カテゴリー「日掛け訴訟」の記事

2006年12月 1日 (金)

掛川の陣、終息

Sさんへ
本日、掛川簡裁で、日掛業者と保証会社を相手にした訴訟で和解をしました。
訴額は133万円、弁済として支払ったお金と保証会社へ支払った保証料の全額から借入金額を単純に差し引いた金額133万円を支払え、と提訴したものでしたが、結局100万円を支払ってもらうということで和解しました。

利息制限法で計算すると、過払額は20万円程度でしたので、保証料事件としてはまずまずの成果だったこと、依頼者も早期解決を望んでいたことから和解することにしました。これで、保証料掛川の陣は終息させます。

 これからは、浜松でいくつかの保証料事件が本格的な弁論に入っていきます。Sさんも斬新な理論で保証料事件に取り組んでおられますが、私も、遅ればせながら参戦していきます。

 また、浜松では、車金融に対し、2件の提訴をする予定です。この事件は、「マイカーキャッシング」という広告に釣られて融資を申し込んだところ、車の売買という形式で車を引き取られ、車の返還を希望するなら売買代金に手数料を上乗せして支払うというものです。この手数料を利息に換算すると、片方の事件は168%、もう一方の事件は60%にもなるというものです。この実質は、車を譲渡担保にした融資に他ならないと思います。訴訟では、貸金業規制法42条の2による契約の無効、公序良俗違反による契約の無効を主張し、車の返還を求め、車を担保に借りた金銭については不法原因給付を理由に支払いを拒絶する予定です。

 いいお知恵がありましたら、また教えてください。
今日の掛川は、少し肌寒かったですが、澄み切った青空が広がっていましたよ。

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2006年9月 2日 (土)

損害賠償請求の額

6-3 損害賠償請求の額
   不当利得返還請求においては全額説が成り立つことを立論したが、不法行為による立論において、日賦貸金業者及び保証会社双方に対し、借主が支出した返済金及び保証料の全額を訴求することができるのであろうか。
   この問題については、その全額を訴求することはできず、支出総額から借入額を控除した額しか訴求できないのではないかと考える。なぜなら、不法行為による損害賠償は、違法な行為によって生じた損害を補填するためのものであるからである。
   このため、現実の対応としては、支出総額>借入額の場合にはその差額について損害賠償を訴求することとなり、支出総額<借入額の場合には日賦貸金業者の貸金返還請求または保証会社の求償債務履行請求に対し不法原因給付の抗弁を提出することになるのではないかと考える。
   なお、支出総額<借入額の場合に債務不存在確認訴訟を提起することができるかは疑問であるとする説も考えられる。なぜなら、不法原因給付は抗弁として主張することが想定されたものであり、公序良俗違反という、もともと法が保護を予定していない状況において積極的な主張として扱うことはできないとも考えられるからである。
   しかしながら、そうであるからといって、このような不安定な状態に法は全く助力しないと考える必要もないのではないかと思われる。現状の法律関係の確認手段として、債務不存在確認訴訟が認められてもいいのではないかと思われる。

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2006年9月 1日 (金)

不当利得返還請求と損害賠償請求は競合するか

6-2 不当利得返還請求と損害賠償請求は競合するか
   不当利得返還請求が可能である場合であっても損害賠償請求として法律構成することが可能であるのか、すなわち、不当利得返還請求と損害賠償請求は競合するかという問題をクリアする必要がある。
 (1)競合説(肯定)
   ・福岡高宮崎支判昭和59.11.28(判タ549号205頁)
    「両請求は選択的併合の関係に立つ」
   ・奈良地判昭和57.3.31(判タ476号145頁)
    「両請求をいわゆる選択的併合の関係として処理するか、不真正連帯請求類似の関係として処理するか、また、執行段階で調整すれば足りるとして処理するかといった問題は残ると留保付で、併合を適法としている」
   ・大阪高判昭和43.4.24(判タ221号140頁)
    「不法行為と不当利得はともに正義衡平の観念に基づくとはいえ、その直接の目的は、不法行為は損失填補であり、不当利得は財産的価値移動の調整であるから、自ら両者の要件と効果は異なるとしなければならず、両請求権の併存を肯認するゆえんもここにある」
 (2)非競合説(不当利得優先説)(否定)
   ・大阪地判昭和58.3.1(判時1068号27頁)
    「過払分の清算措置を講じてもなお現実の損害が発生した場合に限って責任が問われるべき関係にある」
   ・大阪高判昭和58.11.25(行集34巻11号1999頁)
    「不当利得返還請求権が時効消滅したとかの事情のない限り、不当利得返還請求権の行使が可能であるから、損害は生じていない」
 (3)非競合説(損害賠償優先説)(否定)
   ・富山地判昭和45.9.7(判タ253号142頁)
    「損害賠償請求が可能である部分については不当利得が成立しない」と解されるような判旨

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2006年8月31日 (木)

共同不法行為

6-1 共同不法行為
   数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する(以上、民法719)。
   判例は、主観的共同の認識を必要とせず、共同を「客観的に関連共同」していればよいとの意味に解している。しかしながら、1項の共同不法行為が成立するためには、各人の行為は独立して不法行為の要件を具備していなければならない。日賦貸金業者はともかく、保証会社が独立して不法行為の要件に該当するかは検討を要するところである。
   しからば、不法行為者は日賦貸金業者、幇助者を保証会社として構成できないか。

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2006年8月30日 (水)

保証会社に対する責任追及

6 保証会社に対する責任追及
   以上みてきたとおり、公序良俗違反、不当利得返還請求、不法原因給付の抗弁により、日賦貸金業者、保証会社それぞれに対する請求について、一応、理論的な筋道が立てられると思われる。
   しかしながら、果たして、そうした対応だけで、「新たなグレーゾーン」である保証料の問題に一石を投じることができるのであろうか。日賦貸金業者と保証会社との連帯責任=連帯債務として考えることはできないだろうか。

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2006年8月29日 (火)

不当利得として返還を求める額

5-2 不当利得として返還を求める額
(1)全額説
    債務者の損失は債権者に対して支払った弁済金全部であるとする説
 (2)差額説
    債務者の損失は債権者に対して支払った弁済金から貸付金として受領した金額との差額
 (3)判例の動向
    金銭消費貸借契約を無効とする判例は、最近のものでは「ヤミ金」に関するものがほとんどであり、全額説と差額説のいずれの判断も見られる。
   ア 全額説を採用したもの
    奈良地判平成15年7月1日 「新ヤミ金融対策マニュアル」74頁
                   全国ヤミ金融対策会議編
    札幌高判平成17年2月23日「主要判決速報」札幌高裁HP
    札幌簡判平成12年9月13日「新ヤミ金融対策マニュアル」66頁
    掛川簡判平成14年6月14日「新ヤミ金融対策マニュアル」75頁
    右京簡判平成14年11月19日「新ヤミ金融対策マニュアル」75頁
    藤沢簡判平成14年11月28日「新ヤミ金融対策マニュアル」75頁
   イ 差額説を採用したもの
    東京簡判平成14年10月21日(平成14年(ハ)11332)
    東京簡判平成14年12月2日「新ヤミ金融対策マニュアル」73頁
 (4)私見 ―全額説―
   訴訟の構造としては、借主が、貸主に対し、被害者が支出した損失の全額を請求するということになるので全額説ということになろう。仮に、貸主から貸付した金額の返還を求められれば、借主としては不法原因給付の抗弁を提出して貸主の主張を封じることになる。
   なお、民法703条は「利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」と規定しているが、これは、受益者が善意であることを前提とした規定である。受益者が悪意の場合には、民法704条により「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う」とされる。
   したがって、日賦貸金業者に対しては支払った返済金の全額を、保証会社に対しては支払った保証料の全額を請求することができると考えられる。

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2006年8月28日 (月)

消費貸借契約が無効な場合の効果

5 消費貸借契約が無効な場合の効果
5-1 原状回復機能
公序良俗に反する行為は無効であり、その契約に基づく履行を請求したり、その不履行に対して損害賠償の請求をしたりすることはできない。
また、給付(履行)がなされた場合には、本来ならば不当利得返還請求ができる筈であるが、民法708条の不法原因給付となり、その返還請求は認められないこととなる。つまり、民法90条と同法708条は表裏一体の関係にあり、公序良俗違反行為については法的保護を拒否する機能を果たしている(基本法コンメンタール「民法総則」159頁)。しかしながら、不法の原因が受益者のみにある場合は、他方は不当利得の返還を請求することができることになっている(民法708条但書)。
つまり、日賦貸金業者の消費貸借契約そのものが公序良俗違反で無効となる場合には、日賦貸金業者は消費貸借契約にもとづく履行の請求はできず、既に債務者が返済をしている場合には、不法の原因は、その受益者である日賦貸金業者にのみあるものと考えられるから、返済をした者は不当利得の返還を請求することができることとなる。

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2006年8月27日 (日)

公序良俗違反の場合の判例の推移

4-5 公序良俗違反の場合の判例の推移
   「公序良俗と契約正義」(大村敦史、有斐閣)に、利息に関し暴利行為による公序良俗違反が問題とされた昭和13年から昭和39年までの17例がまとめられている。このうち、無効が肯定されたものは4件、否定されたものは13件となっている。
   肯定例4件は、いずれも消費貸借自体ではなく利息のみを無効とするものであり、さらに、このうち3件は利息についても一定限度(利息制限法を基準にしているものが多い)を超える部分のみを無効とするものである。
   しかしながら、「高利金融業者を被告とする事件における理論的な問題点」(「市民と法」33号37頁 藤岡謙三)にまとめられた昨今の例では、利息契約のみならず消費貸借契約自体を無効とするものが増加している。
   これは、先に定立した公序良俗の概念である「人間の健全な社会的共同生活を維持するために守らなければならない一般的規範」が時代とともに変化していることの反射的効果であると思われる。

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2006年8月26日 (土)

4-4 公序良俗違反の要件事実は何か

4-4 公序良俗違反の要件事実は何か
 (1)「公序良俗」の意義
   公序良俗違反により無効というためには、「公序良俗」の意義自体が具体化されなければならないが、これに関しては民法典制定の際から諸説があり、確定した定義がなされていないものと思われる。とりあえず、ここでは、「人間の健全な社会的共同生活を維持するために守らなければならない一般的規範を示す」ものとされ、「行為の社会的妥当性を意味する総合的抽象的概念」(基本法コンメンタール「民法総則」152頁)としておく。
   むしろ、ここでは、公序良俗違反の類型を示すことにより、公序良俗の概念を浮き上がらせることとしたい。
 (2)公序良俗違反の類型
   ① 人倫に反する行為
   ② 正義観念に反する行為
   ③ 自由・平等に反する行為
   ④ 暴利行為または不公正な取引方法
   ⑤ いちじるしく射倖性の強い行為
 (3)暴利行為に関する主張・立証についての判例の考え方
   暴利行為による公序良俗違反は、単に「率が高い」(客観的要件)というだけで暴利行為にあたると認定されるのか。判例の変遷を見ると、客観的要件の充足により公序良俗違反を認定しているものもあるが(大判昭和7年4月8日民集11巻582頁)、「他人の窮迫・軽率・無経験に乗じて」不当な利益を得るという主観的要件をも必要とするというのが一般的理解であると思われる。
   そして、主観的要件を主張しない、ないし主張が足りない、または主観的要件を満たさないとして公序良俗違反の主張が排斥されている例が見られるので注意を要する(最判昭和32.9.5判タ75号41頁、最判昭和35.6.2判時225号15頁、東京簡判平成14.10.4未登載、東京簡判平成14.10.24最高裁HP「下級審判決情報」)。

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2006年8月25日 (金)

出資法は強行規定である。その意味は・・・

4-3 出資法は強行規定である。その意味は・・・
   「公序良俗入門」(商事法務研究会)55頁に、「出資法5条2項違反(高金利処罰規定)は、他の法律との関係で、効力規定といってよいが(貸金業の規制等に関する法律43条2項3号参照)」という行がある。これは、一見、「出資法5条2項違反の法律行為は無効である」と読めそうであるが、著者の意図するところは違うのではないのかと考える。
   すなわち、「他の法律との関係で」として貸金業規制法43条2項3号を参照と括弧書きしてあることから、単に、出資法超過部分の利息は貸金業規制法43条1項所定のみなし弁済規定が適用されることはなく、その限りで無効と読めるのである。
   なお、その場合は、結局のところ、各書面に記載された金額等が43条の要件を満たさないことになるので利息に関して43条が適用される余地がなくなり、利息制限法で解決するということになろうが、いずれにしても、著者は、利息契約に関して出資法の金利を超える部分は効力を生じないと言っているにすぎないのではないか。そうすると、出資法超過の利息契約を締結したことの一事をもって金銭消費貸借契約自体の効力が否定されることにはならないのではないかと考える。
   一方、東京地判平成15.8.26(未登載)は「出資法は取締法規であるとともに、所定の金利を超える著しく高利の約定で貸付けを行った者等に対し刑事罰を科すことを定めた刑罰法規であり、同法に違反した契約の私法上の効力について直接定めているものではないから、利息の合意が同法に違反しているからといって直ちに同契約の私法上の効力が否定されるものではない」と判示している。

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