カテゴリー「裁判一般」の記事

2017年5月18日 (木)

「裁判官の裁量には勝てぬ」が不思議な事が起こるものだ

Img_1187


 被告らの中に判断能力が不十分と思われる方がいて、その親族からの報告書をもとに民事訴訟法上の特別代理人を申し立てたところ、裁判所から「医師の診断書を提出せよ」という指示がなされた。こちらは原告の代理人であるが、そこまで被告の親族に協力してもらうことはできないので、当該被告の訴訟能力について調査嘱託の申立てをした、というところまでブログに書いた。

 実は、当該被告が入所している施設は、私が成年後見人となっている成年被後見人も入所している施設であるが、実は、今日、当該成年被後見人との3カ月に1回の面談をするため、その施設を訪れた。

 すると、職員の方が開口一番、「見て欲しい書類があるんですが」と青ざめた顔をして封筒を差し出した。

つづきを見る

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年5月16日 (火)

裁判官の裁量には勝てぬ

Img_1062

 先日、「考えてみれば、被告が50人もいたら訴状の送達に問題が生じるのは必然だった」の中で、次のようなことを書いた。

「多くの場合、訴訟を提起した後に、被告の中に判断能力が衰えている高齢者がいることが判明する。訴状を裁判所に提出すると裁判所は被告ら全員に訴状副本を送達するが、その際に、家族から「本人はとても内容を理解できる状態にはない」という情報が裁判所に寄せられて発覚するのである。

 このような場合、裁判所から原告代理人である私に、「被告の○○さんは高齢で判断能力が劣っており、内容を理解できないということですので検討をお願いします」という電話がかかってくるのである。

 「検討をお願いします」と言われても、相手である被告のご家族に、この裁判のためだけに成年後見人を選任して欲しいなどと言うことはできない。なぜなら、そもそも、この裁判自体、相手方にすれば突然降って湧いたような迷惑な裁判で、原告の都合で起こした裁判であることに加え、いきなり「被告」として訴えられてしまったわけだから、被告のご家族に対し、成年後見人を選任するという重い手続きをとってもらうことは不可能なのである。

 では、「検討をお願いします」というリクエストに対しどのように応えるか。こうした場合、原告の申立てにより、この裁判だけのための当該被告の代理人を裁判所に選任してもらう方法がある。根拠は、民事訴訟法35条の特別代理人の規定だ。」

 実は、これは現在進行形の事件であるが、早速、ご家族に本人の状態と、いつからどこの施設に入っているかについて記載していただいた書面を添付し、民事訴訟法35条の特別代理人の規定をしてもらうよう、裁判所に申し立てた。

ところが、である。

続きを見る

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年5月10日 (水)

考えてみれば、被告が50人もいたら訴状の送達に問題が生じるのは必然だった

Img_1020


 このところ、毎年のように、原告の代理人となり、10人から50人ぐらいの相手方を被告として訴訟を提起することがある。内容は、時効取得による所有権移転登記手続を求めたり、妨害排除請求としての抵当権抹消登記手続を求めるなどの登記手続を求める訴訟である。
例えば、時効取得による所有権移転登記手続を求める場合、相手方は占有開始時の所有者であるが、その方に相続が発生しており、また、その相続人が後日亡くなってさらに相続が発生しているような場合、登記手続に協力してもらわなければならない方が次々と増えていくこととなる。

 古い時代の抵当権の抹消も同様に、当時、登記手続きがされていれば何の問題もないのだが、登記手続がされていないために次々と相続が発生し、相手方が増えていってしまうのである。

 もちろん、そうした相手方全員の任意の協力のもと、登記書類に押印をいただいて登記手続を進めることは理論上は可能である。しかし、多くの場合、相手方の一部が遠隔地に居住していて任意の協力が困難であったり、登記手続における印鑑証明書の期限である3か月内に全ての書類をそろえるのが不可能と見込まれることが多い。

ところが

続きを見る

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月25日 (日)

訴訟代理人は依頼者にストーリーを語らせよ -訴訟代理人の極意-

Img_0012


(本稿は、「月報司法書士」2016年9月号に寄稿したものです。内容は、一部事案を変更し、または複数の事案を組み合わせています)

 

1.心地よい疲れ

 浜松と静岡の中間点より浜松寄りのこの裁判所から事務所までは車で40分ぐらいだが、夕刻に家路を急ぐ車で天龍川を渡る橋は渋滞し、1時間経ってもまだ浜松市内に入れない。それでも私は、自分の依頼者に対する尋問に加え、通訳を介して行ったフィリピン人、中国人に対する延4時間に亘る尋問のほとぼりが冷めず、ハンドルを握りながらニヤニヤしていたに違いない。
 それは、単に、尋問を終えた達成感ということではなく、裁判官に原告のストーリーを伝えることができたという満足感から出た笑みだった。

2.やむなく受任

 実は、この事件は”やむなく”受任した事件であった。
 1年半程前、ある司法書士から「訴訟を受けてやってくれないか」という話があり、Xの相談を受けることになった。

 Xは40歳過ぎの女性であり、深夜勤務中に同僚の中国人の女性Yがフィリピン人の女性Aと携帯電話でわいせつな動画を見てふざけていたが、これをXも見るようにと強制してきたのでXは拒絶をした。しかし、Yが執拗にXに迫ったため揉み合いになった。そして、Xは、柔道の足払いのように投げ飛ばされ、そのあとYが馬乗りになってXの首を絞めてきた。

 Xは死ぬかと思ったが、その瞬間にAが間に入って二人を離した。Xは頸椎捻挫、右膝打撲傷を負い、8日間の休業を余儀なくされ、通院も4カ月に及んだ。

 Xは弁護士に依頼して、YとYを雇用しているZ社に対して損害賠償請求の調停を起こしたが、Yが出頭せずに調停は終了。Xの弁護士は、「これ以上はできない」と訴訟を引き受けてくれなかったため、Xは調停申立書を真似して訴状を作り、自分で訴訟を提起した。

 すると、被告Yに弁護士がつき、全面否認してきた。それに加え、Yの弁護士はXの作成した訴状に書かれた文章のひとつひとつに難癖をつけてきた。

  Xは、これ以上自分で訴訟遂行することはできないと考え、あっちこっちに相談した。しかし、代理人を引き受けてくれる弁護士や司法書士は見つからず、回り回って私のところに辿り着いたという。

  相談を受けているうち、代理人の引き受け手がなかなか見つからない理由はなんとなくわかった。

つづきはこちら
http://chuogodo-hamamatsu.info/%e8%a8%b4%e8%a8%9f%e4%bb%a3%e7%90%86%e4%ba%ba%e3%81%af%e4%be%9d%e9%a0%bc%e8%80%85%e3%81%ab%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%92%e8%aa%9e%e3%82%89%e3%81%9b%e3%82%88%e3%80%80%e3%80%80/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年8月 5日 (金)

当事務所は法テラスの契約事務所です。相談の結果、法テラスの民事法律扶助の利用をご希望される場合には、当事務所を通じて法テラスに援助の申込みをすることができます

Af0100010770


 法テラスで行っている民事法律扶助業務とは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあった時に、無料で法律相談を行い(「法律相談援助」)、弁護士・司法書士の費用の立替えを行う(「代理援助」「書類作成援助」)業務です。
 扶助事業の対象者は、国民及び我が国に住所を有し適法に在留する外国人です。法人・組合等の団体は対象者に含まれません。

 ところで、法テラスを利用できる『経済的に余裕がない方』とは、どういう方なのでしょうか。原則的には、下記のような方々が対象となります。

続きを見る

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年5月 5日 (火)

事件簿 ~支払督促には既判力はない

Af0100000728

「どこの法律相談へ行っても、この書類を見た瞬間に『これじゃあどうしようもないですよ』と言われるだけなんです。どうしようもないから相談に行っているのに」

相談者は、そう言って、債権差押命令と書かれた書類を見せてくれた。
一瞬、「ああ、やっぱりこれではどうしようもないな」という感想が頭をよぎった。

こうした、差押命令が裁判所から発せられるためにはそれなりの根拠があるからであり、一般的には、判決などによって事実関係が司法の場において判断された書類(「債務名義」と呼んでいる)の存在を前提として行われる。
だから、そうした判決などの後に事情の変化があったというならまだしも、今更、判決などの前提となった事実関係が間違っていると言っても手遅れなのだ。

つづきを読む

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月29日 (火)

こういうこともあるのですね(多少説明不足のところはありますが、わけがわからない事件です)

 賃料未払いにより賃貸借契約を解除し、建物明渡訴訟を提起した。そうしたところ、被告である賃借人と連帯保証人に「宛所に尋ねあたらず」を理由に訴状が送達できないという連絡が裁判所からあった。おかしい。訴訟を提起する直前に、賃借人に対して賃貸借契約解除通知を郵送し、賃借人はそれを受領しているのだ。そこで、集配をした郵便局に確認したところ、賃借人の住所には人が住んではいたが「宛先に書かれているその男はここには住んでいない。今後、この者に対する郵便はここに持ってこないでくれ」と言われたとのことだ。これは変だ。虚言だとしたら、こりゃ、相当慣れた、悪い奴だ。

 そこで、万が一のことがあってはならないので、共同代理人である野々垣司法書士といっしょに掛川市の南部の方まで賃借人を訪ねて現地調査に出掛けた。

 この地方は農村地帯であるが、全国的にも有名になった浜岡原子力発電所が近く、全国から労働者が流れ込んでは去っていくという話を聞いたことがある。現地で目的地のアパートの所在場所がわからなくなったので、たまたま自転車で通りかかった人に道を聞いたところ、日本人のように見えたが、実際は外国人だった。労働者の流入は、全国的どころか国際的になっているようだ。結局、外国人の指した方向には目的地はなく、反対方向で目指していたアパートを見つける。

 駐車場に車を止め、車の中で、不動産業者からもらっている賃借人の顔写真を頭にたたき込み、もし本人がいて、しらばっくれるようだったら顔写真をとるように、野々垣司法書士と打ち合わせる。そして、外階段を上り、部屋の呼び鈴を押した。夕方にさしかかり、今日は特別に寒い。待っていても中からの反応がないので、手早く電気のメーターやポスト、ガス栓などの写真をフラッシュを光らせながら写真を撮る。

 そして、隣の部屋の住人に話を聞く。「いる筈だけどね」という言葉に意を強くして、もう一度ドアを何度か叩く・・・・・。いた。中からドアのロックをはずす音がして、ドアがゆっくり、5センチほど空いた・・・。

 あれ、本当に写真とは違う人だ・・・・。あなた、誰? 訪問の理由を話すと、「僕は、○○と言いますが、ちゃんと大家さんと契約して済んでいます。家賃もちゃんと払ってますよ」という。

「はあ?」何が何だかわからん。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月27日 (水)

貸金庫内の動産を差し押さえる方法

「貸金庫に遺言書をしまっておいてはいけない」という記事を書いている過程で、おもしろい判例を見つけた。

仮に、依頼者が債権者の立場にあるとして、債務者が契約している銀行内の貸金庫内にあるものを差し押さえて債権回収したいと考えた場合、どのように考えるか。
まず考えるのは、動産執行であろう。しかし、以前は、銀行には動産の占有権限がないと考えられていたため、銀行に貸金庫を開けることを拒否され(通常、銀行と貸金庫利用者の両方の鍵がないと貸金庫は開けられない)、その結果、強制執行は困難な状況にあった。

しかし、最高裁平成11年11月29日は、貸金庫の内容物については、貸金庫利用者と銀行の双方が占有権を有するとして、銀行は強制執行を拒否することができないと判断した(現在、銀行の現実の取扱いがどうなっているかは知らない)。

さて、本件の場合、着目したいのは、債権者のとった手法が動産執行ではなく債権執行だったということだ。債権者は、銀行を第三債務者として、債務者が銀行に対して有する貸金庫内容物の引き渡し請求権を差し押さえたのだ。

通常、債権執行をするためには、執行の対象となる債権を特定しなければならない。したがって、仮に貸金庫の中に宝石が入っているのであれば、どんな宝石であるのかを特定したうえで引渡請求権を特定する必要がある。しかし、貸金庫に何が入っているのかは、通常はわからない。
Dsc_0238
しかし、この判例では、銀行は、貸金庫契約の定めるところにより、利用者が内容物を取り出すことのできる状態にするよう請求する利用者の権利は、内容物の引渡しを求める権利にほかならないとした上で、「この引渡請求権は、貸金庫の内容物全体を一括して引き渡すことを請求する権利という性質を有するものというべきである。」とした。つまり、貸金庫利用者は、1個1個の動産の引渡請求権ではなく、包括して引き渡せという1個の請求権が存在していると認定した。そのため、内容物を特定しなくても債権執行が可能であると判示した。

この判例では、貸金庫利用者と銀行の双方が占有権を有するとして銀行は強制執行を拒否することができないとしているところから、動産執行もできるのではないかと思われるが、この事案のおもしろいところは、動産を換価する手法として、動産そのものではなく、動産の引き渡し請求権を執行対象としているところだ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年6月 1日 (金)

公示送達と郵便に付する送達(野々垣バージョン)

両方とも相手方受け取らない場合に行う送達方法だが、公示送達は行方不明の場合、郵便に付する送達は居留守を使っているような場合に行う。
これらの効力の違いについて説明があった。

Dsc_0205
公示送達については犠牲自白にならないので立証必要、送達は初回は掲示から2週間後、以降は掲示の日。
郵便に付する送達は被告欠席は犠牲自白となり、送達は発信主義。

送達日が異なるため訴訟等で意思表示をしている場合に、意思表示の効力発生日が異なるので注意。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2012年5月31日 (木)

網入りガラスの破損についての裁判例

横浜地裁平成8年3月25日(原審 保土ヶ谷簡裁平成7年1月17日)では、敷金返還請求訴訟の中で、次の修繕費が問題となった。
①畳六畳の裏返し
②洋間カーペットの取り替えならびに洋間の壁・天井、食堂、台所、洗面所、トイレ、玄関の壁・天井の張り替え
③網入り熱線ガラス二面張り替え
④トイレ備え付けタオル掛けの取り付け

このうち、③については「網入りガラスは、熱膨張により破損しやすいところ、Xが破損に何らかの寄与をしたとは認められない。」として修繕費は認められず、全額大家さん負担となった。

そこで、網入りガラスについて調べてみると、有限会社伝ガラス店のホームページに次のような記載があった。

Dsc_0204

主に網入りガラスに起こる現象です。見かけた方もあるかと思われますが硝子に稲妻が走ったようにクラック・ヒビが入ってしまった状態です。(ぶつけて割れてしまった状態とは明らかに違います。)
硝子の表面は日光が当たると温まり膨張しますが、サッシにのみ込まれた部分のガラスは 温まらずに温度差が生じます。簡単にいいますとこの温度差が熱割れの原因なのですが、その差が著しいほど熱割れの危険性は高くなり、サッシの取り付け状態、日陰の状態、ガラスの大きさ、などの条件にも左右されます。
熱割れを防ぐにはガラスの内側にカーテンやブラインドを密着させないこと、冬季において暖房の風をガラスに直接当てない事、強い照明を当てない事、ガラスにフィルムやシールを貼ったり塗装をしないなど等を守ってください。 サビ割れは結露や横から吹き付けた雨などが、何らかの原因でガラスの小口に到達し、その水分を吸収した鉄線が時間をかけて膨張しクラックが入った状態をいいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧