掛債権の判決確定から1年を経過したときに一部弁済があったとすると、そこからの時効期間は10年なのか、売掛債権の短期消滅時効にもどって2年なのか、はたまた、9年(10年―1年)なのか、仮に、判決確定から一部弁済の間で改正民法が施行された場合には5年になるのか。

 この問題については、判決確定によりなぜ時効期間が10年になるのか、その理由を探るとヒントになりそうだ。

 なぜ10年に延長されるかについては、確定判決によって債権の存在が公の手続きによって明確になったのであるから、原則的な時効期間である10年に延長されると説明されているようである。

 つまり、10年は確定判決を取得した特典ということではなく、短期消滅時効制度から解放されて原則的な期間に戻るという意味のようである。「時効期間の転換」というような表現もされているようである。

 このような考え方を前提に本問を検討すると、判決確定後に一部弁済があつたとしても、既に「時効期間の転換」が生じているのであるから一部弁済後の時効期間は10年と考えるのが相当であると思われる。

 ところで、改正民法は、判決確定後の消滅時効期間は10年とし、改正前の期間を維持している。一方で、一般の債権の消滅時効期間は権利を行使することができることを知ったときから5年、権利を行使することができるときから10年を原則的な期間としている。

 そうすると、改正前は「時効期間の転換」という論理で判決確定後の時効期間10年の説明がされていたが、改正後に「時効期間の転換」の論理を持ち出してくると、判決確定後の消滅時効期間は、権利を行使することができることを知ったときから5年、権利を行使することができるときから10年となってしまい、判決確定後の時効期間を10年とすることと整合性がとれなくなってくるのではないか。

 ふとそう思ったので、備忘録として掲げておく。

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当事務所では、2020年4月1日から施行される改正民法(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)について、契約実務の観点からFAQを順次作成しております。

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2018年6月14日 (木)

改正民法634条の請負が仕事の完成前に解除された場合の報酬請求権は、合意解除の場合も適用がありますか

Gf1140018786


改正民法634条では、請負が仕事の完成前に解除された場合において、請負人は、既にした仕事の結果が一定の要件を満たすときは、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができるとされていますが、これは、当事者が合意により請負契約を解除した場合をも含むと考えられます。もっとも、解除の合意の中で報酬について634条の内容と異なる合意がなされていればそれにしたがうことになります。

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2018年6月13日 (水)

改正民法の下における請負契約で、注文者に帰責事由にあって仕事を完成することができなくなった場合の責任分担はどのようになりますか

Gf1140018782


 改正民法では、注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった場合には、既にされた仕事の結果のうち、可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、請負人は、その利益の割合に応じて報酬を請求することができるとしています。

 一方、注文者に帰責事由にあって仕事を完成することができなくなった場合には、債権者は、反対給付の履行を拒むことができないことから(民536条2項前段)、仕事が未了の部分も含めて報酬全額の債務を負うことになり、債務者は、自己の債務を免れたことによる利益の償還をしなければならないということになります(民536条2項後段)。

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2018年6月12日 (火)

改正民法の下における請負契約で、請負人が割合的な報酬を請求する場合の帰責事由についての主張立証責任はだれが負担しますか

Gf1140018748


 改正民法では、注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった場合には、既にされた仕事の結果のうち、可分な部分の給付によって注文者が利益aを受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、請負人は、その利益の割合に応じて報酬を請求することができるとしていますが、この場合、請負人は、注文者に帰責事由がないことについてまで主張立証をする必要はないと考えられます。

 一方、注文者に帰責事由にあって仕事を完成することができなくなった場合には、債権者は、反対給付の履行を拒むことができないことから(民536条2項前段)、報酬全額の請求が可能となります。この場合には、請負人は、注文者の帰責事由について主張立証する必要があると考えられます。

 なお、この場合、請負人は、自己の債務を免れたことによる利益の償還をしなければならないということになります(民536条2項後段)。

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2018年6月11日 (月)

民法改正により、請負契約の報酬についてはどのように定められましたか

Gf1140018735


 改正民法634条では、注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった場合又は請負が仕事の完成前に解除された場合において、請負人は、既にした仕事の結果が一定の要件を満たすときは、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができるとされました。

 旧民法では、仕事が中途で完成しなかった場合の報酬については規定されていませんでした。しかし、判例では、民法641条に基づき仕事の完成前に請負が解除された事案や仕事の完成前に請負人の債務不履行を理由に請負が解除された場合であっても、中途の結果によっても注文者が利益を受けている場合には、請負人がその利益の割合に応じた報酬を請求することを認めていました(大判昭和7年4月30日、最判昭和56年2月17日)。

 これに加え、このような割合的な報酬の請求は、判例で認めていたような請負が解除された場合に限らず、仕事の完成前に請負人の債務の履行ができなくなった場合には一般的に認めるのが合理的であると考えられます。
 そこで、改正民法ではこれらを明文化しました。

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2018年6月 8日 (金)

諾成的消費貸借において、契約により、「借主は目的物交付前に消費貸借契約を解除することができない」と定めることはできますか

Gf1140018728


 改正民法においては、諾成的消費貸借の借主は、目的物を受け取るまでは、契約の解除をすることができることとしましたが、これは、契約成立後において、必要性が消滅しているのに借主に借入れ強いるのは不合理だからであり、強行規定であると解されています。

 したがって、当事者間の契約において「借主は目的物交付前に消費貸借契約を解除することができない」と定めることはできないものと考えられます。

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2018年6月 7日 (木)

改正民法において、諾成的消費貸借の借主が目的物を受け取るまでに契約を解したことにより貸主に損害が発生した場合には、貸主は損害賠償の請求をすることができるとされましたが、具体的にどのような損害を想定すればいいですか

Gf1140018727


 この場合に貸主が損害賠償請求できる損害とは、貸主が金銭等を調達するために負担した費用相当額等と考えられます。現実に目的物の交付を受けていないのですから、弁済期までの利息相当額を損害とすることは考えららません。

 もっとも、貸主が金融機関や貸金業者であって借主の解除により貸付けができない場合でも資金を他の貸付先に流用することが容易にできる場合には、損害は発生しないものと考えられます。

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2018年6月 6日 (水)

改正民法による諾成的消費貸借が成立した後に、目的物が交付される前に借主が目的物を借りる必要がなくなってしまった場合でも借主は目的物を借りなければならないでしょうか

Gf1120410260


 たとえば、100万円について諾成的消費貸借契約が成立し、貸主が借主に100万円を交付する前に借主が別の資金調達をして借りる必要がなくなったとします。

 しかし、契約の拘束力からすると、貸主は貸す義務を負い、借主は100万円を返済する義務を負うことになります。しかし、必要性が消滅しているのにそれぞれに義務を強いるのは不合理です。

 そこで、改正民法においては、諾成的消費貸借の借主は、目的物を受け取るまでは、契約の解除をすることができることとしました。

 しかし、借主からの契約解除によって貸主に損害が発生した場合には、その損害を貸主が負担するのは不合理であることから、貸主は損害賠償の請求をすることができるとされました。

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2018年6月 5日 (火)

民法改正で規定された諾成的消費貸借契約と、従来の消費貸借契約とは併存するのですか

Gf1120403895


 「従来の消費貸借契約」とは要物契約としての消費貸借契約という意味であると思われますが、諾成的消費貸借契約が規定されたからといって要物契約としての消費貸借契約がなくなるというわけではありません。

 また、諾成的消費貸借契約が規定されたからといって書面が作成されれば常に諾成的消費貸借契約になるということではなく、書面中に「目的物の交付によって消費貸借の効力が生ずる」という特約が定められていれば要物的な消費貸借を書面によって成立されることも可能です。

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2018年6月 4日 (月)

民法改正で規定された諾成的消費貸借契約が書面による契約に限定されている理由は何ですか

Gf1120226718


 諾成的消費貸借契約とは、合意のみによって消費貸借契約の成立を認めるものです。したがって、諾成的消費貸借契約が成立すると、契約の効果として、貸主には貸す義務、借主には借りる義務等様々な権利や義務が発生します。

 このように、合意のみによって様々な権利義務関係が発生してしまうことから、軽率に消費貸借契約が成立してしまうことを防止するため、諾成的消費貸借は、消費貸借の合意に書面がある場合に限ってその成立を認めることとされました。

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2018年6月 1日 (金)

民法改正で諾成的消費貸借契約が認められるようになったとのことですが、どのような契約ですか

Gf1120100096


 諾成的消費貸借契約とは、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約束し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約束することで成立する契約です。なお、諾成的消費貸借契約は、書面により合意することが必要とされています。

 民法改正前は、消費貸借契約は、金銭等の目的物が相手方に交付されたときに成立する要物契約とされていましたが、判例では、(最判昭和48年3月16日)では、当事者間の合意のみで貸主に目的物を貸すことを義務付ける契約が認められていました。

 これは、金銭貸借ついて貸主と借主が合意したにもかかわらず、借主からの金銭の交付請求を貸主が拒絶することができてしまうのでは、確実に融資を受けたいと考えていた借主にとって不都合であるからです。

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