カテゴリー「利息制限法」の記事

2008年12月 9日 (火)

改正利息制限法 講義録 19

最後に、債権者の通知義務、8条8項です。

__50  これまで見てきました保証料の制限は、債権者が保証料についてさほど関心がないのに対して、保証人は主たる債務の利息に関心を有していることを前提として、利息と保証料の合計額が法定上限額を超過した場合には、保証料の一部を無効とする、と言う具合に構成されていました。

しかしながら、保証人が予期することのないままに、利息と保証料の合計額が法定上限額を超過してしまう場合も想定されます。

たとえば、80万円の融資について、保証人が、18%で計算された法定上限額の範囲内で保証料を取得したとします。ところが、実は、この債権者は、同じ債務者に住宅ローンも融資していたため、同時貸付けの特則が適用されて、15%の上限利率が適用されてしまったとします。
そうしますと、15%を超過する部分の保証料は無効ということになってしまいます。

そこで、追加貸付の特則や同時貸付の特則により適用利率が異なることになったときですとか、主たる債務についてすでに他の保証契約があって保証料の額が制限される場合などには、債権者は、あらかじめ、保証人となるべき者に対し、その旨の通知をしなければならないこととしました。

そして、もしも、このような場合に債権者が通知を怠ったときは、これによって保証人に生じた損害を賠償する責任を債権者に負わせることにしています。

 以上で改正利息制限法の解説を終わります。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2008年12月 8日 (月)

改正利息制限法 講義録 18

次に、みなし保証料です。

__48  保証契約に関して、保証人が主たる債務者から受ける保証料以外の金銭については、一定の金額を除いて、礼金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、保証料とみなすこととしました。

その、「一定の金額」といいますのは、契約の締結または債務の弁済の費用のうち、公租公課の支払いに充てられるべきもの、強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの、主たる債務者が弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料であって弁済額が1万円以下は105円、1万円超は210円の範囲内のもの、弁済に用いるため主たる債務者に交付されたカードの再発行の手数料などです。

__49 もうお気づきのように、「みなし利息」と平仄を合わせているわけでして、これらの規定の趣旨は「みなし利息」と同じでありますから、細かな説明は割愛させていただきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 5日 (金)

改正利息制限法 講義録 17

次は、二重保証の場合の特則です。

__47  改正利息制限法では、業として行われる保証が複数ある場合についても想定して保証料の制限規定を設けています。

このような二重保証の場合には、後発的に行われた保証料については、これまで見てきました保証料の額の範囲から、先行して行われた保証料の額を差し引いた金額の範囲で認めることとしています。したがって、先行保証と後発保証の保証料の合計額が保証料の制限を超過する場合には、その超過した部分について、後発保証料の額を無効とすることにしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 4日 (木)

改正利息制限法 講義録 16

さて、次は、根保証の場合の扱いです。

 根保証(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証をいう。以下同じ)である場合には、その保証料が主たる債務の元本に対する割合をもって定められている場合を除き、保証契約のときに現に存する主たる債務の元本に係る法定上限額とすることとされました。
 
このように、根保証の場合には、法定上限額の算出時を保証契約締結の時とし、同時期の主たる債務の元本によって計算することとされました。ただし、保証料が主たる債務の元本に対する割合をもって定められている場合は本項の適用はありません。

 根保証契約の際における保証料の定め方も様々なパターンがあると思いますが、未だ融資は実行されていないのに、保証料については、たとえば、一定の根保証額を基準にして一定の率で確定額を算出するというような場合には、未だ発生していない債務額を基準として定めた保証料額と実際の債務額に対する利息を、法定上限額で合理的に規制することができません。

そこで、保証料が主たる債務の元本に対する割合をもって定められている場合を除いて、法定上限額を保証契約のときに現存する主債務の元本に係る法定上限額に固定することにより、法定上限額における利息と保証料額の割当てのバランスを図ろうとしているものと考えられます。

__42 そして、根保証の場合も、主たる債務が固定利率の場合には法定上限額の範囲で保証料を考えるということになりますし、変動利率の場合には、特約上限利率の定めがあるかどうかによって、保証料の制限がある方が変わってくるということになります。画面は、固定利率の場合のイメージです。

次の画面が、変動利率で特約上限利率の定めのある場合のイメージです。

__43

そして、次の画面が、変動利率で特約上限利率の定めのない場合のイメージです。

さて、そうしますと、実は、保証人にとっては誠に酷な結果となってしまうことがあります。根保証契約を締結したが、未だ融資は実行されていないという例を考えてみて下さい。
その場合、「保証契約のときに現に存する主たる債務の元本に係__44る法定上限額」ということですが、主たる債務の元本はゼロですから、法定上限額もゼロです。つまり、保証人は保証料を全くもらうことができなくなってしまうわけです。

そこで、根保証の場合には、「特別の措置」という規定が設けられています。

すなわち、次の3つの要件にあてはまる場合には、元本極度額を主たる債務の元本の額、元本確定期日を弁済期として、法定上限利率や特約上限利率を計算してもよい、ということにしました。

__45 その3つの要件の一番目は、元本極度額および元本確定期日の定めがある根保証であることです。そもそも、この定めがなければ、法定上限額の計算をすること自体できないわけですね。

2番目は、主たる債務者が個人の場合には、保証の業務に関して行政機関の監督を受ける者として政令で定める者が保証人である場合に限られることです。

なぜ、保証人の属性について制限を設けたか、ということですが、この規定が全ての保証人に適用されるということになりますと、実際の融資に対して過大な元本極度額が設定されることにより法定上限額が高額となってしまうことがあるからです。
このように濫用のおそれがあることから、債務者および保証人の属性について一定の制限を設けたわけです。
__46 ちなみに、「政令で定める者」とは、保証協会など、濫用のおそれがないと考えられるところが定められています。

なお、債務者が法人の場合には、保証人の属性について規制はされていません。それは、今回の利息制限法の改正の背景が多重債務問題の解決という点にあったためであって、法人の債務者については議論がなされていなかったからである、と言われています。

そして、3番目の要件が、債権者が法令の規定により業として貸付けを行うことができない者である場合を除くということです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 2日 (火)

改正利息制限法 講義録 15

では、次に、貸付利率が変動利率の場合はどのように考えるのか、というのが8条2項に規定されています。

__38  主たる債務について支払うべき利息が利息の契約後変動し得る利率(以下、「変動利率」という)をもって定められている場合には、将来、債権者が受ける利息の額が確定できません。したがって、法定上限額の範囲で保証人が受けることのできる保証料の上限額も算出することができないということになります。

 「主たる債務について支払うべき利息が利息の契約後変動し得る利率をもって定められている場合」とは、将来の利息が変動する可能性があり、貸付けの時点でその率または額を客観的に算出できない場合をいいます。

 そこで、そのような場合には、まず、利息の上限額を一定の金額に固定することによって保証料の上限額を明らかにすることとしました。
そして、保証料の額が、法定上限額から利息の上限額を差し引いた金額を超える場合には、その超過部分について無効とすることにしました。

先ほど、「利息の上限額を一定の金額に固定する」と言いましたが、これには2つの方法があります。一つ目は、保証契約のときに、債権者と保証人の合意により、債権者が主たる債務者から支払いを受けることができる利息の利率の上限を定める場合です。これを「特約上限利率」といいますが、言い換えれば、法定上限額について、債権者と保証人が、利息と保証料をいかに分け合うか、という合意がある場合と考えていただければいいと思います。なお、この場合には、債権者または保証人が、特約上限利率が定められたことにより事実上の利害関係を有する主たる債務者に当該定めを通知することが要件となっています。

二つ目は、そのような合意のない場合で、その場合には、債権者が主たる債務者から支払いを受けることができる利息は、法定上限額の2分の1の金額が上限となります。

__39図で見てみたいと思いますが、特約上限利率がある場合、つまり、債権者と保証人が利息の上限利率について合意して、債務者にこれを通知した場合です。

100万円の融資に対して、特約上限利率を10%で定めました。利息の法定上限額は15万円ですから、融資をした債権者は、変動利率であっても10万円の範囲内で利息を受領することになります。

保証人の立場から言いますと、変動利率で、債権者がいくら利息を受領するのかわからないということであっても、5万円の範囲で保証料を受領することができる、ということになります。そして、保証料が5万円を超えた場合には、超過部分の保証料は無効ということになります。

__40   次の図は、特約上限利率の定めがない場合です。

この場合には、利息の額と保証料の額のそれぞれの上限は、法律上、当然に法定上限額の2分の1ということになのます。

したがって、保証料の額は、法定上限額の2分の1以下でなければならないことになります。そして、これを超える場合には、超過__41 部分について保証料が無効ということになります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 1日 (月)

改正利息制限法 講義録 14

 それでは、まず、保証料の原則的な制限規定を見ていきましょう。

__36  まず、条文は、8条1項ですが、「営業的金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする保証(業として行うものに限る。以下同じ)がされた場合における保証料(主たる債務者が支払うものに限る。以下同じ)の契約は、その保証料が当該主たる債務の元本に係る法定上限額(1条および5条の規定の例により計算した金額をいう。以下同じ)から当該主たる債務について支払うべき利息の額を減じて得た金額を超えるときは、その超過部分について、無効とするものとしています。

 ここで、率ではなく、額で保証料を制限しているということがわかりますが、これは、保証料の定め方が、必ずしも1年単位ではなく、複数年単位で定められるケースがあったり、また、また元本に対する率ではなく額で定められることから、保証料については、率ではなく、額で制限しようとしているものと考えられます。

したがって、この条文を具体的に検討する場合には、1年単位の保証料の額と利息の額に換算して計算することになると思われます。

 次に、「業として行う」保証と言っていますが、「業として」とは、保証を反復継続して行う意思があれば足りると考えられます。これは、営業的金銭消費貸借の定義おいて説明しました「業として」と同じです。

そして、この条文の効果として無効となるのは、保証料の額について「超過部分について無効」となるだけであって、保証契約そのものが無効になるということではないと考えられます。

したがって、仮に、保証料の全額が超過部分となってその全額が無効となったとしても、保証契約の効力には影響を及ぼすことはないと考えられます。

次に、この規定について具体例で見てみたいと思います。

__37 これは、貸付が100万円、貸付期間は1年、貸付利率は10%の例です。

100万円の上限利率は15%でいすら、1年間の利息の上限は15万円ということになります。これを法定上限額と言います。

実際の利息は10%で、1年間の利息は10万円になりますから、保証料の最高限度額は、法定上限額の15万円から実際の利息10万円を差し引いた5万円ということになります。

 ところが、このケースでは保証料が8万円ということですから、3万円については保証料の制限を超過してしまうということになります。そうしますと、その超過した部分である3万円については、保証料は無効ということになります。これが、保証料の制限を考える場合の原則的な考え方になるわけです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月28日 (金)

改正利息制限法 講義録 13

そこで、この保証料の制限についてこれから解説していくわけですが、この、保証料の制限ということ自体が新しい概念ですので、具体的な内容に入る前に、保証料の制限を理解するためにはどのような視点に立って考えればいいのか、という点について、考えておきたいと思います。

先ほど、子会社を保証人としていたケースとか、日掛業者のケースなどをお話ししましたが、今回の改正を理解するためには、そうした、いわゆる脱法的なケースを想定するのではなくて、普通の、たとえば、銀行の保証会社といったケースを想定したうえで条文を読んでいただきたいと思います。

__33  そして、その際は、債務者からの視点で読んでいただきたい、ということです。債務者から見れば、銀行等の債権者に対し信用があるのであれば低い利率で融資を受けられるかもしれませんが、債権者が「リスクが高い」と考えるのであれば利率は高くなるでしょうし、「保証会社をつけてください」ということにもなると思います。

このように、債権者は、利率であったり保証人をつけることで信用リスクをカバーしているわけですから、保証料は利息と合算した額において制限することが合理的である、と考えられるわけです。したがって、利息と保証料の額の合計でもって、利息制限法の上限利率の範囲内に納めるという考え方が出てきます。

そうしますと、利息制限法の上限利率の範囲内で、融資をした債権者と、保証会社との間で、利息はどの範囲にするか、保証料はどの範囲にするか、ということを決めなければならなくなります。

__34 その際の視点としては、融資をする債権者は、融資するにあたって利率をいくらにするか、ということは非常に重要なことですけども、保証料を負担する立場にはありせんから、保証料については、利率ほど関心がないのが一般的であると思います。
一方、委託される保証人は、主たる債務の内容として利率がいくらになっているのかということは、債務者の信用リスクを考えるうえで重大な関心を持っているものと考えられます。もちろん、自ら受領する保証料についても当然に関心があります。
融資をする債権者と、委託保証人とは、立場の違いだけではなく、実は、利息と保証料に対する関心について、このように差があるわけです。

__35 したがって、営業的金銭消費貸借に際して締結される保証契約については、原則として保証人となるべき者に対し、利息と保証料を合算した場合の規律を設けて一定の制限を行い、これを超過した場合の効果を定めることとしたわけです。このような見方をして、これからの解説をお聞きいただければわかりやすいのではないかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月27日 (木)

改正利息制限法 講義録 12

さて、次は、保証料の制限等に入ります。

 個人間で行われるような非営業的金銭消費貸借では、保証人をつけることはあっても、債務者が委託して、なおかつ、保証料を支払って保証人をつけるということはほとんど行われていないと思います。

一方で、銀行の貸付けを思い起こしていただければわかりやすいのですが、営業的金銭消費貸借においては、債務者の委託を受けて保証を業とする者が、有償で保証を行うことが多くみられます。

これまで、こうした保証料を制限する明文の規定はありませんでした。しかし、裁判上、保証料が問題とされたケースはしばしばありました。

まず、商工ローン業者が、融資の際に、子会社である日本信用保証を保証人にしていたケースにおいて、最高裁平成15年7月18日判決は、100%子会社に保証料等を取得させ同社から受ける株式への配当等を通じて保証料等を自らに還流させる目的があったと認定しています。
また、子会社ではないケースにおいても、みなし利息と認められるためには共同意思が認められれば足り、貸主と第三者が一体であるために利益の還元が予定されている場合に限定されないという、広島高裁平成18年2月16日判決(公刊物未登載)などがあります。

 さらに、日掛業者を中心として、事実上、消費貸借契約の融資業務と不可分の関係にある保証契約を結ばせて高額な保証料を得ている例もたくさん報告されています。

そこで、保証料にも一定の制限を設けるべきであるということで今回の改正に至ったわけです。

 なお、利息制限法で保証料が制限されるのは営業的金銭消費貸借上の債務である場合に限定されています。これは、今回の改正が、多重債務問題解決のための金利体制の適正化のために行われるものでありますから、営業的金銭消費貸借ではない個人間の金銭消費貸借についてまで規制する理由が立法の背景として見あたらないという理由からであります。

 また、保証が業として行われるものに限定されていますのは、業として保証を行う者は、保証のリスクの対価として保証料を設定していると考えられますので、制限の方法としては、利息や保証料を支払う立場である債務者の視点に立って、利息との合算額で規制するのが合理的であると考えられるためです。

 利息制限法では、8条1項において、保証料についての総則的な規定を置いていますが、2項以下で、実に様々なパターンを想定して保証料の制限の特則を置いています。
まず、2項は、主債務が変動利率の定めのある場合の特則です。3項ないし5項で、いわゆる根保証の場合の特則を定めています。さらに、6項で二重保証の場合の特則、7項でみなし保証料、8項で債権者の通知義務を定めています。
したがって、2項ないし5項の保証契約形態に該当しない場合は1項が適用されるということになりますが、結局のところ、1項が適用されるのは主債務の利息が固定利率で定められた、根保証ではない個別の保証ということになります。
 なお、保証料を、保証人ではなく債権者が受け取る場合には、この保証料の制限規定ではなく、先ほどの、みなし利息の規律に服するということになります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月26日 (水)

改正利息制限法 講義録 11

 次に、賠償額の予定の特則です。

__32_2  利息制限法4条では、金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定について、その賠償額の元本に対する割合が利息の制限として規定されている率の1.46倍を超えるときは、その超過部分について無効とするとされていますが、営業的金銭消費貸借については、元本に対する割合が年2割を超えるときは、その超過部分について、無効ということとなります。
これは、特に解説する必要はないと思いますが、大変大きな改正といえると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月25日 (火)

改正利息制限法 講義録 10

次に、みなし利息の特則に入ります。

 まず、今回の改正でみなし利息について改正された理由は2つ考えられます。
まず、第1点は、現在の利息制限法では、契約締結費用および債務弁済費用をみなし利息から除外している一方で、出資法では利息制限法のような除外規定が存在していません。そのため、利息制限法と出資法では、みなし利息の範囲が異なってしまっています。しかし、今回の改正では、出資法上の罰則利率と利息制限法上の上限利率が一致ないし接近することとなったため、両者におけるみなし利息の範囲を調整する必要があったからである、と考えられます。

2点目は、一般の方同志の金銭消費貸借とは異なって、営業的金銭消費貸借の場合には、契約締結費用や保証料など、様々な費用がやり取りされます。また、反復して貸付が行われたりするため、個人間の貸付と異なって、カードが発行されたりしております。したがって、営業的金銭消費貸借の場合には、特則を設けてみなし利息の範囲を定める必要があったからである。と考えられます。

__29 まず、営業的金銭消費貸借ではない場合、どのように規定されているか見てみたいと思いますが、3条では、「債権者の受ける元本以外の金銭は契約締結費用および債務弁済費用を除き「いかなる名義をもってするかを問わず」みなし利息としています。
これに対し、営業的金銭消費貸借の特則では、この例外として、「債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるものはみなし利息としない」ということにしております。

ここで、「債権者の受ける元本以外の金銭」とされていますが、これは、債権者が債務者から直接受け取るものをいうと考えられます。したがって、債権者が受け取ってそこで完結する完結する場合であっても、債権者が受け取って、その金額の全部または一部を第三者に交付することを予定している場合であっても、いずれも該当すると考えられます。

逆に言えば、債権者が債務者から直接受け取らないもの、たとえば、指定口座へ振込弁済する場合の金融機関の振込手数料等などは、「債権者が受け取る」には該当しないと考えられます。ただし、脱法的な場合は司法判断に委ねられるということになります。

「利息とみなされない費用」として政令で定める費用は、次の3つが定められています。
まず、「金銭の貸付けおよび弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料」です。次に、「貸金業法の規定により営業的金銭消費貸借に関して債務者に交付された書面の再発行および当該書面の交付に代えて電磁的方法により債務者に提供された事項の再提供の手数料」です。そして、3つ目は、「口座振替の方法による弁済において、債務者が弁済期に弁済できなかった場合に行う再度の口座振替手続に要する費用」です。

 これらは、いずれも、営業的金銭消費貸借に特有のものです。また、利息のように元本の使用の対価的性質を有しないものであることから、みなし利息から除外されています。

次に、今度は逆に、営業的金銭消費貸借においては、契約の締結および債務の弁済の費用であっても、次の3つについてはみなし利息から除外するものとされました。

__30 一つ目は、「公租公課の支払いに充てられるべきもの」です。二つ目は、「強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの」、3つ目は、「債務者が金銭の受領または弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料のうち、受領または弁済額が1万円以下の場合は105円以下、1万円を超える場合は210円以下(いずれも消費税額等相当額を含む)の範囲内のもの」です。

 「公租公課の支払いに充てられるべきもの」の具体例としては、契約書に貼付する印紙代、不動産担保設定登記に要する登録免許税等が考えられます。なお、登記に要する司法書士費用は、その実態が金銭を目的とする貸付けに関し「債権者が受ける」ものである場合には、みなし利息と考えられる余地もあります。

 「強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの」とは、強制執行申立手数料、不動産担保権実行申立手数料、執行官費用、公正証書作成費用等が考えられます。
このような申立てに関する弁護士費用、司法書士費用等は、その実態が金銭を目的とする貸付けに関し「債権者が受ける」ものである場合には、みなし利息と考えられる余地もあります。

「現金自動支払機その他の機械の利用料」ですが、ここで、「現金自動支払機その他の機械」とは債権者の自社現金自動支払機その他の機械、提携の他社現金自動支払機その他の機械を含むと考えられています。
 もっとも、貸金業者が自ら設置する現金自動支払機については、利用者の利便性もさることながら、有人店舗において貸金業者の従業員が行う事務を現金自動支払機が代わって処理することにより、店舗設置費用や人件費等の軽減に寄与している、換言すれば、現金自動支払機の利用料の実質は、貸金業者が本来負担すべき店舗設置費用や人件費等の代替費用であるということができるわけです。

加えていえば、貸金業者が設置する現金自動支払機には、新規の金銭消費貸借契約を締結する機能も備わっており、新規顧客の開拓のためにも設置されているものであると思います。

 このように、貸金業者が自ら設置する現金自動支払機を利用した場合の費用については貸金業者が本来負担すべき営業上の経費であると考えられますが、これをみなし利息から除外して利用者に負担させるという点について疑問を感じております。

 たとえば、最高裁昭和46年6月10日判決(判時638号70頁)では、債権者が実際に費用として支出しなかったものは利息とみなされると判示しているところです。
自社の現金自動支払機の利用に係るものについては、実際に費用として支出した金額を客観的に把握することは極めて困難であると思われますが、現金自動支払機の実際の利用料が高額となる場合には、利用料を抑制する機能がある一方と思われますが、実際の費用が、1万円以下の場合は105円以下、1万円を超える場合は210円以下となる場合には、実費と利用料との差額が貸金業者の利益となることから、先ほどの最高裁判決の趣旨との関係がさらに議論される必要があると思われます。

__31さて、ここまでの、みなし利息の話を1回聞いても、なかなか正確に理解できないのではないかと思います。そこで、非営業的金銭消費貸借と営業的金銭消費貸借におけるみなし利息について、わかりやすい図にしてみました。

まず、非営業的金銭消費貸借について、利息以外に債権者に支払われる金額のうち、契約締結費用と債務弁済費用を除くものは全てみなし利息になるということです。一方で、営業的金銭消費貸借においては、契約締結費用や債務弁済費用であっても一部の金額がみなし利息になりますし、契約締結費用や債務弁済費用以外の金額についてもみなし利息とならない部分があるということになります。

これをちゃんと覚えるためには、非営業的金銭消費貸借のみなし利息の規定がまずあって、その特則として、営業的金銭消費貸借のみなし利息が定められているという覚え方ではなくて、非営業的金銭消費貸借と、営業的金銭消費貸借では、みなし利息の定め方が全く違う、と考えていただいた方がわかりやすいのではないかと思います。

つまるところ、営業的金銭消費貸借でみなし利息とならないのは、公租公課、強制執行費用、機械利用料、カード再発行手数料、書類再発行手数料、再度の引落費用だけである、と考えていただいた方がわかりやすいのではないかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)